断捨離がカギ！海外への引っ越し事情と手続き

投稿日:2016/05/31

国内とは違う費用・日数・安全性

海外に引越しをする場合、国内での引越しとの大きな違いのひとつに、引越し費用があります。

国内の引越しの場合、引越し業者各社のコース・パック料金の内容は基本的には荷物の輸送費用と作業費用です。各社ごとに多少の上下はあるものの、費用の相場は存在します。ところが海外ともなれば国をまたぐのですから、単純な荷物の輸送費用のほかに輸出入の費用、関税などがかかってきます。

輸送費用も渡航先がどれくらい遠い国なのか、航空便なのか船便なのかで変わるうえに、為替も変動するため、目安となる相場が決められません。同じ国へ同じ量の荷物を運んだとして、ほんの数ヶ月で倍近く差が出ることも十分あり得ます。

また、輸送時間の問題もあります。荷物と本人の移動がほぼ一緒で済む国内の引越しとは違い、海外の引越しでは荷物を航空便で送ったとしても、本人と同時に引っ越し先へ着くことはあり得ません。料金が安いからと船便で送れば、数ヶ月かかる場合もあります。

さらに荷物の安全性の問題もあります。国内の引越し業者のほとんどは引越し荷物の扱いが丁寧かつ細やかで、積み込みも運搬も積み下ろしもまず1回で済みます。ところが海外への輸送ともなれば、何度も何度も積み替えが行われ、その都度荷物が破損する可能性が増えてしまうのです。もちろんそのための保険もあるとはいえ、国外で同じものを入手できるとは限りません。

持って行く荷物は最少に、残す荷物も最少に

以上のことから考えれば、海外への引越し荷物は極力少なくするべきでしょう。荷物が少なければ費用も安くすみ、その分スピーディな航空便を使えるチャンスも出てきます。

なにより、国内で使用していた家具・家電が海外生活でも都合よく使える保証はありません。とくに家電品などについては、輸送費用よりも現地で新規に購入したほうがはるかに安くなるものがほとんどのはずです。

持って行くのは衣服類と生活小物に絞って、あとは現地で必要に応じて調達することをお勧めします。

ところで、家族はいても国内に残り、本人一人が海外単身赴任となるのであればいいのですが、家族全員で長期間の海外生活となる場合、家財はどうすればいいのでしょうか。もし持ち家に住んでいたのであればそのまま置いておけるかもしれませんが、賃貸の場合はわざわざ家具や荷物のためだけに家賃を払い続けるメリットはあるでしょうか。同様のことは、おそらく賃貸物件に住んでいるであろう、独身一人暮らしの勤め人の海外赴任や学生の海外留学でも考えられるでしょう。

ひとつの結論をいえば、買い直せるものは徹底的に処分してしまうことです。とにかく家財の量を絞りに絞ってから、実家や親類宅に預けたり、あるいはトランクルームやレンタル倉庫を利用して保管しておきましょう。和服や毛皮、布団類などは定温倉庫を、また高価な家財や貴金属などの貴重品、権利書などの重要な書類については、銀行の貸金庫を利用すれば安心です。

最新のノウハウを知っているのは、やはり引越し業者

荷物の量に応じて世帯向けや単身者・留学生向けなど、海外引越しのコース・パックを設定している業者は少なくないほか、海外引越しに特化した業者もあります。荷物の輸出入の税関手続き代行や専用の梱包材・段ボールの提供、荷物の輸送だけでなく倉庫保管サービスや郵便物の転送サービスなど、さまざまな内容で海外引越しをサポートしています。いずれも海外では系列の現地法人会社や提携先の運送業者が最終的な配達を行いますが、なかには国内引越しと同じように、日本人スタッフ立会いで現地での荷解きまで盛り込んだコースをもつ業者もあります。

前述のとおり相場が存在しない海外引越しとはいえ、『餅は餅屋』の例えの如く、刻一刻と変化する国外情報をもっているのはやはり引越し業者です。海外への引越しに対応しているサカイ引越センター、日本通運、クロネコヤマト引越センターなどに相談してみれば、行き先国に合わせた色々なノウハウを教えてくれるはずです。

最後に、国内でしておいたほうがいい準備を紹介します。

自動車保険（任意保険）の中断証明書発行: 海外赴任を機に自家用車を手放す場合、任意保険の中断証明書の発行を受けておくといいでしょう。帰国してから改めて自動車を購入して任意保険に入る時、中断証明書があれば海外特則によって以前と同じ等級を引き継いで契約できます。期間その他の条件については、保険会社に確認してみてください。

生命保険の海外渡航通知書・海外渡航届の提出: 生命保険に加入している場合、あらかじめ海外渡航通知書・海外渡航届を保険会社に提出しておけば、海外赴任中も生命保険の適用を受けることができます。

国際キャッシュカードの申し込み: 海外のATMで利用出来る国際キャッシュカードは持っていると便利です。赴任国の現地通貨を直接引き出すことが可能で、引き出した額は円換算されて日本の銀行の預金口座から引き落とされます。国際キャッシュカードの申し込みや手数料・レートなどについては、各銀行に確認してください。