投稿日:2016/05/16
さまざまな文化や風習が混在する日本ですから、引越しについても、地域によって異なることが少なくありません。
まず、よく聞くのが『敷金(保証金)』の違い。とくに、関東と関西でその考え方が異なります。
賃貸物件を借りる時にかかることが多い敷金や礼金。首都圏では敷金・礼金ともに2ヶ月というところが多いようです。西日本では、敷金や礼金にかわって保証金や敷引きといった商慣習があるところもあります。
一般に東日本は敷金・礼金が安く、西日本は高いと思われがちですが、保証金や敷引き制度を取り入れている西日本の地域では、更新料(2年毎。家賃1ヶ月分)を取らないことが多いです。このことから、最初にかかる敷金・礼金などが安い東日本は住み替えがしやすく、更新料がない西日本は長く住むとお得と言えそうです。
敷金と保証金はほぼ同じ性格のもので、家賃の滞納があった場合や、部屋を退去する際の修理費や修繕費にあてられ、残額がある場合は賃貸契約が終了した後に手元に戻ってくるお金です。
江戸時代、女性は持参金を持って嫁ぎました。この持参金のことを『敷金(しききん・しきがね)』と言い、その金額は5両ぐらいが相場だったようです。
落語の『持参金』にもある通り、中には持参金目当てで結婚する男性も多かったようですが、離婚するとなったときには妻に持参金を返さなければなりませんでした。妻と借家という違いはあれど、『離れるときには預けたお金は返さなければいけない』という点で江戸時代と現代の『敷金』は共通しています。
いつごろから不動産賃貸でも『敷金』という言葉が使われるようになったかは、詳しくわかっていません。
続いて『礼金』について見ていきましょう。
礼金は、部屋を借りる側が貸す側に謝礼として支払うお金で、返ってくることはありません。礼金は、『関東大震災で多くの家屋が倒壊し、住宅が不足しているときに、家を借りることができた人が大家に謝礼としてお金を支払ったのが始まり』と言われていますが、関東大震災ではなく『戦後の住宅不足のときに借主が大家に支払った謝礼金が始まり』だとか、「高度経済成長期に田舎から子供を東京に送り出した親が『息子をよろしくお願いします』という意味を込めて大家にお金を渡したのが始まり」だとか、諸説あります。
いずれの説にしても、礼金が始まったときはそこに感謝の気持ちが本当に込められていました。今ではすっかり形骸と化し、謝礼なのに払うことが最初から決められていて、金額も貸す側の言い値。礼を言われる側が礼を金銭で要求しているという、賃貸物件を借りる人の多くが不満を抱く商慣習となってしまいました。
国土交通省が平成19年に発表した『民間賃貸住宅に係る実態調査(不動産業者)』によると、礼金を徴収する主な理由として、159社中85社が『長年の慣習』を、また92社が『一時金収入として見込んでいる』(複数回答可の質問)を挙げています。
『敷引き』は主に関西地方で行われており、貸主は入居者から預かった敷金や保証金のうち一定の額を返還しなくてよいとする商慣習です。
例えば、敷金30万円・敷引き10万円といった場合、30万円から10万円を引いた残りの20万円から原状回復費を差し引き、その残額が借主に返ってくるということになります。もし原状回復費が一銭もかからなかったとしても返ってくるのは20万円のみで、敷引きの10万円は返金されません。
『敷引き』は『保証金』とセットで関西地方や九州の一部でよく見られる商慣習ですが、最近は減少傾向にあり、『敷金・礼金』に移りつつあるようです。
これは、全国規模で展開する不動産仲介業が増えたことで、不動産の賃貸借にまつわる商慣習が統一されつつあることが要因として考えられます。
敷引き額を高く設定する悪質なケースも存在します。ある男性が『消費者契約法10条に違反している』として訴えを起こし、賃貸人に敷引き額の返還を命じる判決が言い渡されました。最高裁の判例によると、ひと月の家賃の3.5倍までが敷引き額として妥当な額です。
投稿日:2016/05/16
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