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中古マンションが売れない理由11選!対策や手放す場合の選択肢も紹介

自宅マンションを売りに出しても、なかなか成約まで至らないケースがあります。一般的に、中古マンションが売れるまでの期間は3〜6ヶ月程度とされており、6ヶ月以上経っても売れない場合は何らかの原因があると考えられるでしょう。

この記事では、長期間マンションが売却できない理由や有効な対策、売れないときに実施するべき対策を詳しく解説をします。マンションがなかなか売れずに悩んでいる人や売却前に売れない理由を知っておきたい人は、ぜひこの記事を参考にしてください。

この記事で分かること

  • マンションが売れない11の理由とその対策
  • 対策を講じてもマンションが売れない場合の選択肢

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▶︎マンション売却の注意点は?売却方法や流れ・費用についても解説

もくじ

中古マンションが6ヶ月以上、売れない場合は注意が必要

LIFULL HOME'Sが売却経験者へ実施したアンケート結果によると、マンション売却にかかった期間で最も多いのは6ヶ月〜1年未満で、全体の28.2%でした。次に多いのは3〜6ヶ月未満の24.3%であり、3ヶ月〜1年未満で売れたケースは全体の52.5%で、半数以上を占めています。

ちなみに、1年〜1年6ヶ月かかったケースは12.4%となり、1年6ヶ月〜2年はさらに少なくなり5.6%です。

※参考:首都圏の売却経験者に聞いた!目的・期間・困りごと・満足度…不動産売却に関するデータをまとめて紹介

また、公益財団法人東日本不動産流通機構によると、首都圏における中古マンションの成約件数はコロナ禍の影響もあり2020年は落ち込んでいましたが、2021年には増加しています。2022年には再び成約件数が減少し、2023年は前年度をやや上回っているという状況です。

中古マンションの成約件数
2019年 38,109件
2020年 35,825件
2021年 39,812件
2022年 35,429件
2023年 35,987件

※参考:首都圏不動産流通市場の動向(2023年)丨公益財団法人東日本不動産流通機構

一方で、中古マンションの成約物件㎡単価は11年連続で上昇しており、11年間で88.3%上昇しています。価格も2013年から右肩上がりで上昇し、11年で2倍近く値上がりしました。

エリアなどにもよりますが、2023年度は、価格が高騰している状況でも成約件数が減少していないため、中古マンションを求める人は一定数いると考えられます。

中古マンションが6ヶ月以上売れない場合には何らかの原因があると推測でき、成約を目指すために有効な対策を見つけることが必要です。

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中古マンションが売れない理由11選と対策の一覧表

マンションが売れない理由を簡単にまとめたのが以下の表です。

理由 対策
1 ・価格が相場に合っていない ・価格相場を自分で調べる
・複数社に査定依頼して適正価格を見極める
2 ・管理費・修繕費が高い ・売出し価格を調整する
・状態が悪い場合は管理会社を変更する
3 ・宣伝方法が適切ではない ・営業活動報告書をもとに担当者と相談する
・写真や動画で物件の魅力を伝える
4 ・室内が汚れている ・内覧前に自分で掃除を実施しておく
・必要に応じてハウスクリーニングを実施する
5 ・内覧時の対応に何らかの問題がある ・内覧時ならではの魅力を伝える
・不備やデメリットも正直に伝える
6 ・周辺環境に何らかの要因がある ・ポジティブ面を出しても厳しければ値下げを検討する
7 ・好条件の競合物件が同時に売出している ・競合物件と売出すタイミングをずらす
・エリアの動向に詳しい不動産会社に仲介を依頼する
8 ・築年数が経過している ・ホームインスペクションを実施する
・仲介を依頼する不動産会社のサポートを利用する
9 ・売却時期が適切ではない ・高く売れる時期や季節に売出す
10 ・間取りなどがニーズに合致しない ・必要な箇所だけリフォームする
11 ・不動産会社の対応に何らかの問題がある ・不動産会社を変更する
・媒介契約を見直す

以下では、上記の表で記載したマンションが売れない理由の詳細を解説します。

中古マンションが売れない理由1.価格が相場に合っていない

近隣周辺の似たような物件より価格を高めに設定しているなど、相場に合わない価格で売出している場合、購入希望者が見つかりにくくなります。

現在はインターネットで過去の取引価格が簡単に調べられるので、一般の人でも価格相場を把握できます。したがって、なるべく高い価格でマンションを売りたいと考えるのは自然なことですが、周辺の類似物件より明らかに高い売出し価格であれば購入希望者も少なくなるでしょう。

逆に安すぎると売却損が出てしまう可能性もあるため不動産会社と相談しながら、適正価格で販売することが重要です。

対策1:価格相場を自分で調べる

売却活動を開始したものの、なかなか売れない場合には、売却したいマンションの価格相場を改めて自分で調べてみましょう。近隣の同じような物件の取引価格や売出し価格を調べて、自宅マンションの相場価格が適正かどうか、確認します。

価格相場を自分で調べるといっても、どのような方法でリサーチするべきか分からない人は少なくありません。

実際、LIFULL HOME'Sが首都圏でマンションを売却した人に向けて実施した「売却時に困ったこと」のアンケート調査では、「相場が分からない」と答えた方の割合が最も多くなりました。

順位 項目 割合
1位 売却金額の相場感が分からなかった 20.4%
2位 買い手がなかなか見つからなかった 18.4%
3位 法律に関する知識が足りなかった 17.4%
4位 お金に関する知識が足りなかった 15.0%
5位 何から始めればよいかわからなかった 14.8%

出典:首都圏の売却経験者に聞いた!目的・期間・困りごと・満足度…不動産売却に関するデータをまとめて紹介

相場を把握するためには、近隣の近しい物件が実際に取引された価格を確認すると良いでしょう。

例えば、国土交通省が運営している『不動産情報ライブラリ』では、実際に行われた不動産取引の情報をエリア別ですぐに確認できます。また、不動産の情報ポータルサイトでも売出し価格を確認できるので、積極的に活用することがおすすめです。

対策2:複数社に査定依頼して適正価格を見極める

実際に販売活動を開始する前であれば、適正価格を正しく把握するために、1社だけではなく複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。複数社から査定価格を提示してもらい、比較検討することで、おおよその市場価格を掴めるようになります。

LIFULL HOME'Sがマンション売却経験者に向けて行ったアンケートでは、2〜3社に依頼した人が38.5%と1番多い結果になりました。マンションを売却した10人のうち、少なくとも4人程度が2社か3社に依頼している状況です。

4社以上に依頼している方も3割程度と、2番目に多い結果となっています。

参考:マンション売却経験者にアンケート!売却期間は?売却方法は?体験談もご紹介

この結果からも、売却を初めて検討する人は3〜5社に査定依頼することがおすすめと言えます。

LIFULL HOME'Sで不動産の一括査定を依頼する

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▶︎<エリア別・築年数別>マンションの平均売却価格はいくら? 相場の調べ方を解説

中古マンションが売れない理由2.管理費・修繕費が高い

中古マンションがなかなか売れない理由の一つとして、管理費や修繕費が高いことが挙げられます。

マンションを所有すると修繕費が発生するだけでなく、共用部の維持管理に必要な費用として管理費も毎月支払う必要があります。同じような条件のマンションでは、管理費や修繕費が高いマンションのほうが売れにくいでしょう。

これらの対策としては以下の2点が考えられます。

  • 売出し価格を調整する
  • 状態が悪い場合は管理会社を変更する

対策1:売出し価格を調整する

マンションを売却するときには、買主に毎月かかる管理費と修繕費の金額を伝える必要があります。管理費と修繕費は定額で決まっているため、売主の一存による金額の値下げはできません。

管理費や修繕費の金額に買主が難色を示した場合は、売出し価格を調整して検討してもらう方法があります。マンションはローン返済と管理費・修繕費の合計が月々の支払総額となるため、ランニングコストが高い物件はその分販売価格を安くすることがポイントです。

販売価格を値下げすることで毎月の支払額を抑えられれば、購入希望者が検討しやすくなるでしょう。

対策2:状態が悪い場合は管理会社を変更する

エントランスなどの共用部分の管理状態が悪い場合は、管理会社を変更するのも選択肢の1つです。

区分マンションの場合は管理組合が管理会社を決めるため、管理が行き届いていないことが原因で物件の資産価値が下落しそうな場合は、管理組合の総会で管理会社の変更を決議できます。ただし、他の区分所有者にも関わる問題であるため、管理組合の総会で議題を提起する必要があります。

中古マンションが売れない理由3.宣伝方法が適切ではない

中古マンションが売れない理由として、宣伝方法が不適切であることが考えられます。

不動産会社に売却依頼をすると、不動産情報ポータルサイトに広告を掲載したりチラシを作成したりします。マンションを売却するためには、これらの広告やチラシが購入希望者の目に付くことが必要です。

ここでは、宣伝方法が適切ではないときの対策を解説します。

  • 営業活動報告書をもとに担当者と相談する
  • 写真や動画で物件の魅力を伝える

広告を出しても反響が少ないときは、不動産会社の担当者に相談し、上記2つの対策を検討してみましょう。

対策1:営業活動報告書をもとに担当者と相談する

媒介契約の形態が、一般媒介契約でない限り、営業報告書は2週間もしくは1週間に一度の頻度で送られてきているはずです。一般媒介契約の場合も担当者に依頼すれば、報告書を送ってもらうことができます。

宣伝活動に疑問があるときは、この営業活動報告書を元に不動産会社の担当者と相談しましょう。

その際には、以下のような点を確認するとスムーズに話が進みやすくなります。

  • ポータルサイトの掲載状況(掲載しているポータルサイト上での閲覧数や問い合わせ件数)
  • 配布しているチラシの内容

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対策2:写真や動画で物件の魅力を伝える

近年の消費者は、不動産情報ポータルサイトで下調べしてから、気に入った物件について不動産会社へ連絡する傾向があります。

購入検討者に良い印象を与えるためには、高品質な写真を提供することがポイントです。照明を使って明るい画質に仕上げ、物件の魅力を引き出しましょう。不動産会社によっては、プロのカメラマンによる写真撮影サービスを提供している場合もあります。

近年は動画広告も多く、マンションのエントランスやエレベーター内部、居室内などをくまなく紹介することで、リアルな印象を購入検討者に与えられます。多くの場所を紹介するとマンション内の様子が分かりやすくなり、検討する方の増加が期待できるでしょう。

中古マンションが売れない理由4.室内が汚れている

内覧時にマンションの室内が汚い場合、購入検討者にとって大幅なマイナスポイントとなります。

部屋に不用品が溢れていたりシミだらけで嫌な臭いがしたりするなど、ご自身が他人の家を訪れた際に不快になるようなポイントがあれば、すぐに改善が必要です。

ここでは、室内が汚れている場合の以下2つの対策を解説します。

  • 内覧前に自分で掃除を実施しておく
  • 必要に応じてハウスクリーニングを実施する

対策1:内覧前に自分で掃除を実施しておく

マンションの売却活動を始める場合には、室内を清潔な状態にしておくことが重要です。

査定の段階では普段のままでも問題ありませんが、内覧前にはしっかりと掃除しておきましょう。特に、トイレやキッチン、バスルームなどの水回りは注目されるポイントです。

清潔な室内は購入希望者に良い印象を与え、成約の可能性が高まります。不用品を片付けておくと、部屋の印象がスッキリして物件広告に載せる写真の写りがよくなります。

室内の汚れが目立つ場合は値引き交渉されることがあり、市場価格より安値での売却になるリスクがあります。

対策2:ハウスクリーニングを実施する

水回りの汚れがこびりついて取れないなど自力での清掃が難しい場合は、ハウスクリーニングを実施するのも対策の1つです。

日頃から手入れをしていても、水回りなどは汚れを落とすのに限界があります。少しでも内覧者に良い印象を与えるために、ハウスクリーニングを実施するのも選択肢の一つです。

プロの業者が専用の洗剤や器具を使用して徹底的にクリーニングするので、見違えるほど部屋の中がきれいになります。

ただし、ハウスクリーニングの費用は売主が負担し、売却代金に上乗せできません。必須ではない上に費用もかかるため、状況に応じて判断するようにしましょう。不動産会社のなかには、売却サポート内容にハウスクリーニングが含まれているケースがあるため、確認しておくことをおすすめします。

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中古マンションが売れない理由5.内覧時の対応に何らかの問題がある

購入検討者が内覧に訪れたときの対応に何らかの問題がある場合、スムーズに成約することが困難になります。

内覧者への対応は、空き家の場合は不動産会社の担当者が行いますが、売り先行などで住みながら売却をする場合は、売主も対応することになります。

不動産を購入するお客様は、物件の内容だけでなく対応する人の第一印象も含めて購入を判断するため、内覧者にはきちんとした対応をすることが必要になります。

対策1:内覧時ならではの魅力を伝える

広告やチラシからは把握できない周辺環境に関する情報など、内覧しないと知り得ない魅力を内覧者に伝えましょう。実際に住んでみないと分からない、住人目線の魅力があれば成約に繋がりやすくなります。

例えば、内覧者が女性の方なら周辺の治安や夜道の明るさなどは知っておきたい情報です。小さなお子さんがいる家庭なら近くの公園の様子や遊びやすい場所、周辺の病院やスーパーなどの施設に関する情報が喜ばれます。

ただ、あまり話しすぎると印象悪化になるケースがあるため、相手の様子を見ながら適度に話すことが大切です。

対策2:不備やデメリットも正直に伝える

売却後のトラブル防止のためにも、物件に不備やデメリットがある場合は正直に伝えることが重要です。

居住後に不具合が見つかった場合、買主は売主に対して契約不適合責任を問うことができます。契約の目的を達成できない場合には契約解除を請求されるケースもあるため、売却時点で分かっている不備や問題がある部分については、しっかりと伝えておきましょう。

瑕疵があっても、買主が承知して購入する場合は問題ありません。売出し価格から値引きするなど、調整して対応しましょう。

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中古マンションが売れない理由6.周辺環境に何らかの要因がある

周辺環境に何らかの「要因」がある場合も、物件が売れづらくなります。

この場合の「要因」とは、以下のような施設などがあることを意味します。

  • 高速道路、幹線道路、鉄道、飛行場、工場(騒音や振動が発生)
  • 高圧線鉄塔、ガソリンスタンド、ガスタンク、暴力団組事務所(危険性が高い)
  • ごみ焼却場、養豚・養鶏場、工場(煤煙や臭気が発生)

また墓地など心理的瑕疵を感じる人がいる施設があるケースもあてはまります。これらの施設が近くにあると、一般的に住環境にマイナス影響を与えるため、賃貸物件ならまだしも購入してずっと住み続けるのには抵抗がある人が多いと考えられます。

対策:ポジティブ面を前面に出しても厳しければ値下げも検討

「何を問題のある施設と感じるか」は人それぞれなので、基本的には「問題のある施設の存在をデメリットと感じない買主を探す」「デメリットを上回るメリットを提示する」という売り方をするべきでしょう。そのためにも、不動産会社の担当者と綿密に販売戦略について相談をする必要があります。

それでも売却が困難な場合には、多少価格を低くして、「お得感」を打ち出しながら販売するという選択肢も視野に入れる必要があります。

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中古マンションが売れない理由7.好条件の競合物件が同時に売出している

同一マンション内や周辺エリアにおいて、同じような間取りの部屋が、同時期に好条件で売出されている場合があります。

同じマンションで他の部屋が売りに出ているかは売却活動の成否に大きな影響を与える要素となるので、売却前に確認しておくことが必要です。

好条件の競合物件が同時に売出しされている場合は、以下2つの対策を検討しましょう。

  • 競合物件と売出すタイミングをずらす
  • エリアの動向に詳しい不動産会社に仲介を依頼する

対策1:競合物件と売出すタイミングをずらす

同じマンション内で同時期に他の部屋が販売されている場合に、価格面などの条件が良い場合には、そちらが選ばれる確率が高いでしょう。立地条件が同じ同一物件では独自の良さをアピールしにくく、主に価格で比較されることがほとんどです。

この場合、競合となる物件の価格をチェックし、差があるときは理由を明記することが必要です。競合物件より部屋の状態が良いなどの明確な理由があれば、多少の価格差があっても買い手が見つかる可能性があります。

周辺で似たような物件が売り出されている場合、部屋の状況や築年数、価格などで比較されるため、条件が少しでも劣る場合はなかなか売れないでしょう。

急いでいないのであれば、売却時期の変更を選択肢として考えることがおすすめです。競合物件が売れた後のタイミングに売出すなど、販売時期が被らないように調整すれば売れやすくなるケースがあります。

早く売却しなければならない理由がある場合には、値下げを検討しましょう。

対策2:エリアの動向に詳しい不動産会社に仲介を依頼する

競合物件が多い地域では、エリアの動向に詳しい不動産会社に仲介を依頼することをおすすめします。地元の物件情報や地域情報を多く持つ不動産会社なら、どのような物件が同時期に売出しされているかを把握できます。

LIFULL HOME'Sがマンション売却経験者に向けてアンケート調査したところ、売却依頼した不動産会社に決めた理由は、以下のような結果となりました。

順位 売却依頼した理由 割合
1位 担当者の対応が良かったから 29.4%
2位 査定価格が納得のいくものだったから 22.4%
3位 会社が信頼できたから 21.8%
4位 地元の不動産事情に詳しかったから 19.8%
5位 過去に付き合いがある会社だったから 18.5%

※出典:マンション売却経験者にアンケート!売却期間は?売却方法は?体験談もご紹介
※不動産会社の仲介/買取/任意売却で売却した方の回答を集計(複数回答)
※6位以降は省略

担当者の対応の良さや納得のいく査定価格、信頼度に続いて、20%程度の人が地元の不動産事情に詳しかったことを会社選びの理由に挙げています。売却する物件があるエリアに詳しい不動産会社なら、安心して相談できるでしょう。

中古マンションが売れない理由8.築年数が経過している

売却するマンションの築年数が極端に経過している場合、売れない原因の1つとして挙げられます。

RC造の場合、国税庁が公表している住居用マンションの法定耐用年数は47年ですが、手入れや管理の仕方によって実際の状態が変わります。

築年数が古いと設備機器の修繕費用がかかります。また、生活に欠かせない配管は、年数が経つほどダメージを受ける部分であるため、見た目をきれいにリフォームしても故障しやすいというリスクを抱えることになります。

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対策:ホームインスペクションを実施する

建物が古い場合は、ホームインスペクションを実施するという方法もあります。

ホームインスペクションとは、住宅に精通したホームインスペクターが専門家としての知見を生かして、住宅の劣化状況や不具合などの有無、修繕の必要がある箇所や大まかな費用などを診断するサービスです。

具体的な数字や内容をデータとして確認できるので、購入希望者も物件の状態を正しく知ることができます。マンションのインスペクションの費用相場は物件により違いますが、5万円程度と言われています。

ただし、ホームインスペクションは必須ではありません。費用もかかるので、築年数が経過している場合などに検討しましょう。

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対策:仲介を依頼する不動産会社のサポートを利用する

不動産会社のなかには、売却後にもアフターサポートを提供している会社があります。売却前に専門家が検査や補修を実施したが、引渡し後に不具合が発生した場合などにアフターサポートを受けられるサービスです。

システムキッチンやバスルームの設備などに不具合が起きても無料で修繕を実施し、売主の売却リスクを減らすだけでなく、買主も安心できるサービスです。

不動産会社ごとにさまざまなサービスを提供しているため、売却後に安心できるアフターサポートを利用できる会社に依頼しましょう。

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中古マンションが売れない理由9.売却時期が適切ではない

不動産の需要が低い時期に売出してしまうと、なかなか成約できません。このように「売却時期が適切ではない」ことも、マンションが売れない原因の一つとなります。

一般的に不動産の需要が高まるシーズンは、年始から年度終わりまでの1〜3月であり、この時期を外してしまうと売るタイミングを逃してしまいます。これは賃貸も売買も同様です。

また、10月も不動産の需要が高まるシーズンのため、春に買い逃した人が年末年始の時期までに購入する傾向が伺えます。

対策:高く売れる時期や季節に売出す

不動産の取引が活発になる時期に売出すことができれば、スピーディーな成約が期待できます。

前述したように、一般的に不動産の市場が賑わうのは1〜3月と10月です。この時期には新生活に向けて引越しが増えるため、不動産の需要が高まるといわれています。

なるべく高値で売れる傾向にある時期や季節に売出して、希望する価格で成約できるようにしましょう。

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中古マンションが売れない理由10.間取りなどがニーズに合致しない

間取りなどがニーズに合致していない場合、売れる可能性が低くなります。

一昔前に建てられたマンションでは、部屋が細かく仕切られている間取りが多く、現代のライフスタイルにそぐわないケースもあるでしょう。そのため、間取りが古い場合は不利になる傾向があります。

対策:必要な箇所だけリフォームする

間取りがニーズと合致しないという場合には、リフォームを行うのも選択肢の一つです。

ただし、中古マンションを購入する人は、自分の好みに沿ったリフォームを行うケースが多いため、売主が事前にリフォームすると逆にマイナスになってしまう可能性もあります。場合によっては、リフォームにお金をかけるよりも、その分値引きして売るほうがお互いにムダがないこともあります。

また、マンションの規約によりリフォームには一定の制限がかかるため、間取りの変更など大掛かりな工事は管理組合に許可を得てから行わなければなりません。

許可を得られたらあまり費用をかけずに、必要な箇所だけリフォームすると良いでしょう。

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中古マンションが売れない理由11.不動産会社の対応に何らかの問題がある

不動産会社や担当者が持つノウハウや知識は、マンションが売れるスピードに影響します。

媒介契約を結んだものの、なんらかの理由で熱心に営業活動をしていないという担当者もゼロではありません。また、担当者の知識や経験が不十分で、適切な販売戦略が採られていないということも考えられます。

対策1:不動産会社を変更する

マンション売却では、ノウハウや経験が豊富な不動産会社に仲介を依頼することが重要です。営業活動を熱心に行っていないようであれば、別の会社への変更を検討しましょう。

変更する際は、周辺エリアにおけるマンション販売の実績が豊富な不動産会社がおすすめです。 直近の販売実績を見せてもらって、実績を確認しましょう。

一般媒介契約なら複数の不動産会社と同時に契約できるため、契約期間内に解約しても違約金などは発生しません。専任媒介や専属専任媒介契約の場合、依頼主の都合で途中解除すると違約金が発生することがあるため、注意しましょう。

対策2:媒介契約を見直す

専任媒介契約を締結しているのにマンションがなかなか売却できないときは、媒介契約の見直しも選択肢の一つです。専任媒介契約は1社としか契約できないため、その会社が成約に繋げられないといつまで経っても売却できません。

専任媒介と専属専任媒介はどちらも3ヶ月と期間が決まっているため、契約が満了したら別の不動産会社に依頼するか、一般媒介契約に変更して複数の不動産会社に依頼することを考えましょう。

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中古マンションが売れない場合に手放すための選択肢 

中古マンションが売れない期間が長期化した場合には、以下3つの方法も選択肢として考えられます。

  • 相続の場合はマンションの区分所有権を放棄する
  • 住宅ローンを完済しているなら賃貸に出す
  • 最終手段として不動産会社による買取を検討する

相続の場合はマンションの区分所有権を放棄する

相続の方法には、大きく以下の3種類があります。

  • 単純承認:被相続人の財産や債務の両方を受け継ぐ
  • 相続放棄:財産や債務を一切受け継がない
  • 限定承認:相続する予定の財産を限度として債務を引き継ぐ

被相続人から引き継ぐマンションの売却が難しい場合は、区分所有権の相続を放棄する選択肢があります。しかし、他の財産も放棄する必要があるため、慎重に検討しましょう。

また、相続放棄する場合は、相続開始を知った時点から3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きをする必要があります。時間的な猶予があまりないため、注意しましょう。

※参考1:相続の放棄の申述|裁判所
※参考2:No.4132 相続人の範囲と法定相続分|国税庁

住宅ローンを完済しているなら賃貸に出す

中古マンションを売らずに活用する方法として、第三者に”賃貸”として貸すことが挙げられます。ただし、この方法は住宅ローンを完済している必要があります。

住宅ローンの返済期間には、借入者が自宅として居住することが契約条件となるため、返済中に貸し出したことが金融機関に発覚した場合、一括返済などのペナルティを受けるリスクが高まります。

ただし、転勤などのやむを得ない事情で一時的に居住できない場合で、融資している住宅に戻ることを前提に賃貸するというケースでは、可能となることがあります。家を貸すと家賃収入を得られるため、固定資産税などの経費を補填できる点もメリットです。

最終手段として不動産会社による買取を検討する

ここまで解説した対策を実施してもなかなか成約できない場合、不動産会社による買取を検討することも対策の1つです。

買取は、相続や転勤など何らかの事情によって、多少安くても早く手放したいと考えている方に適した方法です。

買取の場合は不動産会社が直接購入するため、すぐにお金が手に入り内覧の手間もありません。相手が不動産会社なら、仲介手数料も発生しません。契約不適合責任を負わない契約ができるケースもあり、契約後に何らかの不具合が発生するリスクに備えられます。

ただし、仲介に比べて売却価格が安くなりやすい点がデメリットです。必ずしも、すべての物件を買取ってもらえる訳でない点に注意が必要です。

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▶︎ マンションを高く売るには? 買取と仲介の違いと高く売るためのポイント

売れない中古マンションに関するよくある質問

ここでは、売れない中古マンションに関するよくある質問を紹介します。

  • 中古マンションが売れない期間でも管理費の支払いは必要?
  • 築60年や築70年の中古マンションは売れない?
  • 中古マンションがずっと売れないとどうなる?

中古マンションが売れない期間でも管理費の支払いは必要?

マンションの所有者である以上、管理費の支払いは義務となります。マンション売却中に居住していない場合でも、所有者として管理費を支払う必要があります。

滞納すると遅延損害金をプラスして支払うケースがあるため、注意しましょう。

築60年や築70年の中古マンションは売れない?

首都圏には築60年以上のマンションが多く存在しており、立地が良い場所にあれば需要が求められるため、売却は可能といえます。

不動産情報ライブラリでは築60年以上の中古マンションも取引されており、東京都では以下のような取引事例があります。

<東京都の中古マンションの取引事例:2023年4月から2024年3月>

建築年 最寄駅 最寄駅からの距離 取引総額 面積
1950年 根津(台東区) 5分 8,600万円 55㎡
1956年 曳舟(墨田区) 8分 3,600万円 30㎡
1959年 麻布十番(港区) 0分 5,400万円 45㎡

※参考:不動産価格(取引価格・成約価格)情報の検索・ダウンロード|不動産情報ライブラリ

1950年は今(2024年7月時点)から74年前です。東京都の古いマンションは立地条件が良いため、建物の状況に問題がなければ取引可能だといえます。

中古マンションがずっと売れないとどうなる?

中古マンションがずっと売れない場合、以下の3点がリスクとして考えられます。

  • 資産価値が下がり続ける
  • 管理費や修繕積立金の支払い負担が続く
  • 固定資産税を納め続ける

マンションの価値は築年数に影響されるため、年数が経過するほど資産価値は下がり続けます。

また、管理費や修繕積立金、固定資産税は、所有者でいる限り支払い続けなければなりません。売却を決めたならば、早めに売るほうがお得と言えるでしょう。

マンションが売れない場合は網羅的な対策が重要

これまで解説してきたように、マンションがなかなか売れない場合には、その理由を把握した上で適切な対策を立てる必要があります。そうした対策を行う上で重要となるポイントの一つが、仲介を担当する不動産会社と適切な連携をとることです。

LIFULL HOME’Sの一括査定サービスでは、4500社以上(2024年7月時点)の不動産会社の中から自分にあった不動産会社を選んで、査定を依頼することができます。物件情報の入力後、不動産会社の社員画像や店舗画像、強みなど、物件の査定を依頼できる不動産会社の詳細情報を一覧で見て選べる仕様になっているため、自分と相性の良い不動産会社を見つけやすいでしょう。

記事執筆・監修

矢口 美加子(やぐち みかこ)

宅地建物取引士整理収納アドバイザー1級福祉住環境コーディネーター2級の資格を保有。建築・不動産会社で事務をしながら、家族が所有する賃貸物件の契約や更新業務を担当。不動産ライターとしてハウスメーカー、不動産会社など一部上場企業の案件を中心に活動中。