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マンション売却前にリフォームは不要?必要なケースや費用相場も解説

マンションを売却するにあたり「傷んでいるところなどをリフォームしたほうが高く売れるのではないか」と考える人は少なくありません。確かに、リフォームしてきれいな状態のほうが購入希望者に良い印象を与えられるでしょう。

しかし、リフォームをしたからといって必ずしも高値での売却につながるとは限りません。むやみに大規模なリフォームを行うと高額な費用がかかり、かえって損をしてしまうケースもゼロではありません。

この記事では、マンション売却前にリフォームについて、必要なケースや費用相場などを詳しく解説します。

この記事で分かること

  • マンション売却前のリフォームが不要な理由
  • マンション売却前のリフォームが必要なケース
  • マンション売却の際にかかるリフォームの費用相場
  • マンションをリフォームなしで高く売るコツ

【あわせて読みたい】
▶︎マンション売却の注意点は?売却方法や流れ・費用についても解説

もくじ

まずは確認!経験者によるリフォームの実態調査

ここでは、一般社団法人住宅リフォーム推進協議会の『住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査 結果報告書』をもとに、以下3つの項目に分けてリフォームの実態を紹介します。

  • リフォーム箇所
  • リフォームのきっかけ
  • リフォームで重視すること・不安なこと

なお、調査対象は売却予定者ではなく、過去3年以内にリフォーム実施・居住中の物件の築年数10年以上・世帯主あるいは自己所有に該当する25歳以上の人を対象としています。

リフォーム箇所

以下の表は、実施者と検討者に分けてリフォーム箇所の割合をまとめたものです。

リフォーム箇所 実施者割合(%) 検討者割合(%)
トイレ・便所 53.8 35.8
浴室・洗面所 49.5 44.6
キッチン・調理室 38.6 36.5
リビング・居間 33.1 29.1
外壁(バルコニー、庇を含む) 24.6 15.5
ダイニング・食堂 23.9 20.2
屋根(屋上含む) 18 14
床全面 17.2 12.3
主寝室 14.6 10.8
設備 14.6 10.6

住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査 結果報告書|一般社団法人住宅リフォーム推進協議会をもとに作成

「トイレ・便所」や「浴室・洗面所」、「キッチン・調理室」は、検討段階でも高い関心を持たれており、実際にリフォームを実施した割合も高くなっています。

また、「外壁」や「屋根」、「設備」は実施者の割合が検討者よりも高くなっています。

次に、実施者が予算以外で契約時に重視している点を表にまとめました。

契約時重視点 実施者全体(%) 20~40代(%) 50代以上(%)
設備の使い勝手が良くなること 26 17.5 32
耐久性の向上が見込めること 17 14.3 19
省エネ性の向上が見込めること 14 13.9 14
耐震性の向上が見込めること 12 19.7 6
間取りの使い勝手が良くなること 10 11.2 10

住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査 結果報告書|一般社団法人住宅リフォーム推進協議会をもとに作成

契約時重視点において、50代以上の人は「設備の使い勝手」を重視しているのに対し、20〜40代の人は「耐震性の向上」を重視していることが分かります。

これらを理解しておくことで、売却を検討する際には、購入希望者の年齢層にあわせたアピールが可能になります。

リフォームのきっかけ

以下の表は、実施者と検討者に分けてリフォーム検討のきっかけをまとめたものです。

リフォーム検討のきっかけ 実施者割合(%) 検討者割合(%)
設備や機器が古くなった
又は壊れたから
42.1 41
壁、床、天井、屋根など住宅の構造部分が古くなった又は壊れたから 42.1 39.6
水回りや家事動線の使い勝手が悪かったから/悪いから 25.6 27.2
今の住宅に長く住み続けたかったから/続けたいから 23 27.4
間取りやデザインに不満があったから/あるから 15.2 16.8
居住人数の変化・子の成長に伴って、手狭となったから 12.8 13.5
特定の目的の部屋やスペースが欲しかったから/欲しいから 12.2 12
収納が不足している又は収納の効率が悪かったから/悪いから 11.3 11.6
中古住宅を取得(購入・相続など)したから 7.2 2
高齢者又は障がい者等には暮らしにくい住宅だったから/だから 7.1 7.2

住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査 結果報告書|一般社団法人住宅リフォーム推進協議会をもとに作成

リフォーム検討のきっかけは、設備・機器や構造部分の老朽化などが上位に挙っています。なお、売却前にリフォームする人はほとんどいないようです。

次に、リフォームで実現したかった/したいことを表にまとめています。

リフォームで実現したかった/したいこと 実施者割合(%) 検討者割合(%)
一部の部屋の全面改修をする 47.6 49.7
省エネ性能を高める 20.3 19.1
バリアフリーにする 12.3 12.7
耐震性能を高める 10 11.1
大規模の修繕をする 8.1 6.9

住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査 結果報告書|一般社団法人住宅リフォーム推進協議会をもとに作成

リフォームで実現したかった/したいことは、実施者、検討者ともに「一部の部屋の全面改修をする」の割合が最も高く、次が「省エネ性能を高める」でした。

リフォームで重視すること・不安なこと

以下の表は、実施者と検討者に分けてリフォーム検討に予算以外で重視することをまとめたものです。

検討時重視点 実施者割合(%) 検討者割合(%)
設備の使い勝手が良くなること 29.9 34.7
耐久性の向上が見込めること 20.9 22.4
省エネ性の向上が見込めること 19.6 16.3
耐震性の向上が見込めること 14.2 9.1
最新機能の設備を活用できること 13.8 16.3
掃除がしやすくなること 13.4 23.3
間取りの使い勝手が良くなること 12.2 13.6
バリアフリーにできること 11.7 11.6
デザインの良さ 10.2 16.2

住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査 結果報告書|一般社団法人住宅リフォーム推進協議会をもとに作成

実施者と検討者のいずれも「設備の使い勝手が良くなること」を重視していることが分かります。また、検討者では「掃除がしやすくなること」の割合が高くなっており、現状の住まいに掃除面で不満を持っている様子が伺えます。

次に、リフォームで不安に感じていることを表にまとめました。

リフォームで不安に感じていること 検討者全体(%) 20~40代(%) 50代以上(%)
費用がかかる 42.6 39.5 44.8
施工が適正に行われるか 36.5 28.4 41.9
見積もりの相場や適正価格がわからない 36 25 42
リフォーム工事後の不具合への対応 31.3 26.3 34.6
業者が誠意をもって行ってくれるか 28 21.5 32.4

住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査 結果報告書|一般社団法人住宅リフォーム推進協議会をもとに作成

リフォーム検討者は「費用がかかる」や「見積もりの相場や適正価格がわからない」などの費用面、「施工が適正に行われるか」などの施工面に不安に感じていることが分かる結果となっています。

マンション売却前のリフォームは基本的に不要

上述したようにマンション売却前のリフォームは、原則として不要です。

少し古いデータになりますが、2010年に行われた調査によると、リフォームにより「価値が向上したと想定される件数」は全体の73.7%となっています。一見、高いように見えますが、売主が個人の場合に限定すると、わずか17.6%となります。それだけ、個人の判断でのリフォームにより価値を向上させることは困難なのです。

また、LIFULL HOME'Sが2023年に行った『住み替えに関する意識調査』の中でも、8割近い人が「リフォーム・リノベーションをおこなわずに売却した」と回答しています。

割合(%)
リフォーム・リノベーションをおこなってから売却した 21.2
リフォーム・リノベーションをおこなわずに売却した 76.7
分からない・覚えていない 2.1

マンションを売却した人に限定すると、9割近い人が「リフォーム・リノベーションをおこなわずに売却した」としています。

割合(%)
リフォーム・リノベーションをおこなってから売却した 11.6
リフォーム・リノベーションをおこなわずに売却した 87.0
分からない・覚えていない 1.3

ただし、リフォームしたほうが良いケースもあるので、必要かどうかをさまざまな視点で見極めることが重要です。

リフォームが効果的なケースもある

購入検討者が内覧に来た時の印象を良くするために、リフォームが効果的なケースもあります。以下のいずれかに当てはまる場合は、リフォームを検討しても良いといえるでしょう。

  • 過度に劣化している
  • 安価で好みに個人差が出ない部分のリフォーム

築年数が経っていたり、内装が過度に劣化している場合などは、リフォームを検討した方が良いケースもあります。当然のことですが、見た目の印象が悪いと購入検討者の心象も悪くなり、結果として買主が見つかりにくくなるからです。ただし、リフォームを検討する際は、不動産会社にも相談しながら判断した方が良いでしょう。

また、安価で好みに個人差が出ないフローリングや壁紙のリフォームも、内覧時の好印象につながりやすい傾向があります。例えば、子どもの落書きが壁紙にある場合や、タバコのヤニによる汚れが見られる場合などは、購入検討者にプラスの印象を与えるためにリフォームを検討すべきといえます。

ただし、壁紙やフローリングに個性的な色や柄、素材を使用したリフォームは、逆にマイナスポイントとなるので注意が必要です。また、金銭的な余裕があれば、生活感の出やすいトイレや電気のスイッチプレートなども、個々人で大きく好みが分かれるものではないため、交換することを検討しても良いでしょう。

マンション売却前にリフォームが基本的に不要な理由

マンション売却前のリフォームが原則不要な理由は、主に以下の3点です。

  • リフォームしたからといって物件の価値が上がるとは限らないから
  • リフォーム費用を売却価格に上乗せしづらいから
  • 売主と買主(購入希望者)の好みが異なるケースがあるから

リフォームが不要な理由を理解して、将来自分がマンションを売却する際にリフォームするべきか、判断材料にしましょう。

リフォームしたからといって物件の価値が上がるとは限らない

リフォームによって見栄えを良くしても、マンションの価値は立地条件と築年数による影響が大きいため、必ずしも物件の価値が上がるとは限りません。

立地は後になって変えられませんが、建物の骨組みとなる構造部分も一般的にリフォームできず、内装の良し悪しが価格に与える影響は小さくなると考えられます。

つまり、リフォームで内装をキレイにするだけでは、マンションの価値が上がりにくいという側面があるのです。

リフォーム費用を売却価格に上乗せしづらいから

マンション売却前にリフォームを行っても、必ずしも高値売却につながるとは限りません。なぜなら、リフォーム費用を売却価格に上乗せしづらいからです。

例えば、2,000万円で売却できるマンションを300万円かけてリフォームしたからといって、2,300万円で売却できるとは限りません。費用をかけて内装を改善するよりも、その分安く売り出したほうが売却しやすくなるケースもあります。

リフォーム費用を売却価格に上乗せできる場合もありますが、損するリスクを考慮すると不動産会社への相談なしで事前にリフォームをするのは避けたほうがいいでしょう。

売主と買主(購入希望者)の好みが異なるケースがあるから

売主が実施したリフォームが買主の好みに一致しない場合、そのマンションの優先順位は他の中古マンションに比べて下がってしまいます。

買主の多くは自分の好みにあわせたリフォームを希望するため、既にリフォームされた物件に対しては、その費用分を適正に評価しない傾向があります。

例えば、売主が最新のシステムキッチンを導入したとしても、買主がクラシックなデザインを好む場合、そのシステムキッチンは魅力的に映りません。さらに、特定の色や素材を選んだリフォームが、買主のインテリアの好みと合わないこともあります。

このような状況では、買主はリフォーム済みの部分を再度改装し直す必要が生じるため、リフォームにかけた費用が無駄になります。

買主のニーズを正確に把握するのは困難であり、リフォームを行う前にそのままの状態で売却するほうが、結果的には効率的で経済的な選択となるでしょう。

【あわせて読みたい】
▶︎ マンション売却期間は平均何ヶ月?長引きやすいケースや対策も解説

マンション売却前にリフォームが必要なケース

ここでは、マンション売却前にリフォームが必要なケースを紹介します。

  • 水回りなど設備の劣化が顕著に出ているケース
  • 築年数が著しく経過しているケース
  • 内見時に不利となる箇所があるケース

水まわりなど設備の劣化が顕著に出ているケース

キッチンや洗面台、トイレ、浴室などの水回り設備は、劣化が進みやすいうえに購入希望者の目を引く部分です。先述した「住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査 結果報告書」においても、水回りのリフォームは高い関心を持たれており、実際にリフォームを実施した割合も高くなっています。

フルリフォームとまではいかなくても、一部を取り替えるだけで清潔感が増すでしょう。

【設備別リフォームのタイミングと耐用年数】

設備 耐用年数 タイミング
キッチン 15~20年 水漏れのトラブルが臭いが気になる。
浴室 15~20年 カビやサビが目立つ。臭いが気になる。タイルばりの場合にヒビが入っている。
トイレ 15~20年 便器のひび割れや黄ばみがある。臭いが気になる。水の流れや溜まり方に問題がある。

※参考:水回りリフォーム、いつ頃考えるべき?その費用は?

劣化が顕著に出ているケースでは、リフォームを検討しましょう。その際には、不動産会社と相談し、リフォームが必要か、あるいはハウスクリーニングで済むのかを確認すると良いでしょう。

築年数が著しく経過しているケース

築年数が著しく経過しているマンションは、売却前にリフォームが必要になる場合があります。先述した報告書においても、リフォームを検討したきっかけに「設備・機器や構造部分の老朽化」が上位に挙っていました。

仮に築40年以上経過しているマンションでも、駅から徒歩5分圏内の好立地にあれば買主は見つかりやすくなります。また、築古マンションは建物の価値が著しく低下しているため、リフォームを実施した際にその費用を売却価格に上乗せできることがほとんどです。

ただし、無理にリフォームする必要はないため、悩んだときは不動産会社に相談しましょう。

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▶︎ 築40~50年のマンションは売却できる? 押さえておくべき注意点と高く売るコツ

内見時に不利となる箇所があるケース

内見時に買主にマイナスの印象を与える箇所がある場合、マンション売却前にリフォームを行うことは一つの選択肢です。先述した報告書においても、水回りや生活に関するリフォーム割合が大きいため、これらに不具合がある場合は内覧時に不利だといえます。

例えば、インターフォンが故障していたり、ペットが原因で壁やフローリングに傷がついていたりする場合、購入検討者はその物件に不安を感じてしまいます。

また、臭いに敏感な購入検討者であれば、ペットやタバコの臭いも敬遠されがちです。これらの問題が放置されているとマンションの価値が低く見積もられ、結果的に売却価格が下がる可能性が高まります。

内見にきた購入検討者にマイナスな印象を与えると予想される部分については、リフォームを依頼したり専門業者に消臭してもらったりするなどの対策がおすすめです。

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▶︎ペットの飼育はマンションの査定額に影響する? リフォームの必要性と不動産会社を選ぶコツ

マンション売却の際にかかるリフォーム費用相場

ここでは、マンション売却前のリフォーム費用相場を紹介します。

なお、リフォームとは、古くなった設備を新しいものに交換することです。機能向上のために大規模な工事を行うリノベーションとは異なります。マンションをリフォームする際は、内見時に買主が気にしやすい水回り設備から優先するのが良いでしょう。

先述した、一般社団法人住宅リフォーム推進協議会の『住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査 結果報告書』によると、リフォーム時の予算とかかった費用は以下のとおりです。

【リフォーム時の予算】

実施者全体 265.2万円
検討者全体 258.8万円

【かかった費用】

実施者全体 390.4万円
20~40代 545.2万円
50代以上 286.4万円

実施者全体のリフォーム予算は約265万円ですが、実際にリフォームにかかった費用は約390万円で予算を上回っていることが分かりました。50代以上の約286万円に対して20〜40代は約545万円となっており、若年層のほうが費用をかける傾向にあるようです。

次に、マンション売却前にリフォームの余地がある箇所として、以下の5つの部分的な費用相場を紹介します。

  • トイレのリフォーム費用相場
  • 浴室のリフォーム費用相場
  • 壁・床のリフォーム費用相場
  • キッチンのリフォーム費用相場
  • 外壁のリフォーム費用相場

なお、それぞれの費用は選ぶ設備や素材、工事内容などによって相場と異なる場合があります。あくまで目安として押さえておきましょう。

トイレのリフォーム費用相場

トイレのリフォーム費用相場は、おおよそ20〜50万円です。

シンプルなトイレ本体の交換や内装のリフォームであれば10〜30万円と比較的安価に済みます。一方で、和式から洋式への変更や手洗い用の水栓金具を交換する場合は、20〜50万円と費用が増加します。

さらに、バリアフリー仕様に変更する場合や収納スペースを追加する場合など、トイレ室内を広くするような工事では50万円以上かかることも少なくありません。

浴室のリフォーム費用相場

浴室のリフォーム費用相場は、おおよそ80〜150万円です。

ユニットバスの交換のみであれば、低グレードで50〜80万円ほどかかります。一方で、タイル張りの在来工法からユニットバスへのリフォームでは、解体費用や基礎工事が必要になるので80〜150万円が相場です。

なお、メーカーによってグレードが異なる商品を用意しているため、選ぶランクによって費用はもちろん、仕様や見た目も異なります。グレードの高いものほど掃除がしやすい機能や、リラックスに特化した機能などがついている点が特徴です。

壁・床のリフォーム費用相場

壁紙(クロス)のリフォーム費用相場は使用する素材によって異なりますが、おおよそ1,000円/1㎡です。

量産品とハイグレード品があり、量産品はデザインの選択肢が限られるものの、ハイグレード品に比べると安くなっています。ハイグレード品は量産品よりも150〜400円程度高くなるのが一般的です。

一方、床(フローリング)のリフォーム費用相場は、10万円/6畳となっています。ただし、床リフォームの工法には張り替えと上張り(重ね張り)があり、張り替えの場合は既存の床を解体する必要があるため、前述した金額よりも高額になります。

さらに、使用する床材が「無垢フローリング」か「複合フローリングか」によっても、費用相場は異なるため、リフォームを行う際は事前にチェックしておきましょう。

キッチンのリフォーム費用相場

キッチンのリフォーム費用相場は、おおよそ50〜150万円です。

例えば、スタンダードなシステムキッチンの交換であれば30〜100万円で済むことが多いですが、高グレードなシステムキッチンやカウンターキッチンに変更する場合は100万円以上かかることがあります。

また、収納スペースを増やすためにキャビネットを追加したり、キッチン全体のデザインを一新したりする場合は、150万円程度の費用がかかることも少なくありません。特に、ガスコンロをIHクッキングヒーターに変更する場合は電気工事が必要となり、その費用も考慮する必要があります。

外壁のリフォーム費用相場

外壁のリフォーム費用相場は、おおよそ50〜200万円です。

主なリフォーム方法としては、既存の外壁の上から新しい外壁材を重ねて張る「重ね張り」や、既存の外壁と下地を取り払い新たに外壁材を張り替える「張り替え」、既存の外壁に塗料を塗る「塗り替え」の3種類あります。

重ね張りは外壁が新しい材料で覆われるため、新築のような見栄えになるのが特徴です。ただし、既存の外壁の劣化が著しい場合はおすすめしません。費用相場は150〜300万円です。

張り替えは既存の外壁の劣化が進んでいる場合に必要な方法であり、新しく張り替える外壁のグレードによって費用が異なりますが、500万円かかることもあります。

塗り替えは、経年劣化によって表面が汚れたり亀裂が入ったりした外壁を補修する方法です。重ね張りや張り替えに比べると安く、60〜100万円が相場です。

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リフォームなしでもマンションを高く売却するコツ

ここでは、リフォームなしでもマンションを高く売却するコツを紹介します。

  • 自分でできる箇所は補修・清掃する
  • リフォームより安価なサービスを利用する
  • 買取再販業者に買取ってもらう

自分でできる箇所は補修・清掃する

リフォームを検討する前に、まずは自分で直せる箇所や補修、清掃を実施しましょう。

そうすることで、内見時に好印象を与えられるだけではなく、買主が購入後にリフォームする場合でも、売主が丁寧に暮らしていたことを知って安心してもらえるでしょう。

また、内見に来る購入検討者は、間取りや広さなど基本的な情報を把握した状態でさらに室内の雰囲気や明るさ、清潔感などをチェックしに訪れます。すでに、購入意欲が高い状態のため、内見がイメージダウンにつながらないように注意しましょう。

具体的には、フローリングや壁の小さな傷の補修や、水まわりの油汚れや水アカの清掃などはなるべく自分でしておくと良いでしょう。

リフォームより安価なサービスを利用する

リフォーム以外でも、ハウスクリーニングや住宅リペア、ホームステージングによって物件をキレイに見せる方法があります。

ハウスクリーニング

ハウスクリーニングでは、日々の清掃では取り切れない汚れや手の届かない範囲を清掃してくれます。プロが実施するため、自分で清掃するよりも綺麗な仕上がりが期待できる点がメリットです。

買主にも好印象を与えやすく、購入の決め手となればスムーズな契約が可能になります。

ただし、地域差や対象設備の大きさにもよりますが、数万円の費用がかかります。ここでは、内見時の印象に直結しやすい水まわり設備の費用相場の目安を、以下の表にまとめました。

【ハウスクリーニング費用の相場】

実施設備 費用相場
キッチン 1~4万円(換気扇含む)
洗面台 8,000~1万円
浴室 1~2万円
トイレ 8,000~1万円

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▶︎ 不動産売却前にハウスクリーニングは必須?メリットや費用相場も解説

住宅リペア

リフォームほどの費用をかけずに傷や劣化箇所を補修したい場合は、住宅リペアがおすすめです。住宅リペアとは、住宅のフローリングや柱や梁といった木製品のキズ、カケ、凹みなどを、張り替え・取り替えせずにキレイに補修するサービスのことです。

劣化した箇所を交換するリフォームに対して、住宅リペアではドアや壁、床の小さな傷を分からなくなる程度に補修できます。買主への印象も良くなるので、検討してもいいでしょう。

住宅リペアの費用は事業者によって基準が異なるため、費用に差があります。料金に影響する基準は以下の通りです。

作業にかかる時間
傷の大きさや個数

フローリングの傷を補修する場合の費用相場は、全長2cm以下の傷で1箇所あたり約4,000〜6,000円といわれています。補修箇所が少ないのであれば個数計算の業者に、広範囲に傷があれば作業時間で計算する業者に依頼すると良いでしょう。

ホームステージング

ホームステージングは、販売活動中のマンションをモデルルームのように演出するサービスです。家具や照明、小物や観葉植物などを設置することで、買主の購入意欲を促すだけでなく新生活をイメージしやすくなります。

また、販売資料やインターネット上に掲載する室内写真の印象が良くなるため、内見者が増える可能性も高いといえます。費用相場は、どれくらいアレンジするかによって異なりますが、数万円から数十万円程度です。

なお、これらのサービスは基本的に費用が発生しますが、仲介してくれる不動産会社のなかには、ハウスクリーニングや建物・設備保証など、不動産会社独自のサービスを提供している場合もあります。

したがって、自分が仲介を依頼する不動産会社が該当するサービスを実施しているかも、事前に確認しておきましょう。

買取再販業者に買取ってもらう

買取再販業者とは、個人売主からマンションや一戸建てなどの不動産を買取り、リフォームやリノベーションを施して再販する業者のことです。

一般消費者向けではなく、買取再販業者に対して売る場合は、傷や汚れを現状のまま引渡すことができます。

ただし、売却価格が相場より低いケースがほとんどであるため、「多少安くなってでも売却したい」という人向けの方法といえます。

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マンション売却のリフォームに関するよくある質問

ここからは、マンション売却のリフォームに関するよくある質問と、回答を見ていきましょう。

  • マンション売却のリフォーム費用は確定申告が必要?
  • マンションは汚いと売却できない?
  • リフォーム済みのマンション売却にメリットはある?

上記3点について詳しく解説します。

マンション売却のリフォーム費用は確定申告が必要?

リフォームしたマンションが、購入時よりも高く売れた場合は、譲渡所得税の納付義務があります。そのため、売却した翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告が必要です。なお、利益が出なかった場合(赤字など)は確定申告する義務はありません。

譲渡所得税の計算方法は、以下の通りです。

譲渡所得=売却価格-譲渡費用-取得費用
譲渡所得税=「1」で求めた譲渡所得×税率

リフォームにかかった費用は譲渡費用か取得費用に充てられるため、納める税金を低減する効果があります。譲渡費用か取得費用のどちらに含まれるかは、リフォームの目的によって異なり、物件取得後に発生した設備費や改良費に当たる場合は取得費用となります。

こうした税金の計算についても不動産会社に相談すれば、サポートしてもらえることが多くなっています。

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マンションは汚いと売却できない?

程度にもよりますが、売却期間が長引くおそれがあるものの、売却自体は可能です。

ただし、一般の不動産会社に仲介を依頼して買主を探す場合は、徹底的に掃除した方が良いでしょう。設備が古い場合は交換すれば良いので問題ありませんが、臭いや汚れがひどいと内見者の心証が悪くなる可能性があります。あまりにも汚れが手に負えない場合は、プロの清掃業者にクリーニングを依頼するのも選択肢の一つとなるでしょう。

一方で、「相場より安くてもいいから、買取再販業者に買取ってほしい」という場合は、契約までスムーズに進む可能性が高いでしょう。なるべく高く売りたい場合は、汚いままだと難しいので、前述したような対策を施すなどして不動産会社と相談しながら計画を立ててください。

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リフォームしてマンションを売却するメリットはある?

リフォーム済みのマンションを売却する場合、主に以下のメリットが考えられます。

  • 内見時に買主に対して好印象を与えられるため、高値売却や値引き交渉されない可能性が高い
  • 購入後に買主がリフォームする必要がないので、引渡し後すぐに暮らせる点がアピールポイントになる

ただし、前述の通り買主が自分好みにリフォームしたいと考えているケースもあるので、むやみに至るところをリフォームするのはなるべく避けましょう。

マンション売却前のリフォームは不動産会社に事前相談しよう

これまで解説してきたようにマンション売却前のリフォームは、原則不要なものの効果的なケースもあるため売主だけで判断するのは難しいといえます。そういった場合は、専門的な知識や豊富な実績をもつ不動産会社への相談が欠かせません。

ここからは、具体的な相談内容や不動産会社の選び方を紹介します。

  • リフォームで売却価格が上がるか、競合の状況、期待できる集客効果などを相談しよう
  • マンション売却は不動産会社選びが重要

リフォームで売却価格が上がるか、競合の状況、期待できる集客効果などを相談しよう

リフォームなしの状態で売れるか不安な場合は、不動産会社にリフォームで売却価格が上がるか、競合の状況、期待できる集客効果などを相談しましょう。

例えば、駅から徒歩5分圏内築40年以上のマンションでリフォームを施したとします。建物の価値はゼロのため、内装をリフォームした分の価値が売却価格に反映されやすくなります。仮にリフォームにかかった500万円を売却価格に上乗せしても、駅近であれば買主が見つかる可能性は高いといえるでしょう。

あるいは、競合物件に新築マンションが多ければ、中古マンションは見劣りするため、リフォームを検討しても良いでしょう。新築マンションの売却価格が高ければ、リフォーム費用を上乗せした売却価格でも、相対的に安く見えるからです。

一方で、リフォームしても、集客効果が見込めない場合は無駄になってしまいます。したがって、リフォームした場合に期待できる集客効果の有無を不動産会社に確認しておきましょう。

マンション売却は不動産会社選びが重要

上記のような内容を相談することを考慮した場合、マンション売却を成功させるうえで、不動産会社選びは特に重要です。不動産会社には、それぞれ強みや特徴があるため、マンション売買の実績が豊富な不動産会社に依頼するようにします。

相場を把握したり、販売力・提案力を比較検討するためにも、複数の不動産会社に査定依頼することをおすすめします。また、不動産会社によっては、ハウスクリーニングなどのサービスが含まれるケースもあるため、事前に比較検討するのも良いでしょう。

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記事執筆・監修

新川 優香(あらかわ ゆうか)

大学卒業後、不動産仲介業務に従事し売買を経験。現在は不動産賃貸の事務職に従事。不動産売買仲介から賃貸仲介、物件管理に関わる執筆経験もあり。宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、FP2級の資格を保有。