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旧耐震物件を売却するための4つのポイントと知っておきたい対処法

旧耐震物件を売却するための4つのポイントと知っておきたい対処法

船渡亮
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船渡亮
一級建築士。家づくりコンサルタント・株式会社かえるけんちく代表取締役

旧耐震物件をスムーズに売却できるかどうか、不安に感じている方は多いのではないでしょうか。旧耐震物件は築年数が古く、耐震性の面でも懸念があるため、買主が見つかりにくいことがあります。

とはいえ、耐震診断の依頼をしたり、物件の情報をわかりやすく伝えたりすることで、旧耐震物件でも売却を有利に進めることは十分に可能です。

この記事では、旧耐震物件が売却しにくい理由から売却を成功させるための具体的な方法・売却する際に知っておきたい対処法までをわかりやすく解説します。旧耐震物件の売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

この記事で分かること

  • 旧耐震基準とは
  • 旧耐震基準の物件が売却しにくい理由4つ
  • 旧耐震物件を売却するときのポイント4つ
  • 旧耐震物件を売却する際に知っておきたい対処法

もくじ

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旧耐震基準とは

旧耐震基準とは、1981年5月31日までに建築確認申請が提出された建物に適用されていた耐震基準のことです。現行の新耐震基準とは求められる強度が大きく異なり、旧基準では震度5強程度の揺れで倒壊しない強度を想定していたため、それ以上の震度の大地震への備えとしては十分ではありません。

旧耐震と新耐震の主な違いは、以下の表のとおりです。

耐震基準 適用時期 倒壊しないレベル
旧耐震基準 1950年の建築基準法制定
~1981年5月31日
震度5強程度
新耐震基準 1981年6月1日以降 震度6強~7程度

旧耐震基準は、1978年の宮城県沖地震による被害を踏まえて法改正が行われる以前のルールで、壁量計算(木造の建築物における耐震性の確保を目的に、地震や風圧に耐えるために必要な耐力壁の量を簡易的に計算する方法)や揺れの想定が現在より簡易だった点が特徴です。そのため、マンション・一戸建てを問わず、建てられた時期によって耐震性の差が見られます。

自分の物件が旧耐震かどうかを確認する最も確実な方法は、「建築確認済証(建築確認通知書)」に記載された申請年月日を調べることです。1981年5月31日以前であれば旧耐震、6月1日以降であれば新耐震となります。

書類が手元にない場合は、市区町村の建築指導課で「建築確認台帳記載事項証明書」を取得できる場合があります。また、登記事項証明書にある新築年月日からおおむね判断することも可能です。

旧耐震と新耐震の主な違い
旧耐震と新耐震の主な違い

旧耐震基準の築古マンションのストック状況

国土交通省の調査では、2024年末時点のマンション総ストック約713.1万戸のうち、約103万戸が旧耐震基準で建てられた物件とされています。つまり、全国のマンションの約7戸に1戸が旧耐震という割合です。

実際に、全国の中古マンション市場には、旧耐震基準で建てられた物件が今も少なくありません。特に1970年代にマンションが多く建てられた地域では、旧耐震の物件が売買市場に一定数出ています。

このように、旧耐震マンションは現在も全国的に一定数が流通しているのが現状です。

2024年末時点でマンションストック総数は約713.1万戸。分譲マンションストック数の推移
2024年末時点でマンションストック総数は約713.1万戸。分譲マンションストック数の推移

出典:国土交通省|マンションの政策の最近の動向について|分譲マンションストック数の推移

旧耐震物件が売却しにくい4つの理由

旧耐震物件は、購入検討者が住宅ローンなどで不安に感じる点が多く売却がしにくい傾向にあります
旧耐震物件は、購入検討者が住宅ローンなどで不安に感じる点が多く売却がしにくい傾向にあります

旧耐震物件が売却しにくいのは、購入希望者が不安を感じやすい要素が複数重なるためです。ここでは、旧耐震物件を売却しにくい主な4つの理由を具体的に解説します。

1. 住宅ローン審査が通りにくい

旧耐震物件が売却しにくい最大の理由は、購入希望者の住宅ローン審査が通りにくいことです。金融機関は担保となる建物の安全性や資産価値を重視しますが、旧耐震は評価が低くなりやすく、融資が伸びにくい傾向があります。

特に懸念されるのは次のポイントです。

  • 耐震性への不安
  • 資産価値の低さ
  • 再販時の売りにくさ

耐震性能が確認できない物件は、地震での倒壊リスクが高いと見なされ、融資額が抑えられるケースもあります。さらに、フラット35は原則として新耐震基準が必須であり、旧耐震は「耐震評価基準等に適合している場合のみ」利用可能のため、実質的に住宅ローンの利用が難しい物件も少なくありません。

2. 安全性への不安がある

旧耐震の物件は築40年以上のものが多く、建物の老朽化が進んでいる点も売却のしにくさにつながります。耐震性だけでなく、柱・梁(はり)の劣化や給排水管の腐食など、見えない部分の傷みを心配する購入希望者が多いのが現状です。

実際に、1970年代に建てられたマンションでは鉄筋の錆びやコンクリートの中性化が進んでいる例も少なくありません。また、建物の傾きや雨漏りの履歴があれば、購入をためらう人はさらに増えます。

こうした老朽化に対する不安が旧耐震という条件と重なることで、「この建物は大丈夫だろうか」という心配が強くなり、結果として売却が進みにくくなります。

3. 税制優遇が受けにくい

旧耐震物件は税制面で優遇を受けにくい点も、売却が難しくなる要因です。特に次の制度は利用できない、または要件を満たしにくい傾向があります。

・住宅ローン控除 年末のローン残高に応じて所得税などが控除される制度

・住宅取得等資金の贈与税非課税措置 住宅取得に対する親や祖父母からの援助について一定額まで非課税となる制度

・登録免許税・不動産取得税の軽減措置 中古住宅取得時に条件を満たすと税率が下がる制度

特に住宅ローン控除は、新耐震基準に適合していないと原則として利用できません。そのため、購入希望者は節税メリットを受けられず、購入後の負担が大きくなる点を懸念します。

また、住宅取得資金の贈与税非課税枠や各種税の軽減措置も、多くが「新耐震基準の住宅」を前提としているため、旧耐震物件では要件を満たしにくいケースが少なくありません。

4. 修繕費や建て替えコストの懸念がある

旧耐震物件は、将来の修繕費や建て替え費用の負担が大きくなりやすい点からも、購入をためらわれるケースが多くあります。特に築40年以上の建物では、次のような部分の修繕が必要となる可能性が高いです。

  • 屋根
  • 外壁
  • 給排水管
  • 水回り設備

また、マンションでは、積立金だけでは大規模修繕の費用を賄えず、一時金の徴収が求められる例もあります。

さらに、一般的に建て替えの議論は進みにくいため計画が不透明になり、購入希望者は将来の負担やリスクを判断しにくいこともマイナスポイントです。

こうした維持管理や建て替えに関する不安が重なることで、旧耐震物件は「将来のコストが見えにくい物件」と受け取られ、慎重に検討される傾向があります。

旧耐震でも売却を成功させる方法4選

旧耐震物件でも売却しやすくなる方法を押さえることで購入希望者の安心につながるでしょう

旧耐震物件に売却しにくい事情があるのは事実ですが、ポイントを押さえれば十分に売却可能です。ここでは、購入希望者の不安を減らし、条件のよい売却につなげるために有効な4つの方法を具体的に解説します。

1. 耐震診断や耐震基準適合証明書を取得する

旧耐震物件でも、耐震性を数値で示すことで安全性に対する根拠を提示でき、購入希望者の不安を軽減できます。

耐震基準を満たした場合には「耐震基準適合証明書」を取得でき、住宅ローンの利用や一部の税制優遇が受けられる可能性が生まれ、物件の評価向上にもつながります。

木造一戸建てを例とすると、耐震診断の費用は一般的に20万~50万円ですが、多くの自治体で補助金が用意されているため、実質の負担は抑えられるケースが多い傾向です。ただし、旧耐震基準の場合は診断だけでは合格に至らない例が多く、100万~200万円ほどの耐震補強工事が必要になることもあります。

診断で基準に達しなかった場合でも、必要な補強や費用を事前に把握できるため、購入希望者への説明や価格交渉の材料として活用できます。

2. リフォーム・現況売却のどちらが有利かを判断する

売却前にリフォームをするべきか、現況のまま売るべきかは、慎重に検討する必要があります。

リフォーム費用をかけても売却価格をその分だけ上乗せできるとは限らず、投じた費用を回収できないケースも少なくありません。特に耐震補強や水回り設備の総取り替えなどでは数百万円規模になることもあり、費用対効果が読みづらいことが難点です。

一方で、現況のまま売却すれば工事の手間や時間を省けるため、比較的早く売却できる可能性があります。ただし、売却価格が下がりやすい傾向があるため、エリアの需要・築年数・管理状況などを踏まえた判断が欠かせません。

人気エリアでは、購入希望者が自分でリフォームをしたいと考えることも多いため、手を加えていない物件が素材(ベース)として魅力的と判断され、リフォーム済みよりも評価される場合があります。売却全体の計画を見据え、費用対効果の高い方法を選ぶことが重要です。

3. 情報開示を徹底し、購入希望者の不安を和らげる

旧耐震物件では、購入希望者は「どの程度安心して住めるのか」を最も気にします。そのため、建物の状態・管理状況・修繕履歴などを整理し、客観的な根拠を示すことが重要です。

たとえば、次のような資料を提示できれば、物件の将来性をイメージしやすくなり、不安を大きく減らせます。

  • 耐震診断の結果
  • 過去の修繕記録
  • 管理組合の長期修繕計画書

また、雨漏りの履歴や補修済みの箇所など、不都合な情報も隠さず共有することが重要です。正直に説明することでトラブル防止につながり、購入希望者との信頼関係も築きやすくなります。

物件の情報がしっかりそろっていると安心感を与えやすく、結果として旧耐震でも前向きに検討してもらえる可能性が高まります。

4. 仲介と買取を比較して最適な売却方法を選ぶ

旧耐震物件は「仲介」と「買取」のどちらを選ぶかで売却結果が大きく変わります。仲介は不動産会社が一般の購入希望者との間をつなぐ方法で、買取は不動産会社が直接物件を買い取る方法です。それぞれ以下のような特徴があります。

仲介 ・市場の競争が働くため、高値売却を狙いやすい
・購入希望者探しに時間がかかる場合がある
・契約不適合責任を負う可能性があり、建物状態によっては負担が大きくなる
買取 ・購入希望者探しが不要なため、短期間で現金化できる
・契約不適合責任を負わず、売主の負担が少ない
・設備の故障や劣化が多い物件でも売却が進めやすい

物件の状態や売却希望時期、どこまでリスクを負えるかによって、最適な売却方法は異なります。そのため、まずは複数の不動産会社に査定を依頼し、価格・売却期間・提案内容を比較することが大切です。

比較することで、自分の状況に合った売却方法を選びやすくなります。

旧耐震物件を売却する際に知っておきたい対処法

旧耐震物件の売却には、書類不足や建物の不具合など、後日トラブルにつながる要素が多くあります。事前に押さえるべきポイントを理解しておくことで、安全に取引を進められます。

ここでは、旧耐震物件を売却する際に知っておきたい対処法について解説します。

契約不適合責任を最小限に抑える

旧耐震物件を売却する際は、契約不適合責任によるトラブルを防ぐための準備が欠かせません。

築年数が古い物件ほど、雨漏り・シロアリ被害・設備の故障などが起こりやすく、これらの不具合が引き渡し後に発覚すると補修費を請求される可能性があります。そのため、把握している不具合は隠さず正直に説明し、契約書に明記しておくことが重要です。 過去の修繕履歴や故障箇所を整理して提示すれば、購入希望者も状況を判断しやすくなります。

さらに、インスペクション(既存住宅状況調査)を実施し、第三者による診断書を用意しておくと、物件の状態を客観的に示せるため、購入希望者の安心感が高まります。

事前に物件の状態を整理して正確に説明しておくことで、売却後のトラブルを防ぎやすくなります。結果として契約不適合責任のリスクが小さくなり、売主の負担も軽くなるため、安心して売却手続きを進められます。

契約不適合責任によるトラブルを防ぐために過去の修繕履歴や故障箇所を明示したり、インスペクション(既存住宅状況調査)したりするなどの方法が考えられるでしょう

建築確認や検査済証がない場合は代替資料で確認する

旧耐震物件では、建築確認済証や検査済証が残っていないケースが多くあります。書類が不足していると「どのように建てられた物件なのか」がわかりにくく、購入希望者は不安を感じやすいでしょう。

そこで、以下のような代替資料で情報を補います。

  • 役所で取得できる「台帳記載事項証明」
  • 当時の設計図
  • 工事記録
  • 施工会社が保管する資料

マンションであれば、管理組合が持つ竣工図・大規模修繕の履歴・長期修繕計画も信頼材料になります。複数の資料を組み合わせて建物の情報を整理することで、売主は書類不足による価格の下落や契約後のトラブルを防ぎ、購入希望者も安心して検討できるようになります。

旧耐震物件を売却するときによくある

旧耐震物件の売却については、住宅ローンの可否や管理状況の影響、仲介と買取の選び方など、判断に迷うポイントが多くあります。ここでは特に相談が多い質問を取り上げ、売却前に知っておきたい内容をまとめます。

旧耐震物件でも住宅ローンは利用できる?

旧耐震物件でも、条件を満たせば住宅ローンを利用できる場合があります。ただし、金融機関は物件の耐震性を重視するため、新耐震の物件に比べて審査が厳しくなる傾向があります。

審査に通りやすくするには、建物の耐震性を客観的に示すことが重要です。代表的なのが、専門家による耐震診断で基準を満たした場合に発行される「耐震基準適合証明書」です。この証明書があれば、多くの金融機関でローン審査が進みやすくなり、住宅ローン控除の対象になるケースもあります。

一方、フラット35は原則として新耐震基準への適合が必須で、旧耐震物件には利用できません。購入希望者のローン選択が限定される点を理解し、売却計画を立てることが大切です。

マンションの管理状況は売却にどう影響する?

旧耐震マンションでは、管理状況が価格や成約スピードに大きく影響します。

築年数が古いほど、建物そのものより「日頃の管理がどれだけ行き届いているか」が購入希望者の判断材料になりやすいためです。

たとえば、修繕積立金が不足しているマンションは、将来の大規模修繕に不安が残り、購入をためらわれる可能性があります。一方、長期修繕計画が明確で、共用部の修繕履歴が公開されているマンションは、建物の維持が適切に行われていることが伝わり、購入希望者からの信頼を得やすくなります。

買取と仲介ではどちらが適している?

旧耐震物件の売却方法は、売主の事情や優先順位によって最適な選択が異なります。

早く現金化したい場合は「買取」が向いています。不動産会社が直接購入するため修繕せずに短期間で売却できるうえ、引き渡し後のトラブルに対する責任も少ない点が大きなメリットです。

一方、時間に余裕があり、できるだけ高く売りたい場合は「仲介」が適しています。リフォーム履歴や管理状態を丁寧に伝えることで、旧耐震でも価格が下がりにくいケースがあります。

どちらが合うか判断するには、複数の不動産会社の査定で価格と売却方針を比較することが欠かせません。査定額に差が出ることも珍しくないため、まずは相場の幅を把握したうえで、最も納得できる売却方法を選ぶことが大切です。

まずは無料査定から

旧耐震物件を適切な条件で売却するには、専門家による査定で建物の状態や市場での評価を把握することが重要です。耐震性・管理状況・書類の有無などによって価格は大きく変わりますが、自己判断だけでは正確な価値をつかみにくいためです。

また、仲介と買取のどちらが適するかも売主の状況や物件によって異なり、複数の不動産会社の査定を比較することで最適な売却方法が見えてきます。

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初回公開日:2025年12月25日

記事監修

船渡亮(ふなと あきら)” class=船渡亮(ふなと あきら)

家づくりコンサルタント・株式会社かえるけんちく代表取締役
一級建築士
一級建築士として注文住宅の「間取り診断・家づくりコンサルティング」を専門に行い、累計3000件超の実績を持つ。 セカンドオピニオンの立場から施主を支援し、テレビや雑誌などで解説も担当。 『カズレーザーと学ぶ』などの番組出演やYouTube配信に加え、著書『この間取り、ここが問題です!』(講談社+α新書)を刊行。

記事執筆

岩井 佑樹(いわい ゆうき)” class=岩井 佑樹(いわい ゆうき)

合同会社ゆう不動産 代表
宅地建物取引士 熊本市空き家相談員
『売る力×伝える力』で、不動産の価値を最大化する不動産会社、ゆう不動産の岩井です。 不動産売買の専門家として現場に立ちつつ、不動産に特化したWebライターとして1,000本以上の記事を制作してきました。 売却査定から仲介・買取まで幅広く対応し、物件の魅力を正しく伝えることで「早く・高く・安心」の取引を実現しています。 派手な宣伝より、目の前の一人に誠実に向き合うことを大切に。地域に寄り添いながら、不動産とWebを組み合わせた独自の発信力で、オーナー様にとって最良の選択肢を示すことが私の使命です。 「売買専門×情報発信」の融合ビジネスで、不動産の価値を丁寧に引き出します。