
不動産売却をする過程では、様々な悩みを抱えることがあるでしょう。LIFULLが実施した不動産売却経験者に対してのアンケートの中でも約7割の人が何らかの困りごと(悩み)に直面したと回答しています。
不動産の売却は、人生で何度も経験することではありません。また、お金に関する話であるため、身近な人には相談しにくい部分もあるでしょう。
この記事では、売却経験者が実際に抱えていた悩みの詳細とその解決法について解説していきます。
この記事で分かること
- 売却経験者に聞いた「売却で困ったこと」(悩み)ランキング
- 売却経験者が直面した悩みを解決する方法
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もくじ
売却経験者に聞いた「売却で困ったこと」(悩み)ランキング

LIFULL HOME'Sが売却経験者にアンケート調査を実施したところ、売却で困ったことランキングは以下のような結果になりました。
| 順位 | 概要 | 割合 |
| 1位 | 何から始めればよいか分からなかった | 19.1% |
| 2位 | 売却金額の相場感が分からなかった | 19.0% |
| 3位 | 買い手がなかなか見つからなかった | 17.9% |
| 4位 | 何をすればよいか分からなかった | 16.2% |
| 5位 | 法律に関する知識が足りなかった | 15.0% |
| 6位 | 分からないことをどこに相談すればよいか分からなかった | 10.0% |
| 7位 | 不動産会社とのやり取りが面倒だった | 8.1% |
| 8位 | お金に関する知識が足りなかった | 7.9% |
| 9位 | 信頼できる不動産会社が分からなかった | 7.7% |
| 10位 | 売却損が出た | 6.7% |
※参照:不動産売却における「困りごと」ランキング!解決のためのポイントも解説
以下でランキングにあがった項目の詳細と解決法を紹介していきます。
不動産売却の悩み1.何から始めれば良いか分からなかった

未経験のことに取り組む際に、「何から始めれば良いかわからない」と感じる方も多いでしょう。特に不動産の分野においては、購入経験はあっても売却経験があるという人は、それほど多くないと考えられるため、周囲からアドバイスを受ける機会も限定されます。
実際に上記のランキングでも「何から始めればよいか分からなかった」が1位、「何をすればよいか分からなかった」が4位になっています。そこでまず、不動産売却の大まかな流れを解説していきます。
不動産売却の流れは、主に以下のとおりです。
- 相場を調べる
- 査定依頼
- 媒介契約
- 売却活動
- 売買契約
- 決済・引渡し
- 確定申告
なお、売却前の下準備として権利証の有無の確認をしておくと良いでしょう。なくても売却することはできますが、費用と時間がかかるため、事前に有無を確認しておくことで、その後の計画や費用を把握しやすくなります。
また、仮に売却を検討している物件の名義が自分以外の場合は、名義変更に時間がかかる場合もあるので注意が必要です。
相場を調べる
不動産売却を始めるには、まず価格を設定しなければなりません。売出し価格が相場より大幅に高ければ、なかなか売れず売却活動が長期化してしまうリスクがあります。逆に大幅に安く設定してしまえば、本来手に入るはずだったお金が手元に残らなくなってしまう可能性が出てきます。
実際の売出し価格は、複数の不動産会社に査定を依頼し、比較検討した上で設定していくことになります。しかし、不動産会社から提示された査定価格を比較する上での目安として、売却物件がある地域の相場価格を知っておく必要があります。
なぜなら、相場を把握していなければ不動産会社が提示する査定価格が、高いか安いかの判断ができないからです。判断軸を持つためにも、自分でリサーチをしておくべきでしょう。
相場のリサーチを行う際には、様々な物件情報が掲載されている不動産ポータルサイトを利用すると良いでしょう。ポータルサイトを利用すれば、自身が売却を考えている物件に近しい条件の物件価格を知ることができます。また、LIFULLでは、LIFULL HOME'Sが蓄積してきた膨大な物件情報と独自開発の不動産参考価格算出システムを使って導きだした参考価格を地図上で表示する「プライスマップ」といったサービスも用意しています。
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査定依頼
続いて、実際に不動産会社に査定を依頼します。査定のポイントは複数社に依頼することです。
1社だけの査定では、その価格が適正価格かどうかの判断ができません。複数社に依頼し、比較検討することで、大まかな適正価格が見えてくるでしょう。また、不動産会社によっては、建物状況調査(ホームインスペクション)や水回りのクリーニングといったサービスを付けてくれる会社もあります。
そのため3〜5社に依頼して、各社の査定価格とサービス内容を比較しましょう。その際には営業担当者との相性も重要なポイントとなります。
また、「査定価格が高い=高く売ってくれる」とは限らないということを認識しておきましょう。なかには媒介契約を締結してもらうことを重視するあまり、相場よりも高めの金額を提示する会社もあります。他社よりも大幅に高い金額を提示してきた会社がある場合には、金額の根拠の説明をしっかりと受けた上で判断した方が良いでしょう。
LIFULL HOME'Sでは、全国にある3,500社以上の提携不動産会社から査定を依頼する会社を選べます。不動産の売却を検討している方は、ぜひご活用ください。
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媒介契約
媒介契約とは不動産会社に売却を依頼する契約です。媒介契約を締結次第、売却活動が開始されます。媒介契約には3つの種類があるので、それぞれの特徴を押さえておきましょう。
| 複数社への依頼 | 自己発見取引 | 販売状況の報告義務 | 指定流通機構への登録義務 | |
| 一般媒介契約 | 可能 | 可能 | なし | なし |
| 専任媒介契約 | 不可 | 可能 | 2週間に1回以上 | あり |
| 専属専任媒介契約 | 不可 | 不可 | 1週間に1回以上 | あり |
※参考:東京都住宅政策本部
一般媒介契約は、唯一複数社への依頼が可能な媒介契約です。
しかし、不動産会社に定められた販売状況の報告義務や指定流通機構への登録義務はありません。不動産会社の手厚いサポートを受けたい場合は、専任媒介契約や専属専任媒介契約がおすすめです。
また、一般媒介と専任媒介では、専任媒介の方が早く売却できたというデータもあります。
※参考:住まいの売却データファイル
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売却活動
売却活動の具体的な内容としては、以下が挙げられます。
- 不動産会社のホームページへの掲載
- 不動産ポータルサイトへの掲載
- 折込チラシや投げ込みチラシでの広告
- 不動産会社の既存顧客への紹介
- 物件の内覧
居住中物件の場合は、内覧時に売主も立会うのが一般的です。どのように準備するのかは、不動産会社と事前に相談しましょう。
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売買契約
購入希望者が現れたら、不動産会社を通して「購入申込書」を受取ります。その後、契約の諸条件がまとまり次第、売買契約へと移行します。
売買契約日の流れは以下のとおりです。
* 売主、買主の本人確認
* 重要事項説明書の読み合わせ
* 契約書の読み合わせ
* 署名捺印
* 手付金の授受
必要書類などは不動産会社の案内に沿って準備しましょう。
決済・引渡し
売買契約が完了した後に、決済・引渡しを行います。売買契約から決済・引渡しまでの期間は、一般的に1〜2ヶ月です。
売却物件の住宅ローン残債がある場合には、この期間内に一括返済手続きを進めたり、引越し準備をしたりする必要があります。手続きが間に合わず決済・引渡しができないと、違約となる恐れもあるため、逆算してスケジュールを組みましょう。
確定申告
不動産を売却した翌年の2月16日〜3月15日に、確定申告する必要があります。
本来、確定申告の義務があるのは、不動産が購入時よりも高く売れて売却益が発生している場合のみです。
しかし、売却損が発生している場合でも、控除や特例の適用を受ける場合には、確定申告を行う必要があります。控除や特例が利用できるかどうかは、不動産会社や税理士に確認すると良いでしょう。
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不動産売却の悩み2.売却金額の相場感が分からなかった

売却金額の相場感が分からなければ、適正な売出し価格を設定することはできません。
前述した通り、実際の売出し価格は不動産会社から提示された査定をもとに決めていくことになります。しかし、査定結果を比較検討する際の判断基準にしたり、売却後の資金計画を立てるためにも、売主は相場感を理解しておく必要があります。
また、売出し価格を必要以上に安値にしてしまうと、売却損が出てしまうリスクもあるでしょう。上記のランキングでも10位に「売却損が出た」がランクインしています。
売却金額の相場感がわからない場合には、まず以下のサイトで近隣の不動産情報をチェックしてみると良いでしょう。実際に不動産会社に査定を依頼する前に、大まかな金額感をつかむことができます。
不動産ポータルサイト
不動産ポータルサイトとは、不動産会社が販売物件を掲載する物件情報サイトであり、LIFULL HOME'Sもそのなかの1つです。
不動産ポータルサイトでは、現在販売に出ている物件情報をチェックできるので、タイムリーな情報を得ることができます。近隣の売却中不動産をチェックして、相場感を身につけましょう。
土地総合情報システム
土地総合情報システムとは、国土交通省が運営しているサイトです。
地価公示を調べられるほか、実際に不動産を売却した方へのアンケート調査をもとにした成約事例を確認できます。
事例は地図上に表示されるため、誰でも簡単に調べることができます。
レインズマーケットインフォメーション
レインズマーケットインフォメーションは、国土交通大臣指定の公益財団法人不動産流通機構が運営しているサイトです。最大の特徴は、成約価格を調べられることです。
土地総合情報システムでも成約価格を調べられますが、アンケート調査が元になっているため、情報が正確ではない可能性もあります。中古不動産の取引は価格交渉があるため、販売価格と成約価格が一致するとは限りません。
しかし、レインズマーケットインフォメーションであれば、より実態に近い価格を調べられます。
不動産売却の悩み3.買手がなかなか見つからなかった

ランキングの3位には「買い手がなかなか見つからなかった」がランクインしています。このように売却開始後、買手がなかなか見つからない場合の対処法としては主に以下の2つが挙げられます。
- 売却価格を見直す
- 販売活動を見直す
それぞれについて解説します。
売却価格を見直す
販売開始後に問合せ数が少なかったり、後から競合となる物件が売却を始めたりした際には、売却価格を見直すことも1つの手段です。
販売価格は途中で変更できるため、最初の頃は高値成約を狙い、一定期間経過後に価格を下げるという方法も考えられます。
問合せ状況や実際に内覧した購入検討者の感想なども重要なポイントであるため、不動産会社と相談しながら進めましょう。また、一定期間売却できない場合に、不動産会社から値下げを提案されることもあります。
価格を下げる場合は、「購入検討者が増える」金額に設定することがポイントです。値下げ幅が小さすぎると、効果がなく、繰り返し価格を下げることにもなりかねません。不動産会社とよく相談し、効果的な価格改定を行いましょう。
販売活動を見直す
そもそも「見直す」前の段階として、販売活動を不動産会社に任せきりにしてしまうことがないようにしましょう。具体的には、販売活動の状況や掲載されているポータルサイトのページやチラシなども確認しておくことをお勧めします。
その上で、同じ販売活動を継続しても問合せ数などに変化が見られない場合は、不動産会社と相談しながら販売活動を見直しましょう。
具体的には以下のとおりです。
- 掲載写真を撮り直す
- チラシを配布するエリアを変える
- 買取を検討する
買手が見つからない原因を不動産会社と話し合い、それに対する解決策を考える必要があります。また場合によっては、媒介契約を結んでいる不動産会社を変更することも選択肢の一つになるでしょう。
不動産売却の悩み4.法律に関する知識が足りなかった

不動産取引は民法や宅建業法など、数多くの法律知識が必要です。基本的には、媒介契約を結んだ不動産会社がサポートしてくれますが、売主として知っておいた方が良い知識の代表的なものとして以下の2つが挙げられます。
- 瑕疵担保責任
- 契約不適合責任
民法の改正によって、売主が負う責任は瑕疵担保責任から契約不適合責任に変わりました。過去の制度と混同しないように違いを理解しましょう。
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瑕疵担保責任
瑕疵担保責任とは、売買の目的物に隠れた瑕疵が見つかった際に、売主が負うべき責任を指します。具体的には以下のようなものになります。
* 雨漏り
* シロアリの害
* 給排水管の故障
* 建物構造上主要な箇所の木部の腐食など
個人間売買の場合、売主が責任を負うのは、一般的に引渡し後3ヶ月以内に上記のような瑕疵が見つかった場合となります。
契約不適合責任
民法改正によって2020年4月1日に、瑕疵担保責任から契約不適合責任に変更となりました。
瑕疵担保責任は隠れた瑕疵に対する責任でしたが、契約不適合責任では「その種類・品質・数量に関して、契約に適合していない場合」に責任を負います。
不動産取引では、現在の物件状況を示す「物件状況等報告書」や、設備の状態を示す「設備表」を作成します。それらに記載されている内容と異なることが発覚した場合、契約不適合責任を問われる恐れがあるため注意しましょう。
不動産売却の悩み5.分からないことをどこに相談すれば良いか分からなかった

不動産売却は、状況によっては専門的な知識が必要になる場面も出てくるため、不明点をどこに相談すれば良いか分からなくなる場合があります。
- 基本的に、不動産会社がサポートしてくれる
- 特殊なケースでも専門家を紹介もらえる
ここでは、特殊なケースや不明点が生じた場合の対処法や具体的な相談先を紹介します。
基本的に、不動産会社がサポートしてくれる
不動産売却で疑問点が生じた場合、基本的には、すべての工程で不動産会社がサポートしてくれます。
* 価格査定
* 広告
* 売却活動
* 契約書作成
* 引渡しなど
自分で専門家や専門業者を探すのではなく、まずは不動産会社に相談してみると良いでしょう。以下のようなことも、不動産会社から案内をしてもらえることがほとんどです。
- 必要となる各種書類の準備
- 内覧時の注意点
- 購入検討者との交渉
必要となる各種書類の準備
不動産売却ではさまざまな書類が必要になります。具体的には以下のようなものが挙げられます。
【査定依頼の際に用意しておくと良い書類】※一例
・登記簿謄(登記事項証明書)
・購入時のパンフレットやリフォーム履歴が分かる書類
・住宅ローン残高証明書
・登記済権利証または登記識別情報
・インスペクションの結果報告書
【買主への引渡し時に必要な書類など】※一例
・売買代金を振り込むための銀行口座などの書類
・抵当権等抹消書類
・実印・印鑑証明書
・物件引渡確認書
・固定資産税・都市計画税納税通知書または固定資産税評価証明書
・設備取扱説明書・保証書・アフターサービス規準書
・管理規約などの書類(マンションの場合)
・身分証明書
売主しか取得できない書類もあれば、不動産会社が取得できるものもあります。すべて自分で取得するのは時間がかかるため、不動産会社の案内に沿って準備を進めると良いでしょう。
内覧時の注意点
居住中物件を売却する場合、購入検討者の内覧時に売主も立ち会うのが一般的です。しかし、事前準備や購入検討者との会話に不安を感じる人もいるでしょう。
そのような場合は、不動産会社の担当者と事前に打ち合わせをしましょう。部屋を換気する、カーテンをすべて開ける、水まわりの水滴を拭き取っておくなど、具体的なアドバイスを受けられます。
購入検討者との交渉
中古不動産の売却では、購入検討者から価格交渉が入る可能性があります。その際に、売主と買主で直接話し合うことはありません。
すべて不動産会社を通してやり取りするため、不動産会社の担当者に、自分の考えを素直に伝えておきましょう。
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特殊なケースでも専門家を紹介してもらえる
不動産売却に至る理由は人それぞれです。場合によっては、不動産会社以外の専門家の見解が必要となることがあるでしょう。
- 不動産鑑定書が必要なら不動産鑑定士
- 売買契約締結時の登記関連については司法書士
- 離婚や相続などトラブルが関わるなら弁護士
- 確定申告が複雑になったら税理士
上記のようなケースでも、不動産会社が専門家と懇意にしている場合もあり、紹介を受けることができます。紹介を受ければ、やり取りもスムーズになるため、まずは不動産会社に相談すると良いでしょう。
以下では、各専門家の見解が必要になるであろう場面について解説します。
不動産鑑定書が必要なら不動産鑑定士
通常の不動産売買に不動産鑑定書は不要ですが、次のような取引では必要になる場合もあります。
* 相続対策
* 離婚時の財産分与
* 親会社から子会社への売却
このような取引では、不動産の正確な経済的な価値を判定しなければなりません。通常の不動産査定で対応できない場合には、不動産鑑定士に依頼する必要があります。
売買契約締結時の登記関連は司法書士
不動産売買では、売主から買主に所有権が移転します。その際に登記を担当してくれるのが司法書士です。登記は個人でもできますが、契約の安全性を確保するために司法書士に依頼するのが一般的です。
また、司法書士は基本的に買主側で手配しますが、仮に売主側で手配する必要がある場合は不動産会社に相談しましょう。
離婚や相続などトラブルが関わるなら弁護士
離婚や相続など、複数名の権利調整が必要になる取引では、弁護士を間に入れるのが一般的です。具体的には以下のようなケースが想定されます。
* 売却をめぐりトラブルになった場合
* 不動産の権利関係が複雑な場合
* 自己破産、任意整理、個人民事再生に該当する場合
上記のようなケースでは、弁護士へ相談する必要がある場合もあります。
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▶︎ 相続不動産を売却する際のポイント ・税金の軽減制度
確定申告が複雑になったら税理士
先述のとおり、不動産売却で利益が出た際には確定申告が義務付けられています。
また、損失が発生している方でも、控除や特例が適用されるケースがあるため、確定申告をしたほうが有利な場合があります。
しかし、会社員の方などで、確定申告をしたことがないという人も多いでしょう。そのため、不安がある場合には税理士に相談することになります。不動産会社のなかには、無料の税務相談会や確定申告相談会を実施している会社もあります。
不動産売却の悩み6.お金に関する知識が足りなかった

不動産売却ではさまざまな費用がかかるため、事前にお金の流れや最終的に手元に残る金額をシミュレーションしておく必要があります。
- 不動産売却に必要な費用
- 不動産売却の資金で住宅ローンを返済できるか?
- 不動産売却に関わる主な税金の特例・控除
ここでは、不動産売却に関するお金の知識として上記の内容を解説します。
不動産売却に必要な費用
不動産売却で必要となる主な費用をまとめると以下のようになります。
| 費用 | 金額 |
| 仲介手数料 | 売買価格×3%+6万円+消費税 |
| 印紙税 | 数百円〜数万円(売買価格による) |
| 住宅ローン返済手数料 | 数千〜数万円(金融機関による) |
| 抵当権抹消費用 | 1〜3万円 |
| 引越し費用 | 荷物の量や距離による |
| 測量費用(一戸建てや土地の場合) | 10万円〜(土地の規模等による) |
| 譲渡所得税(利益が出た場合) | ・短期譲渡:売却益×39.63% ・長期譲渡:売却益×20.315% |
※参考1:大阪府/不動産取引における仲介手数料の上限額
※参考2:No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置|国税庁
※参考3:借入後に必要な住宅ローン手数料|三菱UFJ銀行
※参考4:日本司法書士会連合会|Home
※参考5:No.3211 短期譲渡所得の税額の計算|国税庁
上記を参考に、手残り金額を計算してみましょう。
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不動産売却の資金で住宅ローンを返済できるか?
住宅ローンの残債は、不動産の売却資金で返済することができます。
不動産取引では引渡しまでに抵当権を抹消する必要がありますが、ほとんどの場合、自己資金だけで住宅ローンを完済するのは困難です。
そのため、決済日に買主から受領した売買代金をそのまま住宅ローンの返済に充て、抵当権を抹消します。売買代金の決済と抵当権抹消を同時に行う取引を「同時抹消」と呼びます。
不動産売却に関わる税金と特例・控除など
不動産売却ではさまざまな税金が課されます。
その一方で、利用すると有利な控除や特例も用意されているため、知っているかどうかで手元に残る金額が大きく変わります。不動産売却の際に知っておきたい税金、特例・控除の主なものには以下が挙げられます。
- 譲渡所得の概要(短期・長期)
- 居住用不動産の3,000万円控除
- 軽減税率
- 相続空き家の3,000万円特別控除
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譲渡所得の概要(短期・長期)
譲渡所得税とは、不動産が購入したときよりも高く売れて、売却益が発生した場合に課される税金です。不動産売却にかかる税金の中でも大きな金額となる可能性が高い税金です。税額を計算する際には、以下の計算式を用います。
* 譲渡所得=収入金額-取得費-譲渡費用
* 譲渡所得税=譲渡所得×税率
各用語の意味は以下のとおりです。
* 収入金額:不動産の売却価格
* 取得費:不動産を購入したときの価格と諸費用の合計
* 譲渡費用:売却時の諸費用
税率は所有期間によって変動します。
| 所得税 | 住民税 | 復興特別所得税 | 合計 | |
| 長期譲渡所得 (所有期間5年超え) |
15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
| 短期譲渡所得 (所有期間5年以下) |
30% | 9% | 0.63% | 39.63% |
長期譲渡所得と短期譲渡所得で税率が2倍近く異なるため、売却時期には注意が必要です。
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居住用財産の3,000万円特別控除
居住用財産の3,000万円特別控除とは、マイホームを売却して利益が出た場合に、最大3,000万円の控除を受けられる制度です。
つまり、利益が3,000万円を超えない限り、マイホーム売却で得た利益は非課税となります。マイホームの売却で3,000万円を超える利益が出るケースは少ないため、多くの場合で譲渡所得税を非課税にできるでしょう。
適用には一定の要件があるため、要件に該当しているかを確認しましょう。
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所有期間10年超えの軽減税率の特例
マイホームの所有期間が10年を超える場合は、譲渡所得税に軽減税率が適用されます。
| 所得税 | 住民税 | 復興特別所得税 | 合計 | |
| 売却益6,000万円以下の部分 | 10% | 4% | 0.21% | 14.21% |
| 売却益6,000万円超えの部分 | 15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
※参考:No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例|国税庁
所有期間10年超えの軽減税率の特例は、先述した3,000万円控除と併用可能となっています。
相続空き家の3,000万円特別控除
相続空き家の3,000万円特別控除は、相続または遺贈で取得した空き家を売却した際に、最大3,000万円の控除を受けられる制度です。
先述した居住用不動産の3,000万円控除の空き家版と考えると分かりやすいでしょう。居住用不動産の3,000万円控除と同様に、適用には一定の要件を満たす必要があります。
参考:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁
不動産売却の悩み7.信頼できる不動産会社が分からなかった

不動産売却を成功させるには、信頼できる不動産会社選びが重要なポイントとなります。
しかし、「不動産会社とのやり取りが面倒だった」(7位)や「信頼できる不動産会社が分からなかった」(9位)が上記のランキングにランクインしていることからもわかるように、自身にとって最適な不動産会社との出会い方がわからないという方も多いようです。
不動産の売却は平均して3ヶ月ほどの期間がかかるため、不動産会社の対応が悪い、レスポンスが遅いなどの不満がある状態ではストレスが溜まってしまうでしょう。
ここでは、信頼できる不動産会社を選ぶためのポイントについて解説していきます。
複数社(3〜5社)に査定依頼をして比較検討する
信頼できる不動産会社と出会うには、複数社に査定依頼をして比較することが重要になります。
先述のとおり、1社だけの査定ではその査定価格が適正かどうかは分かりません。また、不動産会社によって用意しているサービスや、売却のための戦略も異なります。
自分と相性の良い不動産会社を出会うためにも、複数社に相談し比較検討した上で、媒介契約を結ぶ不動産会社を選びましょう。
また、LIFULLが行った調査によると、不動産の売却経験者が良い担当者だと思った理由の上位には、「連絡や対応が早い」「人柄が良い」「資料・説明が分かりやすい/丁寧」 といった内容があがっています。こうした基準も参考にしてみてください。
LIFULL HOME'Sの一括査定サービスがおすすめ
複数社に査定を依頼する際には、一括査定サービスを利用するのが便利です。一括査定であれば、個別に問合せる手間をかけることなく、複数社にまとめて査定を依頼できます。
LIFULLHOME'Sの不動産一括査定では、全国3,500社以上の提携不動産会社から査定を依頼する会社を選べます。会社ごとの特徴などについても掲載しているため、不動産会社を比較し、信頼できる不動産会社と出会いやすくなっています。
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不動産売却の悩みを確実に解決して納得のいく不動産売却を

この記事では不動産売却におけるよくある悩みごとと、その解決方法を紹介しました。
不動産売却は分からないことが多く不安に感じてしまうこともありますが、そのようなときは不動産会社に相談しましょう。
不動産会社は単なる営業会社ではなく、不動産売却に関する相談窓口の役割もあります。信頼できる不動産会社・担当者に出会うことができれば、不動産売却も成功に近づくでしょう。
信頼できる不動産会社や担当者に出会うには、複数の不動産会社に査定を依頼する必要があります。一括査定では、複数社にまとめて査定を依頼できるため、良い出会いに繋がる可能性が高まるでしょう。
「不動産売却を検討しているけれど、何から始めて良いのか分からない。」という方は、全国にある3,500社以上の提携不動産会社から査定を依頼できるLIFULL HOME'Sの一括査定をぜひご利用ください。
記事執筆・監修
荒木 一郎(あらき いちろう)
大手情報サービス企業にて不動産情報誌の企画、営業を経験後、2006年に愛知県で不動産会社CLASS ONE株式会社を設立。売買、仲介、管理の実務に携わる。2014年に「空き家実家相談センター」を設立。 社会問題化している空き家問題、実家の相続問題に加え、近年は「シニアの方の住替え」をテーマとしたセミナー、相談会を定期開催し相談者の解決サポートに取り組んでいる。 これまで30年以上「住まい」のテーマに携わり、評論家ではなく、不動産実務を長年経験した不動産の実務家ならではの実効性高いアドバイスを提供することが信条。