
マンション査定を依頼する際には事前に、住宅ローンの残債や相場を下調べしておき、必要書類を準備しておくと手続きがスムーズになります。また、査定時に高く評価されるポイントを事前に理解しておくことで、査定結果の比較検討もしやすくなるでしょう。
この記事では、マンション査定前の事前準備として、必要書類や評価のポイントなどを詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてください。
この記事で分かること
- マンション査定の方法・内容
- マンション査定前にやるべき事
- マンションの査定依頼時の必要書類
- マンション売却までに準備すべき必要書類
- マンションの査定で見られるポイント
- マンション査定の流れ
- マンション査定時の注意点
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もくじ
そもそもマンション査定とは?

マンション査定とは、物件を売却する際にその物件が「いくらで売れそうか」を不動産会社が算定することです。主な査定方法は、以下の2種類があります。
- 机上査定(簡易査定)
- 訪問査定
机上査定(簡易査定)
机上査定(簡易査定)とは不動産会社の現地調査を伴わず、立地や土地面積、築年数など周辺の類似物件の相場価格や過去の取引事例を参考にしながら、価格を算出する方法です。
査定価格を算出する方法には、「取引事例比較法」「原価法」「収益還元法」の3つの方法があります。居住用のマンションを査定する場合は、主に取引事例比較法で算出するのが一般的です。
机上査定(簡易査定)のメリット・デメリット
机上査定(簡易査定)のメリット・デメリットは以下のとおりです。
| メリット | デメリット |
|---|---|
|
・手軽に査定を依頼できる ・査定価格が早めに分かる |
・物件を確認しないので訪問査定と比較すると精度が低い ・実際に売却できる価格と大きな乖離が生まれる可能性がある |
机上査定は不動産会社の訪問を受けず、手軽に査定を依頼できるので、担当者とのやり取りに手間や時間をかけることはありません。査定結果も早めに分かる点がメリットです。
一方、不動産会社の担当者が直接物件を見に来るわけではないため、物件ごとの個別の事情を反映できないのがデメリットといえます。実際に売れる価格とかけ離れることもあるので、あくまでも概算の価格として認識することが重要です。
訪問査定
訪問査定は、不動産会社が売却予定の物件を訪問して、詳しい状況を確認しながら査定する方法です。書類やデータでは分からない、室内外の状況や周辺環境などを加味して査定するため、机上査定より正確な査定を行えます。
具体的に売却を考えている場合は、精度が高く適正な価格が提示される訪問査定がおすすめです。
訪問査定のメリット・デメリット
訪問査定のメリット・デメリットは以下のとおりです。
| メリット | デメリット |
|---|---|
|
・書類やデータではわからない詳細な状況を査定内容に盛り込める ・不動産会社の担当者の人柄を確認できる |
・不動産会社との日時調整が必要になる ・査定結果は机上査定より時間がかかる |
訪問査定のメリットは、実際に物件を確認するために、より精度の高い査定結果を算出できることです。書類やデータでは分からない詳細な状況も査定結果に反映されます。
担当者の仕事に対する意欲などを確認できるのも大きなメリットです。
デメリットとして、不動産会社と査定日のスケジュール調整が必要な点や、机上査定より査定結果を出すのに時間がかかることが挙げられます。
担当者が家の中に入って確認するので、ある程度掃除しておくことも必要です。
マンション査定前にやるべき事前準備5選
マンション査定前にやるべき事前準備として、主に以下の5つが挙げられます。
- マンションの価格相場を調べておく
- 査定に必要な書類を準備する
- 必要最低限の清掃を実施しておく
- 住宅ローン残債を確認する
- 質問事項やアピールポイントをまとめておく
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マンションの価格相場を調べておく
マンションの査定依頼を出す前に、自分でも価格相場を調べておくことをおすすめします。
なぜなら、価格相場を知らなければ、不動産会社の算出した査定価格が高いか低いかを判断できないからです。事前に相場を把握しておくことで、査定価格に納得感も得られやすくなるでしょう。また、不動産会社選びの際にも役立ちます。
価格相場を調べる際は、レインズマーケットインフォメーションや、国土交通省が運営する不動産情報ライブラリを利用しましょう。同じマンション内のほかの部屋の売り物件チラシが投函されている場合は、そうしたチラシも価格相場の参考になります。
査定に必要な書類を準備する
マンション査定に必要な書類を準備しておくと、より正確な査定価格の算出が可能です。こうした書類は不動産会社が用意してくれる場合もあるため、売主がすべて用意する必要があるわけではありません。
ただし、登記済権利証または登記識別情報は、所有者が購入時に法務局から発行される書類のため、所有者本人が持っている書類になります。
必要書類は主に以下のようなものが挙げられます。
- 登記事項証明書
- 購入時のパンフレットやリフォーム履歴が分かる書類
- 登記済権利証または登記識別情報
- インスペクションの結果報告書
上記書類の概要や取得先は後述します。
必要最低限の清掃を実施しておく
マンション査定前に、必要最低限の清掃を実施しておきましょう。なぜなら、極端に内装が汚れている場合はリフォームが必要だと判断され、査定価格が下がる場合があるからです。不動産会社がよく見る清掃ポイントは、以下のとおりです。
- 玄関
- キッチンや浴室、洗面やトイレなどの水回り
- 窓やバルコニー
汚れが目立つ場合は、ハウスクリーニング業者に依頼するのも1つの手段です。ただし、部屋の価値を上げるためにリフォームまでする必要はありません。なぜなら、リフォーム価格すべてを、売却価格に上乗せできるケースは少ないからです。
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住宅ローン残債を確認する
住宅ローンを返済中の場合は、残債を確認しておきましょう。なぜなら、住宅ローンの残債のあるマンションは、売却時代金などを利用して一括完済する必要があるからです。
マンションの査定価格が住宅ローン残債を下回り、自己資金が不足する場合は、マンションを売却することは困難です。住宅ローン残債の確認は、金融機関の窓口でできます。
質問事項やアピールポイントをまとめておく
マンション査定の前に、不動産会社への質問事項やアピールポイントをまとめておきましょう。具体的な質問事項は以下のようなものが考えられます。
- 仲介手数料はいくらかかるか?
- 売却にはどのくらいの時間がかかるか?
- 修繕はするべきか?
修繕すべきか気になる箇所がある場合は、売主自身で判断せずに、不動産会社に相談したうえで検討しましょう。
また、アピールポイントをまとめておくことで、より具体的な査定価格が算出できます。室内のリフォームや共用部の大規模修繕工事もアピールポイントとなります。
マンションの査定依頼時の必要書類

マンションの査定依頼時の必要書類は、主に以下が挙げられます。
- 登記簿謄(登記事項証明書)
- 購入時のパンフレットやリフォーム履歴が分かる書類
- 購入時の売買契約書
- 管理規約・修繕計画書
- 住宅ローンの残高証明書
- 査定価格が上がる可能性のある書類
上記は主に、不動産の広さや位置などを示す公的書類と、所有者を証明する書類などです。
ただし、査定依頼の際は売主が用意しなくても不動産会社が用意するケースもあります。また、書類がすべて揃っていなくても査定依頼は可能です。
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登記簿謄本(登記事項証明書)
登記簿謄本(登記事項証明書)は、所有権者だけではなく、マンションの新築年月日や種類、構造などを確認できる書類です。
法務局から直接取得できるほか、登記・供託オンライン申請システムを利用して、インターネット上で取り寄せることも可能です。
なお、登記簿謄本は不動産会社でも取得できるため、紛失した場合でも売主が再発行する必要はありません。
購入時のパンフレットやリフォーム履歴が分かる書類
購入時のパンフレットやリフォーム履歴が分かる書類を用意しておくと、正確な査定価格の算出に役立ちます。部屋の間取り図が記載されている場合、不動産会社が宣伝広告する際にも利用することができます。
パンフレットやリフォーム履歴が分かる書類を紛失した場合は、購入先の不動産会社や、リフォーム工事を依頼した会社に問合せましょう。
リフォームに関しては、書類がない場合でも査定価格アップのために、リフォーム箇所や時期などを伝えておくことが効果的です。
購入時の売買契約書
マンションを購入したときの売買契約書も必要な書類です。
あわせて、重要事項説明書もあれば、用意することをおすすめします。マンションの重要事項説明書には、その物件に関する内容や取引条件・告知事項などが細かく記載されています。物件の詳細を不動産会社に伝えられ、精度の高い査定を行うのに役立つでしょう。
また、売買契約書には購入価格が記載されているため、売却後に譲渡所得税の計算をする際、「取得費」を正確に算出できるのもメリットです。
売買契約書が見当たらない場合は、マンションを購入した不動産会社や売主に問合せましょう。売買契約書や重要事項説明書のコピーをもらえる可能性があります。
管理規約・修繕計画書
管理規約・修繕計画書も売却時に必要な書類の1つです。
管理規約には共用部分の範囲、使用方法、理事会の権限や義務など管理組合運営に必要なことが定められています。これは、買主が購入後にマンションで暮らす際に知っておきたい情報が記載されている重要な書類といえるでしょう。
長期修繕計画書には、修繕工事の時期や方法、資金計画などが記載されています。必要な費用の全体も把握できるので、物件の重要な情報です。
住宅ローンの残高証明書
住宅ローンを返済中にマンションの査定を依頼する場合は、残高証明書も用意すると良いでしょう。
マンション売却は、基本的にローンを完済できることが前提であり、不動産会社がローン残高を踏まえて売却方法を検討します。
売却後のローン残債が売却価格よりもローン残高が低い状態(アンダーローン)か、売却価格よりもローン残高が高い状態(オーバーローン)かにより方法が変わります。
なお、一般的に住宅ローンの残高証明書は、毎年10月頃に金融機関から郵送されます。
査定価格が上がる可能性のある書類
マンションの査定を依頼する際は、査定額が上がる可能性のある書類もあわせて用意すると良いでしょう。査定価格が上がる可能性のある書類として、以下が挙げられます。
- 住宅性能評価書
- 耐震診断報告書
- アスベスト使用調査報告書
- ホームインスペクション(住宅診断)報告書
- 瑕疵担保責任保険の保険付保証明書
上記の内容でマンションの診断を受けた場合は、報告書などの書類を提出すると査定額がプラスになる可能性があります。
マンション売却までに準備すべき必要書類など
マンション売却までに準備すべき書類や必要物は、以下のとおりです。
- 登記済権利証または登記識別情報
- 抵当権抹消書類
- 固定資産評価証明書
- 住民票・印鑑証明書
登記済権利証または登記識別情報
登記済権利証または登記識別情報は、マンション購入時に所有者が法務局から発行されている書類です。そのため、これらの書類は所有者本人しか所有していないものです。
登記済権利証は、2005年の改正不動産登記法によって、登記識別情報に変更されました。査定時に不動産会社からコピーを求められる場合があるため、事前に用意しておきましょう。
抵当権抹消書類
抵当権を残したままで別の人にマンションを売却することはできないため、売却する際には抵当権を抹消しなければなりません。
抵当権抹消手続きに必要な書類は以下のとおりです。
- 登記申請書
- 登記識別情報または登記済証
- 登記原因証明情報
- 登録免許税(不動産1件につき1,000円)
- 抵当権者(金融機関)の委任状 ※代理人が手続きする場合に必要
住宅ローン返済中の場合は、抵当権者である金融機関の承諾を得た上で、売却を進めていきます。
固定資産評価証明書
固定資産評価証明書は、所有している不動産の固定資産課税台帳に登録されている資産価値を証明する書類です。登記時や買主へ登記費用を見積もる際に必要となります。
不動産評価額などが記載されているため、マンションを売るときに、売却価格を決定するための参考にもなります。
個人で取得する場合は市町村役場で300円〜400円程度で入手可能です。不動産会社に委任して取得してもらうケースも多く見受けられます。
住民票・印鑑証明書
マンションを売却する際には、住民票や印鑑証明書なども必要です。売却するマンションに登記してある住所と、現在の住所が異なる場合は、現住所の住民票が必要となります。
印鑑証明書は、売買契約書に押印されている実印が、間違いなく役所に登録してあることを証明する書類です。引渡し時の所有権移転登記でも必要になります。
印鑑証明書は引渡し時から3ヶ月以内に発行されたものが有効で、市町村役場では300円程度で取得可能です。
マンションの査定で見られるポイント

マンションの査定依頼時に見られるようポイントには、以下が挙げられます。
- 立地条件
- 築年数・構造
- 階数
- 間取り・方角
- 設備・性能
- 室内の状況
- 共用部分
- マンションの管理状況
- 管理費・修繕積立金
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立地条件
マンション査定において、立地条件は査定価格に大きく影響するポイントです。立地条件は、主に以下の項目とあわせてチェックされます。
- 交通の利便性
- 生活の利便性
- 近隣環境の変化
最寄駅から徒歩10分以内のマンションは、交通の利便性が良く、評価が上がりやすいといえます。ただし、駅近くのマンションが値上がりしている場合には、最寄駅からやや遠いマンションの売れ行きが良いこともあるため、エリアによって異なります。
また、商業施設や学校、公園や病院などがあると評価が上がりやすいでしょう。
近隣環境の変化に関しては、駅前の再開発や新しい道路の建設などがあれば、マンションの価値も上がります。反対に、マンションの目の前に建物が建築されて日当たりが悪くなる場合は、マイナス評価となるでしょう。
築年数・構造
築年数は、原則として浅いほど査定価格は高くなります。築10年前後のマンションは需要が多いため、売却する場合は早めに動いたほうが有利と考えられます。
公益財団法人東日本不動産流通機構のデータから、中古マンションは築年数を経過するごとに、価格が下落していることが分かります。ただし、築年数が古くても好立地の場合は、高く評価されることもあるため、あくまで目安と考えるべきでしょう。
構造は、耐震性能がポイントになります。旧耐震基準に基づいて建てられ、現行の新耐震基準を満たしていない場合は、査定価格が低くなります。反対に、免震構造や制震構造を採用していて耐震性能の高いマンションはプラス評価です。
階数
マンションは、階数が上がるほど評価が高くなるのが一般的です。なぜなら、高層階は日当たりや眺望が良く、賃貸に出すときにも有利となるからです。
また、階数は同じマンションでも売却価格が大きく変動します。物件の所在階数が高いと、評点が上がり評価額は高く査定されます。
不動産査定ソフト『価格査定マニュアル』では3階を標準とし、1階はマイナス5点、60階ではプラス25点と規定しています(※)。
なお、1階は防犯面やプライバシーの面でマイナス評価になることもありますが、専用庭や専用駐車場などの付加価値がある場合はプラス評価につながります。エレベーターがないマンションでは、1〜2階が人気になることもあります。
※参考:「価格査定マニュアル」を利用した査定方法について(住まいを売る時の価格査定)|全宅連
間取り・方角
間取りは生活動線が良く、住む人が暮らしやすい間取りであるか、現代のライフスタイルにあっているかどうかが評価の対象となります。近年は共働き世帯が多いため、家事がしやすい間取りが人気です。
マンションの間取りで、最も売却しやすいものは3LDKといわれており、30代前半のファミリー層を中心に人気があります。
方角は、開口部が南向きの評価が高く、北向きが低くなりやすいといえます。ただし、南側に物件があって眺望が遮られる場合もあるため、南向きだから必ず評価が上がるとは限りません。
北向きでも山や海が見えたり、花火大会などのイベントが見えたりすると、高く評価されるポイントになります。
設備・性能
設備や性能も、査定時に見られるポイントです。具体的には、玄関タイルや扉の材質、全体的に内装がハイグレードであれば、評価が上がりやすくなります。
高級システムキッチンや大型の給湯室なども高評価の対象です。また、オプションで浄水器やディスポーザー、人工大理石などがあると評価されます。
室内の状況
床のキズが目立つ場合や、喫煙により室内が黄ばんでいる場合は、マイナス評価につながります。また、長く暮らしていればキッチンや浴室、トイレなどの水回りは汚れやすいため、普段から手入れすることが大切です。
築年数に応じた劣化具合であれば、必要最低限の清掃を実施するだけで十分です。
ただし、室内の状況は購入検討者の購買意欲に直結します。著しく室内が汚れている場合は、内覧までに綺麗にしておきましょう。自分で落とせないニオイや汚れがあれば、ハウスクリーニング業者に依頼するのも選択肢の一つです。
共用部分
マンションの共用部分に、集会所やキッズルーム、娯楽施設などがあると評価のポイントになります。ただし、ラウンジやプールなどの設備は維持費が高いため、管理費を抑えたい購入検討者には敬遠されるでしょう。
宅配ボックスやオートロック、24時間セキュリティシステムや自走式の駐車場なども高評価につながります。
直近で共用部分の大規模修繕工事が実施されている場合には、アピールポイントになるため、査定時に不動産会社に伝えると良いでしょう。
マンションの管理状況
マンションは、建物の管理状況が良いかどうかで売れ行きが異なります。
近年では、築30年を超えるマンションも続々と売り出されており、マンション管理の良し悪しが購入するかどうかのポイントとなる場合もあります。
購入希望者にチェックされやすいポイントは以下のとおりです。
- エントランス
- 駐輪場
- ゴミ置き場
いずれの場所も清掃が行き届いており、きれいな状態が維持されているならば、管理状況が良いといえます。
管理費・修繕積立金
管理費・修繕積立金も査定で見られるポイントです。管理費や修繕積立金の金額が高いと、マンション居住者の負担額が大きいため、買主が見つかりにくいと考えられます。
管理費と修繕積立金は、マンションや築年数によって異なるため、同じような物件で管理費と修繕積立金が安いと、他の物件が選ばれる可能性があります。
また、一般的に管理費は戸数が多いほど割安になる傾向があります。
国土交通省が実施した調査によれば、1戸あたりの月平均管理費は、総戸数20戸以下のマンションでは22,131円、51~75戸では17,044円、101~150戸は15,665円という結果でした。
修繕積立金は年々増加しており、2023年度の平均額は13,054円となっています。
※参考1:マンション総合調査(2023年度)(174)|国土交通省
※参考2:令和5年度マンション総合調査結果からみたマンションの居住と管理の現状|国土交通省
マンション査定の流れ4ステップ

一般的にマンション査定の流れは、以下の4ステップです。
- STEP1.不動産会社に物件の情報を送信する
- STEP2.不動産会社から連絡をもらう
- STEP3.不動産会社により査定が実施される
- STEP4.査定結果が到着する
STEP1.不動産会社に物件の情報を送信する
まずは、一括査定サイトや不動産会社のWEBページなどを通じて以下の物件情報を送信します。
- 物件所在地
- 広さや間取り
- 築年数
- 階数
- 方角
- 氏名や連絡先などの個人情報 など
次に、「机上査定」と「訪問査定」からマンションの査定方法を選択します。
机上査定とは、売主が入力した物件情報と過去の取引事例を基に査定価格を算出する方法です。一方、訪問査定とは、取引事例と現地の状態も参考にして、査定価格を算出する方法です。
実際に現地訪問して査定するため、訪問査定のほうが精度は高くなります。本格的に売却を依頼する際は、正確な査定価格を算出する必要があるため、訪問査定を選択しましょう。
また、マンション査定を依頼する際は、複数社に依頼しましょう。なぜなら、査定価格は不動産会社ごとに異なり、1社だけに依頼してしまうと売出し価格や資金計画を見誤るおそれがあるからです。具体的には、3〜5社に依頼し、比較検討することがおすすめです。
LIFULL HOME'Sの不動産一括査定では、全国にある4,500社以上の提携不動産会社から査定依頼する会社を選択することができます。
STEP2.不動産会社から連絡をもらう
マンションの査定依頼後は、不動産会社から訪問査定の日程を調整するための連絡が来ます。
連絡がきたら、不動産会社の担当者ごとに対応などを含めてじっくり比較しましょう。また、マンション査定依頼時の必要書類が手元にあれば、用意しておくとスムーズに手続きを進められます。
STEP3.不動産会社により査定が実施される
訪問査定では、データや画像だけでは分からない室内外の雰囲気や周辺環境を含めた、精度の高い査定が可能です。調査内容によって、プラス評価に働くものもあれば、マイナス評価につながるものもあります。
所有者への質問内容は、夜間の人通りやリビングのどのあたりまで日の光が入るのか、近隣の生活音は気になるかなどが想定されます。実際に住んでいる人でないと分からないことを質問されるでしょう。
売却日や引越し日が決まっている場合や、住宅ローンの残債がある場合は、不動産会社の担当者に相談しましょう。
STEP4.査定結果が到着する
訪問査定後から、約7〜10日間で査定結果が到着します。複数社に査定を依頼した場合は、査定価格や担当者の対応から、売却の際に仲介を依頼する不動産会社を選ぶと良いでしょう。
仲介を依頼する不動産会社が決まったら、媒介契約を締結します。媒介契約は「専属専任媒介契約」と「専任媒介契約」、「一般媒介契約」の3種類です。
| 専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 一般媒介契約 | |
| 複数の不動産会社との契約 | × | × | 〇 |
| 自己発見取引 | × | 〇 | 〇 |
| 契約の有効期限 | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 | 指定無し |
| レインズへの登録義務 | 5日以内に登録 | 7日以内に登録 | 任意 |
| 報告義務 | 1週間に1回以上 | 2週間に1回以上 | 任意 |
マンション査定時の注意点

マンション査定時の注意点は、以下の5つです。
- スケジュールに余裕をもたせる
- 不動産会社に任せきりにしない
- 査定価格=成約価格ではない
- 複数の不動産会社に査定依頼する
- 物件に瑕疵がある場合は正直に告知する
スケジュールに余裕をもたせる
マンションが売れるには6ヶ月程度かかることが見込まれるため、売却スケジュールには余裕を持たせることが必要です。
LIFULL HOME'Sが首都圏の売却経験者に聞いたアンケート調査でも、「売却の際に気をつけるべき点」としてトップに挙げられていました。
| 順位 | 売却の際に気をつけるべき点 | 割合 |
|---|---|---|
| 1位 | 余裕のあるスケジュールを立てる | 35.3% |
| 2位 | 不動産会社に任せきりにせず、自分でも情報収集する | 31.6% |
| 3位 | 不動産会社の言うことが正しいかどうか判断できるようにする | 31.2% |
スケジュールに余裕がないと条件の良い取引を行えなくなるおそれがあるので、住み替え先を探す前から売却に向けて情報を集めるなど、早めに動き出すようにしましょう。
不動産会社に任せきりにしない
同アンケート調査の2位に挙げられていたのが、「不動産会社に任せきりにせず、自分でも情報収集する」という内容でした。
3位にも「不動産会社の言うことが正しいかどうか判断できるようにする」が入り、不動産会社だけに任せるのではなく、売主自身も物件に関する情報を集めることが必要とされています。具体的には、売却予定の物件の市場価格を調べることなどが挙げられます。
物件の市場価格は、周辺にある類似物件の取引価格をリサーチしてみましょう。国土交通省が運営している不動産情報ライブラリでは、実際に取引された不動産の価格を検索できます。
周辺にある類似物件の取引価格を知ることで、不動産会社が提示した査定価格が適正な金額であるかどうかを判断できるようになります。査定価格の根拠を見極めることが重要です。
査定価格=成約価格ではない
依頼後の査定価格は、必ずしも成約価格ではないことに注意しましょう。
査定価格は、不動産会社が売出して3ヶ月から半年程度で成約に至ると想定する価格です。
一方、成約価格とは、マンションの買主が見つかり、売買契約で締結した際の取引価格です。査定価格を参考に売主が売出し価格を設定し、買主の希望を考慮したうえで、成約価格の決定に至ります。
査定価格=成約価格ではないため、買主からの値下げ交渉があるケースも想定して、売出し価格を決めると良いでしょう。
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複数の不動産会社に査定依頼する
1社よりも、複数の不動産会社に査定依頼することをおすすめします。複数社に依頼すべき理由は、主に以下のとおりです。
- 査定価格を比較できる
- マンション価格の相場を把握できる
- 最適の不動産会社を見つけられる
複数の不動産会社に査定依頼することで、査定価格を比較できます。比較することで、相場から極端に乖離している査定結果などを見つけやすくなります。
売却予定マンションの相場も把握できるため、売却価格を決める際に相場から大きく乖離した価格を設定することを避けられます。市場価格から逸脱した価格に設定すると売れ残るおそれもあるため、注意が必要です。
また、さまざまな不動産会社の意見や対応を見ることで、最も信頼できる不動産会社を見つけることができるでしょう。
LIFULL HOME'Sが掲載するアンケートの『マンションの売却査定は何社に依頼した?』(住まいの売却データファイル)の調査結果では、2〜3社の査定依頼数が38.5%と最多でした。

※参考:マンション売却経験者にアンケート!売却期間は?売却方法は?体験談もご紹介(住まいの売却データファイル)
上記のグラフを見ると、4社以上に依頼した人も28.3%と決して少なくない割合であるため、なるべく3〜5社に絞って査定依頼することが重要といえます。
LIFULL HOME'Sの不動産一括査定では、全国にある4,500社以上の提携不動産会社から査定依頼する会社を選択可能です。売りたい物件の情報を入力するだけで、不動産会社のサービス内容や強み、スタッフ情報などを一覧で閲覧することができます。
物件に瑕疵がある場合は正直に告知する
物件にシロアリや雨漏りなどの瑕疵(欠陥)がある場合は、査定時に正直に告知しなければなりません。
なぜなら、売主が故意に隠していたかどうかに関わらず、瑕疵を買主に告知しなかった場合は責任を追及される、契約不適合責任があるからです。
契約不適合責任とは、契約により引き渡された目的物が、種類や品質、数量に関して契約の内容と適合しない場合に売主が買主に対して負う責任です。例えば、売却後に買主がシロアリ被害を見つけた場合、修理や保全などの費用を売主が負担することになります。
査定時の評価は下がりますが、トラブル回避のために、事前に伝えておきましょう。
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マンション査定は事前準備が大切!

マンション査定は事前準備が大切です。
マンション査定や売却には多くの書類が必要となるため、余裕を持って集めておくようにします。売却に向けて動き出してから、実際に売れるまでには最低でも6ヶ月程度かかることが見込まれ、スケジュールに余裕をもたせなければなりません。
売却予定のマンションの市場価格を調べるのもよいでしょう。周辺で実際に売買された類似物件の取引価格をリサーチすることで、適正な売出価格を把握できます。
マンション売却で失敗しないためには、多くの実績と知識を持つ不動産会社に相談することが重要です。自分にあった不動産会社を見つけたい場合は、LIFULL HOME'Sの不動産一括査定をぜひご利用ください。
記事執筆・監修
矢口 美加子(やぐち みかこ)
宅地建物取引士、整理収納アドバイザー1級、福祉住環境コーディネーター2級の資格を保有。建築・不動産会社で事務をしながら、家族が所有する賃貸物件の契約や更新業務を担当。不動産ライターとしてハウスメーカー、不動産会社など一部上場企業の案件を中心に活動中。