マンションの査定方法の1つに、インターネット上で簡単に査定できる「AI査定」があります。一般的にAI(人工知能）が過去の取引事例をもとに査定額を算出するので、スピーディー、かつ誰でも無料で気軽に利用できる点が大きな魅力です。
一方で、AI査定はあくまで概算の査定額であることや、マンション売却においては必ずしも「査定額＝売却価格」とならない点に注意しなければなりません。
ほかにも、AI査定を利用する場合のデメリットや注意点などについて解説していきます。
この記事で分かること
- マンションのAI査定とは？
- マンションのAI査定を利用するメリット
- マンションのAI査定を利用する際のデメリット・注意点
- マンションのAI査定でシミュレーションする手順
- マンションのAI査定に適している不動産（物件）の特徴
- マンションのAI査定サイトおすすめ3選
【あわせて読みたい】
▶︎マンション売却の注意点は？売却方法や流れ・費用についても解説
もくじ
マンションのAI査定とは？
マンションのAI査定とは、一般的に人工知能（AI）を活用して、マンションの市場価格を予測する査定方法です。不動産会社や不動産ポータルサイトが持つ過去の取引事例や市場データなどを基にして、AIが瞬時にマンションの査定価格を算出します。
インターネット上で簡単に利用できるため、おおよその査定価格を知りたい場合にはAI査定が適していると言えるでしょう。
マンションAI査定の仕組み
一般的にマンションのAI査定は、主にマンションに関わる以下のような情報を入力するだけで、AIが過去に成約した取引事例などを基に査定価格を算出します。
- マンションの名称と所在地
- 専有面積
- 築年数
- 階数
- 間取り
- 方角
ただし、AI査定では、入力された情報を基に査定価格を算出するため、実際の売却価格とは異なる場合があります。あくまで売却価格の目安を知るツールとして、AI査定を活用すると良いでしょう。
【あわせて読みたい】
▶︎マンション査定依頼時の注意点とは？査定価格を上げるポイントも解説
マンションのAI査定を利用するメリット
ここでは、マンションのAI査定を利用するメリットをまとめました。
- 匿名で手軽に利用できる
- 査定結果が短時間で分かる
- 売却以外の目的でも利用できる
- 不動産会社の担当者とのやり取りが不要
匿名で手軽に利用できる
マンションのAI査定は、匿名で手軽に利用できるものがほとんどです。サイトによっては、個人情報の入力や会員登録などが不要な場合もあります。
マンションのAI査定でおおまかの査定価格が分かれば、売却する際の不動産会社選びにおいてもひとつの指標として、有効に活用することもできるでしょう。
査定結果が短時間で分かる
マンションのAI査定は、マンションの情報を入力すればすぐに査定結果が分かります。
不動産会社に査定を依頼すると、査定結果が届くまで1週間ほどかかるケースも多いため、短時間で査定結果が分かるのは大きなメリットです。
また、AI査定は24時間365日いつでも利用できるため、手軽にマンションの査定ができます。
売却以外の目的でも利用できる
マンションのAI査定は、売却以外の以下のような目的でも利用できます。
- 離婚で財産分与する場合
- 遺産を分割したい場合
- マンションの担保価値を知りたい場合
- エリアの相場を知りたい場合
不動産一括査定は基本的に売却が前提となるため、目的を問わずおおまかな査定価格を知れることがAI査定のメリットと考えられます。
不動産会社の担当者とのやり取りが不要
不動産会社に査定を依頼する机上査定や訪問査定では、担当者とやり取りが発生する場合があります。こうした担当者とのやりとりは、具体的に売却を考えていない段階では、負担に感じる場合もあるでしょう。
一方、AI査定は不動産会社の担当者とのやり取りが不要なため、この時点では個人情報を知られることもありません。ただし、AI査定のサービスによっては、メールアドレスが必要なケースもあるため、事前に確認しておきましょう。
また、売却の意思が明確で仲介の依頼を検討している場合は、最終的に不動産会社の訪問査定が必須です。訪問査定のほうがより相場に近い査定結果を得られるので、売却を検討している人は一括査定などのサービスの利用を検討した方が良いでしょう。
マンションのAI査定を利用する際のデメリット・注意点
これまでマンションのAI査定のメリットを紹介してきましたが、AI査定を利用する際はあわせて以下のデメリット・注意点をおさえておきましょう。
- 不動産会社選びの目的では利用できない
- 入力情報以外の特徴や条件が反映されない
- サービスごとに精度が異なる
- 訪問査定ほどの精度はない
不動産会社選びの目的では利用できない
マンションのAI査定は、基本的に不動産会社が関与しておらず匿名での査定となります。そのため、実際の売却を担当してもらう不動産会社選びの目的では利用できません。
不動産会社選びが目的の場合は、不動産一括査定サービスの利用がおすすめです。
LIFULL HOME’Sの不動産一括査定では、全国3,500社以上の提携不動産会社から査定を依頼する会社を選ぶことができます。査定価格や不動産会社のサービスなどを比較検討して、自分に合った不動産会社にマンションの売却を依頼できます。
入力情報以外の特徴や条件が反映されない
マンションのAI査定は入力情報を基に査定を行うため、入力情報以外の特徴や条件が査定価格に反映されません。例えば、部屋の状態やリフォームの有無などの要素は査定に影響しないことになります。
そのため、AI査定で算出した査定価格は、実際に不動産会社が査定した場合とのブレが大きいケースもあります。マンション売却を具体的に検討しているのであれば、不動産一括査定サービスなどを利用して不動産会社に査定を依頼するようにしましょう。
サービスごとに精度が異なる
マンションのAI査定は、サービスを運営している会社がこれまで蓄積してきた膨大な取引事例や、独自のAIを使って査定価格を算出するため、サービスごとに精度が異なります。
マンションのAI査定を利用する際は、精度にばらつきがあることを理解して、おおまかな売却相場を把握するツールとして利用すると良いでしょう。
【あわせて読みたい】
▶︎マンション査定前にやるべき事前準備は？必要書類や評価のポイントも
訪問査定ほどの精度はない
AI査定は、不動産会社の担当者が現地で行う訪問査定ほどの精度はない点に注意が必要です。
AI査定は、あくまで過去の取引事例などのデータをもとに査定額を算出しているため、マンションの日当たりやリフォーム歴など、個別の事情を考慮できません。
そのためAI査定で算出された価格は、概算と考えておきましょう。実際に売却を考えていて、より精度の高い査定を依頼したい場合は、不動産会社の訪問査定を選ぶことをおすすめします。
マンションのAI査定でシミュレーションする手順
ここでは、マンションのAI査定を利用して実際にシミュレーションする手順を紹介します。
なお、手順はLIFULL HOME’Sが実際に運用しているマンションAI査定サービス『プライスマップ』をもとに解説します。ここで紹介するシミュレーションの手順は、あくまでプライスマップのものであり、ほかのサイトでは進め方が異なる点に注意してください。
プライスマップでは、具体的に以下の手順でシミュレーションを行います。
- マンション名・駅名・住所などから対象のマンションを探す
- 階数・専有面積・間取りを入力する
- 対象住戸の参考価格や坪単価を把握する
- 不動産会社に査定を依頼する（売却に進む場合）
複数の検索方法から、AI査定を受けたいマンションを探しましょう。地図上で探すことができる点がプライスマップの特徴の一つです。そして、階数や専有面積、間取りなどを入力すれば参考価格が分かります。
参考価格以外にも、坪単価や参考賃料なども把握することが可能です。過去に掲載した住戸の参考情報なども表示されるため、売却の参考になるでしょう。もし、具体的に売却に進む場合は、追加で必要情報を入力し、査定を依頼したい不動産会社を選び送信します。
マンションのAI査定に適している不動産（物件）の特徴
マンションのAI査定に適している不動産（物件）の特徴は、主に以下の3つが挙げられます。
- リフォームしていないマンション
- 取引事例の多い大規模なマンション
- 築10年を超えているマンション
リフォームしていないマンション
一般的に、リフォームしていないマンションはAI査定が適しています。
リフォームの有無は、マンションの売却価格に大きく影響します。リフォームすることで物件の価値が高まり、査定価格が相場よりも高くなるケースもありますが、これらの事情はAI査定では反映されにくいと考えられます。
そのため、リフォームをしているマンションの場合は、AI査定ではなく不動産一括査定サービスなどを利用して、不動産会社にリフォームを考慮した査定を行ってもらうと良いでしょう。
【あわせて読みたい】
▶︎ペットの飼育はマンションの査定額に影響する？ リフォームの必要性と不動産会社を選ぶコツ
取引事例の多い大規模なマンション
マンションのAI査定は、過去の取引事例などのデータが多いと精度が高くなります。そのため、取引事例の多い大規模なマンションの場合は、AI査定でも実際の売却価格に近い査定価格の算出が見込めます。
一方で、取引事例の少ないマンションの場合は、データが少ないため精度のブレが大きくなる可能性がある点に注意が必要です。
築10年を超えているマンション
築10年を超えているマンションは、同じマンション内の他物件で取引事例があるケースが多く、AI査定の精度が高くなる傾向があります。
一方で、築10年以下のマンションは、一般的に取引事例が少ないケースが多いため、AI査定の精度が低くなりやすいと考えられます。
【あわせて読みたい】
▶︎マンション査定の方法は？計算方法や流れ・査定額に影響するポイントも解説
マンションにおすすめなAI査定サイト3選
ここまでマンションのAI査定のメリットや注意点を紹介しましたが、以下では実際にAI査定ができるサイトを3つ紹介します。
- プライスマップ（LIFULL HOME'S）
- IESHIL（イエシル）
- HowMa（ハウマ）
プライスマップ（LIFULL HOME'S）
| 基本情報 | |
| サイト名 | プライスマップ |
| 対象物件 | マンション |
| 対象エリア | 全国47都道府県 |
| 会員登録 | 不要 |
| 物件情報 | 約620万戸（2023年5月時点） |
| 特徴 | マンションの参考価格を地図上に表示できる |
プライスマップは、LIFULL HOME’Sが提供しているAI査定サービスで、以下の情報を基に不動産の参考価格や坪単価を地図上で簡単に調べることができます。
- 住所
- 駅名
- マンション名
- 地域
マンションやエリアの価格相場も把握できるため、おおまかな売却相場を知るには最適のツールの一つと言えるでしょう。
プライスマップ（LIFULL HOME'S）の口コミ・評判
ここでは、プライスマップ（LIFULL HOME'S）の口コミ・評判を紹介します。SNSを調べたところ、以下のような口コミがありました。
ホームズのプライスマップも便利。スペックを入れて賃貸相場や売買相場を地図上で見れる。
※引用元：X（旧Twitter）
上記は、プライスマップを実際に利用した人の投稿です。売買や賃貸相場が簡単に調べられて、満足されている様子が分かります。また、プライスマップは相場を地図上で可視化できるので、周辺の物件と比較できる点も大きな特長です。
ホームズのプライスマップを見てると時間が溶けていく…
※引用元：X（旧Twitter）
上記は、プライスマップでさまざまなマンションを調べている人の投稿です。使い勝手が良く、長時間利用している様子が分かります。
IESHIL（イエシル）
| 基本情報 | |
| サイト名 | IESHIL |
| 対象物件 | マンション |
| 対象エリア | 首都圏（東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県） |
| 会員登録 | 基本不要（一部の機能は必要） |
| 物件情報 | 約29万戸（2023年5月時点） |
| 特徴 | 専任アドバイザーとの無料相談が可能 |
IESHIL（イエシル）は、首都圏のマンション売却を検討している人向けのAI査定サービスです。以下のような項目を軸として、物件を多角的かつ客観的に査定価格を算出しています。
- 資産価値
- 利便性
- 治安
- 地盤
- 子育て環境
専任アドバイザーと無料でオンライン面談でき、不動産会社に行く前の不安を解決できるでしょう。
IESHIL（イエシル）は、匿名かつ会員登録不要で利用できます。AIによるリアルタイムの査定価格は、マンション名を入力するだけで誰でも簡単に調べられます。
なお、会員登録すると、売却価格の詳細や間取り別の相場などを知ることも可能です。本格的に売却を考えている場合は、会員登録するのも良いでしょう。
【あわせて読みたい】
▶︎イエシル（IESHIL）の評判・口コミは？メリット・デメリットも紹介
HowMa（ハウマ）
| 基本情報 | |
| サイト名 | HowMa |
| 対象物件 | 一戸建て・マンション |
| 対象エリア | 全国47都道府県 |
| 会員登録 | 必要 |
| 物件情報 | 非公表 |
| 特徴 | AI査定とプロのコラボ査定の依頼が可能 |
HowMa（ハウマ）は、売却価格を戦略的に設定するために、AI技術と不動産会社のプロ目線によるコラボ査定によって、チャレンジ価格と安全価格の2つの価格を算出できます。
2つの価格と相場が把握でき、納得のいく売出し価格を決められるのが特徴です。
HowMa（ハウマ）のAI査定は、匿名で利用できます。ただし、会員登録するためにはメールアドレスのみ入力する必要があります。なお、プロの目線で査定を行うコラボ査定は、不動産会社に個人情報を提供しなければなりません。
【あわせて読みたい】
▶︎AI不動産査定HowMa（ハウマ）の評判・口コミは？メリットも紹介
マンション売却を検討するなら不動産一括査定がおすすめ
ここまでマンションのAI査定について解説しましたが、マンションの売却を具体的に検討している場合は、AI査定ではなく不動産一括査定がおすすめです。
先述した内容もふまえて、AI査定と不動産一括査定それぞれのメリット・デメリットを以下にまとめました。
| 査定方法 | AI査定 | 不動産一括査定 |
| メリット | ● 匿名で手軽に利用できる ● 査定結果が短時間で分かる ● 売却以外の目的でも利用できる ● 売却価格の相場を把握できる ● 一度に複数の不動産会社に査定を依頼できる |
● 売却価格の相場を把握できる ● 一度に複数の不動産会社に査定を依頼できる |
| デメリット | ● 不動産会社選びの目的では利用できない ● 入力情報以外の特徴や条件が反映されない ● サービスごとに精度が異なる | ● 依頼した不動産会社からの連絡に対応する必要がある |
AI査定は、短時間で手軽におおまかな査定価格を把握できるのが特徴です。しかし、精度にはブレがあることを理解しておきましょう。
不動産一括査定では、実際に不動産会社にマンションの調査などをしてもらったうえで査定価格を算出してもらえます。そのため、AI査定よりも正確な査定価格が分かります。
マンションのAI査定に関するよくある質問
最後に、マンションのAI査定に関するよくある質問をまとめました。
- マンションのAI査定は登録不要？
- マンション査定だけ依頼することは可能？
- マンション査定シミュレーションとAI査定の違いは？
マンションのAI査定は登録不要？
マンションのAI査定を提供しているサイトは様々です。
その中には、会員登録が不要かつ無料で使えるサイトも多くなっています。匿名で手軽にマンションのAI査定ができるため、使い勝手が良いでしょう。
マンション査定だけ依頼することは可能？
マンションのAI査定は、査定だけの依頼も可能です。
売却以外の目的でも気軽にマンションを査定できるのが、AI査定の特徴です。しかし、精度にブレがあるため、おおまかな売却価格の目安程度に考えるのが良いでしょう。
より具体的な売却価格を知りたい場合には、前述したように、一括査定サービスを利用して不動産会社に査定を依頼することをおすすめします。
マンション査定シミュレーションとAI査定の違いは？
一般的にマンション査定シミュレーションとAI査定は、どちらもAIが価格を算出するため大きな違いはありません。
LIFULL HOME’Sではプライスマップのほかにも、Web上でマンションの価格を簡単に調べられるマンション査定シミュレーションを提供しています。以下の情報を入力するだけで、参考価格を算出できます。
- マンション名
- 所在階
- 専有面積
- 間取り
参考価格を把握したうえで、実際にいくらで売れるか知りたい場合は、そのまま情報を追加入力することで、不動産会社に査定を依頼できます。
マンション査定シミュレーションは、無料で利用でき、個人情報の登録も不要です。シミュレーションによって売却の意思が固まったら、一括査定で複数社に依頼することをおすすめします。
【あわせて読みたい】
▶︎マンション査定のシミュレーションとは？ メリット・デメリットと効果的な活用方法
マンションAI査定の仕組みを把握しよう
マンションのAI査定は、匿名かつ無料で査定価格を把握できる便利なサービスです。査定結果が短時間で分かり、不動産会社の担当者とのやり取りも不要です。
一方、サービスによって精度が異なり、日当たりやリフォーム歴など個別の事情は考慮されません。そのため、不動産会社による訪問査定ほどの精度はないことを押さえておきましょう。
AI査定に適しているマンションの特徴としては、リフォームしていない物件や、築10年を経過した物件などが挙げられます。自分の物件を確認して、適している場合はAI査定を有効に活用しましょう。なお、具体的にマンションの売却を検討している人は、最終的には不動産会社への査定依頼が必要になります。
LIFULL HOME’Sでは、一度の入力で複数社にマンションの査定を依頼できる一括査定サービスを提供しています。不動産会社の情報を豊富に掲載しており、それぞれの特色や強みなどもWeb上で確認できます。マンション売却を具体的に検討している人は、LIFULL HOME’Sの不動産一括査定をぜひご利用ください。
記事執筆・監修
矢野 秀一郎（やの しゅういちろう）
不動産会社で2社勤務。1社目では時間貸駐車場の開発営業を中心に携わり、2社目では不動産売買の仲介営業や、一戸建ての分譲工事のプロジェクト、および新築・リフォーム工事の現場監督など、幅広く業務を担当。現在はフリーのライターとして不動産や金融に関する内容を中心にライティング・記事監修を実施。
