URが子育て世帯に向けた支援策を続々提供

UR団地は、敷地にゆとりがあって緑も多い。子育てをするには適した環境だUR団地は、敷地にゆとりがあって緑も多い。子育てをするには適した環境だ

無印良品と提携して団地のリノベーションを行ったり、古い団地をサービス付き高齢者向け住宅に生まれ変わらせるなど、“団地”の概念を大きく変えているUR(独立行政法人都市再生機構)。こうした取り組みを目にした方も多いと思うが、URが昨年から若い世代に向けた様々な支援制度を打ち出しているのをご存じだろうか?

例えば、子育て世代に向けて、家賃の上限20%を減額する「子育て割」がその一つ。このほか、同じ子育て世代に向けた制度でも資格条件の枠を広げた「そのママ割。」や29歳以下を対象に定期借家契約でお得な家賃を実現する「U29割」など、様々なパターンで支援制度を取り揃えている。

今回は、子育て世帯、若い世代が賢く活用したい、URの支援制度をご紹介しよう。

もともと子育てに適しているUR団地

お話を伺ったUR 住宅経営部 営業推進チーム 主幹の岩田雅人氏お話を伺ったUR 住宅経営部 営業推進チーム 主幹の岩田雅人氏

今回お話を伺ったのは、UR 住宅経営部 営業推進チーム 主幹の岩田雅人氏。岩田氏によると、そもそもURの物件というのは子育てに適した環境が整っているという。

「URの団地というのは、敷地ギリギリに建物を建てることなく、いまでは贅沢ともいえるほどにゆとりを持って作られています。そのため緑も多く、大人の目の届く範囲で子供たちが遊べる場所が沢山あります。また、子育て関連施設の積極的な誘致も行っていますので敷地内に保育園や幼稚園があったり、学童施設や小児科、子育てサロンがあったりと子供を育てるには良い環境が揃っています」(岩田氏)

しかし、昭和30年代からの高度成長期に登場した団地の宿命、近年では入居者の高齢化が目立ってきている。せっかく子育てに適した環境が整っているのに、なかなかその点が住まい手に伝わっていないジレンマがあるそうだ。そこでURが整備してきたのが子育て世帯や若い世帯を誘致する支援制度だ。

最長6年、家賃を最大20%減額する「子育て割」

では、まず今回の目玉の制度ともいえる「子育て割」についてみていこう。これは、次の条件をクリアする子育て世帯に対し、最長6年間、家賃を最大20%(減額上限25000円)減額するというものだ。

≪子育て割の減額要件≫
1. 同居者に小学校修了前の子供がいる、もしくは18歳未満の子供が3人いること
2. 世帯所得合計が月21万4千円以下(4人家族で年収約530万円以下)

全国192団地(2014年9月1日現在)が対象となり、この7月から募集を開始している。例えば東京都西東京市にある「プロムナード東伏見」の物件を例にとってみると、3階にある2LDK(66m2)の家賃が124,700円。子育て割を活用し、減額条件最大金額25,000円が割引となれば99,700円まで家賃が下がることになる。子供が未就学児であれば丸々6年間適用できることになり、6年間での割引額は最大180万円。なかなか見過ごせない金額だ。

「ただし、こちらは減額分の半分を国が負担するもので、それだけに減額要件も所得制限などがあり厳しめと言えます。また子供が小学校を過ぎてしまうと対象にならないのも一つのハードルです。この少子化の時代に18歳未満の子供が3人というのもクリアできる人は限られてしまうでしょう。そこで、もURが独自制度として、入居条件を広げているのが『そのママ割。』という制度です」(岩田氏)

「そのママ割。」は定期借家契約として契約期間を3年間に限定する代わりに、家賃を安く設定するというもの。東京・神奈川県下の123団地で制度を適応、だいたいの物件で正規家賃の20%、都市部では10%ほど賃料が安くなるという。制度利用の資格は通常のURの入居条件のほかには、18歳未満の子供がいることのみ。かなり適用の範囲は広がる。

「そのママ割。」はすでに2013年9月からスタートした制度だが、今年2014年の3月末までに376件の契約があり、利用が進んでいる。

URが打ち出す支援制度。「子育て割」を中心に、対象世帯を広げる「そのママ割。」、子育て予備軍を支援する「U29割」を揃えるURが打ち出す支援制度。「子育て割」を中心に、対象世帯を広げる「そのママ割。」、子育て予備軍を支援する「U29割」を揃える

「そのママ割。」「U29割」、近居促進制度で子育て世帯を総合的にサポート

また、URが進めるのは、子育て世帯への直接的な働きかけだけではない。子育て予備軍とされる若年世帯に向けても支援制度の門戸を開こうとしている。2014年9月から始まる「U29割」と呼ばれる制度では、29歳以下の契約者を対象に、お得な家賃を提供するもの。「そのママ割。」と同じしくみで、3年間の定期借家契約により、通常の10%~20%お得な家賃で入居することが可能だ。こちらは全国約289団地で展開される予定だ。

さらに、URでは「近居促進制度」なるものも打ち出している。これは既にUR物件に住んでいる子育て世帯や高齢者世帯をサポートする親族世帯が、新たに近くのUR物件に入居する場合に5年間5%の家賃割引を適用するというものだ。

例えば、もともと自分の親たちが住んでいる団地の近くに、子育て世帯である自分たちが移り住む。最近は共働きの家庭も増え、子供が小さいうちは、おじいちゃん・おばあちゃんの助けがあると心強いものだ。2013年9月から開始された制度だが、制度も浸透してきたとみえて今年7月には、月間の利用実績が232件を記録したという。

近居促進制度活用イメージ。近居促進制度は子育て世帯の近くへ祖父母世帯が越してくることでも利用できるが、逆に祖父母世帯の近くへ子供世帯が越す形でも利用できる近居促進制度活用イメージ。近居促進制度は子育て世帯の近くへ祖父母世帯が越してくることでも利用できるが、逆に祖父母世帯の近くへ子供世帯が越す形でも利用できる

目指すのは「ミクストコミュニティ」

こうした子育て世帯など若い世代にURがアピールするのは「ミクストコミュニティ」、つまり多世代共生のコミュニティの再構築を目指しているからだと岩田氏は説明する。

「昔の団地というのは様々な世代が集まり、賑わいがありました。コミュニティの重要性が見直される中で、もう一度URもそうした多世代共生の場にしたい。単に家賃を下げる制度を整えているわけではありません。その裏には、よりより地域社会を形成できるようなコミュニティ作りへの想いがあるのです」(岩田氏)

もともと、UR物件は礼金や仲介手数料、更新料などが不要で長期的に見れば賃貸物件としてコストメリットが高いものだ。そこにこうした制度を活用できれば、子育て世代にとってさらなるメリットが生まれる。

子育てをしていると、本当に地域の力というかコミュニティの重要性を痛感することが多い。コストメリットもさることながら、子育て関連施設の積極的な誘致など、子育てをサポートする環境が揃わっていることは重要。子育て世代の住まい選びの際には、団地というのもよい選択肢の一つになるだろう。

■関連リンク
コソダテUR   http://www.ur-net.go.jp/kosodate-net/
そのママ割    http://www.ur-net.go.jp/akiya/tokyo/sonomama/
プレスリリース http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000010500.html

2014年 08月30日 13時04分