「無料で壁紙を選べる!」サービスが、部屋の決定を後押し

賃貸住宅は、いいかえれば既製服。「家に合わせて暮らす」という点は割り切りが必要なのだけれど、もし自分好みの壁紙を選べるとしたら? ちょっとワクワクしてこないだろうか?

愛知県住宅供給公社では、2014年1月から、壁紙が選べるプチリノベーション賃貸「プチリノ」を3住宅(現在は5住宅)でスタート。LDKまたは洋室のどちらか1室と、トイレという限定で、インテリアコーディネーターが選んだ35種類の壁紙から、お気に入りを選ぶことができる。

このサービスを始めて、「昨年比で入居率が上がった」と担当者は自信を見せる。そこで今回は、「プチリノ」入居第1号となったTさん家族に、「プチリノ」を選んだきっかけを伺ってみることにした。

「子どもの通学を考えて家探しをしていたところ、友人からこちらの住まいを紹介されたんです。実際に見学して広さや間取りが気に入ったのですが、さらに『無料で壁紙を選べるキャンペーンがある』と聞いて、コレはいい!と確信しましたね(笑)」(Tさん)

「壁紙が選べる」というサービスが、少なからず「住まい決定の後押し」となったとTさんは笑顔で話す。では実際に利用してみて「プチリノ」の住み心地はどうなのだろうか? Tさん家族の声を聞いてきた。

▲「プチリノ」を一番最初に利用したTさん家族。後ろの壁はTさんの奥様が選んだゴールドの壁紙があしらわれ、LD空間がぐっと華やかになった▲「プチリノ」を一番最初に利用したTさん家族。後ろの壁はTさんの奥様が選んだゴールドの壁紙があしらわれ、LD空間がぐっと華やかになった

「賃貸だから冒険できる!」。あえて派手な柄を選んで満足

今回の入居にあたり、Tさん家族はLDKとトイレの壁紙を「プチリノ」することにした。

「プチリノ第1号ということもあり、公社の方が『ゆっくり選んでください』と言って20センチ四方くらいの壁紙見本をすべて渡してくれました。見本を家に持ち帰り、家族で『ああでもない、こうでもない』と相当悩みましたね。友人に写メを送って、意見を聞いたりもしました」(Tさんの奥さん)

なかなか決められないため、奥さんはリビング、旦那さんはトイレと壁紙選びを分担することに。そこで奥さんがリビングの壁紙として選んだのは、大胆なゴールドのペイズリー柄!

「見本で『これはゴージャスすぎるかな』と思ったんですが、『賃貸だから冒険しよう!』と思ったんです。実際に貼ってみたら、上品な雰囲気になり、広さも感じられて大満足。壁紙を貼る業者の方にも『最初はどんな仕上がりになるんだろうと思っていましたが、貼ってみたら素敵ですね』と褒められました(笑)」(Tさんの奥さん)

またゴールドの壁紙に合わせて、ガラス製のペンダントライトを購入。「夜になると、壁紙に光がきらきら反射してきれいなんです」とTさんの奥さんは話す。プチリノによって、ぐっと愛着の増す空間になったようだ。

「お気に入りのインテリアになるのはもちろん幸せですが、何より家族で壁紙を選ぶ時間が、本当に楽しかったです。子どもたちに聞くと『リビングはもっとかわいい色がよかった』『トイレは派手な色でもよかったのに』など、いろんな意見があるようで(笑)。有料でもいいから、子どもたちにも自分の部屋の壁紙を選ばせたくなりましたね」(Tさん)

賃貸だからこそ、自分らしさを大胆に加えてみる。壁紙だけという小さなリノベ―ション以上の満足感が、Tさん家族から伝わってきた。

▲旦那さんが選んだトイレの壁紙は、やさしい水色のドット柄。「もう少し冒険してもよかったかな」とにっこり。工期は1日で済んだとか▲旦那さんが選んだトイレの壁紙は、やさしい水色のドット柄。「もう少し冒険してもよかったかな」とにっこり。工期は1日で済んだとか

10月から、壁の塗装や床タイルも選べる「デコリノ」が新登場!

▲「デコリノ」は、壁の塗装や床のタイル、壁紙が選べる。水回りもこんなにおしゃれ!(写真は長戸住宅のモデルルーム)▲「デコリノ」は、壁の塗装や床のタイル、壁紙が選べる。水回りもこんなにおしゃれ!(写真は長戸住宅のモデルルーム)

壁紙だけでも満足度がぐっと高まる、プチリノベーション賃貸。さらに、愛知県住宅供給公社では、「プチ」にとどまらない、フルリノベーション賃貸「デコリノ」を2014年10月からスタートさせた。

「デコリノ」は、名古屋市昭和区にある「長戸住宅」の3戸のみの展開。
和室2間と洋間、8畳のDKというレトロな間取りを、「カウンターキッチンのある2LDK」という今ドキの生活様式に合わせた間取りに一新。さらに「プチリノ」と同じく、壁や床の柄を選んで、自分好みに“デコ”ることができる!

【デコリノでできる自分仕様】
(1) リビングの1面の壁は、3色から塗装が選べて、壁に雑貨を飾る棚を造作。
(2) キッチンを除く床は、4色の木目調タイルからセレクト
(3) 洋室1か2、トイレは、35種類から好きな壁紙をセレクト

玄関や廊下も、コンクリートをむき出しにしたモダンな雰囲気になっていて、住戸内にいると昭和61年完成の住宅という雰囲気はみじんも感じさせない。
「立地がいいのですぐ埋まるのでは、と期待しています」と担当者は話す。

ちなみに「デコリノ」は、入居申し込みをしてからリノベーション工事が行われ、原状復帰は不要。家賃は通常より1900円アップだとか。前出のTさんが話すように「賃貸だからこそ冒険したい!」という入居者の心をぐっとつかみそうだ。

「プチリノ」「カフェリノ」「デコリノ」。若い世代への認知を目指して

▲「デコリノ」のLDK。コンクリートむき出しの天井と壁の塗装がマッチ。キッチンカウンターのニッチには、モザイクタイルもあしらわれている。(写真は長戸住宅のモデルルーム)▲「デコリノ」のLDK。コンクリートむき出しの天井と壁の塗装がマッチ。キッチンカウンターのニッチには、モザイクタイルもあしらわれている。(写真は長戸住宅のモデルルーム)

公的賃貸住宅というと、最初に思うイメージは「安心感」であり、高い仕様やインテリア性を求めて入居する人は少ないと思う。そんな中で、「愛知県住宅供給公社」という公的賃貸住宅が、デザイン性を高めたリノベーション賃貸を手掛けているのは、全国的にも珍しい事例なのだとか。

同社が打ち出してくる一手は、壁紙リノベーションの「プチリノ」、カフェ風空間へ一新する「カフェリノ」、そして今回紹介した「デコリノ」と、どれも女性好みのかわいらしいものばかり。これらは「若い人にもっと認知してほしい」という空き室対策の一つ。

「古い住宅の中には、水栓をひねればお湯が出る『3カ所給湯』などの、今や当たり前と思われる設備がない住宅もあり、民間の賃貸と対抗できなくなってきています。そこでリノベーションで、設備だけでなく間取りやインテリアも一新して、付加価値をプラスしたいと思っています」(愛知県住宅供給公社 山中さん)

空き家対策、そして若い世代の取り込みに、本腰を入れ始めた同社。時代のニーズ「リノベーション」を取り入れたアイデア賃貸が、今後ますます増えていきそうだ。「冒険心」をくすぐる斬新なアイデアに、今後も注目してみたい。

■取材協力/愛知県住宅供給公社

2014年 10月14日 11時16分