改正予定の土地基本法では所有者の責務についての言及も検討されている

国土交通省は、毎年10月を「土地月間」、10月1日を「土地の日」と定め、土地に関する基本理念の普及を目的に、啓発活動や全国各地での講演会などを行っている。

人口減少時代にあるいま、空き地や空き家の増加は深刻さを増している。全国の空き地は、2003年から2013年の10年間にかけて1.4倍に増加。同様に、別荘などの二次的住宅や賃貸用・売却用の住宅を除いた「その他の住宅」の空き家も1.5倍に増加している。所有者が判明しない、または判明しても所有者と連絡がつかない土地、いわゆる「所有者不明の土地」も全国的に増えている。昨今の動きとしては、所有者不明の土地の利用の円滑化を講じるため、「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が2019年6月に施行。これにより、都道府県知事の判断で最長10年間の「利用権」を設定し、公園や仮設道路、文化施設など公益目的で利用することができるようになった。

同法により、公共的な目的での利用促進を図る制度は確立したが、そもそもの所有者不明土地問題が根本的に解消するものではないとして、国土交通省は土地基本法などの改正を進めている。土地基本法は、バブル経済期の平成元(1989)年に地価高騰における投機的取引の抑制を背景に制定され、積極的な土地活用が期待できない現状においてどのような規律が求められるか明確な規定がなされていない。2019年2月に発表された国土審議会土地政策分科会特別部会とりまとめ(案)には、

・所有者が土地の利用・管理について第一次的な責務を負うこと
・所有者による土地の利用・管理が困難な場合に近隣住民、地域コミュニティなどが行う利用・管理には公益性があり、そのために所有権は制限され得ること
・国、地方公共団体は、利用・管理の促進策やその法的障害の解消のための施策を講じるべきであること

が盛り込まれた。今後、所有者の責務としては、土地の利用を促す措置、行政指導や管理委託の斡旋など、所有者に管理を促す措置を講じることが同法により求められる可能性がある。国土交通省は、今後、更に検討を進め2020年までに土地基本法などの改正に取り組むとしている。

LIFULL HOME'S PRESSでは、これまで所有者不明の土地や、都市のスポンジ化などについて記事にしてきた。土地月間にちなんで一部の記事をご紹介したい。

空き地・空き家の増加の状況。国土交通省 平成30年度 土地に関する動向を参照して作成空き地・空き家の増加の状況。国土交通省 平成30年度 土地に関する動向を参照して作成

2019年 10月08日 11時00分