次々と明るみに出た【フラット35】の不正利用

第三者へ賃貸する目的で投資用物件の資金調達のために利用していることが判明した場合、借入金額の一括返済を求められる可能性がある第三者へ賃貸する目的で投資用物件の資金調達のために利用していることが判明した場合、借入金額の一括返済を求められる可能性がある

2019年は、9月に【フラット35】の金利(※1)が1.11%となるなど過去最低水準を持続した。同時に、住宅ローンに関する不正利用が次々と明るみに出た年でもあった。住宅ローン使途の大原則は、自ら所有し自ら居住する住宅購入資金であるが、【フラット35】においても100件を超え
る不正利用が発覚し、その多くが投資用物件への不正利用だった。不正利用が横行するほど住宅ローンの金利が低く、固定金利型の住宅ローンが魅力的だということだろう。

不正利用の中身を見ると、不動産会社や金融機関が価格や年収等の書類を改ざんして正規契約と見せかけるケースや、申込本人と結託して不正に申し込むケースなどがある。「リスクの無い不動産投資だと勧誘を受けた」とは申込者の弁だが、うまい話はそうそう簡単には転がっていないし、借りられればよいという安易な考えはいただけない。不正に携わった人物や会社がペナルティを受けるのは当然だが、住宅ローンの不正利用者は一括返済が求められる。

手元資金で返済できなければ、新たに借入れをするか不動産の売却だ。売却代金で完済できなければ残債は残ったまま。多重債務の負のスパイラルに陥る可能性も大きい。借入れの当事者である住宅購入者は、会社に任せきりにせず住宅ローンの基本知識を知って、不正利用の片棒を担がないようにしたい。

「自ら所有・自ら居住」が原則の住宅ローンだが、【フラット35】はセカンドハウスの購入に利用できることをご存じだろうか。あわせて、本人が居住せず親や子が住むために資金を借り入れることも可能だ。みていこう。

※1【フラット35】(新機構団信付き):融資率9割以下、借入期間が21年以上35年以下の場合で取扱金融機関が提供する最も低い金利

「自ら居住」の原則以外に利用できる【フラット35】

セカンドハウス(イメージ)セカンドハウス(イメージ)

多数の不正利用が発覚してから、「住宅ローンの審査が厳しくなった」という話をよく聞く。【フラット35】のホームページを見ると、ページの目立つ位置に「【フラット35】は投資用物件の取得資金にはご利用いただけません。外国籍の方が【フラット35】をお申込みになる場合は「永住者」または「特別永住者」の資格が必要です」と注意書きがある。「永住者」等の資格がない外国籍の人の不正利用も問題となった。

【フラット35】のホームページには、「生活の拠点としている現在のお住まいの他に、週末などにご自分でご利用(居住)する住宅を取得する際にもフラット35がご利用いただけます」と資金使途がセカンドハウス取得の場合も利用可能だと記されている。融資額や融資期間等の利用条件は、自ら居住する住宅取得と同じだ(ただし、金融機関によって取り扱いが無い場合もあり)。

セカンドハウス取得に係る利用時の注意点

前項のとおり利用条件は通常の場合と同じなのだが、注意したい点がある。それは、住宅ローン控除の対象とならないこと。「そりゃそうだろう」と言ってくださる方も多いだろうが、利用可能だと思い込んでいると落胆が大きいに違いない。

さらに、2020年4月1日以降の借入申込み受付分から、【フラット35】を返済中の場合はセカンドハウス購入のための借入れができなくなる。二重借入れ禁止というわけだ。なお、【フラット35】を利用中のセカンドハウスを第三者に賃貸することはできない。すでに述べた自ら居住の場合と同じく、賃貸した場合は借入額の全額を一括返済することとなる。

フラット35パンフレットのQAより抜粋
https://my.ebook5.net/jhf_go_jp/flat35/#フラット35パンフレットのQAより抜粋 https://my.ebook5.net/jhf_go_jp/flat35/#

自らは居住せず、親や子のための住宅購入・建設資金として利用

【フラット35】では、親族居住用住宅の購入や建設資金としての利用が可能だ。親族居住用住宅には、「親入居型」と「子入居型」の2つがある。違いは入居者の条件である(下記参照)。

〖入居者の条件〗
親入居型:申込本人またはその配偶者の父母や祖父母など
※直系尊属がいない場合は、おじ・おばや兄姉も対象。
子入居型:申込本人またはその配偶者の子や孫など(その配偶者も含みます)
     ※直系卑属がいない場合は、おい・めい、弟妹も対象。

また、以下の条件をすべて満たす入居者などとの収入合算が可能である。

〖収入合算できる人の条件〗
(1)申込み時の年齢が70歳未満である者
(2)連帯債務者
(3)次の条件のいずれかに該当する者
申込人の親、子、配偶者などで申込人と同居する者
融資対象住宅に入居する者(親子リレー返済を利用する場合は後継者になる人の入居を問わない)

親や子が住むための住宅の購入や建設にあたっては、本人が住宅ローンを借入れし、頭金を親や子が提供するケースも考えられる。その際、融資対象住宅は本人と親または子との共有名義となり、拠出金に応じた持分割合を設定することになる。共有者の持分にも住宅金融支援機構の抵当権が設定されることは注意しておきたい。

住宅ローンの借入れにあたっては、今後も厳正な審査が行われるだろう。金融機関や住宅ローンの融資条件を事前に確認し、自身の希望条件にもっとも適合する住宅ローンを利用したい。提示された住宅ローンを安易に利用せず、的確な情報収集と比較検討の上、住宅ローンの最適化を目指してほしい。

【フラット35】 親族居住用住宅のお申込みについて

https://www.flat35.com/kaitei/shinzoku.html

フラット35ホームページ「親族居住用住宅のお申込みについて」より「ご親族の範囲」https://www.flat35.com/kaitei/shinzoku.htmlフラット35ホームページ「親族居住用住宅のお申込みについて」より「ご親族の範囲」https://www.flat35.com/kaitei/shinzoku.html

2020年 04月09日 11時05分