コンクリートの上に基礎パッキンを配置、床下の通風を確保

コンクリートと木部の間に見える黒いものが基礎パッキン。間に空気を通す隙間があるのが分かるコンクリートと木部の間に見える黒いものが基礎パッキン。間に空気を通す隙間があるのが分かる

基礎が完成したら、続いて上棟工事と言われる床、柱を作って家の骨組みを作る作業に入る。まず行われるのは基礎の立ち上がりの上に基礎パッキンと呼ばれる樹脂製で基礎と土台を直接触れないようにすることで、腐朽菌やシロアリなどの被害を防ぎ、建物の耐久性を高める材料を配置する作業。通気タイプと気密タイプがあり、今回の建物には気密タイプを採用。基礎内部の気密性を高めて居室と同じ環境を作り出し、機械式換気扇と併用することで、カビの発生や結露を防ぐ工法となっている。

基礎パッキン配置後、続いて行われるのは土台の敷き込み。Hさん宅の現場では耐腐朽性が高いといわれる米ヒバの集成材が使用されている。米ヒバはアメリカの南部アラスカからカナダのブリティッシュ・コロンビア州の海岸地方一帯、アメリカのワシントン州に分布している樹木で、香りが青森産のヒバに似ているため、米ヒバと呼ばれているものの、実は檜の類。そのため、檜同様湿気に強く、シロアリに対しても抵抗力があると、近年住宅で多く使用されている。

土台を敷き込み、ボルトで締め付け、床を張る

写真左、コンクリートの立ち上がりがない部分の木材を支えているのが鋼製の束と呼ばれるもの写真左、コンクリートの立ち上がりがない部分の木材を支えているのが鋼製の束と呼ばれるもの

ところでコンクリートの基礎に立ち上がり部分がある場所は、そこに基礎パッキンが乗り、さらに木の土台が乗るわけだが、部屋の中央部などには立ち上がり部分がない。そのままで、土台を作ると、部屋の中央部などは下から支えられていないことになり、弱くなってしまう。そこで、束(つか)と呼ばれる短い柱状のものを立て、そこに大引きと呼ばれる木材を渡した上で、土台を作ることになる。1階の床下に立てられるものを床束といい、木材が使われることも多いそうだが、Hさん宅の現場では強度、メンテナンスのしやすさを重視、鋼製の床束が使用されている。

また、鋼製の束の取り付けには接着剤が使われることもあるものの、Hさん宅を施工した会社では天候に関わらず施工できるよう、ホールアンカーと呼ばれる金物を使用している。こうした金具で、束と大引きをきちんと留め付けておけば、床鳴り(きしんで音が発生すること)が少なくなる効果もあるそうだ。

続いて大引きの上に床を貼るための下地として、大引きと直行方向に根太(ねだ)が渡される。非常に簡単に言うと、大引きと呼ばれる太い木材を平行に、等間隔に渡した上に、それよりも細い根太と呼ばれる木材を垂直に、等間隔に渡すことで、その上に床を載せても大丈夫な状態を作るということである。

たった2日で建物の骨組みが完成!

1階の柱が建ったところ。柱にはひとつひとつ、場所を示す印があり、職人さんはそれを見ながら作業する1階の柱が建ったところ。柱にはひとつひとつ、場所を示す印があり、職人さんはそれを見ながら作業する

次は床を作る作業である。ここで使われた下地材は厚さ24ミリの構造合板(床暖房敷設部分、和室部分は12ミリ)。床がしっかりしていないと、揺れなどに対して脆くなり、床から崩れてしまうことにもなりかねないため、木造住宅でも床の厚さはポイントのひとつだ。1階の床を貼ると、そこにブルーシートを覆って保護する。実際にはこの上に床材が貼られるわけだが、それでも躯体に傷をつけない、汚さないようにという配慮である。

続いては柱建て。柱、梁はあらかじめ、工場でプレカットされた状態で搬入され、現場ではそれを決められた位置に設置して組み上げていく作業が行われる。柱、梁には素人が見ても何を意味するか分からない印が付けられており、職人さんたちはそれを確認しながら、的確な位置に材料を運ぶ。作業は無言で黙々と進み、あっという間に1階の柱が建ち、続いては2階の床が貼られていく。床が終わったら、次は2階の柱。そして屋根。この作業が始まったのは2014年1月15日で、終わったのは16日。わずか2日で建物の骨組みが出来上がってしまうわけで、率直なところ、その早さには驚いた。ただ、これができるのはプレカットに加えて、熟練した職人がいることが要件であろう。

土台、柱、梁に無垢材ではなく、構造用集成材を使う理由

2階の床が貼られているところ。床の厚さは建物の強度を左右する。作業中はここにもブルーシートが貼られる2階の床が貼られているところ。床の厚さは建物の強度を左右する。作業中はここにもブルーシートが貼られる

ところで、土台、柱、梁などといった建物を支える構造材にはすべてJASの認定を受けた集成材が使われている。集成材とは木材を貼り合わせて作ったもので、天然の木、つまり無垢材とは異なるもの。建物その他に知識のない人の中には接着剤で貼り合わせた木材と聞くと、それで強度は大丈夫かと思う人もいるだろうが、強度的には差がないのだそうだ。むしろ材料の安定性を考慮すると、集成材のほうが構造的には優れている面もある。

無垢の木は乾燥すると反るなどの変形を起こすのに加え、部位によってその変形の度合いが異なるなど、人間の想像を超えた動きをする。狂いを生じると言い換えても良いが、そうした材料の場合、強度を明確に数値化しにくく、構造計算にもなじまない。ところが、集成材は貼り合わせる時点で乾燥しても反らないように考えられて積み重ねられているため、狂いが生じにくく、無垢材より安定した強度を発揮する。木という自然の素材であっても集成材にすることで、鉄やコンクリートなどといった素材と同様に構造計算が可能になるのである。ちなみに、木が持つ断熱性、調湿性などは集成材になっても損なわれないのだとか。木は偉大である。

最後は屋根が組まれて家の骨組みが完成

たった2日でここまでの状態に。その早さには驚いたが、慣れた職人さんがいれば普通だというたった2日でここまでの状態に。その早さには驚いたが、慣れた職人さんがいれば普通だという

2階の柱、梁が完成したら、最後は屋根の骨組みを組み立てる、小屋根組と呼ばれる作業が行われる。通常は小屋根組作業までが上棟工事と言われるそうだが、今回施工を担当した会社ではその外側に合板を貼り、サッシを取り付けるところまでを一気に行っている。これは雨が入らないようにするため。木造住宅は雨に濡れることで弱くなることがあるが、それに配慮しているというわけだ。

ちなみに地域によってタイミング、やり方は異なるものの、骨組みがほぼ出来上がった時点で上棟式と呼ばれるイベントが行われることもある。これは竣工後の建物が長くその家の人々を守ることを祈念するもので、神主さんがお祓いをしてもらったり、餅や菓子を撒いたり、関係者に食事を振舞ったりなどなど。都会ではやらないケースも増えており、Hさん宅も省略している。ただ、そうした風習が残っている地域では周囲との付き合いもあるため、地域の風習を知る人に意見を求めるなどして実施の有無を検討したほうが良いかもしれない。

2014年 04月01日 09時41分