女性の未婚率が高い区はどこか

東京都、特に23区内の女性の未婚率が高いことは周知の事実である。2015年の国勢調査で15歳以上の女性の未婚率を23区別に見ると、新宿区が39%で最も高く、以下、渋谷、豊島という副都心が並び、次いで、中野、目黒、文京という都心およびその周辺の区が上位を占めている。

未婚率は男性のほうが女性よりも高いのが普通であるが、中央区と港区では女性のほうが未婚率が高い。後で見るがこれらの区では30−50代の女性の未婚者が多いためである。おそらく都心企業で働く女性で、会社の近くに住む女性が多いからであろう。

男性は、やはり新宿区が45%とダントツの1位であるが、2位は荒川区の36%、以下、豊島、中野、大田、墨田となっており、板橋、葛飾、北、台東も比較的上位に位置する。女性未婚率が副都心およびその周辺で高いのに対して、男性未婚率は、下町、かつて工場地帯だったような区で高い傾向があることがわかる。

資料:国勢調査(2015)より三浦展作成資料:国勢調査(2015)より三浦展作成

女性未婚者が増えた区と男性未婚者が増えた区は違う

次に、1995年から2015年にかけて女性未婚者が増加した区を見ると、増加したのは千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区など16区ある。千代田区、中央区、港区、新宿区、台東区、墨田区、江東区、荒川区、江戸川区は増加率が1割以上と高い。
特に中央区は倍増に近く、千代田、港、新宿も3割以上増加している。
他方、目黒区、渋谷区、中野区、杉並区、北区、葛飾区は女性未婚者が減っている。

また男性未婚者が増加したのは中央、港、新宿、台東、墨田、江東、荒川の7区だけである。
そして、男女ともに未婚者が増えている区であっても、女性未婚者の増え方は男性のそれを、台東区以外では大きく上回っている。

結果、2015年において女性未婚者のほうが男性未婚者よりも多い区が増え、中央区、港区、文京区、目黒区、世田谷区、渋谷区、杉並区がそうである。
女性の社会進出によって、特に男女雇用機会均等法世代以降、未婚のまま年をとる女性が増えた。1986年の均等法施行のときに大学や短大を出た女性は2015年には50代になっている。
こうして今、東京の中に、部分的にだが、未婚女性が未婚男性よりも多い地域が現れるようになったのである。 

資料:国勢調査より三浦展作成資料:国勢調査より三浦展作成

女性未婚者は杉並と東急沿線が好きだが

次に国勢調査の小地域集計によって町丁別に未婚者数の増減を男女別に見る。
すると、女性の1位は江東区南砂2丁目である。JR貨物駅跡地にニトリなどの商業施設とマンションが建った地域である。ただしここは男性未婚者の増加も多い。

女性のほうが男性よりも増えた地域を見ると、杉並区が多いことが特徴である。中央線、東西線、丸ノ内線、井の頭線があり、東京駅、日本橋、新宿、赤坂、渋谷、青山など多方面に通いやすいことが理由であろう。
ただし先ほど見たように、杉並区全体では女性未婚者数は減っている。同じ区内でもより便利な地域で増えているのだと思われる。

最後に町丁別に男女の未婚者数の割合を見る。
すると、女性未婚者が男性未婚者に対して145%以上155%未満の範囲で多い町丁は、いわゆる人気のある住宅地が多く、三軒茶屋に近い世田谷区太子堂1丁目、東急東横線自由が丘に近い目黒区柿の木坂1丁目、同じく東急沿線の学芸大学前の目黒区鷹番1丁目などが挙がるほか、杉並区荻窪5丁目など、山の手の高級住宅地が多く挙がっている(55%以上多い町丁は、各種の女子寮があることが多いようなので説明を省いた)。

資料:国勢調査(2015)より三浦展作成資料:国勢調査(2015)より三浦展作成

未婚女性はイメージの良い街に住むが、その問題は?

また都心部も多い。どうやら未婚女性は、ブランド性の高い街が好きなようである。しゃれた店がある、消費や文化に近い街に住みたい人が多いとも言える。
そうしたブランド性の高い街に生まれ育った女性は、立派な実家があるから未婚のまま親元に住みやすいという可能性もある。

女性未婚者が、他所から移り住んできたのか、そこで生まれ育ったのかは、この統計からはわからないが、いずれにしても学歴も高く、収入も高い女性が消費や文化に近い地域に住む傾向があるのだろう。

ただし、女性未婚者に好かれる区は、そうであるがゆえに、出生率が低い区でもある。杉並区、目黒区の合計特殊出生率はそれぞれ1.03、1.04であり、豊島区に次いでワースト2位、3位である。中野区、新宿区、渋谷区、世田谷区も1.06から1.12しかない。

また、これらの区は最初に見たように、区全体としては女性未婚者が減っている区でもある。未婚女性がたくさん住む街は必然的に出生率が低い街でもあり、結婚すると出ていく可能性が高い街であるとも言えそうだ。

資料:国勢調査(2015)より三浦展作成資料:国勢調査(2015)より三浦展作成

2018年 03月26日 11時05分