管理費、共益費はそもそも、何のために使われている?

管理費、共益費はそもそも、何のために使われている?

賃貸では部屋を探す時はもちろん、暮らし始めてからも設備の故障その他で不動産会社とお付き合いするケースは多々想定される。そんな時に気持ちよく対処してもらい、楽しい暮らしを送るためには、不動産会社の仕事や役割、どんなことをしてもらえるのかなどを知っておいたほうが何かと便利。ここでは日夜様々なトラブルに対処してきた不動産会社の裏話に耳を傾け、より良い暮らしのためのノウハウを学ぼう。

今回裏話をお伺いしたのはハウスメイトパートナーズ東東京支店・谷尚子支店長。裏話の前にまず賃貸の場合の、不動産の管理について説明していただこう。「一般に不動産の管理には建物の維持管理と家賃管理を始めとする入居者対応の2種類があり、入居者とのやりとりに関して主なものは、賃料を滞納したときの督促、入居者からのクレームへの対応、退去時の敷金精算・現状回復など。そのうち、建物の維持管理費は共益費あるいは管理費といった名目で入居者から徴収されています。メンテナンスが必要な設備が少ないほど共益費あるいは管理費が安く、エレベーターを始め、維持管理に費用がかかる設備の充実した物件ほど高くなっているのはそのためです」。

実際、特に大掛かりな設備のないアパートでは数千円以内のことが多く、設備の多いマンションになると1万円を超すケースも少なくない。

つまり、入居者が支払っている共益費あるいは管理費は建物全体の維持管理のために使われており、個人の入居者の便に資するものではない。ちなみに、どのようなことに使われているかといえば共用部分であるエントランスや廊下等の掃除、法定の消防点検、排水管や受水槽、増圧ポンプの清掃、エレベーターの点検などなど。共益費あるいは管理費を払っているのだから、サービスを受けられるのが当然と思っている入居者もいるようだが、それは勘違いというわけだ。また、入居者の対応については大家さんが、管理を委託した費用として不動産会社に払うことになっている。

管理会社は入居者のための便利屋さんではない

初めてのひとり暮らしでは電球の交換も難しいもののように思うかもしれないが、一度やってみればそれほどでもないことが分かるはず初めてのひとり暮らしでは電球の交換も難しいもののように思うかもしれないが、一度やってみればそれほどでもないことが分かるはず

以上から分かるのは、賃貸の管理会社はホテルのコンシェルジュのような、利用者の個別のニーズに応えるサービスを提供したり、個人の生活をヘルプするような仕事をしているわけではないということ。それが分かると、管理会社にお願いできる仕事の範囲、内容も見えてくる。ところが、最近ではそうしたサービスを求める人も出てきているそうだ。

例えば「自分の代わりに宅配便を受け取っておいて、ついでに生ものだから冷蔵庫に入れておいて」「自分の家の前の雪かきをしておいて」「電球が切れたので交換に来て欲しい」などなど。分譲マンションの場合、管理員がいる時間なら自分に替わって受け取っておいてもらうこともできるが、賃貸住宅ではよほど高額の物件あるいは分譲賃貸(全体としては分譲マンションで、そのうちの一部の部屋が賃貸されている)で管理員がいる場合などでなければ、荷物の受取りは管理会社の仕事とはされていない。もし、不在がちなのに、しばしば宅配便などで荷物を受け取る必要がある人なら、あらかじめ宅配ボックスを備えた物件を選ぶ、コンビニエンスストアで受け取れるようなサービスを利用するなどの手を考えたほうが良い。

また、多くの賃貸借契約書には「大修繕は賃貸人が負担、小修繕は賃借人が負担」という旨を記載した特約があり、電球、蛍光灯、パッキンの交換などはこのうちの小修繕に含まれていると解されている。自分で交換すべきなのである。面倒くさいから、分からないからと管理会社を呼ぶとしたら、そこには費用が発生する。しかも、入居者も、大家さんも対価を払わない仕事である。言ってみれば、働いたのに給料が出ない仕事のようなもので、自分がそれをやる立場だとしたらどう思うだろう。そう考えると、自分の生活のために管理会社を使うのは違うなと分かるのではないかと思う。

建物、設備の瑕疵、故障対応は管理会社の大事な仕事

女性の場合、階数によらず、洗濯物は外に干さないほうが無難女性の場合、階数によらず、洗濯物は外に干さないほうが無難

また、建物、設備そのものに瑕疵がある場合には管理会社が対応してくれるが、それ以外のこと、特に理由が分からないことには対応できない。「以前、どこからか、たまに豆腐屋さんのラッパ音のような、プッという音がして眠れないという苦情がありました。ご本人が録音もしていらっしゃり、確かに音はする。でも、いくら調べても原因が分からず、建物、設備などの瑕疵とは言えない。となると、対処のしようがありません」(前出・谷さん)。

ちなみに、音が聞こえなくならない限り、家賃を払わないという人もいるようだが、家賃を払う義務と騒音問題は別もの。特に隣人その他が原因の騒音問題では、本来の相手は騒音を出している人。大家さんや管理会社ではない。不払いが続くと、逆に退去を求められる可能性もあるので、家賃を人質にするような考え方は止めておこう。

建物の敷地外のことについても管理会社は対処できない。「隣接するマンションからの音や匂いが気になる、近所の商店街から聞こえる音楽がうるさい、八百屋のおじさんが聞いているラジオが耳障り、近くの自販機にお気に入りの缶コーヒーが入っていない、カラスを見て驚いて転んだから治療費を出せ……。いろいろな苦情を頂きますが、敷地外からの問題は私たちではどうしようもありません。同様にカラスに注意しても聞いていただけるものかどうか。そう考えれば、できること、できないことがお分かりいただけるのではないでしょうか」

もうひとつ、住んでいない人が管理会社に文句を言うのもおかしな話。「以前、1階にお住まいの男性の方から、泊まりに来た彼女の下着をバルコニーに干していて盗まれた、防犯に問題があると思う、なんとかして欲しいという連絡を頂きました。しかし、住んでいるのは男性ひとり。その時点でおかしいと思うのが普通だと思うのですが……」。ついでに言えば、今の時代、階数に限らず、女性が下着を外に干すのはあまり勧められない。干すのであれば、タオルなどで外から分からないようにするくらいの配慮はしよう。

入居時には「何かあったら管理会社へ」と連絡先などが渡されるはずだが、ハプニング、不具合が起こった時には、それがどういう種類の問題なのか、設備の故障その他管理会社が対処してくれることなのかを一度考えて、それから連絡しよう。もちろん、お隣がうるさいその他も相談すべき問題だが、それを管理会社のせいだとごねるのは大人げない。一緒に解決を考えてくれる相談相手と考えて付き合ったほうが、より楽しい暮らしが実現できるはずだ。

2014年 01月27日 09時50分