2500戸もの公務員宿舎廃止!?

取材当時、外壁の改修工事中だったリアージュつくば春日の全景取材当時、外壁の改修工事中だったリアージュつくば春日の全景

以前、つくば市の街づくりに取り上げたが(【“歩きたくなる街”へ~つくば市と吉祥寺から見る日本本来の街の姿とは~】)、つくば市に“転機”が訪れているのはご存じだろうか?
つくば市には現在、多くの公務員宿舎があるが、その多くが平成27年までに廃止されるという。その数はおよそ2,500戸。現在、つくば市が2014年6月発表の行政区別人口統計表によると、92,333世帯、約21万9,000人ということだ。世帯数で考えると約2%、人口だと1戸に2人住んでいたと仮定して同じく約2%に該当する。数字的には小さいかもしれないが、実際街で2%もの人口が移動するのは大きな事だろう。

廃止にともない今まで公務員宿舎に住んでいた住民が、同じつくばで住まい探しを始めているという。こうした背景がある中で、元大手メーカーの企業寮がリビタのプロデュースのもと一棟リノベマンションとして生まれ変わろうとしている。つくばでは初の一棟リノベマンションだが、こうした住宅事情と絡めてみてみたい。

空地率80%のゆったりとした敷地と建物

案内いただいた、物件の販売を担当している株式会社トリニティ・イデア 住宅事業部サブマネージャー 伊藤氏案内いただいた、物件の販売を担当している株式会社トリニティ・イデア 住宅事業部サブマネージャー 伊藤氏

つくばエクスプレスの始発駅「つくば」から徒歩16分の立地にある「リアージュつくば春日」。取材に行った6月20日時点では、外壁の改修工事を行っている最中だった。今回工事が佳境に入る中、物件の販売を担当している株式会社トリニティ・イデア住宅事業部サブマネージャー 伊藤氏にマンション内を案内いただいた。

リノベーション後の部屋や、解体を行い躯体むき出しの部屋など幾つか見学させて頂いたが、一言で言えば、“贅沢”なつくりという印象が強かった。

「最近の経済設計重視の新築マンションでは滅多に見られない建て方をしていますね。平成3年に鹿島建設さんが施工した物件になるのですが、当時はちょうどバブル期。通常、デベロッパーがマンションを計画する場合、建ぺい率や容積率はその敷地に対してぎりぎりまで消化して、敷地の余白は生まれません。しかし、今回の物件はそのような時代に大手企業が社員確保のため福利厚生の一環として計画した建物であるため、売上を重視して敷地いっぱいに建てるデベロッパーの建て方とは異なります。社員のためにコストを度外視して建てた建物のため贅沢なつくりです。空地率が80%ということも、利益を追求して建てるデベロッパーの建てたマンションとそもそも目的が異なるため、社宅ならではのゆとりが特徴です」

空地率80%という広い敷地を活かして駐車場も全区画平置きできる仕様になる。また、敷地内部にシェア菜園やガーデンキッチンなどを設置した広場をつくる。今回の物件はファミリー層がターゲットということだが、子供連れの家族がこうした共用部で自然とコミュニケーションが育めるような仕掛けが随所にされている。
何棟も建っている大規模マンションならこうした広場や駐車場スペースも分かるが、中規模マンションでこうしたインフラが計画されているのは贅沢だと感じた。

内側のコミュニケーションだけでなく、近隣地域とのコミュニケーションにも配慮したつくりにしたという。エントランスには、ホテルのように車寄せを新設。また、エントランスは基本日中はオープンにしてマンション居住者以外にも通り抜けができるという。それではセキュリティは?と思う人もいると思うが、内部にオーナーズエントランスのようにもう一つエントランスを設けるためセキュリティの問題はないようだ。1階部分を閉鎖的にすると人の動線が途切れて無機的な住まいになってしまうので、こうした適度に外部の人とのコミュニケーションがとれる施策はいいと感じた。

また、エレベーターは2部屋に1機が通る通称「2戸1エレベーター」。内廊下設計で、どの住戸も廊下に面する部屋はないためプライバシーは保たれる。北側と南側の両面にバルコニーがついており、風通しもよく、両方向の窓を開けると涼しい風が感じられるという。天気のいい時には北側には筑波山が見えて、景色的にもいいロケーションだ。

今の時代ではありえないスペックの高い構造に、現代にあわせたデザインや機能、さらにセキュリティや利便性をプラスしたつくりと言える。

Before/Afterが見れる

左:スケルトンインフィル状態の部屋</br>
右:同じ方角にある別の階のリノベーションした部屋左:スケルトンインフィル状態の部屋
右:同じ方角にある別の階のリノベーションした部屋

では実際の部屋の方はどうなのだろうか?

ちょうどバブル期に鹿島建設により建てられたこともあり贅沢なつくりになっている。部屋自体は専有部が約80~120m2。伊藤氏曰く、「ポテンシャルが高い物件」とのこと。

こちらの物件では、購入者が自由設計できるプラン「フリースタイルコース」と、元の社宅の間取りをベースに床材や建具、扉などのカラーや仕様、間取りを選べる「スタイルオーダーコース」の2つの設計コースから好みや予算に合わせて設計コースを選べる。フリースタイルコースでは、設計担当にはつくば市出身の建築家とりやまあきこ氏を起用した。6回程の打ち合わせを通して、自由な間取りプランからオーダーできる。

今回、既にリノベーションしたモデルルームを見せてもらったが、現在見学に行くと、まだ手をつけていない躯体が丸出しのスケルトンインフィル状態の部屋を見ることができる。壁際を見てみると、どのように断熱材が壁に埋め込まれているかそうした状態も確認できる。築23年と聞くとマンションの老朽化が進んでいる印象を受けるが、全体的にあまり古さは感じない。間取り部分は、当時流行っていたこまかに部屋を区切るタイプだが、こちらはフリースタイルにすれば現在のように人の動線を考えたオープン的な間取りにすることもできる。

「今までリビタが取り組んだプロジェクトの物件とそんなに大きな違いはないのですが、細かいところで逆梁工法のハイサッシになっていたり、既存のサッシの状態も他の物件と比べてとてもいいイメージがあります」

自分の目だけでなく、もちろん第三者機関による調査・診断も行っているため第三者からの客観的情報も確認できる。Before/Afterがイメージパースだけではなく、こうして実際の目で見れるため、とことんこだわって確認することができそうだ。

つくばの人の流れ

リアージュつくば春日の完成予想模型リアージュつくば春日の完成予想模型

リアージュつくば春日を訪れる層を聞いてみた。

「現在、30代半ば~50代より少し前の方が比較的多く訪れています。2017年の公務員宿舎廃止を受けて、家探しをされている方が多くいらっしゃいますね」

つくば市の外からというよりは、こうした廃止を受けてもともとつくば市に住んでいた人が多いという。去年の末頃の宿舎廃止の発表を受けて住まい探しは活況だったとのこと。
リアージュつくば春日の近隣には財務省の宿舎もあるが、ほぼ人は退去している状態だという。しかし、こうした建物はそのまま放置するのではなく、新たに住宅供給されるであろう予測もある。宿舎に住んでいた人は所得的にも比較的高い方が多く、本当にいいものが出るまで「待っていよう」という方も多いという。

その中で誕生したリアージュつくば春日。1棟リノベしたマンションという事で、周辺のマンション相場よりは2割程度安い価格という。つくば市で現在人気のある春日小中学校からも近く、お子さんがいる世帯にも適した立地だ。リアージュつくば春日自体は今年9月には外側の工事は終了。専有部の工事は契約により順次行われ、最も早くて2015年1月に入居可能という。

つくば市の人の流れはどうなっていくのか?今後も予測されている通り、廃止した宿舎跡地も生まれ変わり、こうした人の流れによる変化も起き、街自体どう変わっていくのだろうか。今後も追っていきたい。

2014年 07月11日 10時28分