古っぽい家が好きだ!

田舎のお母ちゃん…!!田舎のお母ちゃん…!!

年月を経た古い家はとっても魅力的だ。
なんともいえない味があって、壁の汚れや朽ちた感じもうっとりしてしまう。
日が暮れて、古い家に黄色い灯りがついているのを見るともうなんというか郷愁のようなものがず~んと胸に広がって
「ああ、田舎に帰ろう。
そして、年老いた両親に親孝行のひとつでもしてやろう。…お母ちゃん!!」
と叫んでしまうのだ。

いや、叫んでしまうとは言い過ぎた。
そんな気持ちになる、ということでご理解いただきたい。
また、私は実家を二世帯住宅に建て替え、母親(父は他界)と私の夫と息子と暮らしているので「田舎に帰ろう…お母ちゃん!」という記述も正しくない。すみません。
そんな気持ちになる、ということでご理解いただけるだろうか。

ま、そんなふうに思わず切なくなってしまうほど、
古い家には新築の家にはない、魅力があると思うのだ。

でもどうだろう。古い家はやっぱりそれなりに住みづらいんじゃないかな。
ホラ、やっぱり水回りとか、断熱とか。
できるなら、見かけは古っぽくても、実は中身は新築そのもの!なんて家は
つくれないのだろうか?

と、思っていたらなんと、新しいのに新築じゃないような
古っぽい新築をつくる建築家さんがいるのだ!
えええー?それはどのような!?
興味深々でお話をお伺いした。

新築なのに古っぽい家をつくる大川さん

建築家 大川三枝子さん建築家 大川三枝子さん

「ちょっといっちゃってる感じの家が好みなんです、と
お施主さんに言われたんです」
とおっしゃるのは株式会社オオカワ建築設計室の大川三枝子さんだ。

「こういう感じがいい、と見せてもらった写真がこれで…」
施主のMさんがハワイに行った時、通りがかったパン屋さんの写真だという。
パン屋さんの建物ではなく、パンの入ったウインドーケースが写っている。
ガラスケースの中には、銀色のトレイに入った飾りっ気のない
素朴なパンが何種類も並んでいる。

施主さんは、新しく建てるご自宅で、パイのお店を始める予定だ。
なーるほど。だからパンのウインドーケースなのか。

店全体の写真ではないが、なんとなくイメージは伝わる。
新しくはなくて古い感じ。
確かに年季がはいってそう。
日本の下町にある駄菓子屋さんのようなイメージだろうか。

大川さんが今までに手掛けたお家は…

カフェのある家/写真 吉田みちほカフェのある家/写真 吉田みちほ

今までに大川さんが手がけたお家を、写真で見せていただく。

うわあステキ。
シンプルで、奇をてらっていなくて、とってもかわいい。
家全体にアイデアがたっぷり詰まっていそうでワクワクする。
いやん、こんなお家住んでみたい!

……あれ?でもいっちゃってないぞ?
むしろとってもキレイな新築だ。

「そんな、私からいっちゃってるお家にしませんか?なんて言えませんよね(笑)」

そ、そりゃそうだ。
建築家さんは、依頼があってその方のお家をつくるので
ボロッときている古い新築を設計させてください、なんてプレゼンの仕方はしないのだ。

大川さんの考えるステキなお家とはどんな家か、お聞きすると
「ちょっと古びた、新しくないのにカッコいい、30年後もカッコいいと思える家」
とおっしゃった。
やっぱりピカピカの新築、というよりちょっと古びた良さ、がお好きなのだ、とわかる。

いままでに手掛けたお家でも、施主さんと壁や床を塗ったり、
いい具合に手を入れてもらうようにすると言う。
「実際に家に住んでから、“収納作っちゃった”とか、“釘打っちゃった”と施主さんにいわれるのがうれしいんです」

ピカピカの新築を汚さないように住む、ではなくて
いい感じに手を加えてこそ、家族に馴染む家になっていく、ということなのかな。

しかし、どうやったら古っぽい家になるの?

ハワイのパン屋さんのイメージハワイのパン屋さんのイメージ

雑貨屋さんやカフェなどでも、
ちょっと古い感じの外装やインテリアにしているお店がよくある。
あんな感じなのかな?と思ったら

「店舗では、よくそういうつくりにしているお店がありますよね。
でも今回のお施主さんは、“古く見えるように作った”のはイヤなんですって。
わざとらしく見える古さなら、やらないほうがいい、とおっしゃってます。」

えええ?でもそれって難しくないですか?
だってそうはいっても本当に新築なんだから。
じゃあ、それこそ古~い家を運んできて移築するとか?

そうではなく、いかにも新築ピカピカ!という質感や色味ではなく、
年月が経っていい味になる塗料や素材を使うのだそうだ。

「塗り」「素材」。
むむむ、どうやらそこには職人の仕事がたくさん凝縮されている気がするぞ。
シンクもタイルを使ったり、蛇口も昔の家で見たような形だったり。
ハウスメーカーでは絶対に見かけないような
こだわりのパーツを拝見するのも楽しみだ。

新築だけど、古っぽい建築、ということで
「古新築(ふるしんちく)」と名前をつけた。
Mさんのお家の施工は2014年1月からはじまった。
しっかりレポートさせていただきます!

次回、
イメージの断片をつなぎ合わせて形にする、
建築家の仕事ってものすごいな、と思ったお話。
施主Mさんにもお話をお伺いします。

2014年 04月18日 11時39分