勝手に妄想が広がる古新築

建築家の馬場さん建築家の馬場さん

古っぽく見えるけど、新築。新築だけど、ピカピカに新しい感じがしない家。
それが古新築なのだ!
いよいよMさんのお宅が完成!内覧会にお伺いしました。

いつもの道を駅から歩いていくと、Mさんのお家が見えてきた。
あっ、庭の塀ができてる!

「塀もMさんのご主人が塗装されたんですよ」
今回は大川さんの事務所の元スタッフ、馬場さんに案内していただいた。
(馬場さんも建築士さん。最近独立されたのだそうだ。)

茶色に塗った平たい木の板が、縦に並んでぐるりと庭を囲っている。
でもその板の高さは不ぞろい。もちろんワザとだ。
昭和のマンガに出てきそうな塀だ。昔のサザエさんとか、バカボンとか。
茶色の色も微妙に違っていて、それがとても心地よい感じ。
この塗料はきっと、シロウトにも塗りやすい「ベンジャミンムーア」に違いない。
(前回お話を伺ったのだ)
※訂正 …と思ったら違っていました。塀を塗ったのは「キシラデコール」という塗料です。
木に浸透し、耐久性を強める特徴があり、外装に向いています。※訂正ここまで
手をかけているなあ~と、この塀だけ見てもわかる。

塀の手前の駐車場スペースも、キレイにコンクリートが敷かれ、広々している。
お店の横なので、ここでマルシェでもやったらとってもステキだろうな~。

お店の前には、花壇のスペースがあり、小さいお花が植えられていた。
将来ハーブを植えたりして、お店で売るパイの材料にできるな~。ステキだな~。

人のお家なのに、勝手に妄想を広げてしまった。
それほどかわいらしいお家なのだ。

ブザーとバッチンスイッチ

馬場さんとバッチンスイッチ馬場さんとバッチンスイッチ

お家に入ってまず目についたのが、灯りのスイッチだ。
四角い銀色のパネルに黒いつまみが付いている。
どこかの旅館に行った時に見たような、昔からあるあの形だ。
スイッチを入れると「バッチン!」と音がする。
家の中のスイッチはほぼこれで統一しているそうだ。
今でも定番でつくられているスイッチらしい。

そしてその上の壁には、以前ご紹介した「ブザー!」と鳴るブザーの本体。
建築家の大川さんが秋葉原を歩き回って探したものだ。
このブザー、意外に大きい音が鳴る。びっくりするぐらいだ。
でも大丈夫。ブザーの本体に小さい窓が付いていて、その窓をスライドさせて開きを小さくすると、あら不思議、音も小さくなる。
アナログ感があふれかえったブザーなのだ。

長年ドアをやっていたドア

建具をはめたドア建具をはめたドア

Mさんの奥様がパイのお店を開く、店舗部分を見せていただく。
アプリコットオレンジの壁に、銀色のシンク。
シンクとは別に、小さい手洗いが付いている。(付ける決まりがあるそうだ)
これも昔のおばあちゃんの家にあったような手洗い。
そして、店舗部分のドアにはめられているのが、Mさんの昔の家で使われていた建具の飾り窓。
これがとてもしっくりくる。

新築の家なのに、長年この家のドアをやっていたようなたたずまいのドアがある。
「日本一の東京電波塔(東京タワー)が完成しました!」
…なんていう、昭和のニュースがドアの中から聞こえてきそうだ。

昭和なかわいい小窓

昭和なかわいい小窓昭和なかわいい小窓

店舗と住居部分の間に使われている建具も、昔の家の玄関に使われていた小窓。
ガラスに模様が入っていて、ねじ回しタイプの小さい鍵がついている。
これがもうすごいカワイイ!
私の家の窓も、昔はこういう鍵がついていたな~。回すとコキコキ音がするのだ。
ガラスも模様が入っていたな~。
今ではこういうガラスは生産していないので、手に入らないそうだ。

新築だけどピカピカじゃない家

キッチンのシンクや換気扇はもちろん新品。
でも、古い建具と調和が取れている。
家の内装の色味や質感を違和感なく調整しているからだと思う。

照明も新品だけど、ちょっと変わったデザインを選んでいる。
いろんなデザインのものを使っていても、全体がいい感じでまとまっている。
靴入れやキッチンの物入れに使った取っ手も、魚の形やスプーンやフォークの形で見ていてとても楽しい。
どこで購入したのか聞いてみたら、ネットには「取っ手専門店」というものがあるそうだ。びっくり。


「新築なのにピカピカじゃなくて、ちょっとイッちゃってる感じの家」
という施主さんの要望ではじまったMさん宅の古新築。
できあがってみたら、まさにそんな感じでした。
新しいのに新築っぽくない色味や質感。
塗装も均一な塗りではなく、でもそれがしっくりくる壁。
古いガラスがとっても魅力的な昔の建具。

Mさんのお家は「誰かの家」ではなく、まさに「好きなものを集めた、自分の家」という感じだ。
こんな家が作れるなら、私もつくってみたいなーと思った。(実現できるかは別だけど。)

家づくりをお考えのみなさん、建築家さんとの家づくり、という選択肢も考えてみてくださいね。とっても楽しそうですよ。

次回、古新築最終回。
建築家の大川さんの家も実は古新築だった?
大川さんちの古新築っぷりをお伺いします。

新築だけどピカピカじゃない家新築だけどピカピカじゃない家

2015年 04月18日 12時09分