
一概に「家を売る」といっても、その具体的な流れや方法について、しっかりと理解しているという人は少ないのではないでしょうか?
- マンション/一戸建て/土地などの不動産売却を検討しているものの、何から始めていいかよく分からない
- 家を売りたいものの、地域の相場や売る際の流れが分からない
この記事では、上記のような悩みを抱えている方に向けて、家の売却の具体的な進め方や売却相場の調べ方などを解説していきます。
この記事で分かること
- 家を売る3つの方法
- 家を売る際の3ステップ
- 家の売却相場の3つの調べ方
- 家を売る際の必要書類など
- 家を売る際の3つの注意点
- 家を売る際に発生する費用及び税金
- 家を売りたいときはLIFULL HOME'Sの一括査定
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もくじ
家を売る方法

「家を売る」場合、その方法には、大きく分けて以下の3種類があります。
- 仲介
- 買取
- 個人売買
後述するように、一般的には「仲介」を利用するケースがほとんどだと考えられます。以下で、それぞれの詳細について解説していきます。
仲介
「仲介」とは、不動産会社と「媒介契約」を結び、市場で不動産を売却する方法です。不動産売買のなかでも最も取引割合の高い方法で、個人間の不動産取引はほとんどが仲介によって行われています。
仲介で売却するメリットの一つとして、自分が希望する価格で家を売出すことができる点が挙げられます。ただし、相場より高い価格で売出してしまうと、買主を見つけるまでに時間がかかることも少なくありません。
また、買主が一般個人の場合、国家資格である宅地建物取引士が契約前に「重要事項説明」を行うため、売買契約後のトラブルを回避しやすいというメリットもあります。
なお、売買契約成立時には不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。
買取
「買取」とは、不動産会社に直接不動産を買取ってもらう売却方法です。
仲介と比べて家が売れるまでの時間が短く、不動産会社の提示価格に納得すればすぐに買取ってもらえるケースがほとんどであるため、「とにかく早く家を売りたい」という方におすすめの方法といえます。
買取の場合は一般的に仲介手数料が発生しないため、売却時の経費を削減することもできます。。
ただし、不動産会社は不動産を買取ってリフォームを施し市場で再販することが多いため、買取の場合、全体の市場価格に比べて約1〜3割ほど安値での売却になりやすい点には注意が必要です。
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個人売買
「個人売買」とは、自分で買主を探して家を売る方法です。
メリットは、何より不動産会社に支払う仲介手数料が発生しないという点です。しかしながら、本来であれば不動産会社が対応してくれる複雑な手続きやトラブルへの対処を自分で行わなければなりません。
不動産取引におけるトラブルは裁判に発展することも多いため、親族間や親子間の取引など特別な事情がない限り、個人売買はおすすめできません。
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【方法別】家を売る際の手続きの流れ

家を売るときの手続きの流れは、家を売る方法によって異なります。
基本的な流れは同じですが、不動産会社が介在するかによって、変わる部分もあるため、それぞれチェックしていきましょう。
仲介の流れ
- 不動産会社に家の査定を依頼する
- 依頼する不動産会社を決めたら媒介契約を結ぶ
- 販売価格を決めて家を売出す
- 購入検討が現れたら、内覧を行う
- 購入を決めた希望者から、購入申込書(買付証明)を受取る
- 売買条件を決め、売買契約を結ぶ
- 売買契約時に買主から手付金を受取る
- 決めた日時に、家の引渡しと残代金の決済を行う
仲介で家を売る場合、家が売れた際(上記の6で売買契約が成立したタイミング)に不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。仲介手数料は売買価格によって上限が決められており、売買契約成立の成功報酬として支払います。
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買取の流れ
- 不動産会社に買取を前提とした査定を依頼
- 不動産会社側から買取金額を提示してもらう
- 提示金額に納得したら、売買契約
- 売買契約時に手付金を受取る
- 指定日に引渡し・残代金の決済を行う
不動産会社側からの買取金額に納得いかなければ、価格交渉をしましょう。前述した通り、一般的に買取の場合、仲介に比べると市場価格よりも約1〜3割ほど安価で売却することになるため注意が必要です。
しかし、複数の不動産会社に査定依頼を出すことで、不動産会社同士の競争原理が働き、より市場価格に近い価格で成約しやすくなります。具体的には、3〜5社に依頼し比較検討するようにしましょう。
なお、不動産会社による買取の場合、個人に売却する場合と違って住宅ローン申請などの手続きが必要ないため、売買契約から決済までの期間が短くなる傾向にあります。
個人売買の流れ
- 売りたい家の相場を確認
- 登記簿謄本や固定資産税評価額証明書などの必要書類を用意
- 値下げの可能性を考慮して売却価格を決める
- 個人売買向けの物件販売サイトへの登録などで顧客を探す
- 購入希望者からの問合せに対応
- 価格交渉をしてきた場合は要相談
- 双方で納得したら、契約書を作成
- 決めた日時に引渡し・決済を行う
個人売買は、仲介や買取に比べて自分で行わなければならない工程が非常に多い点が特徴です。
専門知識を持った不動産会社による査定を経ずに売却を進めることで、相場よりも安く売出してしまい、結果的に損失が出る可能性もあります。また、購入希望者からの問合せへの対応や書類の作成なども自ら行わなければなりません。
さらに、買主に対して契約前に行われる宅地建物取引士による重要事項説明がないことから、引渡し後にトラブルが起こりやすいというデメリットもあります。これらの事情から、前述したように、あまりおすすめできない売却方法だと言えるでしょう。
家の売却相場の調べ方

家の売却を進めるにあたって、売却相場を調べる方法には、大きく分けて以下の3つがあります。
- 不動産ポータルサイトのコンテンツを活用する
- 不動産一括査定サービスを利用する
- 土地総合情報システムの情報を利用する
不動産ポータルサイトにある相場情報のコンテンツを活用
不動産ポータルサイトとは、全国の不動産情報を網羅的に掲載しているサイトです。
このようなサイトでは、購入希望者がサイト内で購入を希望している地域の物件を検索・比較し、不動産会社に問合せを行います。売却を検討している側は、自分が売却しようとしている物件の種類や立地条件、広さや築年数といった条件を入力することで、類似の物件の価格がわかるため、相場を把握するのに役立つでしょう。
また、不動産ポータルサイトには、不動産の相場情報が分かるコンテンツも充実しており、過去に掲載された不動産情報などをアーカイブで確認できるものや、地図上で参考価格が分かるものもあります。
こうしたコンテンツを活用することで、不動産を売却する前に、おおよその相場を把握しておくと資金計画も立てやすくなるでしょう。
LIFULL HOME'Sでは、過去に掲載された不動産情報を集積・統合してデータベース化した『不動産アーカイブ』や、地図(航空写真)上で既存物件の参考価格が確認できる『プライスマップ』など、売却活動の参考となる様々なサービスを提供しています。
「不動産売却に際して何を参考にすればいいのか分からない」とお悩みを抱えている方は、LIFULL HOME'Sの各サービスをぜひご利用ください。
不動産一括査定サービスを利用する
できるだけ正確な家の価格相場を調べるためには、不動産会社に査定依頼をすることが重要です。
不動産買取の場合は、できるだけ良い条件を提示してくれる不動産会社を見つける必要があります。また、仲介の場合でも、不動産会社によって地域や物件の種類などの得意分野が異なることに加えて、物件の状態によって査定価格が異なってきます。
そのため、査定依頼をする際には、3〜5社程度の不動産会社を比較し、売却を検討している物件に適した営業担当者が在籍している不動産会社と媒介契約を結ぶことが不動産売却を成功させるポイントとなります。
こうした自分に合った不動産会社を探す場合には、不動産一括査定サービスを利用するのがおすすめです。個別に問い合わせる手間を省略した上で、条件にマッチした複数の不動産会社から査定価格を提示してもらえ、まとめて比較検討することができます
なお、不動産会社を比較検討する際は査定価格だけで判断するのは望ましくありません。なぜなら、査定価格=成約価格ではないからです。仮に不動産会社が高い価格を提示してきたとしても、売却価格は市場動向の影響を受けるため、そのままの価格で売れるとは限りません。
したがって、不動産会社を比較する際は査定価格の根拠や担当者との相性など、自分の望む条件に合っているのかも、あわせて確認しましょう。
LIFULLHOME'Sの一括査定では、全国にある3,500社以上の不動産会社から、査定依頼する会社を選ぶことができます。物件情報の入力後、不動産会社の社員画像や店舗画像、強みなど、お客様の物件の査定を依頼できる不動産会社の詳細情報を一覧で見ることができます。こうした情報は、自分自身や売却を検討している物件と相性の良い不動産会社を見つけるのに役立つでしょう。
土地総合情報システムの情報を利用する
「土地総合情報システム」とは、国土交通省が運営する不動産取引価格の情報を掲載するサイトです。
土地総合情報システムでは、毎年国道交通省が公表する地価公示や都道府県による地価調査の価格のほか、実際に行われた不動産取引の取引価格などを確認できます。不動産会社だけでなく一般にも公開もされているため、個人売買をする方にもおすすめです。
ただし、マンションや一戸建ての相場を調べるには不向きだといえます。なぜなら取引総額しか表示されておらず、相場を把握するのはプロの目でも難しいからです。土地総合情報システムを活用する際は、売りに出したい家の情報を照らし合わせて総合的に判断する必要があります。
家の査定を依頼する際に必要となる書類

家を売る際の一連の流れにおいて、様々な書類が必要になります。まず、査定を依頼する際には、以下のような書類があるとスムーズに進みやすくなります。
【査定依頼の際に用意しておくと良い書類】※一例
・登記簿謄(登記事項証明書)
・購入時のパンフレットやリフォーム履歴が分かる書類
・住宅ローン残高証明書
・登記済権利証または登記識別情報
・インスペクションの結果報告書
なお、すべての書類が揃っていない=査定依頼ができないわけではないので、「事前に用意しておくと良い書類」と考えておくと良いでしょう。
登記簿謄本(登記事項証明書)
法務局で取得することができる登記簿謄本は、登記事項証明書とも呼ばれる書類で不動産の権利や面積に関する情報が記載されています。不動産の詳細な情報がわかるため、より正確な査定をすることが可能になります。
購入時のパンフレットやリフォーム履歴が分かる書類
物件購入時のパンフレットには、作成した不動産会社からみた物件の良さが記載されています。そのため、売却のための査定を行う不動産会社にとって、物件の魅力を理解するための重要な参考資料となります。保管していない場合、購入した先の不動産会社に問い合わせれば再発行してくれることがあります。
また、リフォーム履歴についても、正確な査定額を算出する上で必要になります。
住宅ローン残高証明書
住宅ローンを組んでいる場合、残高証明書を用意しておくと売却時の資金計画が立てやすくなります。残高によって査定価格が変わることはありませんが、査定価格が住宅ローンの残高より高いのか安いのかによって、売却の進め方や戦略が変わるからです。
たとえば、住宅ローンの残高よりも査定価格が安い場合、差額を現金で用意できなければ家を売ることはできません。逆に、査定価格が住宅ローン残高よりも高い場合は、条件によっては引越し先の物件を先に購入してから売却を進めることができます。
そのため不動産会社を比較する際には、査定価格だけでなく、売却に関わる資金計画の提案力を比較することも重要なポイントです。
こうした理由から、家の売却を現実的に検討する際には、あらかじめ残高証明書を用意することをおすすめします。 H3.登記済権利証または登記識別情報
登記済権利証は、不動産の登記名義人であることを証明する書類です。売却する不動産が、売主のものであることを示すために必要となります。
インスペクションの結果報告書
インスペクションとは、専門家による住宅の劣化状況、欠陥などの有無の調査を意味します。
インスペクションの結果に問題がなければ、建物の品質が一定以上であることが専門家によって保証されたことになります。これにより購入検討者が安心感を持つことができるため、販売活動も進めやすくなるでしょう。
家の決済及び引渡しの際に必要となる書類など

査定依頼、媒介契約、販売活動といった段階を経て、売買契約を結び、決済し、物件を引渡す段階になって必要になる書類もあります。
【買主への引渡し時に必要な書類など】※一例
・売買代金を振り込むための銀行口座などの書類
・抵当権等抹消書類
・実印・印鑑証明書
・物件引渡確認書
・固定資産税・都市計画税納税通知書または固定資産税評価証明書
・設備取扱説明書・保証書・アフターサービス規準書
・管理規約などの書類(マンションの場合)
・身分証明書
・鍵
一部の書類は、不動産会社や銀行で用意してもらえる場合もあるため、担当者に相談・確認しながら進めていくと良いでしょう。
売買代金を振り込むための銀行口座などの書類
売買代金は引渡し完了時に銀行振込されるため、銀行口座の通帳や通帳印のほか関連書類は用意しておいた方がスムーズです。
条件によっては銀行口座を必要としない場合もあるため、不動産会社などと相談しましょう。
抵当権等抹消書類
抵当権等抹消書類とは、住宅ローンを組む際に必ず設定される抵当権を抹消するための書類です。
抵当権は建物や土地に設定され、債務者が返済できなくなった場合に金融機関が競売にかけて、その金額を返済に充てる権利です。
家を売る際にこの抵当権を抹消する必要があります。書類を揃えるのを後回しにしていると売却までの手続きがスムーズにいかず、スケジュールが想定より遅れてしまうリスクが出てきます。実際に使うのは決済のタイミングになりますが、書類を入手するのに早くても2週間程度はかかるため、余裕を持って準備しておくとよいでしょう。
実印・印鑑証明書
実印や印鑑証明書は、決済時に必ず必要となるため用意しておきましょう。
売買契約時は認印でも問題ありませんが、契約の安全性や信頼性を高めるために不動産会社や買主から実印が求められるケースがあります。印鑑証明書の有効期間は発行後3ヶ月となるため、居住する地域の役所窓口で発行してもらいましょう。
実印とあわせて諸々の手続きで必要となるため早めの準備が必要です。
物件引渡確認書
物件引渡確認書は、引渡し完了時に作成されます。
仲介や買取で家を売る場合は、不動産会社側が用意してくれますが、個人売買をする方は自分で作成しなければなりません。
固定資産税・都市計画税納税通知書または固定資産税評価証明書
固定資産税・都市計画税納税通知書または固定資産税評価証明書は、役所や都税事務所などで発行されます。
これは家を購入した際に既に発行されているものですが、税額の確認や買主との税負担を日割り計算する際に必要となるため、最新のものを用意しておきましょう。
設備取扱説明書・保証書・アフターサービス規準書
キッチンやバスルームなどの住宅設備には、設備取扱説明書や保証書があります。必須ではありませんが、あれば家を引渡す際に書類関連として用意しておくといいでしょう。
管理規約などの書類(マンションの場合)
マンションを売る場合は、管理規約などの書類を用意しておきましょう。
物件購入時に管理規約やパンフレットなどが付いてきているはずなので、可能であれば査定の際にも用意しておくことをおすすめします。
さらに、管理組合の総会で建物の修繕について話合いが行われている場合は、それらの議事録があるとよいでしょう。管理規約にはペットが飼育できるのか、リフォームについての独自ルールはあるのかなど、購入検討者にとって重要な情報が記載されています。
また、パンフレットや議事録には、間取り図だけでは分からないマンションの構造上の強みなどが分かる情報が記載されていることが多いです。
これらの情報は、査定の評価にも影響しやすくなるため、なるべく査定時に書類を用意しておき、決済時には買主に引渡せるようにしておきましょう。
身分証明書
実印や印鑑証明書と同じく、身分証明書の用意は必須です。
引渡し時は残代金の支払いが銀行振込で行われます。2022年現在、高額振込の場合、身分証明書を銀行から求められることがあるので注意しましょう。また、売る家の名義が共有名義になっている場合は共有者全員の身分証明書が必要になります。
したがって、共有者が地方に住んでいるという場合は、書類を揃えるのに時間がかかる可能性があるため、あらかじめ余裕を持って揃えておきましょう。
鍵
決済時には、不動産関係の書類とともに家の鍵を買主に引渡します。
スペアキーやマンションの駐車場の操作キーなど、玄関ドア以外の鍵は忘れがちであるため、特に注意しましょう。エントランスのオートロック解除キーが玄関ドアと別になっているケースもあるため、忘れずにすべて引渡せるようにする必要があります。
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家を売る際の注意点

家を売る際は、状況によって注意すべき点が異なります。ここでは、タイミングごとに注意点を紹介していきます。
家の販売活動開始以前における注意点
家を売る前に注意すべき点は、大きく分けて以下2つが挙げられます。
- 査定は複数社に依頼する
- 媒介契約の種類を確認する
前述したように不動産会社によって得意エリアやジャンルなどが異なるため、家の査定結果は依頼する会社によって変わります。1社の査定結果だけを見て仲介契約をする不動産会社を決めてしまうと、相場から大きく売出し価格となり、結果的に売却が長期化したり、損をしてしまうリスクがあります。
また、査定価格はあくまで不動産会社が提示する価格であり、必ずその価格で成約するとは限りません。査定価格の比較に重要なのは、参考とする取引データや、建物の劣化具合、リフォーム履歴などがしっかりと価格に反映されているかどうかという査定の「根拠」です。
また、売却には査定価格だけでなく「販売戦略」も重要となります。ローン残高や手持ち資金などを考慮して的確な提案ができるかどうかという点も含め、担当者の力量や相性を比較しましょう。
こうした点を考慮すると、複数の不動産会社に査定依頼し、査定価格や担当者の対応を比較して決める必要があります。
次に、媒介契約の注意点について見ていきましょう。媒介契約には以下の3種類があり、それぞれ特徴が異なります。
| 区分 | 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 |
| 契約できる不動産会社 | 複数社に可能 | 1社のみ | 1社のみ |
| 自己発見取引 | ◯ | ◯ | × |
| レインズへの登録義務 | なし | 7日以内 | 5日以内 |
| 不動産会社の活動報告義務 | なし | 2週間に1回 | 1週間に1回 |
| 契約の有効期間 | 定めなし | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 |
主な違いは、複数社と契約が可能かどうかという点と、レインズへの登録義務の有無です。
レインズは、不動産会社のみが閲覧できる不動産情報の共有サイトです。レインズに物件情報が登録されると、1社と契約するだけでレインズに登録しているすべての不動産会社の顧客に紹介可能になるため、売却のチャンスが広がります。
また、一般媒介、専任媒介であれば、自分で見つけてきた買主と直接取引をすることができますが、他の専属専任媒介の場合は、自分で買主を見つけた場合でも必ず不動産会社に仲介してもらう必要があります。このほかに活動報告義務の有無など、それぞれの契約形態ごとの違いを理解した上で、不動産会社とスムーズにやりとりできるようにしましょう。
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家の販売活動中における注意点
不動産会社と媒介契約を結んだら、いよいよ家の売却活動が開始されます。販売活動中には、購入希望者が家を内覧することになりますが、たとえ居住中であってもできるだけ印象を良くすることが大切です。
そのため、余計な荷物を処分したり、トランクルームに預けるなど、できるだけ室内をすっきりさせる工夫が重要です。内覧時は収納の中もチェックされることが多いため、詰め込みすぎている場合は印象が悪くなります。空き家の場合も、残置物があるとマイナスイメージが大きくなるため、できるだけ処分しておきましょう。一戸建ての場合は、庭の雑草などを除去しておくとよいでしょう。
また、キッチン周辺やお風呂など水回りの設備は、できるだけ念入りに掃除しておきましょう。必須ではありませんが、ハウスクリーニングなどプロの手を借りるのも一つの選択肢です。ただし、ハウスクリーニングは当然ながら費用がかかり、安くはありません。そのため、無理に依頼せずに自分でできる清掃などから始めることが重要です。
内覧時には、室内の電気はすべてつけておき、電球切れなどがないように注意しましょう。 さらに、住んでいる人は気づきにくい匂いなどもあるため、しっかりと換気をしておくことをおすすめします。
空き家の場合、売買契約が成立するまでは電気を解約せず、できればエアコンなどの空調機器も残しておくことをおすすめします。なぜなら、蒸し暑い時期の内覧では、室内が暑苦しいとじっくり見てもらえない可能性があるからです。
家の売買契約時の注意点
売買契約時には、売買契約書にしっかりと目を通しましょう。契約不適合責任という項目では、引渡し後に建物の不具合が発生した場合、内容に応じて買主が売主に修繕や解約を請求できるという内容が記載されています。
建物になんらかの欠陥や不具合がある場合、あらかじめ買主に伝えておかなければ後々のトラブルに発展しやすくなります。あらかじめ発覚している欠陥や不具合は査定の段階で伝えておき、買主にはデメリットもしっかり理解したうえで検討してもらえるようにしましょう。
そのほか、売買契約書には売買価格や引渡しの日時、買主の住宅ローンに関する特約など細かな条項が記載されています。買主と口頭でやり取りした重要な内容が抜けていると、取り決めが無効となってしまうため注意が必要です。
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家の売却後における注意点
最後に、家の売却後における注意点を見ていきましょう。一般的に売買契約から引渡しまで1〜3ヶ月程度の期間があります。
買主が個人の場合、売買契約から1ヶ月後を目安として「手付解除期日」や「ローン特約期日」が設けられています。手付解除期日までであれば、買主は手付金を放棄することで、売主は手付金の倍額を支払うことで契約を解除できます。
手付金が売買代金に対して少なすぎる場合、買主に契約を解除されてしまうリスクが大きくなるため注意しましょう。
また、買主が住宅ローンの審査に落ちてしまった際に契約を白紙解約できる「ローン特約」には注意が必要です。ほとんどの買主が特約の付帯を希望しますが、その条件に大幅な優遇金利をつけられている場合、契約が白紙になるリスクが高くなります。契約が終わっても引渡しまでは契約解除になる可能性があることを理解しておきましょう。
その他の、売却後の注意点としては、引渡し前までに住宅ローン完済のための書類を用意することがあります。また、一戸建てや土地の場合は隣家との境界線を確認することも大切です。
住宅ローンが完済できない、隣地所有者と境界確定でもめているという場合は、スムーズに引渡しができずに買主とトラブルになることもあります。
なお、個人売買の場合は「物件引渡確認書」の作成も忘れないようにしてください。「物件引渡確認書」は文字通り、物件を引渡したことを証明し、売買契約が完了したことを確認するための書類で、買主と売主双方の名前や住所、日付、物件の状態などが記載されます。
家を売る際に発生する諸費用及び税金

家を売る際には、諸費用や税金が発生します。ここでは、売却時の諸費用として以下の一覧を紹介します。
- 仲介手数料
- 抵当権の抹消登記費用(司法書士報酬も含む)
- 印紙税
- 譲渡所得税
- 引越し費用など
それぞれチェックしていきましょう。
仲介手数料
仲介で家を売る場合、不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。
仲介手数料は売却価格によって金額が異なるうえに諸費用の大半を占めるため、おおよそどれくらいかかるか事前に把握することが重要です。
仲介手数料の速算式は以下のとおりです。
| 家の売値 | 仲介手数料の計算式 |
| 200万円以下 | (売却価格×5%)+消費税10% |
| 400万円以上 | (売却価格×3%+6万円)+消費税10% |
一般的に不動産会社の成果報酬として支払う必要がある仲介手数料ですが、違約解除や手付解除のように契約後に解約となったケースでも支払う場合があります。
ただし、買主が住宅ローンの審査に通らず、「ローン特約」によって白紙解約となった場合は仲介手数料の支払いは発生しません。
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抵当権の抹消登記費用
住宅ローンを借りている人が不動産に設定された抵当権を抹消するためにかかる費用は、司法書士の報酬も含めて約10,000〜20,000円程度です。
個人で行う場合は登録免許税のみで手続きできるため、1,000円ほどで済みます。インターネットで手続きの方法を確認できるため、興味がある方は自分で手続きしてみることを検討しても良いでしょう。
印紙税
契約書や領収証など、取引関連で作成される文書には税金が課せられており、税額は契約金額によって異なります。そして、収入印紙を売買契約書に貼付することで納税をしたとみなされます。
契約書1通ごとに課税されるため、売主と買主で1通ずつ保管する場合は2通分の課税となります。印紙代を節約したい場合、契約書は1通のみ作成し、家を手放す売主は写しを保管するという方法もあります。
なお、不動産の売買契約書や建築の請負契約書には軽減措置が設けられており、令和6年3月31日までの印紙税額は以下のとおりです。
| 記載された契約金額 | 印紙税の税額 |
| 10万円超 50万円以下 | 200円 |
| 50万円超 100万円以下 | 500円 |
| 100万円超500万円以下 | 1,000円 |
| 500万円超1,000万円以下 | 5,000円 |
| 1,000万円超5,000万円以下 | 1万円 |
| 5,000万円超1億円以下 | 3万円 |
| 1億円超5億円以下 | 6万円 |
| 5億円超10億円以下 | 16万円 |
| 10億円超50億円以下 | 32万円 |
| 50億円超 | 48万円 |
譲渡所得税
不動産を売却して得た利益のことを、譲渡所得といいます。
譲渡所得にも所得税や住民税などの税金がかかるため、下記の式でその計算方法を確認しておきましょう。
譲渡所得= 不動産の売却価格 – 取得費用 – 譲渡費用
取得費用とは、売却時の価格から諸費用や設備費、改良費、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いた金額です。
また、譲渡費用には売却時にかかった諸費用に加え、建物の解体費や収益物件の場合は立退料なども含まれます。
譲渡所得の税率は対象不動産の所有期間で変わるため、以下を参考にしてください。
| 種類 | 所有期間 | 税率 |
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 所得税:30.63% 住民税:9% |
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 所得税:15.315% 住民税:5% |
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引越し費用など
居住中の家を売却する場合、引越し費用が発生します。また、売却時の条件によっては家をハウスクリーニングして買主に引渡すというケースもあります。
引越し費用やハウスクリーニングの費用は部屋の広さや依頼する会社によって異なるため、相見積もりをとって比較しましょう。部屋に荷物が多いとその分費用もかさむため、自分でできるものは処分するなどの対処がおすすめです。
他に費用がかかるものが多いため、できるだけコストを下げるよう工夫しましょう。
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売却相場の査定価格は複数社で比較すると幅がある場合が多い

ここまで、家を売る方法や、売却相場の調べ方などを解説しました。
家の相場を調べるためには、不動産ポータルサイトのツールが活用できるほか、一括査定を活用することでより正確な相場を知ることができます。
一括査定では複数の不動産会社で査定依頼を出しますが、市場状況や不動産会社の得意なエリアか否かによって、査定価格に差が出ることが多くなっています。複数の査定価格を比較しながら、売却を任せたい不動産会社を選びましょう。
査定の大きな目的は「売却価格を把握すること」ですが、もう1つの目的は「任せたい不動産会社や担当者を選ぶこと」です。
不動産会社の担当者が提案する販売戦略や資金計画は、売却が成功するかどうかを左右するといっても過言ではありません。
査定の際には査定価格だけでなく、不動産会社ごとの特徴や担当者の経験値・提案力なども比較してみましょう。
家を売りたいときはLIFULL HOME'Sの一括査定

ここまで解説してきたように「家を売りたい」と考えた場合、まずは不動産会社に査定依頼する必要があります。
複数の不動産会社に一括で査定を依頼する場合には、LIFULL HOME'Sの一括査定がおすすめです。LIFULL HOME'Sには、査定サービスの他にも家を売る際に役立つコンテンツが充実しているため、家の売却でお悩みの方は、ぜひご利用ください。
記事監修
馬場 美里(ばば みさと)
在学中に宅地建物取引士(当時は宅地建物取引主任者)の資格を取得。大学卒業後、不動産仲介業務に従事し、マンション・一戸建て・土地などの売買を経験。実務経験をもとに不動産の売却査定に関する問題解決を得意とする。不動産会社からのオファーのほか、数々のポータルサイトでコラムの執筆経験もあり。