空き家の活用に悩むオーナーへ

放置してきた空き家であっても、改修工事などを行うことでシェアハウスとして活用するという方法も生まれてくる放置してきた空き家であっても、改修工事などを行うことでシェアハウスとして活用するという方法も生まれてくる

年々深刻化する空き家問題。人口減の時代に突入した日本において、空き家は今後も増え続ける見込みだ。放置された空き家は、倒壊や害虫の発生、犯罪の温床になるといった問題を抱えている。そこで2014年11月に「空き家対策特別措置法」が成立し、倒壊の危険があるなど特定の空き家に対して、各市町村が所有者に撤去・修繕などの指導をし、従わなければ勧告・命令できるようになった。

このような背景から空き家の活用に頭を抱えている人も多いだろう。空き家をシェアハウスとして活用する方法は、その回答の一つだ。シェアハウスは、若年単身世帯を中心に人気のある賃貸住宅。一戸建てでも複数人へ賃貸できるシェアハウスに転用できれば、空室のリスクを軽減できる。

とはいえ、シェアハウスと聞くと最近メディアを騒がせたあるニュースを連想し、拒否反応を示す人もいるのではないだろうか。あるニュースとは「シェアハウスを運営するサブリース会社が、700人以上のオーナーに対して家賃を支払わなくなった」というものだ。

しかし、これはシェアハウスをいうシステムではなく、サブリース会社の問題だ。きちんと計画を立てて管理ができていれば、適正な利益を得ることは難しくないはず。そこで今回紹介するのが、国土交通省による「共同居住型賃貸住宅(シェアハウス)の運営管理ガイドブック」だ。

住宅セーフティネット制度の取り組みの一つ

同ガイドブックは、2015年10月からスタートした住宅セーフティネット制度の取り組みの一つ。同制度は、住宅の賃貸契約を拒まれることの多い高齢者、低額所得者、子育て世帯などいわゆる住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度や、改修費補助などで空き家の活用を促進するものだ。

この制度ではシェアハウスに対して、低所得の若年層だけでなく一定の入居者同士の支え合いや相互理解を前提とした住まい方であることなどから、単身生活に不安のある高齢者や障がい者にとっても適した居住形態と見ている。

また、同制度では空き家に対して改修費や家賃低廉化への補助などを実施している。そのため良質なシェアハウスの供給が期待されている。

ガイドブックでは36ページに渡って、空き家をシェアハウスとして活用したいと考えるオーナーに有益かつ網羅的な情報を公開している。

シェアハウスの準備から入居者募集、退去までの流れなどを解説

具体的には次の5つの章で構成されている。

1.共同居住型賃貸住宅(シェアハウス)について
シェアハウスとは何か、さらにシェアハウスの準備から入居者募集、退去までの流れなどを解説。空き家をそのまま所有した場合と、シェアハウスを運営した場合の10年間の収支比較(ケーススタディ)も紹介している。

2.シェアハウスの運営管理の各段階での手続きと留意点
シェアハウスの管理方法は、オーナー自身が行う「自主方式」のほかに実務の一部を管理会社に任せる「委託方式」や管理会社へ物件を賃貸してすべての実務を任せる「サブリース方式」がある。ガイドブックではそのくわしい違いやそれぞれのメリット・デメリットを解説。さらにシェアハウスを運営するには建物を寄宿舎として用途変更する必要があることや、入居者の募集方法、契約の流れ、生活ルールの設定などを説明している。

3.住宅確保要配慮者を入居者とする場合の留意点
改修工事の補助金などシェアハウスを住宅セーフティネット制度に登録することのメリットを説明。さらに各住宅確保要配慮者(高齢者、障がい者、子育て世帯、外国人)の特徴と対応方法や「家賃の滞納が心配」「介護が必要になったり認知症になったら心配」といった入居者に対する不安への対応策も解説している。

ガイドブックでは各管理方法の違いだけでなく、それぞれのメリット・デメリットも分かりやすく解説ガイドブックでは各管理方法の違いだけでなく、それぞれのメリット・デメリットも分かりやすく解説

各住宅確保要配慮者の留意点や相談窓口も

4.事例集
社会人・学生、外国人、高齢者・障がい者、ひとり親世帯(母子家庭など)をターゲットとしたシェアハウスの事例を紹介。広さや家賃といった一般的な情報だけでなく生活ルール、居住者との連絡体制(フェイスブックなど)といった個別の物件ならではの情報も公開している。また、ターゲットごとの留意点も記載されている。

5.お役立ち情報
空き家のシェアハウス転用を検討する際に知りたい情報を得られる窓口などを紹介。その範囲は幅広く、「シェアハウス経営を始めたい」「見守り等の生活支援や自立に向けた支援」「公的な相談窓口」といったようにカテゴリー分けされている。

以上のように「共同居住型賃貸住宅(シェアハウス)の運営管理ガイドブック」は、非常に充実した構成で、まさに「かゆいところに手が届く」内容だ。空き家を住宅確保要配慮者向けシェアハウスへ転用することは、資産の有効活用というだけでなく、社会貢献度も高い。少しでも興味があるのならぜひ同ガイドブックを一読してほしい。

「共同居住型賃貸住宅(シェアハウス)の運営管理ガイドブック」
http://www.mlit.go.jp/common/001207549.pdf

外国人事例ページの一部。生活ルールや連絡体制など外国人相手ならではの工夫が紹介されている外国人事例ページの一部。生活ルールや連絡体制など外国人相手ならではの工夫が紹介されている

2018年 07月02日 11時00分