終の棲家の選び方を終活カウンセラーに聞く

誰にでも「最期の時」は来る。より前向きな人生の終焉を迎えるため、遺言書を書く前に「終活」をはじめたい誰にでも「最期の時」は来る。より前向きな人生の終焉を迎えるため、遺言書を書く前に「終活」をはじめたい

「認知症になってしまったら」「余命宣告をされたら」「急に大事故にあったら」。自分はいつかこの世からいなくなってしまう。人間なら誰もが持つこの漠然とした不安の中、日本は超高齢化社会へと突入している。
そこで最近耳にするようになった言葉が「終活」だ。2012年の流行語にも選ばれた言葉だが、実際に行動に移している人は少ないのではないだろうか。「いつから始めればいいのか」「なにをすればいいのか」、そして「終の棲家の選び方は」。一般社団法人終活カウンセラー協会代表理事 武藤 頼胡氏にお聞きした。

終活は年齢に関係なくはじめていい

武藤 頼胡氏。一般社団法人終活カウンセラー協会代表理事。リンテアライン株式会社代表。明海大学ホスピタリティツーリズム学科外部講師。「終活カウンセラー」の生みの親でもある。「終活」という考えを普及すべく、テレビ、新聞、雑誌などメディアへの掲載多数武藤 頼胡氏。一般社団法人終活カウンセラー協会代表理事。リンテアライン株式会社代表。明海大学ホスピタリティツーリズム学科外部講師。「終活カウンセラー」の生みの親でもある。「終活」という考えを普及すべく、テレビ、新聞、雑誌などメディアへの掲載多数

―そもそも終活とはどのような活動ですか?
「私が定義しているのは“人生の終焉を考えることを通じて自分を見つめ、今をよりよく、自分らしく生きる活動”としています」

―ということは年齢に関係なくはじめていいということでしょうか?
「やりたいことや不安に思うことは、百人百様です。だからはじめるタイミングは人それぞれで構わないと思います。私は大学で講師もしていますが、学生に終活をしてもらうと、就職活動が上手くいく傾向があります。やはり将来自分がどうなりたいかを真剣に考えるからだと思います。
だたし、一般的に若いうちは仕事や育児が忙しくて考える時間がありませんよね。だからじっくり人生を見つめ直す時間ができる定年前後にはじめる人が多いようです」

人生の棚卸しでやり残したことを確認

―まずはなにからはじめればいいのでしょうか?
「最初は人生の棚卸しからはじめることをおすすめしています。人間だれもがいい事ばかりじゃなく、嫌なこともあったでしょうが、それらがあって現在の生活があります。小さい頃からの出来事を年齢ごとに書いていって『こんなことがあったからこうなったんだ』といったことに気づくようにするのです。その中で感謝していること、お礼を言いたい人、会いたい人なども紙に書き込んでいきます。このように過去を振り返ることで、『まだあれをしていない』『いつかはあそこに住みたい』といったように未来が見えてくるんです。これらを行動に移すことが最期に後悔しないことにつながります」

―「終の棲家」も人生の棚卸しから見えてくる?
「棚卸しだけでは漠然としか見えてこないと思います。だから次に家の片づけをします。これをすることで今の自分にとっての必要なものと不要なものが分かってくるからです。家の片づけをしていると『この部分は不便だな』といった家に対する要望が明確になってきます。これがリフォームや引っ越しなどの終の棲家を考えるきっかけになるわけです。
こうやって身の回りのものを整理をすることは、『自分にとって何が大事か』を考えることにつながります。この考えを深めるには『自分がどんな人間か』を理解することが必要です。そのために履歴書を書くことが有効です。出身地、本籍などを書き出すことで、より自分を知ることができます。ここまでやったら次はエンディングノートの作成です」

エンディングノートを使って終の棲家を考える

―エンディングノートにはどんなことを書くのでしょうか?
「“エンディング”という言葉から人生最後という後ろ向きな印象を持つ人がいますが、エンディングノートは未来を書き出すノートです。具体的には保険を見直したり、延命治療をするか否かなどの医療への希望、そして終の棲家についてなどを書いていきます」

―終の棲家にはどのような選択肢がありますか?
「終の棲家に関しては、自宅のほかにもサービス付き高齢者向け住宅やケアハウスなど色々な選択肢があります。しかし、ここで考えていただきたいのは、どこに住むかではなく“誰と住むか”です。
住むことはイコール生活です。生活は終活より大事。そして生活は誰と住むかによって大きく変化します。現在65歳以上の方の11人に1人は独り暮らしです。しかし、みんながみんな独り暮らしを希望している訳ではありません。今までの終活カウンセリングの経験からは、本心では子どもと同居したいと思っている人が多いようです。でも、子どもには言い出せない。ところが子どもの方も、本当に独り暮らしでいいのか心配しているケースがたくさんあります。ですから親子で話し合って終の棲家を選択してほしいと思います」

なにより一緒に住む人と話し合うことが重要

―一緒に住む可能性がある人とよく話し合うことが大事ということですね。
「その通りです。どうしても言い出せない場合は、まずは終活カウンセラーや要支援・要介護認定を受けた人ならケアマネージャーに相談すればいいと思います。
また、夫婦二人で住む場合は、一緒にじっくりエンディングノートを書いて、両者とも納得できる終の棲家を見つけてほしいですね」

一般社団法人終活カウンセラー協会オリジナルのエンディングノート。どのようなノートを使用するかは自由。書きやすいものを選んで構わない(資料提供:一般社団法人終活カウンセラー協会)一般社団法人終活カウンセラー協会オリジナルのエンディングノート。どのようなノートを使用するかは自由。書きやすいものを選んで構わない(資料提供:一般社団法人終活カウンセラー協会)

2014年 10月03日 11時06分