家庭で出来る省エネが注目されている

参加者700〜800名の大きなセミナー。住宅や建築関係者をはじめ一般の方も参加されている
参加者700〜800名の大きなセミナー。住宅や建築関係者をはじめ一般の方も参加されている

地球温暖化に代表される環境問題やエネルギー問題への関心が高まっている昨今。省エネに関する呼びかけや商品も多数販売されている。
だが、実際の暮らしのなかで省エネをしようと考えたとき、何から手をつければいいのか分からない人も多いのではないだろうか。電気をこまめに消すことや使っていない電化製品のコンセントを抜く、といったこと以外にどのような方法があるのか。一般社団法人Forward to 1985 energy life代表理事の野池政宏さんに話しを伺った。

2003年頃から住宅におけるエネルギーのあり方に意欲を注ぎはじめ、東日本大震災後からはより一層その想いを募らせるようになったという野池さん。『1985年レベルのエネルギー消費生活へ進もう!』という概念のもとこの法人名を定めた。1985年に「戻ろう!」ではなく「進もう!」というところに、何か鍵がありそうだ。

現在は、建築関係者や工務店をはじめ一般の方々に、省エネに役立つパッシブデザインの効果と方法を調査研究、提案、アドバイスなどを行うセミナーを日本各地で実施する傍ら、エコ住宅に関する著書も出版している。

簡単にできる省エネのための暮らし方や自然環境を活かした住宅建築の方法とは、どのようなものなのか。その内容を探ってみよう。

家庭での電力使用量を「1985年に進める」という考え

2007年時点での日本全体の電力消費量の内訳2007年時点での日本全体の電力消費量の内訳

東日本大震災後の原発問題で、日本のエネルギーのあり方について議論されることが多く、複雑な環境にある電力。原子力発電に頼らない電力消費の状況をシンプルに考えることで、1つの概念を導き出したという野池さん。まずは、日本全体で使われている電気の内、原子力で賄っている数値を調べてみた。その結果、2007年時点での原子力で発電される電力は952PJ(※)、それ以外の発電量は2791PJだったという。この2791PJという数字は、1985年の日本全体の電力消費量に近い数字。そこで、Forward to 1985 energy lifeというわけだ。同時に、家庭で使用されている電力と、原子力で作られている電力(952PJ)がほぼ同じだということも判明。そこで、家庭で使う電力を半分にすれば、原子力で賄う電力は半分でよくなる!という考えにいたる。

「Forward to 1985 energy lifeの考えに至ってから、エネルギーや建築についても理解を深めないと各方面に説明することが難しいと思い、まずは建築や電力に関する多くの報告書や研究所などを読み見識を深めました。今では、工務店や建築事務所の建築士や住宅設備・建材といった住宅に関わる各業界に向けて、暮らしの中で出来ることから住宅の新築・リフォーム時にできる省エネの工夫などをセミナーを通じて情報を伝えています」と野池さんは言う。

※PJ(ペタ・ジュール)…エネルギー量の単位で千兆(10の15乗)ジュール

省エネのポイントは「窓」、ローコストで出来る暮らしの工夫

窓の外に「スダレ」を設置し、夏の日射を防ぐ窓の外に「スダレ」を設置し、夏の日射を防ぐ

風力、太陽光といった自然エネルギーを利用した発電方法も注目されているが、自宅の屋根に太陽光発電を設置しただけで、省エネ住宅と言ってしまうのは少し違う気がする。現在の生活に一工夫するだけで出来る省エネにつながる暮らし方はないのか尋ねてみた。

現在住んでいる住宅の省エネを考えるとき、一番注力したいのは「窓」だという。"窓は暖房機と同じ”だと断言する野池さん。
「住宅の周辺環境にもよりますが東・西向きの窓なら夏場、1m2で600wほどの熱が入ってきます。窓の面積が2m2の面積になれば、一般的な電気ストーブ1台分の熱量に相当する1000wを超えるんです。そう考えると冬は暖かくていいんですが、夏はストーブを点けたまま冷房をしていることになります。これでは、電力の無駄と言われても仕方がないですよね」とその事実にハッとする。

では、夏の冷房を効率よくするにはどうすれば良いのか。
ローコストで出来る一番良い方法は、日差しが入ってくる窓の外に「スダレもしくはヨシズ」を設置するだけで良いという。部屋の中のカーテンやブラインドに比べ、スダレは2倍以上の効果があるのだとか。もっと欲をいえば、使っていない部屋は雨戸やシャッターをして部屋を暗くすると良いそうだ。蔵や古民家で体験した人もいると思うが「暗い部屋は涼しい」のだ。また、戸建の場合1階で冷房していても2階の部屋が暑いと熱が逃げてしまう、その逆もしかりで2階で冷房しても1階でストーブを点けているのと同じになるため暗くするのだ。冬は、ストーブの電源を入れるのと同じように日差しが差し込む時間帯は、全ての窓のカーテンを開けて熱量を最大限に取り組むことだ。室内での工夫としては、窓から熱が逃げないよう、カーテンボックスを付け床まである厚手のカーテンにすることだという。

店頭では教えてくれない効率の良いエアコンの選び方

一般家庭における4大電力消費は、冷蔵庫・照明・テレビ・エアコンだといわれる。その中でも住まいの工夫で消費電力を軽減しやすいのがエアコンと照明だ。

照明については、消費電力で知られるLED電球に交換するのも一つの方法だ。あとは、こまめに消灯することだがついつい点けっぱなしにしてしまうという人には、人感センサーや周囲の明るさに反応して点いたり消えたりするセンサー付きのものを選ぶと無駄がないだろう。

一方、エアコン選びについては、省エネ効果の高い商品が店頭にたくさん並んでおり、どれがいいのか迷う人も多いのではないだろうか。そこで、チェックして欲しいのが通年エネルギー消費効率を、数値で表示した「APF」と言われる省エネラベルだ。目安として、APF6.0以上であれば十分効率が良いといえる。
2000年以前のエアコンを使用している家庭なら、思い切って買い替えるのも方法の一つだ。購入時に考慮したいポイントは「能力の小さめなもの」を選ぶということ。例えば通常、20帖の部屋なら20帖用のエアコンを選びがちだが、そこを10帖用のエアコン2台にするか、1台にするなら1〜2段階小さいエアコンにする方が電力のコストパフォーマンスが良くなる。その理由として、エアコンは一生懸命働いている方が効率が高く、電力の消費も少なくなるからだ。
このことは、なぜか店頭でもあまり教えてはもらえない、というよりそこまで把握しきれていないと言う方が正しいのかもしれない。

【家庭で出来る省エネ②】では、聞けば聞くほど「そうなんだ!」と思う省エネに配慮したリフォームについて紹介する。


取材協力:一般社団法人Forward to 1985 energy life
http://to1985.net/

2014年 03月21日 09時57分