リアルで体験できるDIYショップから、DIYスクールへの展開

芸能人が手がける部屋や家具のDIY番組、雑誌のDIY特集など若い世代を中心に注目を浴びブームとなっているDIY(Do It Yourself)。

1937年の創業から約80年、ホームセンターに工具を卸していた株式会社大都が、日本にDIY文化を定着させるべく、体験型DIYショップ「DIY FACTORY」の運営に乗り出している。1号店の「DIY FACTORY OSAKA」は、2014年4月に大阪・南海本線「なんば」駅近くの高架下で、2号店の「DIY FACTORY FUTAGOTAMAGAWA」は、2015年4月に東京・二子玉川ライズにオープンしている。共に来店数が伸びており、二子玉川ライズ店では平日1日で約1000人、週末で約3000人、月間4〜5万人の来店があり、オープンした4月から12月までの来客数は44万人超だという。

そして2016年3月12日に、新たな展開として大阪のなんばパークス5階に、20〜30代の女性をターゲットにしたDIYスクール「DIY FACTORY STUDIY(スタディ)」をオープンした。1号店・2号店は、ワークショップをはじめとするリアル体験型のDIYショップだが、今回は体系立ててDIYを学んでもらうための店舗型スクールだという。「STUDIY(スタディ)」とは、STUDY(学ぶ)とDIYをかけあわせた造語だ。料理教室やフィットネスクラブに通うように、習い事としてDIYを楽しんでもらいたい!というのが趣旨のようだ。

「DIY FACTORY STUDIY」をオープンした背景や今後の展望などについて、株式会社大都 代表の山田岳人氏に話を伺った。

DIY FACTORY
http://www.diyfactory.jp

なんばパークス5階にオープンした「DIY FACTORY STUDIY(スタディ)」なんばパークス5階にオープンした「DIY FACTORY STUDIY(スタディ)」

一昔前、日曜大工と呼ばれた現代のDIYは女性に大人気!

モザイクタイルで鍋敷き造りを体験する女性ユーザーモザイクタイルで鍋敷き造りを体験する女性ユーザー

DIYショップからの展開として、女性を対象としたDIYスクールを創ろうと思った背景には何があるのだろうか。まず、その点について山田氏は、
「2015年11月に、ブラック・アンド・デッカーが行った『DIYをやってみたい』という関心層に関する調査で、興味・関心があると回答した男女比率は男性42%に対し女性は58%と、女性の方が関心が高いという結果が出ています。DIY FACTORY OSAKAでも、男女各10名が参加する『DIY合コン』イベントを開催したのですが、男性に比べ女性の反応の方が圧倒的に高く、女性は3ヶ月待ちの状態になっています。また、先ほどの調査会社で女性に対して行った『実際にDIYをしたことがあるかどうか』という質問で、『ある』との回答は2013年で6.9%、2015年では14%でした。DIYをしたことがある人は、微増ながらアップしていますが、まだまだというのが実情です。その理由として、『やってみたいけど、何から始めればいいのか分からない』や『道具の使い方が分からない』、『いきなり実践するのは、ちょっと勇気がいる』といった声があります。そこで、住まいに対して関心が高まっている若い世代の女性を対象に、それらの悩み解消とDIYを身近に感じてもらいつつ、ライフスタイルとして定着できるよう、仕事帰りに通える習い事としてレッスン内容を考えたんです」とこれまでの経緯を語ってくれた。

「DIY FACTORY STUDIY」は、まず会員になりポイントを購入し、興味のあるレッスンに参加予約をするというシステムになっている。レッスンは1回2時間〜3時間ほど、1日最大14レッスン、週に最大100コマのレッスン内容を予定している。内容は、工具の選び方や使い方、木材加工・塗装といった基本的なことから、キッチンやリビングなどで実践できるレッスンなど、自宅でDIYが楽しめる講座も組み込まれている。また、入会するか、しないかの判断ができるよう、体験ができるようになっているので興味のある人は、試してみるのもいいだろう。

DIY FACTORY STUDIY
http://www.diyfactory.jp/studiy/namba/

賃貸に住んでいても出来るDIYの方法を伝授!

3月12日のグランドオープンに先駆け、10名の女性ユーザーによるDIY体験会が実施され、クロス貼りの壁に漆喰(しっくい)塗料を塗る作業体験とモザイクタイルの鍋敷き造りが行われた。漆喰といえば、左官職人が日本家屋などの壁に施す壁塗りの代表的な作業だ。そんなことが素人にできるのだろうかと考える間もなく、店員の説明が始まり参加者が躊躇なく、「DIY FACTORY STUDIY」の店舗内に用意された壁に、漆喰を塗りはじめた。用意された漆喰塗料は、すでに調合されておりパッケージを開封すればすぐに使えるうえ、左官用のコテ以外にもペンキを塗るときに使うローラーで塗装することも可能だという。また、漆喰といえば普通なら土壁などに施されるがこの塗料を使えば、クロス貼りの壁にも使えるのだという。

塗るだけで黒板になる塗料やアクセントとしてのカラーペンキ塗り、クロス貼りといった壁のDIYは、とても人気があるのだそうだ。だが気になるのは、住まいが賃貸の場合だ。通常、退去時の原状回復というルールがあるため、そう簡単に壁を自分好みにDIYすることは難しいのではないか。「DIY FACTORY STUDIY」では、賃貸に住まう方でも壁に簡単にDIYができる方法を教えてくれるというから、本格的にやってみたい人には有り難い情報となりそうだ。

クロス貼りの壁に、左官用のコテで漆喰塗料を塗る作業体験。<br>「わあ〜、おもしろい!」「楽しい♪」といった会話が聞こえた作業風景クロス貼りの壁に、左官用のコテで漆喰塗料を塗る作業体験。
「わあ〜、おもしろい!」「楽しい♪」といった会話が聞こえた作業風景

なんばパークスが「DIY FACTORY STUDIY」にかける期待とユーザーの反応

DIYに使う道具や材料などが並ぶ「DIY FACTORY STUDIY」の店内DIYに使う道具や材料などが並ぶ「DIY FACTORY STUDIY」の店内

この「DIY FACTORY STUDIY」について、なんばパークス側はどのように捉えているのか話を聞いてみた。南海電気鉄道株式会社の流通営業本部 流通事業部 なんばパークスの主任(フロアマネージャー)辰巳砂 悦子氏は、
「DIY FACTORY STUDIYに、とても期待しています!モノ消費からコト消費へと移り変わっていく今の流れにマッチしているという考えもありました。ターゲットとしている年代の女性に、うけると思っていましたし実際に、Facebookに投稿したら『面白そう!』、『行ってみたい』といった反響もあり期待感が高まりました。私自身も、入会しようと考えているほど魅力的な内容です」と満面の笑顔で答えてくれた。そして、「なんばパークスの5階は、体験を通じた学びをテーマにしていることや、大阪・南海本線「なんば」駅近くの高架下の「DIY FACTORY OSAKA」とのつながりがあったこと、丁度なんばパークス内で案内できる区画があったことなどベストなタイミングが重なり話を進めさせてもらいました」と話してくれた。
オープンに向けての改装中、覆いをした店舗の前に株式会社大都が発行するDIYに関するマガジンを置いたところ、毎日50部は減っていたという。また、なんばパークスが案内するチラシなどをみて、連絡先となっていたDIY FACTORY OSAKAには、月60件〜90件ほどの問合せがあったというから消費者の同スクールに対する関心の高さが伺える。

DIYマーケットの拡大・定着に向けた取り組みとは

株式会社大都、代表の山田氏(中央)と広報の数田さん(左)、店長の小寺さん(右)株式会社大都、代表の山田氏(中央)と広報の数田さん(左)、店長の小寺さん(右)

株式会社大都の山田氏は、
「この店舗型スクールを通じて、DIYという同じ趣味をもつ仲間がつながり、交流することで参加者同士のコミュニケーションも深まります。それに、自分たちでDIYが出来るようになれば、価値観が共有できるカップルになり、子どもにとってカッコいいお父さんになり、コミュニケーションのとれる夫婦になると思っています」とDIYの効果について語ってくれた。

また、同社では1号店のオープン当初から、DIYをライフスタイルとして定着できるよう、DIY市場の拡大のためオフラインからオンラインへの流通を確立している。オフラインでは、実店舗でのリアルな体験を、オンラインではネットでDIYの工具や材料が購入できる通販サイト「DIY-TOOL.COM」と、料理レシピサイトのようにDIYの作業内容などが閲覧できる「MAKIT!」というサイトの運営を行っている。実店舗、通販サイト、DIYハウツーサイト、この3つを連携することで市場を拡大・定着させることが狙いだ。他にも、リフォーム会社からDIYのフランチャイズについて要望があるといい、空き家対策としてDIYを活用したい考えもあるようだ。
今後、DIY市場がどれだけの広がりをみせるのか、これからの発展が楽しみだ。

DIY-TOOL.COM
http://www.diy-tool.com

MAKIT!
https://makit.jp

取材協力
株式会社大都
http://www.daitotools.com/

2016年 03月30日 11時06分