消費税率の引上げに合わせて「すまい給付金」がスタートする

消費税率の引上げがいよいよ2ケ月後に迫った。新築分譲マンションや新築一戸建てなど、事業者が売主または請負人となる住宅では建物部分の価格に対して消費税が課税されるため、一般消費者への影響も大きいだろう。そこで税負担の軽減を図るため、2014年4月から住宅ローン控除制度が大幅に拡充されるとともに、新たに導入されるのが「すまい給付金」制度だ。

住宅ローン控除制度は、10年間の最大控除額合計が200万円から400万円に引上げられるが、もともと所得税の負担額が少ない中低所得者にはそのメリットが及ばない。そこで考え出されたのが「すまい給付金」であり、その対象は年収の目安が510万円以下の人となる。

ただし、これは「夫婦(妻は収入なし)および中学生以下の子どもが2人のモデル世帯」における夫の収入額の目安となっている。詳しくは後ほど説明するが、実際には都道府県民税の所得割額によって判断されるのであり、家族構成(扶養人数)の違いなどによって、年収600万円でも対象となる人、あるいは逆に年収400万円台でも対象外となる人もいるだろう。

なお、現時点において「すまい給付金」制度は2013年10月1日の閣議決定に基づくものであり、正式決定は2013年度補正予算の成立を待たなければならない。補正予算案は2014年1月24日に始まった通常国会で審議され、その成立は早くて2月上旬の見込みだ。よほどの事態が起きないかぎり、これが覆ることはないだろうが……。ちなみに予算額は約3,100億円となっている。

「すまい給付金」制度は、2017年12月31日までに引渡しを受けて入居が完了した場合を対象としている。消費税率が8%のときは最大給付額が30万円だが、消費税率が10%に引上げられる際には、収入額の目安が775万円以下の層まで広げられるのと同時に、給付基礎額も最大50万円までアップする予定となっている。ここでは話がややこしくならないように、消費税額が8%のときにおける制度の内容に絞って解説を進めることにする。

すまい給付金と住宅ローン控除拡充で、増税後も売行きは好調?すまい給付金と住宅ローン控除拡充で、増税後も売行きは好調?

給付基礎額は10万円、20万円、30万円のいずれかになる

すまい給付金の対象となるのは、税率引上げ後の消費税(8%または10%)を負担した場合にかぎられる。2014年3月までに引渡しを受けた場合および2013年9月までに契約をして特例措置の適用を受け、課税される消費税率が5%だった場合には対象外となることに注意したい。

給付基礎額は都道府県民税の所得割額によって決められる。消費税率が8%のときは、都道府県民税の所得割額が6万8,900円以下の場合に30万円、6万8,900円を超え8万3,900円以下の場合に20万円、8万3,900円を超え9万3,800円以下の場合に10万円となる。新聞報道などを見ていると、「収入額の目安」しか書かれていないことも多いため勘違いしないように気をつけたい。

夫婦などで共有名義とするときには、それぞれの税額に基づいて計算した給付基礎額に登記上の持分割合を掛ける(千円未満は切り捨て)ことによって実際の給付額を求めることができる。たとえば、夫の都道府県民税所得割額に基づいて求めた給付基礎額が20万円で、共有持分が3分の2のとき、実際に受け取ることのできる給付金は13万3千円となる。同様に、妻の都道府県民税所得割額に基づいて求めた給付基礎額が30万円で、共有持分が3分の1のとき、実際に受け取ることのできる給付金は10万円となり、夫婦の合計は23万3千円だ。

なお、親などとの共有名義にしたとき、その住宅に居住しない者は給付の対象外となることを覚えておきたい。自分の給付基礎額が30万円でも、同居しない親と2分の1ずつの共有名義にすれば、受け取ることのできる給付金は15万円にとどまる。また、すまい給付金を受取ることができるのは1度だけだ。制度の継続期間中に買換えなどをしても2度目の適用はない。

すまい給付金は都道県民税の所得割額で決まるすまい給付金は都道県民税の所得割額で決まる

神奈川県民は要注意!神奈川県だけ規定が違う

全国の都道府県の中で唯一、神奈川県だけが異なる税率を採用している。他の都道府県よりも県民税の税率(所得割)が高いのだ。昨年の夏以降、神奈川県内で私が講師を務めたセミナーなどでその話をすると参加者はたいてい驚いた顔をするが、それはそうだろう。ほとんどの人はそのような事実を知らない。長年、神奈川県に住んでいる私自身も、高いとは聞いたことがあるが「神奈川県だけ」とは知らなかった。

それはともかくとして、実際にはほんのわずかな額であるが他の都道府県と給付基礎額の区分が異なるので十分に注意したい。これまで神奈川県に住んでいて他の都道府県で住宅を購入する場合でも、神奈川県民税の所得割額で判断されることになる。なお、収入の目安は他の都道府県と同じだ。

神奈川県のみ税額の区分が異なる神奈川県のみ税額の区分が異なる

給付金算定の対象となる収入期間と引渡し時期の関係

都道府県民税の所得割額によって給付金が決まるといっても、前年の税額がすぐに分かるわけではない。そのため「すまい給付金」制度では、毎年7月1日を対象年度の切換え時期と定めている。したがって、2014年4月1日から6月30日までに引渡しを受ける場合は、2012年1月から12月の収入に対する税額(2013年度の課税証明書)によって判断される。同様に2014年7月1日から2015年6月30日までに引渡しを受ける場合は、2013年1月から12月の収入に対する税額によって給付金の額が決まる。

消費税率8%で住宅を購入し、今年4月から6月に引渡しを受ける予定の人であれば、すでに確定している昨年の都道府県民税所得割額(おととしの収入に対する税額)で、すまい給付金をいくらもらえるのか確かめられるはずだ。税額が分からなければ市区町村で発行する個人住民税の課税証明書を入手すればよい。

上の表を見れば分かるだろうが、すまい給付金では都道府県民税の所得割額が100円違うだけで10万円の差が生じるケースもある。ちょうど給付基礎額の境目に近い税額の人であれば、6月30日に引渡しを受けるか、7月1日に引渡しを受けるか、たった1日の違いで10万円多くなったり少なくなったりする事態も起きるだろう。事前によく確認しておきたいものだ。

また、100円単位で算出される都道府県民税は、収入の数百円の差で税額が100円アップすることもある。「あのとき30分の残業をしなければ、すまい給付金があと10万円多かったのに」ということも起こり得るだろう。あくまでも結果論でしかないが……。

すまい給付金の申請は取得した住宅への入居後1年以内に行い、1ケ月半から2ケ月後に振込まれることとなっている。必要書類や手続方法については売主または仲介の不動産会社に確認すればよいだろう。給付金をそのまま購入代金の支払いに充てることのできる「代理受領」の方法も用意されているが、これは契約の際に特約を結ぶことが必要となるほか、通常の場合と取扱いが異なる部分もあるので十分に注意したい。

毎年7月1日に対象となる収入期間が変わる毎年7月1日に対象となる収入期間が変わる

購入する住宅の要件と、現金で購入する場合の適用要件

国が現金を給付する制度のため、対象となる住宅に制限が加えられることは仕方がない。ただし、それほど難しい要件はなく、ハードルは低いものとなっている。

まず、新築住宅、中古住宅とも、自らが居住する住宅であり、登記上の床面積が50m2以上であることが求められる。新築住宅の場合には、工事中の検査によって品質が確認されることが必要であり、具体的には住宅瑕疵担保責任保険に加入するか、もしくは建設住宅性能表示制度などを利用することになるが、たいていの新築住宅はこれらに該当するだろう。

中古住宅の場合には、宅地建物取引業者が売主となる場合にかぎられる。消費税の課税対象とならない、個人が売主の中古住宅はもともと対象外だ。そして、既存住宅売買瑕疵保険、既存住宅性能表示制度(耐震等級1以上)のいずれかを利用することによって一定の検査を受けるか、もしくは新築時に住宅瑕疵担保責任保険に加入または建設住宅性能表示を受けた築10年以内の住宅が対象となる。

すまい給付金を受取ることができるのは、原則として住宅ローン(金融機関などからの借入れで償還期間が5年以上のもの)を利用する場合だが、現金で購入するときには、引渡しを受けた年の12月31日時点で年齢が50歳以上であることなど、一定の要件を満たせば対象となる。現金購入の新築住宅では、住宅ローン利用者の場合の要件に加えてフラット35Sの基準を満たすことも必要だ。

なお、消費税率8%のときは現金取得者でも住宅ローン利用者と同じ税額区分となるが、10%のときにはいくぶん厳しくなる予定だ。消費税率が10%へ引上げられたとき、住宅ローン利用者は都道府県民税の所得割額が17万2,600円(神奈川県は17万3,600円)までの層が対象となるのに対して、現金取得者では13万3千円以下に限定される。

消費税率が2015年10月に再引上げされるのか、あるいはそのときに住宅に対する軽減税率が適用されるのか、まだ分からないことは多いが、年収が600万円台程度で来年以降に住宅の現金購入を計画している人は、今後の動向にも十分に気をつけたい。

2014年 02月05日 10時46分