消費増税で住宅需要が落ち込まないようにするための施策

消費税を引き上げる際、最も懸念されるのが消費の落ち込みによる景気の減退・腰折れ消費税を引き上げる際、最も懸念されるのが消費の落ち込みによる景気の減退・腰折れ

2019年10月、現実的に消費税が10%に引き上げられる公算が徐々に高まってきた。安倍総理大臣は記者会見を開いて「リーマン・ショック級の事態が発生しない限り」消費増税を断行する方針であると明言している。いよいよ消費増税まであと8ヶ月ほど、カウントダウンはすでに始まっている。

消費税を引き上げる際、最も懸念されるのが消費の落ち込みによる景気の減退・腰折れだ。これまで10%への消費税改定を2度も先送りしてきたのは、この景気の腰折れに対する懸念が払拭できなかったからだと言える。

ただ、消費増税は今後の少子化・高齢化による税収の落ち込みをカバーする手段として避けることができないし、赤字体質が続く財政を健全化する手段としても導入せざるを得ないというのが衆目の一致するところであり、この景気の腰折れ懸念を回避するために、“今回こそは”と財務省を中心として様々な景気浮揚・維持策が導入されることになった。

今回の消費増税による国庫の増収は約5兆円~5.5兆円と想定されており、そのうち2兆円を景気浮揚・維持策に使おうというのが現在の政府の基本スタンスとなっている。

このうち、次世代住宅ポイントの還元予算は約1,300億円、全体からすると決して大きな額ではないが、ポイントの上限(1件につき30万~35万ポイントを想定)を考慮すると少なくとも40万件以上が対象になる計算となり、相応の波及効果が期待できる。

住宅ローン減税の延長と共に次世代住宅ポイントを導入

税収が増えることを想定して、そのうちの40%程度を短期間で還元してしまおうというのは国の姿勢として如何なものかという議論はさておき“住宅という大きな買物をすることを決心した人には、それなりに対応しましょう”という用意が進められている。

そのうちの一つは、2018年末の税制改正大綱で公表された住宅ローン減税期間の3年延長だ。
これまで住宅ローン減税は年末を基準として元本の1%を10年間控除する仕組みだったが、11年目からは建物取得価格(※一般住宅の上限は4,000万円、長期優良住宅および低炭素住宅は5,000万円となっている)の2%相当額を3年に渡って(分割して)控除する仕組みが導入される。ただし、元本の1%相当額と建物価格の2%/3年分のうち、低い金額が控除の対象となる。

また、すまい給付金の対象となる所得階層を拡充し、給付額も最大50万円に引き上げること、および贈与税の非課税枠を最大3,000万円に引き上げることも併せて公表されているから、これらの制度をフル活用することができれば、消費増税後(かつこれらの制度の対象となる2020年末までの入居)の購入のほうが「お得」になるケースが増える可能性が高い。

なぜ、住宅購入にこれほどのインセンティブが与えられるのか。
それは、引越し費用や家財道具購入など住宅購入による経済波及効果が極めて大きいからだ。消費増税による景気の腰折れを防ぐには、住宅購入支援を手厚くすることが最も効果的であることはいうまでもない。

国土交通省:次世代住宅ポイント制度の概要(平成31年1月4日更新)より国土交通省:次世代住宅ポイント制度の概要(平成31年1月4日更新)より

次世代住宅ポイントはリフォームにも適用される

このように住宅購入支援策などを手厚くすることで、消費増税をスムーズに実現しようという政府の意図は明らかだが、次世代住宅ポイントは前回の住宅ポイント同様にリフォームにも適用されるため、消費増税後の増改築にも対応できるという細やかな配慮がなされている。

2019年10月の消費増税後の住宅およびリフォーム工事の引渡しを条件として、さらに契約については注文住宅およびリフォームは2019年4月~2020年3月、分譲住宅は2018年12月21日~2020年3月の着工かつ契約、さらに2018年12月20日までに竣工した未入居物件についても2019年12月20日までに売買契約を締結すれば対象となるので、これらの条件をしっかり確認することが必要だ。制度としては対象となる住宅および適用期間が、ややわかりにくい。

なお、残念ながら新築住宅の購入および注文住宅の新築、既存住宅のリフォームが対象となっており、既存住宅の購入については今回のポイント制度の対象外となる(既存住宅を購入してのリフォームはリフォームのみ対象となる)。

国土交通省:次世代住宅ポイント制度の概要(平成31年1月4日更新)より国土交通省:次世代住宅ポイント制度の概要(平成31年1月4日更新)より

発行ポイント数とポイント付与項目は複雑多岐

貸家を除く住宅の新築は1戸あたり35万ポイント(=35万円)、貸家を含む住宅のリフォームは同じく30万ポイント(=30万円)が上限に設定されている。
ただし、住宅の新築に関して①エコ住宅(断熱等級4または一次エネ等級4を満たす住宅)、②長持ち住宅(劣化対策等級3かつ維持管理対策等級2を満たす住宅)、③耐震住宅(耐震等級2を満たす住宅または免震建築物)、④バリアフリー住宅(高齢者等配慮対策等級3を満たす住宅)については上限が30万ポイントになり、長期優良住宅については優良ポイントの導入により加算が認められ、また住宅のリフォームについても若者・子育て世帯によるリフォームや一定の既存住宅の購入に伴うリフォームの場合は上限特例が設けられるなど、ポイント制度の実際は複雑かつ多岐に渡る。

自分が購入もしくはリフォームした住宅が対象になるかどうかをまず確認し、その上で対象になる期間の確認およびポイント加算などの特例が適用になる住宅かどうかも重ねて確認しなければならない。このような制度の常として、申請しなければ適用されないという大原則は変わらないので、しっかり制度内容を理解したうえで上限の30万ポイントもしくは35万ポイントを有効活用するべく、申請の準備を行なう必要がある。

なお、ポイント発行の申請は予定では2019年6月以降になるため、制度を理解し活用に向けて戦略を練るには相応の時間がある。またポイントで交換可能な商品の具体的内容は現時点では決まっておらず、単に『「環境」「安全・安心」「健康長寿・高齢者対応」「子育て支援、働き方改革」に資する商品』としか表記されていないため、モチベーションを鼓舞するような魅力的なものを用意してもらえるよう願うのみである。

下記の一覧表をご確認いただき、申請漏れがないようにしたいものだ。

国土交通省:次世代住宅ポイント制度の概要(平成31年1月4日更新)より国土交通省:次世代住宅ポイント制度の概要(平成31年1月4日更新)より

2019年 02月03日 11時05分