増税による消費者の負担を軽減するための税制特例

2017年4月に予定されていた消費増税8%から10%への引き上げは、2019年10月まで延期される方針が示された。"わずか2%"とはいえ、高額な住宅購入においては大きな金額になる。「なんとか増税前に夢のマイホームを買いたい」という人もいるだろう。実際に過去の消費増税時には駆け込み需要が発生した。

そこで政府は、増税による消費者の負担を軽減するため、いくつかの税制特例が設けており、主なものとしては「住宅ローン減税」と「贈与税非課税措置」がある。
一体どれくらい増税負担を軽減できるのか。駆け込み購入をした方が得なのか。増税が延期になった今だからこそ、あらためてこれらの内容と延期の影響をお伝えしよう。

ちなみに消費税は土地代金にはかからない。かかるのは建物代金や不動産会社への仲介手数料などだ。また、中古住宅の売買では、売主が不動産会社などではなく個人だった場合も、建物代金に消費税はかからない。

住宅ローン減税によって最大500万円の所得税が控除

住宅ローン減税とは、住宅の新築・取得・リフォームなどのために住宅ローンを利用した人を対象に、所得税の一部が控除される制度だ。具体的には10年間、年末のローン残高、または住宅の取得対価のうちいずれか少ない方の金額の1%が控除される。2014年4月に消費税が5%から8%に増税されたときに、その控除限度額は変更となり、2019年6月までは上限300万円から500万円に拡充された。

また、控除額が所得税額を上回る場合は、その差額分を翌年度の住民税から控除することもできる(上限13万6,500円)。

●利用できる主な要件
・自ら居住すること
・床面積が50m2以上であること
・中古住宅の場合、築年数が一定年数以下、もしくは耐震基準適合証明書、既存住宅性能評価書などの証明書が発行されているなど、耐震性能を有していること
・借入金の償還期間が10年以上であること
・年収が3,000万円以下であること(3,000万円を超える年は住宅ローン減税が利用できない)

住宅ローン減税を受けるには確定申告が必要だ。くわしくは以下の「住まい給付金のサイト」(http://sumai-kyufu.jp/outline/ju_loan/flow.html)などで確認してほしい。


なお、この制度は2019年6月までの予定だが、消費増税の延期によって2021年12月まで延長される見通し。最終的には今秋の臨時国会以降に確定する予定だ。

住宅の新築・取得・リフォームなどに対し、最大500万円の所得税が控除される住宅ローン減税。</BR>同制度は消費税が8%から10%に上がっても変更されない見通し住宅の新築・取得・リフォームなどに対し、最大500万円の所得税が控除される住宅ローン減税。
同制度は消費税が8%から10%に上がっても変更されない見通し

場合によっては増税後の方がお得になる贈与税非課税措置

贈与税非課税措置とは、両親や祖父母から住宅の新築・取得・リフォームなどの資金を贈与された場合、贈与税が一定額まで非課税になる制度だ。もともと110万円の基礎控除があるがそれに上乗せされる形になる。

●利用できるおもな要件
•自らが居住するための住宅であること
•20歳以上で、日本国内に住所があること
•贈与者が父母・祖父母などの直系尊属であること
•贈与年の翌年3月15日までに住宅の新築、取得または増改築をすること
•贈与年の合計所得金額が2,000万円以下であること
•床面積が50m2以上、240m2以下であること   

同制度も消費税が8%に増税されたときに設けられていたが、10%に上がるのをきっかけに今年10月から最大3,000万円までの贈与が非課税になる予定だった(下図参照)。しかし、こちらも増税延長によって2年半先延ばしになる模様。詳細は今秋の臨時国会以降に確定する見通しだ。

たとえば、2,500万円の贈与を受けた場合、消費増税前後の納税額は以下のような差が生じる。

■増税前(消費税8%)
贈与額:2,500万円
2,500万円-(110万円+700万円)×45%(税率)-265万円(控除額)
⇒495万5,000円

■増税後(消費税10%)
贈与額:2,500万円
⇒非課税

もし、3,000万円の建物を新築した場合、消費税2%の差額は60万円。これに対して贈与税の納税額の差額は495万5,000円。このケースならば、増税後の住宅購入の方が明らかに得といえる。同制度も利用するには確定申告が必要だ。

なお、贈与税を軽減する方法としては、ほかにも相続時精算課税を利用するという手もある。これは贈与してもらったときではなく、相続発生時に贈与額を加算して相続税を納めるという制度。贈与税非課税措置と比べてどちらが軽減できるかは相続財産の総額などによる。くわしくは、以前「生前贈与の節税効果と注意点」について触れた、こちらの記事(http://www.homes.co.jp/cont/press/buy/buy_00338/)などを確認してほしい。

贈与税非課税措置は消費税が10%に増税されることで大幅に拡充される予定贈与税非課税措置は消費税が10%に増税されることで大幅に拡充される予定

経過措置の期間をよく理解し、購入検討を

住宅の購入に関しては、消費増税前の方が絶対に良いとは言い切れない。不動産会社や建築依頼先の担当者と相談し、どちらにした方がいいのか検討するべきだろう。そこで増税前という判断をした場合は注意が必要だ。住宅の売買では、"引渡しの時期の税率"が適用されることになるからだ。特に注文住宅の場合は、契約から引渡しに数ヶ月以上かかることが一般的なので気をつけたい。

ただし、現状の注文住宅の購入には経過措置がある。具体的には消費税率引上げの6ヶ月前までに請負契約をした場合は、引渡しが消費税率引上げ後になっても、消費税率は8%が適用されることになっている。こちらも今後に関しては秋の臨時国会以降に確定する見通しだ。住宅購入を検討している人は是非とも注視をしてほしい。

住宅の売買における消費税は引渡し時の税率が適用される。ただし、現状の注文住宅の購入には経過措置がある</BR>参照:国土交通省 すまい給付金サイト住宅の売買における消費税は引渡し時の税率が適用される。ただし、現状の注文住宅の購入には経過措置がある
参照:国土交通省 すまい給付金サイト

2016年 08月30日 11時05分