現在住んでいるエリア限定の土地探しから始まった、バリアフリー住宅建設

バリアフリーという点だけで考えると、階段がなく、上がり框の段差も少ないなどマンションのほうがフラットではあるのだが……バリアフリーという点だけで考えると、階段がなく、上がり框の段差も少ないなどマンションのほうがフラットではあるのだが……

ここでは、高齢の両親の代理人として住宅新築をサポートするHさんのご協力を得て、一戸建てができるまでの過程を紹介する。Hさんの例だけでは説明しきれない部分については、一般論での紹介となることをご了承いただきたい。

さて、まずはHさんがともに70代後半のご両親宅の新築を考え始めた経緯について。きっかけは5年前、Hさんの母が腰を悪くしたことだった。骨粗しょう症で何度か圧迫骨折を繰り返し、かろうじて自立歩行はできるものの、要介護一歩手前。その上、住んでいる家は築30年の木造一戸建てで、断熱、耐震などの性能に劣るだけでなく、体に楽なようにベッドを置こうにも置けないほど狭く、風呂、トイレなども使いにくいという状態。そこで、暮らしやすいようなバリアフリーの新築を考え、土地を探していたという。

ところが、問題は両親がずっと住み続けてきた現在の土地を離れたくないと強く主張したこと。Hさんは一戸建てよりもフラットでバリアフリーな暮らしができる、マンションでの近居も提案したそうだが、マンション生活の経験がないご両親には受け入れられなかったという。長く一戸建てに暮らしてきたご両親には管理費、修繕積立金など、毎月費用がかかる仕組みにも違和感があったそうだ。

Hさんの例に限らず、高齢者の住替え、建替え、リフォームでは住み慣れた地域を離れたがらないだけではなく、使いにくいと文句を言いながらも以前と同じ間取りを希望する例が多い。引越し経験者であれば、引越し後しばらくはモノの配置が異なることに微妙なストレスを感じたことがあると思うが、高齢者はそうしたストレスを非常に嫌がる。

時としてそのストレスが病のきっかけになることもあり、もし、両親の、あるいは自分の老後を考えて住替え、建替えを考えるのであれば、変化を楽しみとして受け入れられるうちにしたほうが良い。新しい土地で新しい人間関係を築くにはパワーが必要だし、一般には年を取れば取るほど、現状を変えたくないと思うようになるもの。その気があるなら早めが吉というわけだ。

希望にあった住まいを建てるため、建築条件付き土地を建築条件を外して購入

売り地の場合、建築条件の有無は広告の時点から表記される。建築条件付きではトラブルも少なくないので、十分な注意が必要売り地の場合、建築条件の有無は広告の時点から表記される。建築条件付きではトラブルも少なくないので、十分な注意が必要

現在住んでいるところのすぐ近くで売り土地が出たのが2013年の2月。見に行ったHさんの父はすぐに申込み、見学から1週間で契約に。土地価格は当初建築条件付きで土地代が4000万円、建物を合わせると5700万円。しかし、建物について話をしたところ、居住者となる高齢者への配慮のある住まいは期待できそうになく、建築条件を外してもらうことになったという。

ここで建築条件付きの土地について簡単に説明しておこう。これは土地の売買契約とは別に、売主が指定する建築業者などとの間で建築工事請負契約を締結、家を建てることが土地売買の条件となっているというもの。あらかじめ、参考プランが示されていることも多く、費用、建物のアウトラインが明確になっているため、短期間で建てたい人にはメリットもある。

一方で、Hさんの例のように、個別のニーズに合わせた家を建てたい場合には、それが実現できない可能性がある。建築条件付き土地購入の検討をする際には、どこの建設業者を利用することになるのか、どのような家が建てられるのか、どの程度の自由度があるのかなど、希望の家が建つ可能性を探った上で決断をしたいところだ。

さて、Hさんは建築条件を外してもらい、4200万円で土地を購入することになった。私自身がこれまで聞いたうちで言えば、200万円プラスで購入できたのは、かなり良心的。建築条件付き土地を土地だけの購入とする場合、元の額にもよるが、プラス数百万円あるいは20%程度の額を上乗せされることがある。建築条件付き土地では、建設会社が土地を売った会社に謝礼としていくばくかを支払うことがあり、同じ土地を売ったとしても、売った会社に入る額は大きくなる。逆に建築条件を外して売ると入る額が減るわけで、その分を高くして売るというのが一般的なのである。

ハウスメーカー、建築事務所を選ばなかった理由

土地購入後、最初に検討したのはどこで建てるか。Hさんはハウスメーカー、設計事務所、工務店の3種類を想定、それぞれのメリット、デメリットを比較検討し、最終的には地元で実績のある工務店を選択した。それに至るまでのHさんの意見と一般的な見方を簡単にご紹介しよう。

「ハウスメーカーは選択肢としては考えたものの、実際にはどこにもアクセスせず。理由は自由設計の請負契約というにも関わらず、坪単価○万円を売りにする営業展開には疑問があったためです。大量生産・大量販売を前提とするため、注文住宅といえども工業製品同様の扱いで、プランの融通性が限定される点でも検討する意味がないのではと考えました」。

大手を中心に知名度が高く、安心感がある、保証体制がしっかりしているなどと評されることの多いハウスメーカーだが、標準仕様以外を選択すると料金が高くなるという声は少なからず聞く。逆に標準仕様を選択すれば、さほどの手間をかけずに家が建てられるということでもあり、良し悪しは表裏一体。大手になるとそれなりの価格になるが、最近は安値を売り物にしているメーカーもあり、こちらも千差万別である。

「施主の希望に添った住まいができるはずと、設計事務所も実際に紹介してもらうなど、考えはしましたが、最終的には依頼せず。両親が設計料(通常10~15%)という名目の費用計上に納得できなかったこと、規模が小さい事務所では、2014年3月末までに引渡しを受けたいという当方のニーズにマンパワー不足で答えられない可能性があったことが理由です」

設計事務所に依頼して建設する場合には、きめ細やかに要望をカタチにしてもらうことはできるが、その分、手間も時間もかかることが多い。じっくりと時間をかけて満足度を高めたい人には向いているが、それほどこだわりがないという人には面倒に思える場合もある。今回の例のように入居希望日が決まっているケースには難しいこともある。

アフターサービスも考えて、地域密着型の地元工務店で建てることに

どこに建ててもらうかは、こだわりの度合いと予算、手間の兼ね合いで考えたいところだどこに建ててもらうかは、こだわりの度合いと予算、手間の兼ね合いで考えたいところだ

Hさんが最終的に選択したのは地元で50年以上にわたって新築工事や分譲住宅・リフォーム工事を手掛けている工務店。上場企業という安心感もあり、相談に立ち寄ったのがきっかけだったという。

「地元の工務店の魅力は地域密着で、施主との距離感を大切にしてくれるところでしょうか。また、創業以来、設計から施工管理、アフターサービスまでを自社一貫体制で行っていることから、下請け事業者に丸投げという心配がなく、近くですから、入居後のメンテナンスにもすぐに来てもらえるのではないかと考えました」。

住宅は建てたらおしまいという商品ではないため、メンテナンスは非常に大きなポイントになる。特に一戸建てはマンションと違い、自己責任ですべてやらなくてはいけない。となると長年に渡って信頼できる会社であることはもちろん、入居後にどのようなサービスをしてくれるのか、また、万が一にも経営破綻する心配がないかなども見ておきたいところである。

最後にひとつ、注意していただきたいのは、今回のHさんの選択は万人に当てはまるものではないということ。どこに頼むとしても、それぞれにメリット、デメリットはある。自分の建てたいもの、かけられる予算、手間を考え、どこに頼むとその要望が実現できるかを考え、自分の夢をカタチにしてくれそうな会社を選んで欲しいところだ。

■建築条件付き物件を選ぶ際に注意したいポイント
要注意!「自由設計」「フリープラン」をうたう「建築条件付土地」契約のトラブル(大阪府)
http://www.pref.osaka.lg.jp/kenshin/kenchikujoken/

2014年 01月26日 10時42分