地盤調査の結果によっては改良の必要も

土を掘削しながらセメントミルクを注入、攪拌、混合することで、土を締固め、基礎の下に柱上の杭を作る。今回は1.8m間隔で23本施工土を掘削しながらセメントミルクを注入、攪拌、混合することで、土を締固め、基礎の下に柱上の杭を作る。今回は1.8m間隔で23本施工

建設を依頼する会社が決まったところで、まず行われたのが地盤調査。地盤は建物を地下で支える土台となる部分であり、どんな状態であるかの確認は安全な家づくりのためには欠かせない作業である。一戸建ての場合、一般に行われるのはスウェーデン式サウンディング試験と呼ばれる、簡単に言えば、地面に重りを載せてその沈み方で地盤の強さを見るというもの。建物の形状に合わせて四隅と中央の5箇所で行われる。

Hさんのご両親の場合、土地購入にあたっての最優先課題は現在の住まいの近くであること。そのため、地盤のよしあしはそもそも考慮されておらず、調査の結果、谷底低地(台地上にあるくぼんだ部分。あまり強くない)であり、地盤改良が必要であることが分かった。そのために地盤改良費として73万7000円の費用がかかっているが、もし、こうした費用をかけたくないというのであれば、過去に紹介した無料住宅地盤診断サイトや、旧版地図と現在の地図を一度見られるサイトなので、地盤の状況、土地の来歴などをあらかじめ調べた上で、購入を検討するようにしたいところである。

地盤改良には良好な地盤までの深さによって、表層改良工法(軟弱地盤が2mくらいまでの場合)柱状改良工法(軟弱地盤が2m以上8mまで)、鋼管杭工法(軟弱地盤が2m以上で深度30mくらいまで施工可能)の3種類があり、当然だが軟弱地盤が浅いほど費用は安くつく。今回は柱状改良工法、簡単に言えば土の中にコンクリートの柱を作るやり方が採用されている。

砕石、捨てコン打設、鉄筋組みと基礎が作られていく

ベタ基礎とは写真のように建物の下全部にコンクリートの耐圧盤があるものを指す。左側に突き出ているのがさや管ベタ基礎とは写真のように建物の下全部にコンクリートの耐圧盤があるものを指す。左側に突き出ているのがさや管

地盤改良が終わったら、次は基礎である。ここにはいくつかの段階がある。Hさん宅の建築を請け負った工務店の施工基準をもとに説明すると、まずは、建物の基礎を作るために、土を掘削し、それを平らに仕上げる作業があり、これを根切り、床付という。そこに砕石を5cmほどの厚みで敷き、転圧(重さをかけて締める)。ここで土壌の防蟻処理をする。日本では北海道の一部を除き、木造住宅の敵、シロアリは随所に生存する。そこで、土壌、外壁ともに防蟻処理が必須なのである。

続いて砕石の上に防湿フィルムを敷き、外周部には捨てコンと呼ばれる下地となるコンクリートを深さ5cmほど流し込み、平らな面を作る。この段階で見に行くとフィルムを囲むようにコンクリートが打たれ、そこに管が飛び出しているのを見ることになる。これは給排水管などを通すさや管と言われるもの。住宅などに使われるコンクリートは60年以上の耐久性があると言われるが、給排水管は30年程度。いずれ交換が必要になった時のために、給排水管はそれよりも太い口径のさや管に通しておくのである。そうすれば、中の管を替えるだけでメンテナンスが行えるようになる。この施工がされていると、住宅性能表示を取得する際には維持管理対策等級で最高級となる3となる。

この後に基礎のコンクリートを打設するわけだが、その前に行われるのは配筋作業。Hさん宅はベタ基礎となっているため、耐圧盤と呼ばれる床面が必要となり、立ち上がり部分と一緒に鉄筋が組まれる。そして最初に耐圧盤、それがしっかり硬化した後で立ち上がりと順にコンクリートが流しこまれる。コンクリートは水分が抜けて固まるのではなく、水とセメントが化学反応を起こして固まるもので、その反応をしっかりと起こさせるためには水分が逃げたりしないよう、上にシートを被せる、いわゆる養生と言われる工程が必要になる。これは夏場は急激に乾燥してしまわないため、冬場は凍結して水分がなくなったり、ひび割れがしないようにするためのものだ。

基礎では立ち上がり、人通口の有無等をチェック

基礎が完成した状態。内側に見える水色の部分は断熱材。今回の工務店は基礎断熱工法を採用しているため、ここに入る。会社によって工法は異なるので、すべてがこうだというわけではない基礎が完成した状態。内側に見える水色の部分は断熱材。今回の工務店は基礎断熱工法を採用しているため、ここに入る。会社によって工法は異なるので、すべてがこうだというわけではない

養生の後、型枠を外すと、基礎の完成。ここで覚えておきたいのは、建築基準法は基礎の地盤面からの立ち上がりの高さを30cm以上としていること。Hさん宅の場合には工務店の標準仕様が41cmとそれ以上高くなっている。立ち上がりの高さがあると、雨の跳ね返りや地面からの湿気の影響を受けにくくなり、木部の劣化、シロアリ被害の低減などにつながる。時々、この高さが不足しているというトラブルもあるので、念のため、見ておくと良いかもしれない。

写真を見ると、建物内側の基礎の間に隙間があるのがお分かりいただけるだろうか。これは将来配管のメンテナンスなどを行う際に人が床下を通れるように作られている人通口と言われるスペース。人が横になって入るだけの高さがないと困るわけで、最低でも40cm程度は欲しいところ。幅は60cmが一般的。また、この人通口の部分はコンクリートがなく、強度が不足する可能性があるため、耐圧盤の鉄筋を補強するなどの措置が必要だ。

また、コンクリートについては第三者機関による抜打ち検査がコンクリート工場を対象に行なわれており、一般的な建売住宅では5棟に1棟の割合で抜取り検査が行われている計算になる。ただ、今回、施工を担当した工務店では注文住宅の場合、全棟でコンクリート打設前の現場受入れ時にミキサー車からコンクリートを抜き取って検査を行っている。このあたりのチェック体制は会社によって異なるので、気になるなら契約前にでも聞いてみると良いだろう。

敷地の要件によって別途にかかる費目もある

さや管から建物内に配された管類はヘッダーと呼ばれる部材(写真中央)から分岐、各所へ配管される。この方式だとメンテナンスがしやすく、漏水が減る、同時に複数カ所で水を出すなどしても水量が一定するなどのメリットがあるさや管から建物内に配された管類はヘッダーと呼ばれる部材(写真中央)から分岐、各所へ配管される。この方式だとメンテナンスがしやすく、漏水が減る、同時に複数カ所で水を出すなどしても水量が一定するなどのメリットがある

冒頭でHさんのご両親宅では地盤改良費が別途かかったという話を書いたが、土地によって地盤改良費以外にもかかる可能性がある費用がある。最後にその説明をしておこう。
ひとつは屋外の給排水工事、ガス配管、給水取り出し工事などライフラインを整備するために必要な費用である。元々住宅が建っていた土地であれば、そうした配管は行われていることが多いが、Hさんのご両親が購入した土地は畑として使われており、未整備状態。また、建物があっても、古い場合には更新が必要になることがあり、宅地分譲でも小規模なケースでは未整備なこともある。いずれにしても、土地を購入する際には給排水その他のライフラインの整備の要不要は確認しておいたほうが良い。ちなみにこの例ではそうした工事のために、130万円ほどがかかっており、意外に馬鹿にならない。

もうひとつ、別途かかったのが、特殊仮設工事なる費目。これは周辺の道路が狭く、荷下ろし、職人さんの車を駐車するスペースがないために生じるもので、離れた場所に駐車場を借りたり、そこからの運搬をしたり、ガードマンを立たせたりなどといったために使われている。Hさんの場合は75万円である。以上の3項目は敷地の要件によって異なるもの。かかる可能性がある場合には、あらかじめ、予定しておいたほうが良いだろう。

また、本体工事とは別にほとんどの場合、外構、造園などにも別途費用がかかる。作りによっては自分たちでやることもできるはずだが、何らかの工事が必要なことだけは覚えておこう。

■地盤関係についてはこちらも見ておきたい。
スウェーデン式サウンディング試験について(住宅地盤の基礎知識 NPO住宅地盤品質協会)
http://www.juhinkyo.jp/knowledge/knowledge-foundation/howto/

2014年 02月24日 09時59分