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マンション売却時に管理費・修繕積立金は精算できる?滞納による影響も解説

マンションを所有する場合、管理費・修繕積立金を毎月支払う必要があります。管理費や修繕積立金は、マンションの住民が安全、かつ快適な環境で暮らすために必要な維持管理・修繕の費用として、管理組合が徴収します。

この記事では、マンション売却時における管理費・修繕積立金の精算について解説していきます。また管理費・修繕積立金を滞納したときの影響についても紹介します。

この記事で分かること

  • マンションの管理費とは?
  • マンション売却時に管理費・修繕積立金は精算できるのか
  • 管理費・修繕積立金の滞納がマンション売却に与える影響
  • 管理費・修繕積立金の負担を減らしてマンションを売却するコツ

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▶︎マンション売却の注意点は?売却方法や流れ・費用についても解説

もくじ

マンションの管理費とは?

マンションを所有すると、住宅ローンの返済以外に毎月かかるのが管理費と修繕積立金です。管理費は住民が快適・安全に暮らせるように、建物共用部分を適切な状態に維持管理するための費用に充てられます。

ここでは、修繕積立金との違いや管理費・修繕積立金の主な目的について解説します。

修繕積立金との違い

修繕積立金は管理費と同じように、建物や敷地内の共有部分を良好な状態で維持していくために必要な費用です。

用途として、以下のような違いがあります。

管理費 日常的な管理や設備の維持などにかかる費用
修繕積立金 共用部分の計画的な大規模修繕費用などの準備金として積み立てる資金

たとえば、管理費はエレベーターや電気設備、給排水設備、消防設備など、日常的に使用する設備の点検やメンテナンス費用に充てられます。

一方、修繕積立金は一定の周期で計画的に行う修繕(外壁の塗り替えなど)などに使用される費用です。目的が異なるため、管理費とは別の口座に積み立てられるのが一般的です。

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▶︎マンションの維持費はいくらが目安?シミュレーションで一戸建てと比較

管理費と修繕積立金の主な目的

以下では、管理費と修繕積立金の主な目的をまとめました。

【管理費と修繕積立金の主な目的】

管理費 修繕積立金
● 管理会社への管理委託費
● 管理員や清掃員などの人件費
● 共用部分の水道光熱費
● 消火設備、給排水設備、宅配ロッカーや防犯カメラなどの保守点検費用
● エレベーター、自動ドアなどのメンテナンス
● 共用部分の火災保険料
● 管理組合の運営費用 など
● 大規模修繕費用(外壁工費・共用部分の補修・屋上防水工事など)
● 敷地や共用部分の変更にかかる費用
● 建物の建て替えや敷地の売却で必要な調査費用

マンションの居住環境を快適・安全に維持するためには、日常的な維持管理と長期的な維持管理の両方が必要になります。

マンション売却時に管理費・修繕積立金は精算できるのか

マンションの売却時には、原則、今までに支払った管理費や修繕積立金は返金されません。 ただし、引渡し日を起算日として払い過ぎた分は精算できるケースがあります。

ここでは、マンション売却時における管理費・修繕積立金の精算に関するポイントを解説します。

  • 過去の支払い分は返還されない
  • 引渡し日までの支払い義務は売主
  • 引渡し日以降の支払い義務は買主

過去の支払い分は返還されない

これまで支払った管理費や修繕積立金は、原則として返還されません。

管理費とはマンションを維持管理するための費用で、日常的な管理資金として使用されるお金です。マンションの住民が安全・快適に暮らすため、管理会社への管理委託費などに充てる費用として毎月支払います。

売却時に管理費・修繕積立金が返却されない旨は、管理規約にも明示されているのが一般的です。

修繕積立金についても同様で、住んでいる間に大規模修繕が実施されなかったとしても、元の所有者に返金されることはなく、そのまま積立金として保有されます。

引渡し日までの支払い義務は売主

管理費や修繕積立金は翌月分を前倒しで納入するのが一般的です。その場合、納入済みの翌月分のみは買主から精算してもらえるケースがあります。

したがって、管理費などはマンションの管理組合から返還されるわけではありません。 売主・買主の間で精算することになり、決済日に買主から売主に精算金として入金されます。

たとえば、月末に翌月分の管理費や修繕積立金の納入が行われているマンションで、月の途中である5月15日に引渡す例を考えてみましょう。

引渡し日までの支払い義務があるのは売主のため、5月15日までの管理費用を負担することになり、具体的には5月1日〜5月15日までの15日間の管理費を支払うことになります。

引渡し日以降の支払い義務は買主

引渡し日以降に管理費用などの支払い義務が発生するのは、マンションの新しい所有者である買主です。そのため、先ほどの例のように5月15日に引渡すケースでは、5月16日以降の分を買主が負担します。

なお、管理費・修繕積立金以外に精算される費用としては、駐車場代や固定資産税・都市計画税が挙げられます。

固定資産税は1月1日に固定資産を所有する人が納める税金のため、売却前に一括納付をしていた場合などは売却時に精算するのが一般的です。

管理費・修繕積立金の滞納がマンション売却に与える影響

国土交通省が5年ごとに実施しているマンション総合調査(令和5年度)の結果によると、管理費・修繕積立金を3ヶ月以上滞納している住戸があるマンションは30.1%でした。

築年数が古いマンションの方が、滞納割合は高くなる傾向にあります。管理費や修繕積立金を滞納すると、マンション売却に以下のようなマイナスの影響を与える可能性があります。

ここでは、管理費・修繕積立金の滞納がマンション売却に与える影響について解説します。

  • 買主(購入希望者)が見つかりにくくなる
  • 査定価格が下がる
  • 競売にかけられる場合がある
  • 最悪のケースでは差し押さえや裁判に発展する

※参考:令和5年度マンション総合調査結果〔概要編〕|国土交通省

買主(購入希望者)が見つかりにくくなる

買主は、売主の管理費・修繕積立金の支払い義務を引き継ぎます。そのため、不動産会社は買主に、管理費・修繕積立金の滞納の有無と滞納額を説明しなければなりません。

買主は滞納分を差し引いた価格で購入したり、売主に請求したりすることが可能です。ただし、売主が支払いに応じないと取引が難航するため、積極的に購入したいという意欲が薄れるおそれがあります。

査定価格が下がる

管理費・修繕積立金を滞納していてもマンションを売却することは可能です。しかし、売却益から滞納分を差し引いて売ることになるため、査定価格は下がってしまいます。

また、管理費・修繕積立金を滞納しているマンションは購入希望者に敬遠される傾向にあるため、足元を見られて過度な値引きを要求されるケースもあるので注意が必要です。

少しでも高く売るためには、できるだけ滞納しない状態で売り出した方が良いでしょう。

競売にかけられる場合がある

マンションの管理費や修繕積立金の滞納が一定の条件を満たした場合は、競売にかけられるおそれがあります。

なぜなら、管理費や修繕積立金を長期的に滞納する区分所有者がいると資金不足に陥り、管理組合は回収手段として法的措置に踏み切るケースがあるからです。

区分所有法の第五十九条には、以下の条文があります。

第五十九条 第五十七条第一項に規定する場合において、第六条第一項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、当該行為に係る区分所有者の区分所有権及び敷地利用権の競売を請求することができる。

※参考:建物の区分所有等に関する法律 第五十九条第一項(区分所有権の競売の請求)|e-Gov 法令検索

この条文を基に、管理費の滞納によって他の住人が持つ共同の利益を損なう場合、他の住人の全員または管理組合法人は、滞納者の区分所有権や敷地利用権の競売を請求できます。

競売によって売却先が決まった場合、所有権を失うので注意が必要です。

最悪のケースでは差し押さえや裁判に発展する

管理組合から何度も支払いの催促を受けているにもかかわらず滞納が続いた場合は、財産が差し押さえられたり、裁判を起こされたりすることも考えられます。

一般的な強制執行の例としては、滞納者の給料や銀行預金、自動車などの差し押さえが挙げられます。給料の差し押さえ命令が下されると、勤務先に知られることになるため注意しましょう。

滞納者のマンションの部屋も強制執行の対象となり、競売にかけられることもあります。

管理費・修繕積立金の負担を減らしてマンションを売却するコツ

ここでは、必要以上の管理費・修繕積立金の負担を減らしてマンションを売却するコツを解説します。

  • 早期売却を意識する
  • 適正価格を把握する
  • 複数の不動産会社に査定を依頼する
  • 内覧の準備・対応を丁寧に行う
  • なかなか売れない場合は買取も視野に入れる

早期売却を意識する

必要以上の管理費・修繕積立金の負担を減らすためには、早期売却を意識することが重要です。

月に2万円の管理費と修繕積立金がかかっている場合、半年間売れないと合計で12万円の出費になります。

たとえば、子どもの成長につれて現在住んでいるマンションが手狭になって住み替え先を探す場合、早期に売却して管理費・修繕積立金の負担が少ないマンションを選ぶと費用負担が軽減されます。

一戸建て住宅ならば毎月の管理費・修繕積立金はかかりませんが、一定期間が経過した段階で多額のリフォーム費用がかかる可能性があることに注意が必要です。

このように、長期的なライフスタイルや家族構成も考慮しながら、費用的に無理のない住まいに住み替えることも視野に入れましょう。

適正価格を把握する

自分が現在住んでいるマンションの管理費・修繕積立金が適正価格であるのか、把握しておくことも重要です。

国土交通省が調査した「令和5年度マンション総合調査」によると、マンションの管理費・修繕積立金の平均額は以下のようになりました。

【令和5年度:マンションの管理費・修繕積立金の平均額】

項目 駐車場使用料などからの充当額を含む場合 駐車場使用料などからの充当額を除く場合
管理費 1万7,103円 1万1,503円
修繕積立金 1万3,378円 1万3,054円

※参考:令和5年度マンション総合調査結果〔概要編〕P24〜25|国土交通省

駐車場使用料などからの充当額を含む管理費総額の平均は1万7,103円(月/戸)で、マンションの総戸数が多いほど低くなる傾向です。駐車場使用料などからの充当額を除く場合では1万1,503円(月/戸)となっています。

一方、修繕積立金について、駐車場使用料などからの充当額を含むケースでは平均1万3,378円(月/戸)です。駐車場使用料などからの充当額を除くケースでは1万3,054円(月/戸)となり、それほど大きな開きはありません。

現在、支払っているマンションの管理費・修繕積立金と費用を比べてみましょう。

また、東京圏のマンション売却経験者に聞いたアンケート結果においては以下のようになっています。

管理費 修繕積立金
高すぎると感じた 14.8% 12.0%
高いと感じた 33.7% 37.1%
妥当だと感じた 44.6% 44.0%
安いと感じた 4.1% 4.2%
安すぎると感じた 0.7% 0.2%
わからない・覚えていない 2.0% 2.5%

複数の不動産会社に査定を依頼する

マンションを高値で売却するには、複数の不動産会社に査定依頼することが重要です。

複数社から提示された査定価格を比較して市場価格を把握します。1社だけでは提示された査定価格が、市場価格に見合った金額であるかを判断できません。

ホームズが首都圏の売却経験者に対して独自に調査したアンケート、『マンション売却者が困ったことトップ10』においても、「売却金額の相場感が分からなかった」が困ったことの1位にランクインしています。

順位 売却者が困ったこと 割合
1 売却金額の相場感が分からなかった 20.4%
2 買い手がなかなか見つからなかった 18.4%
3 法律に関する知識が足りなかった 17.4%
4 お金に関する知識が足りなかった 15.0%
5 何から始めればよいか分からなかった 14.8%

※5位までを抜粋 ※参考:首都圏の売却経験者に聞いた!目的・期間・困りごと・満足度…不動産売却に関するデータをまとめて紹介|よくわかる!不動産売却(LIFULL HOME'S)

適正価格で売り出さないと買主がなかなか見つからず、売却期間が長引いてしまうでしょう。

ホームズの不動産一括査定サイトでは、独自の掲載基準をクリアした信頼できる不動産会社と提携しているため自分にあった会社と出会える可能性が高くなっています。一度の入力で最大10社に査定依頼できるため、手間や時間をかけずに数社の査定結果を比較検討できます。

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内覧の準備・対応を丁寧に行う

マンション売却では、内覧の準備・対応を丁寧に行うことも重要です。

購入希望者は、室内の状態を確認するために現地を訪れる場合があります。特に住みながら売る場合では、売主も立会いながら購入希望者に内覧対応するのが一般的です。

その際、事前の整理整頓や清掃を怠っていると、購入希望者にマイナスの印象を与えてしまうでしょう。少しでも物件を良く見せるためには、室内をきれいに見せることが重要です。

また、内覧当日の対応として購入希望者に周辺の住環境や利便施設など、住んでいないと分からない情報などを伝えると物件を購入する際の判断材料にしてもらえます。

【あわせて読みたい】
▶︎マンション売却の内覧対応を成功させるコツは?失敗事例や当日の流れも

なかなか売れない場合は買取も視野に入れる

マンションを売り出してもなかなか売れない場合は、不動産会社による買取も選択肢の1つです。

ホームズが首都圏の売却経験者に対して実施したアンケート、「不動産の売却完了までの期間」では、仲介を依頼をした場合にマンションの売却期間が平均6.34ヶ月かかる結果となりました。

物件の種類 売却にかかった期間(平均)
全体 7.36ヶ月
マンション 6.34ヶ月
一戸建て 7.67ヶ月

※参考:首都圏の売却経験者に聞いた!目的・期間・困りごと・満足度…不動産売却に関するデータをまとめて紹介|よくわかる!不動産売却(LIFULL HOME’S)

そのため、売却開始から半年程度経過しても売れない場合は、不動産会社に直接買取してもらうのも選択肢の1つです。

ただし、買取は売却価格が仲介の6〜8割になるのが一般的です。少しでも高く売りたい人は、あくまで最終的な選択肢と認識しておきましょう。

マンション売却時の管理費・修繕積立金に関するよくある質問

ここでは、マンション売却時の管理費・修繕積立金に関するよくある質問に回答します。

  • 売却後の管理費などに関する手続き方法は?
  • 管理費などの清算金の勘定科目は?
  • 管理費や修繕積立金が影響してマンションが売れないケースはある?

売却後の管理費などに関する手続き方法は?

マンション売却の決済が終了したら、管理会社へ連絡することが必要です。所有者が変わる旨の連絡をしないと、管理費などの請求が継続されてしまいます。

残代金の決済が終わった時点で、以下の方法で手続きを行いましょう。

  • 管理会社へ直接連絡を入れる
  • 管理人を通して管理会社へ伝えてもらう

マンションを売却すると管理組合から離脱しなければならないため、組合員資格喪失届も忘れずに提出することが重要です。

管理費などの清算金の勘定科目は?

個人が自宅であるマンションを売却した場合は譲渡所得の確定申告は必要ですが、帳簿を作成して仕訳する必要はありません。

しかし、投資用物件として使用していたマンションを売却する場合は、適切な会計処理を行うことになります。

勘定科目は管理費が「支払手数料」、修繕積立金は「修繕費」で処理するのが一般的です。どちらも「支払手数料」の科目に入れても問題ありません。

管理費や修繕積立金が影響してマンションが売れないケースはある?

管理費や修繕積立金を滞納していたり、相場より高い金額であったりすると、売却までの期間が長引くことが多くあります。

管理費や修繕積立金を売主が滞納していると、売却後は新しい所有者である買主が管理組合から請求されることになります。

売却時に売却金から滞納分を差し引いて決済するケースもありますが、滞納金があると競売などのリスクがあるため、購入希望者に良いイメージを与えられません。そのため、なかなか買主が決まらないことも考えられるでしょう。

なお、マンションの管理費や修繕積立金が相場より高い場合も、買主が見つかりにくい可能性があります。

マンション売却時の管理費・修繕積立金は漏れなく支払い・精算しよう

マンションの管理費・修繕積立金を滞納していると、査定価格が下がるリスクや買主が見つかりにくいなどのリスクを抱えることになります。

マンションを高値で売りたい場合は有利な条件で取引できるように、管理費・修繕積立金を滞納せず、クリーンな状態で売却しましょう。

マンションを高く売りたいときは、ホームズの不動産一括査定のサービスをご利用ください。ホームズは、不動産会社の特色や意気込みが分かる情報を豊富に掲載しているため、自分にあった会社を選びやすくなっています。

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記事執筆・監修

矢口 美加子(やぐち みかこ)

宅地建物取引士整理収納アドバイザー1級福祉住環境コーディネーター2級の資格を保有。建築・不動産会社で事務をしながら、家族が所有する賃貸物件の契約や更新業務を担当。不動産ライターとしてハウスメーカー、不動産会社など一部上場企業の案件を中心に活動中。