
マンション売却を成功させるためには、内覧対応の準備を入念に行うことがポイントです。
購入希望者が内覧に来た際に、好印象を持ってもらえなければ成約に至りません。準備が不十分な状態で内覧対応してしまい、早期売却に失敗したという事例もあります。このような事態を避けるためにも、内覧の事前準備や当日に必要な対応をしっかりと理解しておきましょう。
この記事では、マンション売却の内覧対応を成功させるコツを紹介します。マンションの内覧対応から売買契約までの流れや、内覧対応でよくある失敗事例も押さえておきましょう。
この記事で分かること
- 【事前準備編】マンション売却の内覧対応を成功させるコツ
- 【当日対応編】マンション売却の内覧対応を成功させるコツ
- マンション売却で内覧件数が少ない場合の対策
- マンションの内覧対応から売買契約までの流れ
- マンション売却の内覧対応でよくある失敗事例5選
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もくじ
【事前準備編】マンション売却の内覧対応を成功させる7つのコツ

マンション売却時において内覧を成功させるには、まず事前準備が重要となります。
ここからは、以下7点のコツを解説していきます。
- 新品のスリッパを用意しておく
- マンションのアピールポイントを考えておく
- 購入希望者からの質問に回答できるようにしておく
- におい対策を実施しておく
- 室内の片付け・清掃を実施しておく
- 損傷箇所を修理しておく
- ホームステージングを検討する
新品のスリッパを用意しておく
マンション売却における内覧時は、多くの購入希望者が訪れることが推測されるため、スリッパは新調しておきましょう。
内覧は初めの印象が重要であるため、出されたスリッパが汚れていたら、購入希望者にマイナスの印象を与える可能性があります。高級なスリッパを用意する必要はありませんが、しっかりした作りのものを選びましょう。
マンションのアピールポイントを考えておく
マンションのアピールポイントを、事前にいくつか考えておきましょう。用意しておかないと、急に質問された場合に、答えられないことがあります。事前に家族でアピールポイントを出し合っておくのも手段の1つです。
内覧時はアピールポイントを自然に伝えられることがベストですが、話すタイミングがないケースもあります。そのため、アピールポイントは不動産会社の担当者に共有しておき、物件紹介時や内覧前後に伝えてもらうことをおすすめします。
ただし、購入希望者の意図を汲まず過度にアピールし過ぎないように注意が必要です。
購入希望者からの質問に回答できるようにしておく
購入希望者は、一般的に1度の内覧で購入を検討します。そのため、なるべく購入希望者からの質問には、その場で答えられるようにしましょう。
購入希望者は、不動産会社の担当者ではなく実際に住んでいる売主から直接聞きたいと思うものです。なお、よく質問される項目は以下のようなものが考えられます。
- 売却理由
- 引渡し可能時期
- 隣人との関係性
- スーパーなど買い物の利便性
- 学区や学校の様子
- 保育園や幼稚園の情報
不動産会社の担当者と相談しながら、こうした情報を整理しておくと対応しやすくなるでしょう。
室内の整理整頓を実施しておく
内覧に備えて、室内の整理整頓をしておきましょう。また、引越しに備えて不要品など家財道具や衣類などの断捨離を進めておくことも重要です。
室内に置いてある物が少なければ、その分部屋は広く感じます。また、整然と片付けられた部屋は、清潔に感じられるでしょう。第一印象が重要となるので、玄関もなるべく物を置かないようにし、靴を収納しておくことをおすすめします。
可能な限り生活感を排除して、観葉植物なども配置できるとイメージアップにつながる可能性が高くなります。
におい対策を実施しておく
マンションの内覧においては、におい対策も重要なポイントです。その家特有のにおいは必ずあり、特に玄関を開けた瞬間に感じやすいと考えられます。
シューズクローゼットの中は湿気がたまりやすいため、除湿グッズを使って対策すると良いでしょう。また、カビやホコリを除去できるので拭き掃除もおすすめです。
消臭スプレーを使うのも手段の1つですが、あまり香りが強くないタイプを選びましょう。 なぜなら、人によっては消臭スプレーの香りも不快に感じる可能性があるからです。
また、布類はにおいが染み付くため、洗濯してしまう方法も有効です。例えば、洗濯可能なカーテンであれば、におい対策だけでなく見栄えもよくなります。
室内の片付け・清掃を実施しておく
内覧対応の事前準備で最も重要なのが、室内の片付け・清掃です。室内が散らかっていると、購入希望者にマイナスの印象を与える可能性があります。
片付け・清掃を入念に行っておくことで、購入希望者に好印象を持ってもらえるでしょう。
ここで、LIFULL HOME’Sが独自で調査した「住まいの売却体験談」における、マンション売却経験者の体験談を紹介します。
48歳/女性/名古屋市熱田区のマンション(2009年築)の売却体験談
Q:困ったこと、不安だったこと、不満だったことはありますか?
A:まだ住んでいる時に内覧に何回か来てもらったので、少しでも見栄えをよくするように整えておくのがストレスだった
※引用:名古屋市熱田区のマンション(2009年築)の売却体験談|48歳/女性/契約社員|住まいの売却データファイル
購入希望者が内覧する度に、見栄えを整えることに苦労した様子が分かります。
内覧対応で購入希望者に好印象を持ってもらうために、効率良く片付け・掃除するためのポイントを以下の順に解説します。
- 水回りを片付け・掃除する際のポイント
- リビングを片付け・掃除する際のポイント
- 玄関を片付け・掃除する際のポイント
- ベランダ・バルコニーを片付け・掃除する際のポイント
水回りを中心に室内の掃除を実施しておく
室内において水回りは特に汚れやすく、劣化が目立ちやすい場所です。掃除にも時間がかかるため、あらかじめ入念に掃除し、きれいな状態で内覧対応できるように心がけましょう。
水回り設備を片付け・掃除する際は、以下のポイントを意識することが大切です。
- トイレ:便器周りの壁や床も掃除する
- キッチン:油汚れや水あかを除去する
- 浴室・洗面台:カビや水あかを除去する
トイレは便器だけでなく壁も汚れが付着しやすいので、丁寧に拭き上げましょう。水回りは頑固な汚れが付きやすく、クエン酸や消毒用エタノール、重曹などを使うと良いでしょう。
自分できれいにするのが難しい場合は、ハウスクリーニングを業者に依頼するのも1つの方法です。室内全体だと高額になりますが、水回りであれば1箇所につき2万円程度で依頼できます。
ハウスクリーニングに依頼するかどうかは、費用対効果で検討することが重要です。迷う場合は、不動産会社の担当者に相談しても良いでしょう。
リビングを片付け・掃除する際のポイント
リビングを片付け・掃除する際は、不要な家具や家電をできる限り減らすことがポイントです。リビングに物が多いと、家が狭いという印象を持たれやすくなります。
また、窓ガラスが曇っていると、日当たりが良くても見栄えが悪くなるので、しっかり拭いておきましょう。リビングは家族が1番長く過ごす場所であるため、汚れや傷がないかを確認し、清潔感のある空間を心がけましょう。
玄関を片付け・掃除する際のポイント
玄関は、内覧で最初に目にする場所であり、物件の第一印象を大きく左右します。靴の整理整頓はもちろん、消臭や換気も行うことがポイントです。
消臭剤を置いたり、シューズクローゼットの扉を開けておいたりなど、においがこもらないように対策しましょう。
観葉植物やルームフレグランスを置いておくと、イメージアップにつながる場合もあります。余裕があれば玄関だけでなく、エントランスからドアまで続く廊下も掃除するのがおすすめです。
ベランダ・バルコニーを片付け・掃除する際のポイント
ベランダ・バルコニーは外に面していて、汚れやすい場所です。購入希望者が眺望を確認するために確認するケースも多いので、以下を重点的に掃除することをおすすめします。
- 床
- 排水溝
- 手すり
- エアコンの室外機
なお、生活感が出るため、内覧当日は洗濯物を極力干さないようにしておき、ハンガーや洗濯ばさみなどは収納するかまとめておきましょう。
損傷箇所を修理しておく
設備の故障や床の傷など、損傷箇所がある状態で内覧対応すると、購入希望者にマイナスの印象を与えやすくなります。損傷の程度が大きい場合、値下げ交渉の原因になる可能性もあるでしょう。
小さな傷であれば、補修剤で目立たなくすることが可能です。損傷箇所の修理が内覧対応までに間に合わない場合でも、今後修理する予定があることを購入希望者に伝えることが重要です。
ホームステージングを検討する
ホームステージングとは、家具やインテリアをコーディネートすることによってモデルルームのような空間にし、室内をより魅力的に見せることです。
欧米で始まった手法ですが、ここ数年で日本でもホームステージングに参入する企業が増えてきました。不動産会社によっては、顧客に提携先を紹介するケースもあります。
家具などを1ヶ月単位でレンタルできるコースなどがあり、依頼先やプランなどにもよりますが10~20万円程度で依頼できます。
インターネット上に掲載された写真を見て、内覧物件を探すケースが多く、見栄えのよいホームステージングしたマンションは、早期に成約に至っているといったデータもあります。
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【当日対応編】マンション売却の内覧対応を成功させる6つのコツ

内覧を成功させるためには、内覧当日の対応も重要です。
ここからは、内覧当日において、すぐに実践できる5つのコツを紹介します。
- 部屋を明るくしておく
- しっかり換気をしておく
- 室温を調整しておく
- 内覧しやすい環境作りを心がける
- 根拠がないことを言わない
- 不具合は隠さずに正直に伝える
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部屋を明るくしておく
昼間の明るい時間であっても、室内のすべての照明を付けておきましょう。内覧しやすいことはもちろんですが、明るい部屋はそれだけでも魅力的に見えます。
また、明るさを最大限にするためにもカーテンを開けておくことをおすすめします。もし気になる場合は、レースのカーテンだけ閉めておくとよいでしょう。
しっかり換気をしておく
前述の通り、室内のにおいは売主が思っている以上に目立つため、しっかりと換気しておくことが重要です。風がない状態では、なかなか空気が入れ替わりません。
その場合は、サーキュレーターや扇風機を利用して、効率的に換気しましょう。風が通りやすくなるため、玄関ドアを開けて換気するのもおすすめです。
浴室も内覧時に見られることが想定されるので、換気扇もオンにしておきましょう。
室温を調整しておく
夏は涼しく、冬は暖かく室温を調整しましょう。暑すぎたり、寒すぎたりすると、購入希望者が快適に内覧できません。
また、冬は厚手のコートを着て来る内覧者も少なくありません。必要に応じて預かるなどして、室内で汗をかくことがないように注意しましょう。
内覧しやすい環境作りを心がける
当日は、内覧しやすい環境作りを意識することも重要です。
購入希望者は遠慮してしまい、細部まで見ることが困難なケースもあるので、状況に応じて「クローゼットの中も見てください」などと声掛けするとよいでしょう。
購入希望者との立ち位置も重要であり、近過ぎると威圧感を与えてしまいます。一方で、立ち位置が遠すぎると購入希望者は質問しづらくなります。そのため、よりよい距離感を意識し、基本的には不動産会社の担当者に任せることが重要です。
また、テレビやラジオは落ち着かない印象を与えてしまうので消しておきましょう。
根拠がないことを言わない
内覧当日は、根拠がないことを決して言わないように注意しましょう。
世間話のつもりでも、購入希望者にとっては購入を決めるための情報になります。例えば、以下の情報などを安易に伝えることは、後々のトラブルに発展するリスクがあります。
- 大型商業施設が建設されるらしい
- 路線のバスの本数が増えるらしい
- 近くの図書館は都内で最大級らしい
- 学区の中学校は進学先の高校のレベルが高いらしい
前提として、「らしい」「そのように聞きました」など、根拠がない情報は後々のトラブルの原因になります。必ず、正しい情報を伝えるように意識しましょう。
不具合は隠さずに正直に伝える
もし、物件に傷や不具合がある場合、購入希望者には隠さずに正直に伝えましょう。
「なるべく有利な条件で売却したい」と考えるあまり、傷や不具合を売買契約時に説明せず引渡した場合は、契約不適合責任を請求される可能性があります。
契約不適合責任は、以前に瑕疵担保責任と呼ばれていましたが、2020年の4月の民法改正で名称が契約不適合責任に変更となりました。これにより、売主の責任が増し買主側が請求できる権利が増えています。
万が一、契約の内容に適合しないものを引渡した場合、状況によっては修理依頼や減額請求、最悪の場合は損害賠償されるリスクもあるので注意しましょう。
マンション売却で内覧件数が少ない場合の対策

マンションを売り出したにもかかわらず、想定よりも反響が少なく、内覧に繋がらない場合は何かしらの対策が必要です。
ここでは、内覧件数が少ない場合の対策を4つの対策について解説します。
- 売り出し価格を見直す
- 不動産会社の販売活動の内容を確認する
- 売却時期をずらす
- 内覧の対応期間を延ばす
売り出し価格を見直す
内覧件数が少ない原因として、売り出し価格が相場よりも高いことが挙げられます。そうした場合には、一度価格を見直すことをおすすめします。
希少性がある物件であれば、比較的高く売却できる可能性があります。しかし、多くの物件は、購入希望者もおおよその相場を把握しているため、相場に見合っていなければ成約は困難といえます。
もし、早期に売却したい場合は割安感が得られる価格を設定しましょう。まずは、不動産会社の担当者に相談し、直近の成約事例や競合物件の動向を参考に値下げを検討します。
不動産会社の販売活動内容を確認する
価格の見直しを相談する際は、不動産会社の販売活動内容も確認しましょう。
広告活動をしっかり実施しているのに内覧件数が少ないのであれば、価格の見直しが必要です。一方で、販売活動が少ないと感じるケースや、担当者の誠意が感じられない場合などは、依頼先や媒介契約の変更を検討しても良いでしょう。
媒介契約は、通常3ヶ月の契約となります。期間前に解除することは可能ですが、自己都合の場合はそれまでにかかった広告費などを請求されるおそれがあります。そのため、依頼先や媒介契約を変更する場合は、契約書の期間が満了するタイミングで実施することになります。
なお、専任媒介契約と専属専任媒介契約は1社にしか依頼できませんが、一般媒介契約は複数社に依頼できます。
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売却時期をずらす
マンションを売却するにあたってスケジュールに余裕があるのであれば、売却時期をずらすことも選択肢の一つです。
不動産の繁忙期といわれているのは、一般的に1〜3月です。なぜなら、子どもの入学や新学期となる4月に合わせて物件を探すケースが多いからです。また、人事異動が多い10月に備えた7〜9月も一般的に繁忙期といえます。
このように、自身のスケジュールに余裕があり売却時期にこだわりがない人は、上記いずれかの時期に売却することで内覧件数の増加につながる可能性があります。
売却したい時期が明確に決まっている場合は、一度不動産会社に相談してみましょう。
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内覧の対応期間を延ばす
内覧が可能な時間帯や曜日を限定しすぎると、好条件な物件でも内覧件数が少ない可能性があります。
基本的にマンションを購入する際には、内覧して決める人が大半です。内覧希望者が申し込みやすいように、休日や平日の夜でも対応できるようにすることで、内覧件数が増えやすくなります。
内覧の対応期間を再度確認し、内覧希望者が申し込みやすいような環境を整えておくことが重要です。
マンションの内覧対応から売買契約までの流れ
ここでは、マンションの内覧対応から売買契約までの流れを以下の4つのステップに分けて紹介します。
- STEP1.不動産会社に内覧の申し込みが入る
- STEP2.内覧の実施
- STEP3.購入希望者と条件交渉の実施
- STEP4.売買契約の締結
STEP1.不動産会社に内覧の申し込みが入る
まずは、物件資料を見た購入希望者が、不動産会社に内覧の申し込みを行います。
不動産会社は、購入希望者と売主の予定を確認し、内覧の日時を決めます。売主のスケジュールが合わなければ調整できますが、なるべく購入希望者の予定に合わせるようにしましょう。
スケジュールが合わないと、せっかく購入希望者から内覧の申し込みがあってもキャンセルされやすくなります。内覧は休日の土日に入ることが多いため、予定を調整しておきましょう。
STEP2.内覧の実施
物件に住みながら売却活動をしている場合、購入希望者の内覧に立ち会うのが一般的です。
前述した事前準備、及び当日対応を済ませておき、万全の状態で内覧対応を行いましょう。
購入希望者にとっても、実際に住んでいる売主に立ち会ってもらえると、直接質問できたり意見を聞いたりできるので安心です。
内覧は複数回にわたり実施されることもあり、売却活動中はなるべく室内をきれいな状態に保っておきましょう。
STEP3.購入希望者と条件交渉の実施
購入希望者が物件を気に入った場合、不動産会社を介して売主に「買付申込書」が送られます。
購入希望者にとってはできる限り安く購入したいため、このタイミングで売買価格や引渡し日などの条件交渉がされるケースもあります。
不動産会社と事前に売買価格を譲歩できるラインを決めておくと、条件交渉があってもスムーズに進められるでしょう。
STEP4.売買契約の締結
購入希望者との条件がまとまれば、売買契約を締結します。
重要事項説明と売買契約書の説明が行われ、身分証明書で本人確認ができたら売買契約を締結します。そして、買主から売主へ手付金が支払われる流れが一般的です。
売買契約を終えてから引渡しまでに、売主は引越しを済ませておく必要があります。売買契約を締結してから1ヶ月程度で決済と引渡しを行い、マンションの売却は完了します。
マンション売却の内覧対応でよくある失敗事例4選

まずは、マンション売却の内覧対応において、よくある失敗事例4選を紹介します。
- 購入希望者と安易に口約束を交わしてしまった
- いきなりお茶を出してしまった
- 家族全員で対応してしまった
- 共用部分の荷物やゴミを残したまま対応してしまった
内覧を成功させるためには、一般的によくある失敗事例を参考にすることも重要です。順番に解説していくので、事前にしっかりと確認しましょう。
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購入希望者と安易に口約束を交わしてしまった
購入希望者と会話が弾むのはよいことですが、安易に口約束しないように注意しましょう。
例えば、売買価格や引渡し時期など契約内容に関わる内容は購入希望者と口頭でやりとりせず、不動産会社を通して交渉することが重要です。
そのため、購入希望者から口頭ベースでの要望などがあった場合は、その場で返答しないようにしましょう。「一度家族で相談します」や「不動産会社の担当者経由でお答えします」などといった回答でとどめておきましょう。
いきなりお茶を出してしまった
一般的にお客様への対応として、お茶を出すのは自然なことです。しかし、内覧の場合は基本的には不要です。なぜなら、購入希望者は部屋を見るために内覧に訪れているからです。
室内すべてを内覧し終えたあとに、購入希望者から質問が複数ありそうな場合は、お茶を出して座って対話するのもよいでしょう。ただし、購入希望者は次の予定を控えているケースもあるので、長く引き留めないように注意しましょう。
例外として、明らかな猛暑日で、喉が乾いていることが推測される場合は、途中で冷たい飲み物のご用意ができる旨を伝えてもよいかもしれません。
購入希望者へのお茶出しは、臨機応変に対応しましょう。
家族全員で対応してしまった
家族全員で内覧対応してしまうと、プレッシャーを感じてしまう購入希望者が一定数います。また、相手が遠慮してしまい、じっくり内覧できなくなる可能性もあります。
家族が多い場合は内覧時間に外出するなどして、1~2人程度で対応することをおすすめします。子どもがいる場合は、内覧対応中は外へ遊びに出掛けてもらうとよいでしょう。
一方、購入希望者側は、家族全員で内覧する可能性があり、そこに不動産会社の担当者も加わると室内が混雑した状況になります。
場合によっては室内が狭く感じられてしまうケースがあり、成約価格に影響する可能性もあるので、なるべく少ない人数で対応することをおすすめします。
共有部分の荷物やゴミを残したまま対応してしまった
内覧に備え、室内をきれいにしようと準備をする一方で、ベランダや玄関の外など共用部分の荷物やゴミの片付けを忘れてしまうことがあります。
ゴミはにおいの原因にもなるので、忘れずに集積所に捨てましょう。また、購入希望者はベランダも確認します。枯れ葉やゴミなどがないように、履き掃除をしておきましょう。
購入希望者は、内覧時に室内だけでなく、共用部分も確認します。余裕があれば、エントランスから玄関までの共用廊下なども確認するので、ゴミがあれば拾っておくことをおすすめします。念のため、ポストの中も確認しておくとよいでしょう。
洗濯物は、なるべく干さない方が印象がよくなります。室内への日当たりもよくなるので、できれば干すタイミングを調整しておきましょう。
マンション売却の内覧対応に関するよくある質問

最後に、マンション売却の内覧に関するよくある質問を紹介します。
- マンション売却の内覧にかかる時間や回数はどれぐらい?
- 内覧対応はマンションに住みながらでも問題ない?
- マンションは内覧なしでも売却できる?
マンション売却の内覧にかかる時間や回数はどれぐらい?
マンションの内覧にかかる時間は、一般的には1時間程度です。30分で足早に内覧する人もいれば、質問などに丁寧に対応した結果、2時間近く要するケースもあります。
また、内覧は複数の物件を同日に予定していることがあり、約束の時間が前後するケースもあります。内覧の前後に予定を入れる場合は、スケジュールに余裕を持たせましょう。
成約に至るまでの内覧の回数は、エリアやタイミングによっても異なりますが10件程度が想定されます。ただし、2〜3件で決まることもあれば、10件内覧に対応しても成約につながらないこともあります。
内覧対応はマンションに住みながらでも問題ない?
内覧対応は、マンションに住みながらでも問題ありません。一般的に、多くの人が住みながら売却しています。
自宅の住宅ローンが完済していない場合、新居を購入するために住宅ローンが利用できません。つまり、住み替えを行う場合、住宅ローンの返済が終わっていない人の多くは、自宅マンションを売却してから新居を購入しています。
買主に家財道具がある状態で内覧してもらえるので、実際の生活がイメージしやすいメリットがあります。一方で、極端に残置物が多かったり、生活臭が目立ったりする場合はイメージダウンにつながるケースがあるので注意が必要です。
マンションは内覧なしでも売却できる?
一般的に、仲介でのマンション売却を検討する場合は内覧が必要ですが、不動産会社による買取においては内覧なしで進められます。
買取は、マンション売却に時間をかけたくない人におすすめです。引渡しの時期も融通を利かせてもらえるケースが多くあります。
ただし、買取は不動産会社が物件の再販を目的としています。そのため、仲介による売却よりも安くなってしまうケースが多く、市場価格の70〜80%になる可能性があります。
マンションを少しでも高く売却したいと考えている人は、一般的に内覧は必須の条件であることを押さえておきましょう。
マンション売却の内覧対応は事前準備が成功のカギ

マンションの内覧対応を成功させるには、事前準備と当日対応のコツを押さえておくことが重要です。片付け・清掃を入念に行い、購入希望者に良い印象を持ってもらえると、早期売却につながる可能性が高くなります。
また、傷や不具合を隠すと、引渡し後のトラブルになるおそれがあるので、正直に説明しておきましょう。
マンション売却をスムーズに進めるには、内覧対応から売買契約までの流れを理解したうえで、自分に合った信頼できる不動産会社を選ぶことがポイントです。
LIFULL HOME’Sの不動産一括査定は、全国4,500社以上(2024年8月時点)の提携不動産会社から査定を依頼する会社を選べます。不動産会社の特徴や強みなども豊富に掲載しており、詳細情報を一覧から確認できます。
マンション売却で複数の不動産会社に査定を依頼する際は、LIFULL HOME’Sの不動産一括査定をぜひご利用ください。
記事執筆・監修
矢野 秀一郎(やの しゅういちろう)
不動産会社で2社勤務。1社目では時間貸駐車場の開発営業を中心に携わり、2社目では不動産売買の仲介営業や、一戸建ての分譲工事のプロジェクト、および新築・リフォーム工事の現場監督など、幅広く業務を担当。現在はフリーのライターとして不動産や金融に関する内容を中心にライティング・記事監修を実施。