地熱サミットとは?

今回ゲスト参加した左から山崎亮氏、壇蜜さん、伊勢谷友介さん今回ゲスト参加した左から山崎亮氏、壇蜜さん、伊勢谷友介さん

8月7日に秋田県湯沢市で開催された地熱サミット。日本では23年ぶりに大型地熱発電所ができる湯沢市で、日本の地熱エネルギーと地熱を生かした地域活性化について熱い討論が行われた。湯沢市以外にも地熱発電所のある全国8つの自治体と、ゲストとして俳優の伊勢谷友介さん、女優で湯沢市の隣の十文字市出身の檀蜜さん、コミュニティデザイナー山崎亮さんの3人も参加した。

行政の地熱エネルギーの現状とそれに対する課題とは何か?今回から2回に分けてお届けしたい。

日本の地熱エネルギー事情

上:地球の内部構造
下:地熱発電のしくみ
出典元:JOGMECの地熱資料より上:地球の内部構造 下:地熱発電のしくみ 出典元:JOGMECの地熱資料より

まず今回の地熱サミットの内容の前に、「地熱」について改めてここで整理したい。

地熱エネルギーとは、地面の下で地下水がマグマによって熱せられて地面の上に蒸気として噴出したものを、エネルギーとして利用したものを指す。よく温泉地ではこうした蒸気を目にすると思う。最近では、地震の影響で箱根の大涌谷でこうした蒸気がたくさん噴出しているのは周知の通りだろう。日本は温泉大国、地震大国とも言われているが、裏を返せば足元に膨大な地熱エネルギーを保有していることにもなる。

実は、日本はアメリカ(資源量3,900万kW)、インドネシア(資源量2,700万kW)に次ぐ世界第3位(資源量2,300万kW)地熱エネルギー保有国。新しいエネルギーのようにも思えるが、地熱の研究・実用自体は実は戦後まもなくの頃から行われていた。しかし、戦後から現在に至るまで2度の挫折(1度目は政権交代による仕分け。2度目は東日本大震災によるエネルギー開発の中断)で、なかなか一般的な実用化が行われなかった。

しかし、ここ最近再び注目を集めてきたのが地熱をはじめとする「再生可能エネルギー」。太陽光発電、風力発電などがあるが、その中でここに来てもっとも大きく動き始めたのが地熱エネルギーである。他の再生可能エネルギーと比べて、安定的な電力供給であることや二酸化炭素排出量が原子力以下という点、そして純国産エネルギーという点が注目を浴びている。“地産地消”のエネルギーの重要性についてHOME'S PRESSでは何度か取り上げてきたが、地熱エネルギーは私たちの足元のエネルギーであり、その地域の活性化のカギにもなるものとも考えられる。

地熱エネルギー事業の再開

JOGMEC副理事長の黒木啓介氏JOGMEC副理事長の黒木啓介氏

地熱サミットの幕開けに主催者であるJOGMEC副理事長の黒木啓介氏から「23年ぶりに大型地熱発電所として山葵沢地熱発電所が湯沢市にできます。地熱と言っても立地によってそのエネルギーの活用方法は異なりますが、高齢化や人口減少などは各自治体の共通の課題です。地方自治体の問題と地熱の課題について、成功事例や今後の課題を見るべく湯沢の地から発信していきます」と、開会の言葉を述べた。

続いて経済産業省の資源エネルギー庁燃料制作企画室長の森田健太郎氏からは「エネルギー基本計画で再生可能エネルギーの導入は国としても後押ししていく姿勢です。その中でも安定的な地熱発電は世界第3位のポテンシャルを持ち、各関係省庁が現在協力して体制を組んでいます。昨年、安倍首相が福島の地熱発電所を見学。本年7月には環境省が国立公園内でも地熱エネルギーの開発できるような検討会を立ち上げ、この結果将来的に資源ポテンシャルの7割まで開発可能になりました」という話があった。

安倍晋三首相だけでなく小泉進次郎氏などその他自民党の議員達も地熱発電所や地熱を使った地域の事業などを視察しているという。国の後押しもある中で地熱エネルギー事業は足早に歩みを進めているが、実際のところ活用の状況はどうなのだろうか?

全国8つの市町村の地熱活用事例

地熱サミットに参加した8つの自治体の地熱エネルギー事業・地熱活用事業をここで紹介する。

■秋田県湯沢市(発表者:齊藤市長)
地熱利用のトマト栽培、水耕ミツバ栽培ハウス、地熱利用の乾燥機での農産加工施設、地熱利用の乳製品加工。23年ぶりに42,000kWの山葵沢地熱発電所の建設工事着手。

■宮城県大崎市(発表者:伊藤市長)
370本の源泉で鳴子温泉郷が有名。エネカフェ メタンというバイオガスを活用した体験型カフェを作った。高温熟成酒精強化清酒にも地熱利用。

■福島県柳津町(発表者:井関市長)
エネルギー自給率全国4位。(『エネルギー永続地帯』2013年時点)柳津西山地熱発電所のPR館が人気。

■大分県九重町(発表者:坂本町長)
再生エネルギー自給率全国市町村別1位。2293.37%。(『エネルギー永続地帯調査』2014年版試算結果)地熱だけでなく水力5発電所、メガソーラーの大きさが九州で4番目。再生エネルギーの町。

■鹿児島県指宿市(発表者:佐藤副市長)
地熱利用の条例制定。「地熱の恵み」活用プロジェクトを展開。

■岩手県雫石町(発表者:米澤副町長)
温水プール、小学校、旅館、農業ハウスに利用。しかし、事業化にするには熱水コストの問題、施設にかかわる問題、水利権にかかわる問題があるという。

■岩手県八幡平市(発表者:田村市長)
国内初の商業地熱発電所がある。建設して約50年が経つ。温泉を使ったビニルハウス事業を行っていたが、導入してから40年が経つため、参加者の高齢化により荒れ放題になっている。現在、若い世代はマッシュルームの地熱を利用した栽培を進めている。

■北海道森町(発表者:宮崎農林課長)
地熱水利用の農業。過去、米作が中心で冬の間出稼ぎを行っていたが、1970年から本格的に温泉熱をつかった農耕栽培が行われるようになった。シーズン以外のトマト、キュウリの出荷を進め、北海道冬場野菜の一大生産基地をめざす。

8つの自治体が現在行っている地熱事業や地熱活動についてプレゼンテーションが終わった後、ゲストによる鋭い質問、ディスカッションが行われた。地熱サミットで繰り広げられたディスカッションの模様は、次回お届けしたい。

全国8つの自治体がそれぞれプレゼンテーションをした全国8つの自治体がそれぞれプレゼンテーションをした

2015年 09月04日 11時08分