変わりゆく東京の交通網。実施、構想あわせてまとめてみる

2020年の五輪開催まで後6年。
にわかに東京の交通網に変化が訪れている。昨年から今年に入って話題になったリニアや山手線の品川から田町間にできる新駅以外にも、色々な交通網の構想があるのはご存じだろうか?

今回、変わりゆく東京の交通網を主題として改めて整理しつつ見ていきたい。ただし、道路なども見ていくと膨大なので、電車や地下鉄といった鉄道網を中心に紹介する。

本格化している新駅、新路線

9月12日に東京都政策企画局が発表した『東京都長期ビジョン(仮称)』の中間報告から抜粋9月12日に東京都政策企画局が発表した『東京都長期ビジョン(仮称)』の中間報告から抜粋

色々な鉄道網が建設、検討、構想されているが、既に話が本格化しているものから一つずつ見ていきたい。

■日比谷線の新駅設立 虎ノ門地区の交通結節機能の強化
東京都が先日9月12日に発表した『東京都長期ビジョン(仮称)』の中間報告の中で、虎ノ門地区の新駅設置、及びバスターミナル供用開始、地下歩行者ネットワークの完成などが盛り込まれており、2020年までに開業目標が掲げられている。虎ノ門地区の新駅は日比谷線で新たにできる予定で、銀座線虎ノ門と地下鉄歩行者道でつながる計画だ。新駅の上にはバスターミナルが設置されて、鉄道、バスなどの連携で環状2号線沿いに臨海部とのアクセスを強化するのが狙いだ。

■JR東日本 山手線 新橋~田町間の間に新駅
以前HOME'S PRESSでも取り上げたが、新橋~田町間にある港区港南の場所に新駅ができる予定だ。こちらも2020年まで暫定開業を予定しており、駅前の街づくりについてのパースなどがJR東日本から発表されている。
【山手線、品川~田町間に2020年新駅が開業!周辺の開発状況と地価の行方】

■上野東京ライン
こちらはほぼ完成を迎え2014年の年末に開業予定の路線だ。正式名称は、東北縦貫線。しかし、堅苦しいため「「上野東京ライン」という愛称がつけられた。JR東日本によると、列車の案内などはこの上野東京ラインの名称を使うということだ。
もともと、東北縦貫線計画の路線で2008年から工事が行われ、今年の年末ついに開業を迎える予定だ。その昔、東北新幹線の建設に伴って分断された上野駅と東京駅間の線路を再度つなぎ、宇都宮線、高崎線、常磐線を直接東京駅に乗り入れさせる。路線をつなげることで、山手線や京浜東北線の混雑を低減するのが狙いだという。開業に伴い、例えば水戸駅では改札口を新しくするなど、開業に向けて準備がはじまっている。

■相鉄・東急直通線、相鉄・JR直通線
こちらは東京からは少し遠くなるが、日吉から西谷までの路線が新設される予定だ。JR東海道貨物線横浜羽沢駅付近と東急東横線・目黒線日吉駅間に連絡線(約10.0km)、相鉄本線西谷駅とJR東海道貨物線横浜羽沢駅付近間に連絡線(約2.7km)がそれぞれ新設される。別々の路線になっているが相鉄線と東急線が相互直通運転を行う。この路線新設によって、渋谷や目黒から海老名などへのアクセスをよくして、横浜駅やJR東海道線などの路線の混雑緩和や地域の活性化を図るのが狙いだ。
相鉄・JR直通線が2018年度、相鉄・東急直通線が2019年度中の開業を目指し、現在工事中である。

■リニア
2027年度までを目標として品川~名古屋間のリニア計画が今年発表された。品川の港南口前に計画されて、名古屋駅でも具体的な計画があがっている。五輪イヤーには間に合わないが、羽田、リニア、新駅と新たな動きを見せる「品川駅」が今後さらに注目を浴びるだろうということは予測される。
詳しくは下記記事参照。
【リニア完成で人の流れと地価が変わる!?品川の今と未来を考察する】

新路線構想の動き

大田区が発表した「新空港線「蒲蒲線」整備調査のとりまとめ」から抜粋大田区が発表した「新空港線「蒲蒲線」整備調査のとりまとめ」から抜粋

次に最近話題になった鉄道についてふれたい。

■羽田~東京の新路線 羽田空港アクセス線構想
現在、羽田には東京モノレールと京急が乗り入れているが、羽田空港の拡大や五輪、今後の国際観光都市化などを考えると更なる鉄道網拡大が求められる中、注目したいのがJR東日本の動きだ。
東京、新宿、新木場、羽田空港を結び、東京から羽田空港は約18分で既存の乗り換えルートよりも10分も短縮させるという。この路線を実現するにはJR東日本の既存の線路だけでなく、りんかい線の線路が必要だが、りんかい線買収にJR東日本が動いているという。もし実現すると、りんかい線はJR京葉線ともつながることになる。ちなみに、りんかい線は東京都が90%以上の株を保有する第3セクター。一方で、先ほどふれた『東京都長期ビジョン(仮称)』の中で、都心~羽田空港までのアクセス強化については東京都ではバスの充実化をあげており、JR東日本と東京とではそれぞれ意図が異なるのが伺える。

また、JR東日本の案とは別に、東京モノレールが浜松町から東京まで路線を拡大して、東京~羽田までモノレールを走らせる構想を打ち出した。こちらの場合、もし実現したのなら、現在アクセスがいいとはいえない天王洲アイルや昭和島などが東京駅に直接つながるため、こうした沿海部の発展が今後見込めると感じている。

■蒲蒲線(かまかません)
何となく親しみやすい名前だが、こちらは大田区が推し進める新路線。東急線の蒲田駅と京急線の京急蒲田駅をつなぎ、大田区の東西方向のアクセスをよくする。約3.1km。蒲蒲線ができることで、東急線に乗り入れている路線から羽田までアクセスが可能になる。縦方向では、東武東上線、西武有楽町線、臨海副都市線、東急多摩川線などから直接羽田へ行けるようになる。横方向では、田園調布、多摩川、矢口渡といった大田区の西方向にある街から羽田にアクセスしやすくなるだろう。

東京に新たな一大交通網はできるのか?

一時、話題にのぼったものの、本格化の動きはなく現在再検討されている路線についてふれてみたい。

■メトロセブン
聞いたことがある人も多いのでは?メトロセブンは足立区、葛飾区、江戸川区の環七通りの下に建設を想定した地下鉄で、江戸川区が中心となって音頭をとっている。現在下町のこの地区は縦に移動する鉄道がなくこの鉄道ができることで、大きく人の流れも変わると予想される。しかし、1994年から環七高速鉄道促進協議会を設立して行っているというが、再度の検討がなされているようだ。理由としては、今までふれてきた路線と異なり短絡線ではなく、ほぼ全路線、駅の建設が必要という点だ。路線は葛西臨海公園~赤羽の28.8㎞。そのため、時間も人手も膨大な建設費がかかるのがネックだ。
2000年度の運輸政策審議会答申第18号で「今後整備について検討すべき路線」(B路線)に位置付けられてそれ以後顕著な動きはなかった。この第18号は2015年までに整備すべき鉄道路線のこと。現在、2015年に国交省で開かれる交通政策審議会に向けて、様々な計画が整理されているが、その中でメトロセブンを「社会情勢が変化する中でも、東京の活力を維持するため整備は重要」という内容で位置づけられている。五輪やその後の都市活性化に向けて、この話は再び浮上するかもしれない。

■エイトライナー
大田区、世田谷区、杉並区、練馬区、板橋区、北区を通り、赤羽から羽田空港までを結ぶ路線。メトロセブンと赤羽がつながることで、東京の外環をつなぐ一大路線として想定されていた。全長約40km。世田谷区が音頭をとっている。メトロセブンよりは、あまり盛り上がっていない印象を受ける。

環七高速鉄道(メトロセブン)促進協議会の「メトロセブン」資料より抜粋環七高速鉄道(メトロセブン)促進協議会の「メトロセブン」資料より抜粋

交通網整備が住まい選びに与える影響は今後どうなるのか?

五輪開催に向けた交通網整備が盛り上がる中、少子高齢化も進み続ける。
日本の人口減は確実なものだが、だからといって東京の人口が極端に減るわけではない。また、建材の高騰や建築業界の人手不足により家の価格が高騰している中、土地も含めてトータル価格を低減するために、都内よりも土地価格が安い郊外で住居を…という人も増えるだろう。

株価があがり一見よくなっている印象を受けるが、給料はあがっておらず物価が高くなっている所謂スタグフレーションの現在。景気がよくなることも大切だがこうして交通網が広がることで、私たちの行ける範囲が広がり、例えば今まで選択肢に入っていなかった郊外の街が交通網が広がることで仕事場への利便性があがり住まい選び対象の街になるといったケースが広がるだろう。私たちの住まい選びの選択肢も広がる一方、都心から離れた街の活性化にもつながる。以前取り上げた、流山もつくばエクスプレスが開業して都心へのアクセスがよくなった活性化のきっかけになった街だと思う。

住まい選びの際、予算に糸目がないなら自由に住まいが選べるが、ほとんどの人が予算や立地、街の環境など気になるところだろう。交通網が広がることで、私たちの住まい選びも豊かになることを願いたい。

2014年 10月04日 11時04分