「東京に住んでみたい、でも…」

日本最大の都市、東京。話題のお店や流行のスポットが集まるこの大都会での暮らしに憧れ、毎年多くの地方在住者が上京する。憧れの一方で、特に女性は慣れない都会で暮らして働くことに、不安を抱く人も多いだろう。地方から上京しようと思った時、まず、住む場所と働く場所を探すことと、それにかかる多額の費用という現実的なハードルもある。

「東京でチャレンジしてみたい」「いつかは東京に住んでみたい」そうした夢をもつ地方在住の女性を対象にして、住まいと就業先の提供を行う新しいサービスが誕生した。その名も「ワーホリインTOKYO」。
“就業許可付きの海外休暇旅行”であるワーキングホリデーを、東京を海外に見立て、国内で体験できるというものだ。
女性のライフスタイルや暮らし方の選択肢に新しい提案を与えそうなこのプログラムについて、サービスを運営する株式会社スマートライフにお話を聞いてきた。

東京で行う「ワーホリ」とは?

東京都内を中心に36棟(2015年4月1日現在)の女性専用シェアハウスを展開する株式会社スマートライフ。広報宣伝部 広報課のマイルズ香織さんは、「入居のお問い合わせを頂く方の中には、“地方から上京するがまだ仕事を見つけていない”という方も多く、就業先を探すハードルの高さという課題を実感しました」と話す。
そうした背景から始まった「ワーホリインTOKYO」は、3つのサポートを提供する。

1. 暮らしのサポート
スマートライフが提供するシェアハウスに、期間中は通常より安い家賃で入居することができる。敷金、礼金、保証人不要で、テレビや冷蔵庫、ベッドなどの家具は各部屋に備え付けられているので、普通に部屋を借りるよりも初期費用を大幅に抑えることができるのは安心だろう。
入居後も、週に2回は女性スタッフが巡回して掃除や備品を補充するなど、女性が嬉しい生活環境が用意されている。

2. 就業のサポート
世界最大の人財サービス企業、アデコグループの日本法人とスマートライフの提携によって、就業先を提供することも可能にした。アデコが提供する就業プログラムを通じてスキルアップを図れるほか、必要に応じてマナー研修をはじめとした各種研修プログラムを受けることができる。ただ就業先を提供するだけではなく、女性のスキルアップを応援する体制だ。

3. チャレンジのサポート
住まいと就業先の提供によって、女性が東京でチャレンジすることを可能にし、新しい自分を見つけることをサポートしている。「ワーホリインTOKYO」の期間は6カ月だが、期間中に、その後どんなキャリアを築いていきたいか、スマートライフとアデコがサポートしていくという。

ワーホリ期間が終了する半年後は地元に戻ってもいいし、そのままシェアハウスに住み続けても良い。(その場合、家賃は通常の額に戻る)もちろん、紹介された企業に勤めながらシェアハウスを出て、一人暮らしをしても良いという。

「住まい」と「仕事」を与えるだけでなく、人材育成やライフプランのサポートといった要素もあり、「女性が輝く社会」を目指す、国の方針にも沿うものだと感じた。
一方、企業や各種リソースの東京一極集中が問題視され、掲げられている「地方創生」の方針とは真逆を行く取組みとも見える。それに対し同社広報宣伝部の碓井彩佳さんは、「東京でスキルアップした優秀な人材がUターンで地方に戻ることで、結果的に地方にも有益であると考えています」と説明した。そうした考えにアデコも賛同して今回の提携となったそうだ。
だからこそ、仕事だけでなく研修なども備える、充実した体制を可能にしたのだろう。

(左上)(右上)シェアハウスの個室は、シンプルながら女性が好みそうなかわいらしさと清潔感が魅力</br>(左下)いずれの物件も新築戸建てとなっている。これも女性に喜ばれるポイントだ</br>(右下)共用部となるキッチンの一例。共用のリビングが無く、コミュニケーションの場を</br>敢えて設けないことで、入居者同士が適度な距離感で住めるような工夫をしているという(左上)(右上)シェアハウスの個室は、シンプルながら女性が好みそうなかわいらしさと清潔感が魅力
(左下)いずれの物件も新築戸建てとなっている。これも女性に喜ばれるポイントだ
(右下)共用部となるキッチンの一例。共用のリビングが無く、コミュニケーションの場を
敢えて設けないことで、入居者同士が適度な距離感で住めるような工夫をしているという

憧れながらも「遊びに行くところ」だと思っていた東京。
実際に暮らしてみた感想は?

2014年11月より東北から沖縄まで各地で説明会を開催し、現在約30名の20代を中心とした女性が上京体験中だ。今回、2014年12月に秋田県から上京したワーホリ生の小松明日美さんにお話を聞くことができた。

高校卒業後、地元で飲食業や公共施設の職員として働いてきた小松さんだが、「いつか東京に出たい」という思いを持っていたという。
「2~3ヶ月に一度は東京に遊びに来たりしていましたが、いつか住みたいと思いながら、なかなか行動に移すことができませんでした。ただ、28歳になり”30歳までに行動しなければいけない”という気持ちが強くなって、上京することを決意しました」
その意思は強く、東京での住まいや仕事を決める前に勤め先に退職の旨を伝えたが、実際に調べて知った東京の賃貸住宅の初期費用の高さに怯んだりもしていた。そんな時に、地元での勤め先だったアデコ株式会社の秋田支社長から、「ワーホリインTOKYO」の存在を聞いた。
「まさに私のような人のためのプログラムだと思い、すぐに参加を決めました」(小松さん)

上京後すぐに紹介された事務の仕事に就くが、最初の2週間ぐらいはホームシックになったという。しかしそれも、シェアハウスの入居者の存在に助けられた。
「共用のキッチンで立ち話をする人がいるというだけでも気持ちが楽になりました。生活時間帯が違う人も多く、他の入居者といつも一緒という事ではないですが、休日に一緒に出かけたりする友人もシェアハウス内でできました」と話す。

「憧れつつも、”東京は遊びに行くところ”と思っていた時期もありました。でも実際に暮らしてみたら、刺激的で楽しいし、洗練されたエリアがあれば、商店街もあってほっとできる住宅街もあるということや、人も冷たくないということを知って、『なんだ、住めるじゃん』と思いました」と笑う小松さん。長く実家暮らしだったため、家事をこなせるのかという不安もあったそうだが、上京後は安いスーパーを近所に探して自炊に励んだり、家計簿もつけ始めたりと、暮らしも楽しんでいるようだ。

ワーホリ期間が終了したらどうしますか?という質問をしてみると、「ずっと東京に住みたい」と即答。「仕事を頑張ってお金を貯めて、いつかはシェアハウスを出てマンションに住みたい」と今後の目標を話してくれた。

「人生を変える」住まいの可能性

今後も全国各地で「ワーホリインTOKYO」の説明会開催を予定している。就業先として選べる職種が少ないという現状の課題も解決し、より多くの上京を希望する女性の後押しになることを目指しているという。

「半年間のワーホリ期間が終わった後、東京で暮らし続けても地元に帰っても良いんです。ただ、『人生を変える半年間に』をコンセプトに掲げている通り、女性たちが東京で何かを得て『変わった』と思える半年にして欲しいので、私達のその責任は重大です」と話すマイルズさん。

シェアハウスという“ハコ”だけでなく、上京・就業支援というソフトの付加価値を提供することで、女性のライフプランのサポートをする。住まいの付加価値はいろいろあるが、入居者の人生に影響を与えることもできる。そんな住まいから広がる様々な可能性を改めて感じた。

今後、スマートライフでは女性をサポートする新しいサービスの展開も多数予定しているという。国が「女性の活躍」を新たな取り組みとして掲げる中、「ワーホリインTOKYO」のように具体的にサポートしてくれるサービスは、とても意義のあるものだろう。これを利用した女性たちがどのような変化を得て活躍していくのか、これから楽しみである。

お話を伺った、株式会社スマートライフ 広報宣伝部の碓井彩佳さん(左)とマイルズ香織さん(右)</br>お二人とも地方出身で、地方在住の女性が東京に対する憧れのような気持ちには共感できるというお話を伺った、株式会社スマートライフ 広報宣伝部の碓井彩佳さん(左)とマイルズ香織さん(右)
お二人とも地方出身で、地方在住の女性が東京に対する憧れのような気持ちには共感できるという

2015年 05月20日 11時06分