4月30日に発表された大東建託株式会社の2026年3月期決算は、単なる賃貸需要の追い風ではなく、「建設・賃貸・開発」を組み合わせた総合不動産モデルの強さが表れた決算だった。売上高は1兆9,847億円(前期比7.7%増)、営業利益は1,352億円(同13.8%増)、経常利益は1,391億円(同7.5%増)、純利益は990億円(同5.5%増)となり、営業利益・経常利益は過去最高を更新した。
建築受注依存から脱却。大東建託が進める“不動産総合化”
【今回ピックアップするニュース】
●2026年3月期 決算短信【大東建託】
●2026年3月期 決算説明会資料【大東建託】
今回の決算で特に注目すべきなのは、かつて利益成長を牽引した賃貸住宅建設への依存から脱却し、ストックビジネスである不動産賃貸事業と、新たな柱となる不動産開発事業が利益成長を支えた点にある。不動産賃貸事業は売上高1兆2,030億円、営業利益855億円となり、家賃ベース入居率は98.0%まで上昇した。一方、不動産開発事業は売上高1,470億円、営業利益185億円と大幅成長しており、アスコット社連結化や収益不動産販売が利益を押し上げた。建設受注高は5,705億円と前年を下回ったものの、単価上昇や案件選別によって全体収益を維持している点が特徴的だった。
背景には賃貸市場全体の構造変化がある。建築費や人件費の高騰によって新築供給数は伸びにくくなる一方、都市部の賃貸需要は底堅く推移している。その結果、空室リスクを抑えた管理型モデルや、高付加価値の賃貸住宅供給に強みを持つ企業へ収益が集まりやすい環境になっている。大東建託は従来からサブリース型の賃貸経営受託システムを持ち、管理戸数・入居斡旋力を武器に市場変化を利益へ転換できている。
現場目線では期待感も大きい。高い入居率はオーナー提案や管理受託拡大につながりやすく、建築単価上昇局面でも収益性を維持できる可能性がある。また、開発事業の拡大によって従来の「建築受注依存」から脱却しつつある点も評価材料だ。
一方で懸念点も見える。建設受注高は減少しており、土地活用オーナーの投資判断は慎重になっている。さらに人件費や資材価格上昇は継続しており、今後は高い入居率だけでは利益成長を維持しづらくなる可能性もある。今回の決算は、大東建託が賃貸住宅会社から総合不動産運営会社へ変化していることを示した一方、その成長を継続できるかが次の論点になりそうだ。
「南智仁の賃貸ニュースピックアップ」とは?
不動産会社向けコンサルティング会社、株式会社南総合研究所の代表 南智仁氏が、賃貸業界に関わる方なら知っておくべきという観点でニュースを厳選し、豊富な経験に基づくコメントとともに伝えるコーナー。業界関係者はもちろん、賃貸住宅を探す人にとっても、重要な動きを理解できるほか、新たな視点を得ることができるはずだ。



