2015年3月14日に開業する「上野東京ライン」

2015年3月14日、JR東日本では東京圏鉄道ネットワークをさらに充実させるため、「上野東京ライン」の開業を実施する。開業後は、宇都宮線・高崎線・常磐線から東京駅・品川駅へ、東海道線から上野駅へダイレクトアクセスが可能となる。

「上野東京ライン」の直通運転の概要は以下の通り、
1)宇都宮線及び高崎線は東海道線と相互直通運転を実施
2)常磐線は品川駅まで直通運転を実施(※常磐線は朝通勤ピーク時間帯から(東京駅概ね8:00以降)の直通運転となる)
3)朝通勤ピーク時間帯(東京駅概ね8:00~9:00)の直通本数は宇都宮線5本、高崎線5本、常磐線5本(※各線区から東京・品川方面への南行列車本数、※常磐線は朝通勤ピーク時間帯では、取手以南運転の快速上り電車のみの直通運転)
4)常磐線特急列車はデータイムの全ての列車及び夕夜間帯の一部列車を品川駅発着とする
5)常磐線普通列車はデータイムでは土浦方面からの一部列車を、夕夜間帯では取手以南運転の快速電車を品川駅発着とする

今回、上野東京ラインの開業により都心へのアクセスが向上するとみられるまちのひとつ土浦市をフォーカスし、地方都市の抱える再生への課題とまちのコンパクトシティ化への取り組みを取材した。

「上野東京ライン」開業後の輸送体系 「上野東京ライン」開業後の輸送体系

かつては城下町、東京のベッドタウンとして発展してきた土浦市

土浦市都市整備部都市計画課のみなさん。写真左より 飯泉さん、船沢さん、中泉さん土浦市都市整備部都市計画課のみなさん。写真左より 飯泉さん、船沢さん、中泉さん

土浦は江戸時代、土浦藩主として最も長期にわたって土浦地方を支配した土屋氏により交通網の整備が進み、城下町とものが行き交う水陸交通の拠点としてにぎわい、水戸に次ぐ常陸国第二の都市として繁栄した。まちの中には本陣・旅篭・問屋がおかれ、多くの商家が軒を連ね、今もその面影がまち中に残る。また、昭和の経済成長からは、東京のベッドタウンとして発展をしてきた。

しかし日本のほかの地方都市同様、少子高齢化・中心市街地の活性化の問題は土浦市も例外ではない。新たなまちづくりについて、土浦市都市整備部都市計画課の参事兼課長 船沢さん、まちづくり推進室 室長 飯泉さん、まちづくり推進室の中泉さんにお話を伺った。

「土浦市では、旧中心市街地活性化法に基づき平成12年4月に"土浦市中心市街地活性化基本計画"を策定し、事業を展開してきました。が、全国的な中心市街地の衰退傾向や、中心市街地を取り巻く環境は策定してから大きく変化し、新たにまちなか居住に重点をおいた基本化計画が必要となりました」(船沢さん)

市街地の整備改善によるまちなか定住促進事業

土浦市は現況と課題と対策を以下のようにまとめている。
1)中心市街地の緩やかな人口減により、新たな定住推進が求められる
 ・高齢者や子育て世代が安心して生活できる環境づくり
 ・定住促進のための新たな制度導入
2)中心市街地の歩行者交通量の減少により、集客施設の更なる集積
 ・市庁舎や公共施設の整備、店舗の活用により、連続性・回遊性を確保
3)空き店舗等が増加傾向にあるため、事業用資源の流動化を促進する
 ・家賃負担軽減策など若い起業家への支援策の充実やビルの空き室の市による再利用方策
4)観光客はやや微増傾向、さらなる観光振興のために霞ヶ浦観光の新たな拠点施設の整備

基本方針として「人がまちにすまう」「人がまちをいきかう」「人がまちをつくる」とし、基本理念を「歴史が息づき、人々が集う、魅力ある湖畔の都市」とした。さまざまな施策により、中心市街地の歩行者交通量増加、中心市街地の居住者人口増加、観光関連施設の利用者数増加、中心市街地の空き店舗数の減少を狙う。

1)の定住促進については、金融面でも常陽銀行と連携協定を締結し、中心市街地エリア内の住み替え・空き家活用・住宅取得に対して銀行と行政双方で利用者の特典を行い促進する(※常陽銀行の取り組みは以前、HOME'S PRESS内でも取材)。例えば、該当エリアにおいて住宅を購入をする際、常陽銀行は住宅ローンの金利を店頭金利より▲1.6%優遇、土浦市は住宅ローン(借入金)の3%(限度額:50万円)を補助金として支給する(※平成26年~平成30年度の5年間)。

市役所も移転、駅を中心とした土浦市のコンパクトシティ化

また、土浦市は、新庁舎整備事業で土浦駅西口駅前のウララ(イトーヨーカドー土浦店跡地)への移転計画を進めている。現在の庁舎は、駅から歩くには少し遠く、利用者には利便性がよいとはいえなかった。
「新庁舎に移転、整備が整えば、お年寄りや忙しい会社員の方々、買い物ついでに用事を済ましてという主婦の方々も利用しやすくなると思っています」と船沢さん。

新庁舎は、市民の安全面にも配慮。現況の建物を活用しつつ新たに安全対策の充実を図り、災害時に防災拠点として業務を継続するため、ライフライン復旧までの電気・水道のバックアップを確保するとともに、帰宅困難者の一時退避スペースを確保する。また利用者に対しては、ゆとりある待合スペースを確保するほか、休日や夜間など閉庁時間も利用できる市民ラウンジを配置したり、障害者も利用しやすいように各種設備機器を整備している。議会の内容をモニターで視聴できる市民スペースを設置し、傍聴席へは分かりやすい導線計画とし、開かれた市庁舎にする予定だ。26年度から整備工事を行い、27年9月の移転・開庁を目指す。
「新庁舎以外にも土浦駅前北地区に新たに市民の交流拠点をつくる予定です」(船沢さん)
図書館とギャラリーなどを備えた複合施設を駅前に配置し、中心地にさらなる活性化・賑わいの場を創出する。
「駅を中心としたコンパクトシティ化、中心市街地の定住化促進、歩行者人口の増をつくりだし、少子高齢化に対応した活気あるまちづくりをしていきます」と船沢さん。

「土浦市の全国花火競技大会はスターマイン(いわゆる速射連発の花火)の日本一を決める大会とも言われ、賞をとることは花火師にとっての目標と言われています。精魂込めて作られた色とりどりの花火の迫力は圧巻です。上野東京ラインの開通によって、都心へのアクセスが良くなることから、観光としても多くの方にも来てもらいたいですね」と語ってくれた。

行政だけでなく、金融・商業や市民など多くの協力や取り組みにより中心街に活気が戻り、住みやすく暮らしやすくなる…地方都市が抱える課題を解決するお手本として、土浦市が変わることを期待したい。

大曲・長岡の花火大会とならんで日本三大花火大会の一つと称される「土浦全国花火競技大会」大曲・長岡の花火大会とならんで日本三大花火大会の一つと称される「土浦全国花火競技大会」

2015年 02月19日 11時07分