新型コロナ対策と熱中症対策のバランスとは?

2020年7月21日、「夏本番!熱中症の専門家と空気のプロ・ダイキンが教える『コロナ禍における“熱中症対策”と“上手な換気の方法”』」webセミナーが実施された2020年7月21日、「夏本番!熱中症の専門家と空気のプロ・ダイキンが教える『コロナ禍における“熱中症対策”と“上手な換気の方法”』」webセミナーが実施された

長い梅雨があけ、とうとう熱い夏がやってきた。ここ数年、夏場は記録的な猛暑となり、熱中症対策に気を配ってきた人も多いだろう。今年は、さらに注意が必要だ。新型コロナ対策が加わっているからだ。

夏場、室内であれば閉め切ってクーラーをかけることが多かったが、今年は新型コロナ対策として「換気」もしていかなければならない。外出する際にはマスク着用も欠かせない。熱中症対策とは相反するような新型コロナ対策をとらなければならないわけだ。どのようにしてバランスを取るべきなのだろうか?

空調のプロであるダイキン工業 株式会社には、そんなこの夏の「換気」に関する問い合わせが殺到しているという。そこで同社では、「夏本番!熱中症の専門家と空気のプロ・ダイキンが教える『コロナ禍における“熱中症対策”と“上手な換気の方法”』」のWebセミナーを開催した。

セミナーで語られた、この夏を健康に乗り切るためのポイントを紹介しよう。

熱中症はもはや災害レベル!?

帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長・帝京大学医学部救急医学講座教授の三宅康史氏。さいたま赤十字病院救命救急センター長、昭和大学医学部教授などを経て、2016 年より現職。著書に『現場で使う!! 熱中症ポケットマニュアル』がある、熱中症の専門家だ帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長・帝京大学医学部救急医学講座教授の三宅康史氏。さいたま赤十字病院救命救急センター長、昭和大学医学部教授などを経て、2016 年より現職。著書に『現場で使う!! 熱中症ポケットマニュアル』がある、熱中症の専門家だ

セミナー冒頭に登場したのは、熱中症対策のプロフェッショナル、帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長の三宅 康史氏だ。同氏はまず、日本で起きる最近の熱中症の特徴を紹介した。

三宅氏によれば、熱中症には「労作性」と「非労作性」の2種類が存在するという。労作性は、肉体労働やスポーツ時に起こるもので、当然ながら学生や若い世代に多い。もう1つの「非労作性」の熱中症は、急性的なものではなく、日常生活の中で知らず知らず症状を悪化させるものだ。家の中で起こす人が多く、高齢者の割合が非常に高い。

「この2種で死亡率が高くなっているのは、圧倒的に非労作性です。外でスポーツや肉体労働をされて熱中症になる方は、いわば急性的なものであり、体力もある若い方がなるので治りやすい。一方で非労作性の熱中症は、家の中で扇風機を回しておけば大丈夫と猛暑日、熱帯夜で温度が下がらないまま何日か過ごすパターンです。高齢者が多く、そのため基礎疾患の割合も高く、複合的な状態で重症化してしまうのです」(三宅氏)

実際に、熱中症による死亡者は65歳以上が80.4%にも上り、家の中で熱中症をおこしていることが多い。梅雨明けが早く、真夏日と熱帯夜が連続した2018年は熱中症での死者が1500人を超えた。三宅氏は「もはや災害レベル」と警鐘を鳴らす。

通気性が良いマスクは、飛沫拡散が防げるか?

一方、新型コロナの感染者数は全国で爆発的に増えており、2020年7月31日の1日の感染者数は1323人を記録した。重症化している人数はまだ少ないものの、無症状のキャリアから重症化しやすい高齢者にうつさないためにも、飛沫感染を抑えるマスク着用が推奨されている。

この猛暑でマスクをつけると熱中症のリスクは高まるわけだが、だからと言って、通気性が良いマスクを選ぶと飛沫を防げるかが疑問だ。「そのためマスクは『JHPIA―全国マスク工業会』会員マークが入った、しっかりと飛沫が防げるものを選んでほしい」と三宅氏は推奨する。

「熱中症の予防としてはどうするか? 人が密集している場所では、マスクはしっかりと着用していただくが、クーラーの効いた場所に逃げ込んだり、三密を避ける場所に行って、マスクを外すなどをすれば熱中症の予防になるはずです」(三宅氏)

また三宅氏は「一般の人が、新型コロナと熱中症の予防に努めることは、医療従事者を守ることになり、医療崩壊を防げる」と訴え、例年よりもこまめな水分補給などを気にかけながらのW予防を呼びかけた。

換気時に、エアコンの設定温度は低めに

フィルター掃除は2週間に1回が目安になる。こまめに行えば、掃除機で簡単にすませることができるフィルター掃除は2週間に1回が目安になる。こまめに行えば、掃除機で簡単にすませることができる

次にセミナーで紹介されたのは、コロナ時代のエアコンの使い方だ。そもそもエアコンでは換気ができなく、基本的な換気の方法は「新型コロナウイルス感染防止のための換気対策。これから夏に向けて家の「上手な換気の仕方」とは?」でも紹介した内容が基本である。

基本的な換気のコツは、先の記事を確認してもらいたいのだが、熱中症対策との兼ね合いでアップデートされた内容を紹介していこう。気になる「換気の際のエアコンの節電方法」のポイントをダイキン工業株式会社 広報グループ 重政周之氏は次のように挙げた。

① こまめにオンオフよりも、エアコンはつけっぱなし
これは、前回も紹介した内容だが、エアコンは電源を入れた直後に電力を多く消費するため、窓を開けて換気するたびにこまめに入り切りすると、電気代が上がってしまう可能性がある。そのため、エアコンはつけっぱなしが推奨されている。

前回の記事の時点と情報が異なるのは、換気時にはエアコンの設定温度を高めではなく、低めに設定することだ。夏本番になると30℃以上の気温が続くため、室温が急激に上がる可能性があり熱中症リスクが考えられる。そのため、熱中症対策としては、換気時にはエアコンの設定温度を低めにすること推奨するという。その分以下のような観点から消費電力を減らす工夫はできるという。

② エアコンから遠い窓を開けてエアコンの負荷軽減
エアコンは室内の空気を吸い込み、冷やして室内に排出するため、温度の高い空気を直接吸い込むと消費電力が増大する。そのため、換気の際にはエアコンの室内機から遠い窓を開けることがポイントになる。

③ 室外機の周りには物を置かずに風通しよく
当然、室外機の周りに障害物があると空気の流れが滞り、吹き出し口からうまく室内の熱を逃せなくなる。電力を使う原因となるため、室外機まわりの整理整頓が望ましい。

④ フィルター掃除は2週間に1回が目安
フィルターが目詰まりすると、吸い込む空気の量が少なくなり部屋を冷やす力が小さくなる。そのため、多くの電力を消費することになる。1年間フィルター掃除をしないと、消費電力は約25%も増加するそうだ。ひどくなる前ならフィルターの埃を掃除機で簡単に吸い取れるため、こまめに掃除することがお勧めだそうだ。
ちなみに、キッチンに近い場所にあるエアコンは油分を含んだ埃が付着している可能性が高いため、そうした場合は、中性洗剤をつけながらぬるま湯で洗うことが望ましいそうだ。

快適な湿度と温度とエアコン効率

セミナーでは、エアコンの温度と湿度の関係についても有益な質疑応答があったので紹介したい。

まず「除湿と冷房運転ではどちらが省エネか?」という質問だが、これに対し重政氏は、「役割が違うので一概にはいえない」という。温度が高くて湿度が低い場合は、冷房で設定温度を低くした方が電力はより使われるし、逆に温度が低くて湿度が高ければ、除湿の方がかかる電力量は増える。

省エネを観点にするとケースバイケースだが、健康的な涼しさという意味ではある程度基準もあるという。設定温度は28℃で、湿度は40%~60%になるそうだ。湿度が20%異なると体感温度が4℃違ってくるそうなので、湿度の高い日本では湿度コントロールも念頭に入れるとより効率的になるだろう。

ちなみに、ダイキン工業では、オフィスや店舗での上手な換気の方法もWebサイトでまとめている。

夏本番を迎えた日本。新型コロナの感染者数も増加しているなかで、正しい知識を身につけ、熱中症も新型コロナのリスクも抑えるために参考にしてほしい。


■本Webセミナー(録画公開阪)
https://www.youtube.com/watch?v=nuv6dzGOC94&feature=youtu.be

■上手な換気の方法(住宅編)
https://www.daikin.co.jp/air/life/ventilation/

■上手な換気の方法(オフィス・店舗編)
https://www.daikin.co.jp/air/life/ventilation/office/index.html

■エアコン節電情報
https://www.daikin.co.jp/air/life/electricitysaving/

■おしえて空気ナビ
https://www.daikinaircon.com/kuukinavi/

ダイキン工業株式会社 広報グループ 重政周之氏(右)、同じく野呂朋未氏(左)、三宅康史氏(真ん中)ダイキン工業株式会社 広報グループ 重政周之氏(右)、同じく野呂朋未氏(左)、三宅康史氏(真ん中)

2020年 08月21日 11時05分