羽田空港

前回の【森ビル都市模型(ジオラマ)①】東京を1000分の1で精巧に再現!都市模型はどのようにして作られているのか?では、どのように都市模型がつくられているかについて紹介した。今回は、引き続きエリアごとの都市模型の紹介と、森ビルの街づくりへの想いについてお届けする。

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五輪の開催や、訪日観光客の増加に伴い今後のアクセス改善が期待される羽田空港。今後注目されるポイントでもあり、説明する機会が多く追加したそうだ。飛行機も置かれている。

羽田空港羽田空港

再開発後の虎ノ門ヒルズ周辺(2019年度予定)

写真中央に見えるのが虎ノ門ヒルズ。森ビルは、2020年に供用開始予定の「東京メトロ日比谷線虎ノ門新駅(仮称)」とも一体化した都市開発プロジェクトを計画している。虎ノ門ヒルズに隣接したエリアに、オフィスや商業施設を備える「(仮称)虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー」と、住宅中心の「(仮称)虎ノ門ヒルズ レジデンシャルタワー」が2019年度竣工予定。さらに2022年度には、虎ノ門新駅一体の「(仮称)虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」の竣工が計画されている。
大きな変貌を遂げる虎ノ門ヒルズ周辺は、開発が進められた2019年度の状態がすでにつくられていた。

虎ノ門ヒルズ周辺(2019年度予定)虎ノ門ヒルズ周辺(2019年度予定)

再開発後の渋谷(2027年予定)

2027年までに予定されている再開発が終わった渋谷が先行してつくられている。まだ建築されていないビルもあるため、すぐに渋谷だとは分かりにくいかもしれないが、写真後方に見えるのが渋谷ヒカリエ。再開発の完成予定にはデザインに変更があるため、今後更新する予定とのこと。

再開発後の渋谷(2027年予定)再開発後の渋谷(2027年予定)

精巧さは"今の街"を正確に知り、共有するために

(画像上)新宿エリア(画像下)ニューヨーク。森ビルは日本の都市以外にも、ニューヨークなどの海外都市も制作している。都市模型で街並みを見比べると、ニューヨークは高層ビルが集中して建築されていることが分かる。道も碁盤の目のようにつくられており、こういった街の違いや特徴が一目瞭然で分かりやすいのも都市模型ならではである(画像上)新宿エリア(画像下)ニューヨーク。森ビルは日本の都市以外にも、ニューヨークなどの海外都市も制作している。都市模型で街並みを見比べると、ニューヨークは高層ビルが集中して建築されていることが分かる。道も碁盤の目のようにつくられており、こういった街の違いや特徴が一目瞭然で分かりやすいのも都市模型ならではである

都市模型を眺めていると、よく知った街並みをあちこちで見つけることが出来る。建物や交通、ランドマークまで全てが忠実に再現されているため、パッと見てどこのエリアなのかがすぐに分かるのだ。

「元の建物の色や形、地盤の高低差も再現し、街がどうなっているのか、"視覚で分かりやすく"というのをコンセプトにしています。素材となる写真や動画の撮影で多い時は一日20キロほど歩くのですが、撮影をしながら道の高低を感じることも重要な要素です。以前、名古屋の都市模型を作ったことがあるのですが、名古屋のマンションはレンガ調で赤っぽい外壁が多いんですね。そういった、街を実際に歩くからこそ気づく街の特徴もあります。これまで収集した情報は、"都市のエレメント"データベースとして蓄積。建物の外壁のテクスチャでは423種類、乗り物や樹木なども100種類超はあります。このデータベースを活用すれば、リアリティのある街並みがつくれますし、今後の作成の際も効率的に作ることが出来ます」

実際に現地に赴き情報収集をし、またこれまで蓄積した情報も駆使して、正確さを追求しつくられた都市模型。実は、メディア企画部が手がけているのは都市模型だけではないそうだ。

「メディア企画部は、プレゼンテーションのサポートチームとして立ち上がった部署です。都市開発に関わるなかで、多くの方に対して、今、そしてこれからの街について説明し、プレゼンをする機会があります。ですが、紙だけではやはり分かりにくく、伝わりにくい。もっと視覚的に、共通の認識を持てるコミュニケーションツールをと、開発したのが都市模型やVR(ヴァーチャル・リアリティ)です。VRは、3次元空間を自由に移動できるシミュレーションツールです。都市模型で"鳥の目線"になり、俯瞰して見る事で都市の全体像や課題を把握できます。そして、VRで"人の目線"から見た空間イメージのシミュレーション提案をしています。模型の制作で蓄積したデータベースやノウハウはVRにも活かし、制作コストの削減も図っています」

建築・不動産業界では通常、CADソフトから派生したツールを用いることが多いそうなのだが、森ビルはゲーム開発用のゲームエンジンを活用して、実際にその場にいるようなリアリティを追求したそうだ。また、写真を見てお分かりだと思うが、都市模型の制作技術は職人レベルの域に達する。

いま、世の中にない未来の街を提案することの多い会社であるからこそ拘わった、分かりやすさ。都市模型でいまの街を知り、そして、新しい街を共有することは、多数の人とコミュニケーションを取るうえで欠かせないものなのだろう。そのために、最新の技術動向も収集し、より分かりやすくする為にはどうしたらいいか?を常に考え続けているそうだ。

都市模型を通して考える東京の未来。目指すは"世界一の都市 東京"

ここまでの規模の都市模型を作っている会社は、日本に森ビルしかないのではないだろうか。都市模型を作り、また更新を続ける労力を考えると、街づくりにかかわる会社としての強い意志を感じる。

「街のあり方を考えたとき、一部の開発エリアだけを対象に見て進めてもよい街にはなりません。私たちの開発の目的は、ビル一棟を建てるのではなく、街をつくることで、東京の魅力や価値を向上させることです。"東京を世界一の都市にする"をビジョン目標に、ロンドンやニューヨークにも引けをとらない街を全社で目指しています。そのためにも、"鳥の目線"で街を捉えられるこの都市模型は欠かせません。
また、これまで街のことや、これからの未来ついて考えたことが無かった人にも、この都市模型を通して、興味を持ってもらえたらと思っています」

常に進化を続ける都市、東京。街づくりに終わりが無いように、この都市模型も常に変化を続ける。
更新は年2回、3月と9月に行われる。次回9月の更新では、国立競技場を新しいデザインに。豊洲新市場も更新されるそうだ。東京の七つの副都心のうち、まだ池袋だけ作られていないそうだが、これもゆくゆくは追加制作予定とのこと。

通常は一般公開していない都市模型だが、子ども向けの探検ツアー「ヒルズ街育プロジェクト」の際に見ることができる。一部のツアーは大人も都市模型の見学ができるそうだ。今年も夏に実施されるので、都市模型を見ながら、未来の東京について思いを馳せてみてはどうだろう。
※夏の申込みは6月下旬以降予定

ヒルズ街育プロジェクト
http://www.mori.co.jp/machiiku/

都市づくりのコミュニケーションツール 都市模型
https://www.mori.co.jp/company/urban_design/urbanlab/line_up/

お話を伺った森ビル株式会社 計画企画部 メディア企画部の河合隆平氏お話を伺った森ビル株式会社 計画企画部 メディア企画部の河合隆平氏

2016年 06月16日 11時06分