共用部の悪臭、2大発生源はゴミとペット

ペット可では飼育のルールがあり、それを守っている人が住んでいる物件でないと、臭いに悩まされる可能性もペット可では飼育のルールがあり、それを守っている人が住んでいる物件でないと、臭いに悩まされる可能性も

賃貸では部屋を探す時はもちろん、暮らし始めてからも設備の故障その他で不動産会社とお付き合いするケースは多々想定される。そんな時に気持ちよく対処してもらい、楽しい暮らしを送るためには、不動産会社の仕事や役割、どんなことをしてもらえるのかなどを知っておくと何かと便利。これは日夜様々なトラブルに対処してきた不動産会社の裏話に耳を傾け、より良い暮らしのためのノウハウを学ぶ連載の第5回目。

臭い問題は共用部、室内、外部からと発生源を分けて考えると対処しやすい。そのうち、共用部の悪臭はゴミ、ペットが発生源になっているケースが大半。しかも、その原因の多くはマナーが悪い人が住んでいることによるもの。たとえばゴミ置き場の悪臭。ハウスメイトパートナーズ東東京支店の谷尚子支店長によると「最近はきちんと分別されていないと、清掃局は収集してくれません。そのため、分別しない人が住んでいたり、収集日以外にゴミを放置するような人、生ゴミをビニールに入れたり、新聞で包むなどせず液だれした状態で捨てるような人が住んでいる物件ではゴミ置き場がひどいことになる。ゴミ置き場に近い部屋に住んでいる人には迷惑な話です」。

ペットも同様で「きちんとした動物飼育のルールがある物件なら、エレベーターにはペットを抱っこして乗ることと定められていることが多いはず。でも、そのルールを守らない飼い主がいるとエレベーター、廊下でペットが糞便をし、それが悪臭になるケースがあります。また、バルコニーでペットを洗ったりするケースも同様。雨樋から悪臭が立ち上るようになります」。

つまり、住んでいる人のマナーをチェックすれば悪臭に悩まされる可能性が低くなるというわけ。下見で現地を訪れたら、臭いの有無はもちろん、エントランスや廊下などの共用部に私物が放置されていたり、ゴミ置き場にゴミが散乱していないかなどをチェック。マナーを守らない人とひとつ屋根の下に住まないように注意したい。

かび臭、エアコン臭など、室内の悪臭の多くは換気で解決する

使っていない期間がある場合、臭いがするのはどうしようもないこと。フィルター清掃後、しばらく運転してみて様子を見よう使っていない期間がある場合、臭いがするのはどうしようもないこと。フィルター清掃後、しばらく運転してみて様子を見よう

下駄箱がかび臭い、室内が湿っぽい臭いがする、どこからか下水の臭いがする……。こうした室内の悪臭の多くは1日1回、換気することで解決しますと谷さん。「多くの賃貸物件の玄関は北側の、湿度の高い場所にあるので濡れた靴を入れたり、閉めっぱなしにしていると、どうしてもかび臭くなりがち。濡れた靴は乾いてからしまう、時々は扉を開けて換気するだけで、管理会社に苦情を言うまでもなく解決します」。押入れなどの収納部も同様だ。

また、浴室など頻繁に濡れるところは、使用するたびにきちんと換気して、かびの発生を抑えることも大事。浴室の扉を開けっ放しにせず、浴室内部で換気されるようにし、浴室乾燥機能があるなら、短時間つけてみるのも有効だ。使用後、浴室の壁をざっと拭いておく手もある。換気扇や換気口のフィルターの掃除も大事。ここが詰まっていると、吸い込む力が弱くなり、かび発生につながるからだ。

5月、6月くらいの、エアコンを使い始める時期にはエアコン臭がするという苦情があるそうだが、これはフィルターの掃除で解決する。「使わない時期に入居した場合、事前にエアコンの洗浄あるいは掃除がされていたとしても、半年くらい使っていない期間があると、使い始めに臭うことがあります。フィルターは簡単に取り外せるので、外して洗えば臭いは気にならなくなるはず」。半年間使わなかったエアコンに埃が積もっていたとしても、それは不動産会社の責任ではない。入居以降の室内清掃は入居者がやるべきことと考え、とりあえず掃除してみよう。

下水臭は発生源特定が難しく、解決しにくい場合も

室内の外に面した壁面に設置された丸あるいは四角い吸気口にはフィルターが設置されており、掃除が必要室内の外に面した壁面に設置された丸あるいは四角い吸気口にはフィルターが設置されており、掃除が必要

下水の臭いがするという場合にはいくつかのケースが考えられる。たとえば、単身者向けの古い建物では排水管清掃時に在宅できない居住者が多く、清掃がきちんとできないことがある。そこに掃除をしない居住者が多く住んでいた場合には排水管内に汚れがたまり、それが悪臭源に。この場合、建物全体で対策を講じないといけないことになり、解決は難しい。

また、マンションのように気密性の高い建物で窓を閉め、吸気をしない状態で換気扇などで排気を行うと、室内外に気圧差が生じる。それを平準化しようと床下などの空気が引っ張られ、それが悪臭源になることがある。外から新鮮な空気を取り入れ、室内外に気圧差を生じさせなければ悪臭は発生しないわけで、この場合には他の悪臭同様、換気がひとつの解決策になる。具体的には室内の壁に設置された吸気口をチェック、きちんと吸気できているかを確認することである。

「特に冬は寒いからと吸気口を開けたくないという人もいますが、吸気をしないと臭い問題が解決しないこともあります。また、開けてはいても掃除をしておらず、フィルターが埃だらけという例も。これでは吸気はできないので、たまには掃除をしましょう」。エアコン臭の時にも掃除をというアドバイスがあったが、たまった埃は悪臭の元ともなる。窓を開けて掃除をしていれば、悪臭に悩まされることも少なくなるというわけだ。

一方で単純にキッチンのシンク下の排水パイプの防臭キャップが付け忘れられているなどのケースもあり、こうした場合はキャップを取り付けるだけで問題は解決する。下水の臭いがすると思ったら、まずは清掃、換気をしてみて、それでもダメという場合には管理会社に相談してみよう。

空室時の悪臭は水を流して確認する

空室時の悪臭の大半は排水管の封水切れによるもの。水を流せば解決することが多い空室時の悪臭の大半は排水管の封水切れによるもの。水を流せば解決することが多い

暮らし始めてからの悪臭の多くは換気が解決策だが、空室を下見した際の悪臭は水を流して確認をする。トイレや洗面所、キッチンなどの排水管には途中にU字などになった排水トラップと呼ばれる部分があり、そこに溜まった水が下水道の悪臭やガス、害虫などの侵入を防止する仕組みになっている。ところが、水道を使用しない状況が続くと、トラップ内の水が蒸発し、下水道の悪臭などが上がってくることに。場合によってはトラップ内の水が腐って悪臭源になることもある。

そのため、空室が続くと不動産会社や大家さんは定期的に水を流す、トラップ内が乾燥しないよう液剤を使う、サランラップや専用シールを貼るなどいろいろな手を講じているが、そうした対応が行われていない部屋では下水臭がすることも。それが問題となる悪臭なのか、一時的なものなのかは水を流してみて、その後の状態をチェックすれば良い。トラップ内の乾燥による悪臭なら、しばらく流していれば解消するからだ。ただし、洗濯パンだけは直接水が流せないので、空いたペットボトルを利用して、水を流してみよう。

また、キッチンの排水口が臭う場合には乾燥によるものと思われるが、シンク下が臭う場合には他の要因も考えられる。不動産会社に相談してみよう。

外部からの悪臭は下見時チェック、未然に防ごう

自分にとっては芳香だとしても、好みが違えば嫌な臭いになってしまう。アロマを楽しんだ後は換気も忘れずに自分にとっては芳香だとしても、好みが違えば嫌な臭いになってしまう。アロマを楽しんだ後は換気も忘れずに

下水臭以上に面倒なのは外部からの悪臭。階下、近隣に飲食店や食品、皮革関係の工場があるなどの場合には営業時間内に行ってみて許容範囲内かどうかをチェック。営業時間内に行けない時には不動産会社に確認してみるのも手だ。

だが、こうした地図や現地を歩いてチェックできる設備などは注意することで未然に防げるが、隣人が発生源というケースの解決は非常に難しい。「よくあるのが子どもがいる、退去時の原状回復に備えてクロスを汚したくないなどで室内ではタバコが吸えないと、バルコニーで吸うケース。バルコニーで吸ったたばこの煙が隣室の開けた窓や換気口から室内に入り込み、たばこ臭いと隣室からクレームが出るのです。また、吸殻入れを置きっぱなしにしておき、それが雨で流れ出して周囲に迷惑をかける例も。吸うなとは言いませんが、我が家の子どもには気を使って煙を吸わせないようにするのに、隣家の子どもには浴びせかけるというのは勝手。互いに気配りしたいものです」。ちなみにタバコの場合には換気扇の直下で吸うのがもっとも被害が少ないらしい。喫煙者を悪く言うつもりはないが、嫌がる人もいることは意識しておこう。

ちなみに線香やお香、アロマもやり過ぎはダメ。「換気をしないでお香を焚き続けていると、クロスを剥がしても臭いが取れないこともあり、そうなると消臭費用をいただくことにもなりかねません」。自分にとっては芳香でも、他人にとっては悪臭になることがあるというわけだ。

また、最後にひとつ、注意しておきたのは最近増えている宅配ロッカー。「以前、エントランスにオレンジの芳香剤が置かれているらしいが、きつすぎるとクレームがあり、現地に行ってみたのですが、どこにも芳香剤らしきものはない。ふと気がついて宅配ロッカーをチェックすると、みかんが1箱入れられたまま、放置されていました……」。宅配ロッカーには生モノは入れないようにしよう。

2014年 06月30日 10時51分