その気になれば郵便物は簡単に盗める。個人情報が含まれる郵便物はできるだけWEB利用に

住戸の鍵は入居者が変わる時に交換されることが多いが、郵便受けの鍵が交換されることはほぼない住戸の鍵は入居者が変わる時に交換されることが多いが、郵便受けの鍵が交換されることはほぼない

賃貸では部屋を探す時はもちろん、暮らし始めてからも設備の故障その他で不動産会社とお付き合いするケースは多々想定される。そんな時に気持ちよく対処してもらい、楽しい暮らしを送るためには、不動産会社の仕事や役割、どんなことをしてもらえるのかなどを知っておくと何かと便利。これは日夜様々なトラブルに対処してきた不動産会社の裏話に耳を傾け、より良い暮らしのためのノウハウを学ぶ連載の第3回目。

ひとり暮らしの女性からの苦情で意外に多いのが、郵便物が盗まれている気がするというもの。最近の郵便受けにはダイヤル式の鍵が付いており、一見安全なように見えるが、そんなに信用できるものではないという。「あの手の郵便受けの場合、一定のパターンでダイヤルを何度か回していると開いてしまうことがありますし、そもそも、女性の手あるいはトング状のものを使えば、簡単に中の郵便物を取り出すことができます。ですから、鍵があるからと信用せず、携帯やカードの明細など、見られたくない個人情報が多く含まれるものについてはWEB明細を利用するなど、自衛を考えるほうが賢明です。管理会社に頼んでダイヤル部分だけを交換することもできますが、その場合、故障ではないため、有料になります」(ハウスメイトパートナーズ東東京支店支店長・谷尚子さん)。

箱が深くなっており、手の入らないタイプの郵便受けなら安全だが、そうしたタイプの普及度はまだまだ。団地などによくある、ドアに郵便受けが設置されたタイプだと、郵便物が盗まれる危険は低くなるが、外の音が聞こえやすいという欠点があり、一長一短。郵便受けだけで物件を選ぶわけにもいかないことを考えると、自衛が一番の手というわけだ。ちなみに、盗まれている気がする程度では実害がないからと、警察も取り合ってはくれないそうだ。

オートロック、ドアチェーンがあるから安心という気の緩みが危険を招く

ドアの真ん中に付けられているのがドアスコープ。写真はドアスコープカバーのあるタイプ。右端についているのが最近のドアチェーンドアの真ん中に付けられているのがドアスコープ。写真はドアスコープカバーのあるタイプ。右端についているのが最近のドアチェーン

女性のひとり暮らしだからオートロック付きがいいという人が多いが、オートロックがあっても犯罪、ストーカーを防ぐまでの効果はない。誰かが入る時に後ろについて入ってしまえば、簡単に建物内に侵入することができるからだ。「物陰に隠れていて、開いた瞬間に入り込み、階段を使って部屋の前に先回り、彼女が鍵を開け、ドアが開いた瞬間に突然背後から室内に強引に押し入れるという手口もあり、エントランスを入る時、エレベーターに乗る時、鍵を開ける時には周囲に人がいないかどうかを確認する必要があります」。オートロックが付いているからと、自室の鍵を施錠しないままに出かけて空き巣にあう例などもあり、設備頼りは逆に危険だ。

間違った使い方をされることが多いのがドアチェーン。夏など風を通そうとドアチェーンをつっかい棒代わりにして、ドアを少し開けたままにする人がいるが、その状態では外から容易にドアチェーンを外すことができ、侵入される危険が高くなる。ドアチェーンはドアを開けずに来訪者に応対する時だけのためのものと考えよう。

過去にはドアスコープから室内が覗かれ続けた事件もあったという。「ドアスコープの外側の金具は外し、そこから覗いていたんです。外されていたら気付くのではないかと思われますが、小さなものですし、全く気付かなかったとか」。そのケースでは近所の人から、男がドアの前に張り付いて室内を覗いているという連絡があって発覚したそうで「実際、私も覗いてみましたが、びっくりするほど室内が丸見えになっていました」。覗き以外でも、空き巣が室内を確認のために外し、その後、その穴から特殊器具を差し込んでドアを開ける手口もあり、小さい穴だからと馬鹿にしてはいけない。ベストは内側に覗き防止用のカバーが付けられた物件を選ぶ、玄関から室内が丸見えにならない間取りを選ぶこと。後付けできるカバーも売られている。

鍵は交換されていることを確認、費用を負担しても、男と鍵は同時に変える

こうしたぎざぎざのある鍵で、鍵穴が縦という場合、ピッキングされやすい旧式の鍵である可能性が高いので注意したいこうしたぎざぎざのある鍵で、鍵穴が縦という場合、ピッキングされやすい旧式の鍵である可能性が高いので注意したい

良心的な大家さんであれば、大家負担で鍵交換をしてくれるケースもないではないが、一般的には入居者側が何かしらの負担を要することが多い。だが、その負担の有無が危険回避に繋がる。夜中に人の気配を感じて目を覚ましたら、前の入居者の彼氏が合鍵で侵入、ベッドの脇に立っていたという怖い話を聞いたことがあるが、「元彼が合鍵で入ってきたというケースは少なからず聞く」。全く見も知らぬ人がストーカーになる例もあるものの、多いのは元々何かしらの繋がりのあった人が付きまとい行為に出るケース。いささか下品な言い方だが、入居時以外でも、男を変えたら鍵も変えよう。多少費用がかかっても、安全を選択したいものだ。

鍵はダブルロックの、ディンプルキー利用が理想だが、それが無理でも選択できるならディンプルキーを。ダブルロックにするのが難しいとしたら、後付けできて傷をつけられない補助錠利用を考えてみよう。また、郵便受けに鍵を入れるのは前述したようにとても危険。郵便受けの天井にガムテープなどで貼り付ける人もいるが、これも当然ダメ。失くす危険があるなら、タクシーでワンメーターくらいで行ける距離に住む友人、親戚などに預けておくなどの手を考えたい。時々、財布ごと鍵を紛失してしまい、身分が証明できないというケースもあり、そうなると鍵屋さんを呼んでも開けてもらえないので注意したい。

ちなみに鍵を失くした場合、鍵屋さんを呼んで開けてもらうとなると一般的な鍵で2~3万円、特殊キーだと5万円以上になることもある。ドリルで鍵を壊して入る事態になると、ドアの交換も必要になり、さらに高額だ。電子錠メーカーの中には24時間のコールセンターを作っており、出張費だけで開けてくれるケースもあるが、そんな会社ばかりではない。そもそも鍵は大家さんからの大事な預かりもの。紛失しないようにするのが基本だ。また、なかなか開けられない、あるいは夜間でスペアキーを容易に持ち出せないようになっている状態に文句を言う人もいるが、セキュリティを求めるなら、簡単に開けられない鍵はありがたいもののはず。安全な場所に住んでいると解すべきだろう。

マンション8階で覗き被害、盲点は意外な場所にあった

空き巣被害が意外に多いのが最上階、最上階から1階下など。覗きも含め、悪いことをしようと思う人はどんな場所にもやってくると思っておこう空き巣被害が意外に多いのが最上階、最上階から1階下など。覗きも含め、悪いことをしようと思う人はどんな場所にもやってくると思っておこう

犯罪を意識してか、1階を敬遠する女性が多いが、だからといって高い階なら安心というわけでもない。「ある日、目黒区の通り沿い、マンションの8階にひとり暮らしをする女性から刑事のような人相の男が2人訪ねてきて、何回もしつこくインターホンを押しているので怖いという連絡が。その直後、今度は警察からも電話があり、その女性の部屋を覗いている男性の身柄を確保したので、その女性に話を聞きに行きたいのだが、開けてもらえないとのことでした。

通り沿いで目の前には建物などない物件です。それなのにどこから覗かれていたのだろうと聞いてみると、なんと犯人は隣の部屋に住む男性。隣室のメガネ女子が気になり、つい出来心でバルコニーから身を乗り出して覗いてみたところ、彼女は8階だからと安心していたのかカーテンをきちんと閉めておらず、ちょうどベットのあたりがよく見える。しかも、目の悪い彼女は部屋ではメガネを外していたようで、気付く様子もなかったとか。建物自体が雁行型(部屋が少しずつ斜めにずれて配されたもの)だったため、ちょうど見えてしまったのでしょう。

気づかれないことを良いことに次第に大胆になった彼は身体を半分バルコニーから乗り出すようにして覗くようになり、それをたまたま向かいにあったコンビニに来た客が見上げて発見、警察に通報したというのが事の顛末でした。その後、すぐに彼は退去、事件は解決しましたが、覗きたい人は転落の危険を冒してまで覗くわけですし、遠くからでも望遠鏡などを使えば思いもよらぬ場所から見られている可能性も。下見時にバルコニー正面だけでなく、上下左右もチェックすることに加え、必ずカーテンは閉めるようにしてください」。覗き見られているだけなら、気持ちは悪いものの実害はないが、それがエスカレート、ストーカー行為に発展しないという保証はない。用心しよう。

絶対安全と言い切れるような場所などないのが今の日本。安全な住まいを求めるなら、住まいの設備に頼るだけでなく、自分の暮らし方で安全を確保していくことも考えるようにしたいものである。


2014年 03月17日 09時55分