あの頃の賑わいを目標に取り組む、空き店舗活用事業!

神戸元町6丁目商店街にある「TuKuRu」神戸元町6丁目商店街にある「TuKuRu」

神戸市中央区に、約140年の歴史をもつ神戸元町商店街がある。JR・阪神電車「元町」駅から徒歩3分の場所にある、このアーケード商店街は、1丁目〜2丁目の1番街、3丁目商店街〜6丁目商店街までを有し、東西約1.2kmにわたり各店舗が軒を連ねている。昭和初期までは、銀座の銀ブラ、心斎橋の心ブラに対して元ブラと言われ、ハイカラな商店街として賑わっていた。その当時の賑わいを少しでも復活させようと、「神戸元町6丁目商店街」が、街の活性化に向けた活動を始めたという。
どのような取り組みなのか気になるところだ。

今回、取材に訪れたのは、神戸元町6丁目商店街の一角、クリエイターの手作り商品が並ぶ『TuKuRu』という店舗だ。取材に応じてくれたのは、『TuKuRu』を管理運営している
NPO法人ソーシェア・理事長の東村奈保さん。

商店街の活性化と東村さんが管理運営する店舗、どういった繋がりがあるのか。
まずは、そこから私の質問が始まる。

クリエイターが集う商店街だから出来ること

クリエイターの手作り商品が並ぶ「TuKuRu」の店内クリエイターの手作り商品が並ぶ「TuKuRu」の店内

『TuKuRu』は、神戸市が推進する「地域商業活性支援事業」を受け、神戸元町6丁目商店街振興組合が計画する「空き店舗活用事業」の一環として採択された事業。「この事業を通じて、物作りに情熱を注ぐクリエーターたちを支援し、活動の場を提供するのが目的なんです」と東村さんは語る。

なぜ、クリエイターなのかと、問いかけてみた。「もともと、この商店街の店舗は、革製品や手織物といった作家さんや、手作り商品を販売しているお店が多いんです。また、2012年から春と秋の年2回、この商店街で催し物があるんです。神戸ワインをはじめとする地域特産品が味わえる『ワインアベニュー』と、アクセサリー、木工、雑貨といったハンドメイド商品を手掛けるクリエイターさんたちのマーケットとなる『神戸クラフツアーケード』。とても盛況で多くの人に来ていただいています。こうした事からも“クリエイター”が神戸元町6丁目商店街を活性化に導くポイントだと思いました」

こういった特長を活かし、本気でクリエイターを目指す人々をサポートする拠点として、商店街の空き店舗を活用しようと考えたのだという。現在、「TuKuRu」に在籍しているクリエイターは約25名。帆布を使ったカバンやアクセサリー、ワイシャツといった洋服、絵画、カフスボタンなど、見るだけでも楽しくなる個性豊かな手作り商品が、店内にずらりと並んでいる。

DIYを活用した店舗づくりで、商店街と人々をつなぐ!

DIYで店舗の床を貼り、ペイントする参加者DIYで店舗の床を貼り、ペイントする参加者

『TuKuRu』ができるまでに、店舗のことを認知してもらいつつ、みんなに親しみを持ってもらうためにおこなったことがあると、東村さんは言う。

それは、壁の漆喰や棚づくり、床貼りといった、店舗の内装をDIYで行ったことだ。その時は丁度、商店街が秋に実施した『ワインアベニュー』の日だったこともあり、知り合いや商店街の組合の方はもちろん、通りがかった商店街をゆく人々に声をかけ、みんなで一緒にDIY作業をしたのだという。3日間で延べ50人が参加したそうだ。「そのとき丁度、市長さんが通りがかり、ぜひ!と声を掛けて、ここの壁を塗ってもらいました」と満面の笑みで語る。「オープン後も、そのときにDIYを手伝ってくれた方が、『どんなお店になったのか気になって見に来ました』と言って、来店してくれたんです。本当に嬉しかったですね」と、その時のことを思い出しながら嬉しそうだ。

「今度は、中庭を整備してみんなで使えるテラスにしようと思っています。そこに、テーブルやイスを置いて、仕事や読書をしたりできるように。もちろん、また周囲に声をかけて、DIYで庭造りをするつもりです」そして「2階も、時間制で料金をいただくコワーキングスペースにしようと考えています。そうすることで、人の出入りも増えますし、クリエイターの方々はもちろん、それ以外の方も使用できるようにするので、違うジャンル間での交流も生まれます。
この『TuKuRu』があることで、商店街に足を運んでくれる方が増えるといいなと思います」と未来に思いを馳せながら力強く話す。

活性化を軌道に乗せる、つながりの連鎖

NPO法人ソーシェア・理事長の東村奈保さんNPO法人ソーシェア・理事長の東村奈保さん

「この棚も、大阪工業大学と神戸芸術工科大学の学生が、自分たちで造ってくれたんです。港町・神戸をイメージして港にあるパレットを使っているんですよ」と東村さんは、店内の陳列棚を大切そうに眺める。その大学生たちは、なんと『TuKuRu』の噂を聞き、陳列棚の提案をしにわざわざ、来店してくれたという。

この「空き店舗活用事業」は、商店街振興組合の他に、マーケティングや商品の流通を心得ている神戸流通科学大学とDIYを企画したFELISSIMO、そしてNPO法人ソーシェアの協力体制で活動をおこなっている。大阪工業大学と神戸芸術工科大学の学生も、神戸流通科学大学から話しを聞きやってきたという。つながりが新たなつながりを生み、どうすればクリエーターの手作り商品が売れるのか、どうすれば人が集まり、認知されていくのか、といったアイデアや提案、企画などを生み出す協力体制や環境が整いつつあるという。

神戸市が推進する「地域商業活性支援事業」の期間は、3年。当然ながら3年後には、補助金の支給は終了する。家賃はもちろん、電気、水道といった光熱費やその他諸費用の捻出が必要となる。その期限まで、あと2年、それまでに、この『TuKuRu』を軌道に乗せなければならないのだ。
東村さんは「他の地域でも、活性化事業をされていますが、期間(補助金)が終了しても存続しているものは少ないんです」と厳しい顔つきで語る。同じ轍を踏まないために、店内でのコーヒー喫茶、コワーキングスペース、クリエイターの実演販売など、人々をお店や商店街に呼び込むための構想が、次々と練られている。
この取り組みが、どのように展開していくのか今後が楽しみだ。

取材協力:TuKuRu
https://www.facebook.com/TuKuRu.motoroku
取材協力:NPO法人ソーシェア
http://www.soshare.jp/

2015年 05月08日 11時06分