周囲に倒壊しやすく、燃えやすい建物がないかをチェック

空き家はもちろん、高齢者が住んでいる住宅も修繕などに手が回らず、危険な状態になっているケースがある空き家はもちろん、高齢者が住んでいる住宅も修繕などに手が回らず、危険な状態になっているケースがある

下見時には、我が家を含む区画内はもちろん、影響を受けそうな範囲に倒壊しやすく、燃えやすい住宅がないかを歩いて確認してみよう。空き家はもちろん、明らかに古い木造住宅、アパートは目視で分かるし、マンションなどであればエントランス周辺あるいは建物の南東部に竣工年月日等を彫り込んだ定礎板がはめ込まれていることがあるので、それで確認できる。目安となるのは新耐震基準が施行された1981年(昭和56年)。ただし、規模の大きいマンションでは建設に時間がかかるため、プラス1年、2年まではグレーゾーンという可能性もある。

築年の手がかりがない建物については建物・物件のデータベース「HOME'S不動産アーカイブ」が役に立つ。これは過去に取引のあった建物、物件の情報が地図上に掲出されるもので、たとえば、近所にある古そうな建物がいつ建築されたかが調べられるようになっているのである。もちろん、全ての建物の情報がカバーされているわけではないが、逆にデータがないものについては非常に古い可能性が推察できる。

周囲の住宅をチェックする際には敷地内、バルコニーなどにゴミその他が放置されていないかも見ておこう。他人の家がどう使われていようが、隣人に口を挟む権利はないが、住宅周辺が荒れている家は家自体もきちんと手入れされていないケースがある。それほど古くなくても倒壊しやすい、あるいは火を出しやすい可能性もあると考えられる。また、住宅周辺にモノが放置されている家は放火される危険もある。延焼を考えると、そうした家のご近所さんになるのは避けたほうが無難である。

道幅4mでは建物倒壊で塞がれ、避難できなくなる可能性が

路地の奥にあるなど、接道条件が悪い住宅は価格、家賃ともに安くはなるが、その分、リスクがあることも知っておこう路地の奥にあるなど、接道条件が悪い住宅は価格、家賃ともに安くはなるが、その分、リスクがあることも知っておこう

建物周囲の道幅にも注意が必要。現行法では幅員4mの道路に2m接していれば家は建てられるが、もし、高さ7~8mある2階建て住宅が倒壊すると4m道路は塞がれてしまい、逃げられなくなる。実際、阪神・淡路大震災では建物倒壊による道路閉塞があちこちで起こり、消防・救助活動に遅れが出た。前面道路の道幅はできれば6m以上、理想を言えばもっと広い場所を選びたいところだ。

放置自転車や自動販売機、違法駐車なども災害時には危険物になる。自転車、自販機は倒れて道を塞ぐ可能性があるし、車は燃えやすく、延焼を誘発しかねない。住まいの周辺を歩く時には倒壊する、落下する可能性があるものがないかを考え、頭上も意識しよう。

2方向に逃げられるかどうかも注意したいポイント。1方向にしか避難経路がない場合には火に襲われたら、逃げようがなくなる。特に、一戸建てでいわゆる旗竿地の場合は周囲の家が耐火構造かどうか、燃えにくい工夫があるかを見ておくこと。マンションの場合も、メインエントランスだけではなく、他に敷地内から出る経路があるか、それぞれの出入り口が面している道路の幅は避難しやすいかなども見ておこう。

避難経路との間の道が寸断される、通れなくなる可能性がないか

どこの避難所があるかについては都道府県、各自治体のホームページのほか、地域の掲示板、地図などにも記載されているどこの避難所があるかについては都道府県、各自治体のホームページのほか、地域の掲示板、地図などにも記載されている

我が家と最寄りの避難所との経路も確認しておきたい点。避難所には大きく分けて2種類あり、ひとつは小中学校や自治体の設備などを利用した一時的な避難所。被災時に仮の宿泊所ともなるもので、すぐに逃げ込めるように、徒歩10分圏程度を目安に指定されている。もうひとつは、火災が広い範囲に及び、最悪の事態になった場合に熱や煙、有毒ガス、浸水などから生命の安全を確保するための、広くて延焼の危険のない、広域避難所。東京都の場合には200カ所ほど指定されているが、大きな公園などを利用するため、場所によっては避難所までかなり時間がかかる可能性がある。

そのため、現地下見時にチェックできるのは一時避難所ということになるはず。実際に歩いてみて、途中に橋や崖、倒壊の危険のある古いブロック塀など、通行の障害になるものがないかを確認してみよう。広域避難所が近くにある場合には足を伸ばしてみても良いが、それほどの時間がない場合には地図で確認。後日、一度は歩いてみよう。

避難所では敷地の広さ、周辺からの延焼の可能性、設備などを確認しておこう。建物が古いようであれば、耐震補強されているかどうかを聞いてみること。小中学校を始め、公共施設の耐震化が進んでいない自治体もある。

緑の豊富な街、コミュニティがある街は災害に強い

樹木は火災に強いだけでなく、夏の暑気を和らげる効果もあり、住宅周りに取り入れない手はない樹木は火災に強いだけでなく、夏の暑気を和らげる効果もあり、住宅周りに取り入れない手はない

意外に思うかもしれないが、緑の多い街は災害に強い。阪神・淡路大震災時には植栽が倒壊しそうな建物を支えた例や、公園の緑が延焼を防いだ例がいくつも報告されており、特に火災に対しては効果を発揮する。住宅の周囲に置かれた鉢植えも、きちんと水遣りされている場合には、水を含んだ土が消火の役に立つという。下見時には住宅周辺の緑の状況にも気をつけたいところだ。特に時代を経た巨木などがある場所は地盤的にも安心できる。

もうひとつ、意識したいのはその街にご近所付き合いがあるかどうか。阪神・淡路大震災では倒壊した建物に閉じ込められたり、生き埋めになった人の大半は隣人の通報で救助されている。また、避難所では1人が畳1枚程度のスペースで何日かを過ごさなくてはいけないこともありえ、その時に回り中が全く知らない人であった場合のストレスはいかばかりか。そうしたことを考えると、コミュニティがある街のほうが災害時に救助される確率は高く、安全。下見時には道行く人や商店街などでの地元の人の会話に耳を傾け、雰囲気をチェックしてみよう。

もちろん、コミュニティはあるだけではダメで、自分もそこに加わり、街づくりに協力するという気持ちが必要。ご近所づきあいなど面倒という人もいるが、災害時のことを考えると、ご近所づきあいはある種のリスクマネジメントである。他人のためというより、自分のためと考えて協力すべきだろう。

2013年 12月09日 10時26分