侵入窃盗犯罪の半数以上は住宅系

大切な財産を失うと同時に、「他人が無断で自宅に入ってきた」という精神的なショックも大きい侵入窃盗犯罪。実はこの手の犯罪は年々減少傾向だ。

警察庁のデータによると、2014年の全国での認知件数は、9万3,566件で前年比12.8%減。12年連続で減っている。その理由は、防犯設備の進化のほか、人々のなかに防犯意識が根づいたことも大きいはず。ひと昔前までは、カギをかけずに買い物に行ったり、窓を開けっ放しで寝てしまったりすることは当たり前だった。ところが昨今そんなことをする人は珍しいだろう。

とはいえ、毎年9万件以上の侵入窃盗犯罪が起こっているのも事実。しかも、その56.1%が一戸建て、マンションなどの住宅系だ。罪を犯す者は、常に新しい手口を考えている。私たちとしては、その先を行く防犯対策を講じなければならない。そこで警視庁が公表する「防犯環境設計による防犯対策」を参考に、最新の防犯方法を考えてみよう。

侵入窃盗の発生場所の56.1%は一戸建てやマンションなど。住宅系の建物は狙われやすいといえる(出典:警察庁「住まいる防犯110番」)侵入窃盗の発生場所の56.1%は一戸建てやマンションなど。住宅系の建物は狙われやすいといえる(出典:警察庁「住まいる防犯110番」)

防犯性の高い建物部品や塀などで侵入を防ぐ

「防犯環境設計」とは、犯罪が発生しにくい環境にするために、建物などのハード面と人が行う活動といったソフト面の両面を整備することだ。これには、直接的に侵入を防ぐ「対象物の強化」と「接近の制御」、間接的に侵入を防ぐ「監視性の確保」と「領域性の確保」がある。一つずつ説明しよう。

●対象物の強化
対象物の強化とは、ピッキングしにくいカギや割られづらい窓ガラスなど防犯性に優れた住宅設備で物理的に侵入を防ぐこと。具体的には次のような設備がある。

・ディンプルキー
キーの表面に深さや大きさの異なる凹みをつけてある鍵。凹み配列の組み合わせが1000億通り以上と多いため、ピッキングしにくいといわれている。たとえプロの鍵屋でも開錠は非常に難しい。

・防犯フィルム
窓ガラスの室内側に貼るフィルム。ガラスが割れてもフィルム自体の強度で侵入を防止する。貼り方が難しく製品によって性能差もあるので、専門会社に施工を依頼するのがベター。

・CPマーク付きの住宅設備
CPマークとは、様々な侵入手段に対して5分間以上防御することができるかの試験にクリアしたものだけに付けられるマーク。これは警察庁による侵入犯に対する調査で、侵入に5分以上かかると大多数が諦めるという結果に基づいている。具体的な設備としては玄関ドア、ガラス、サッシ、錠、シャッター、面格子、防犯フィルムなどがある。

●接近の制御
接近の制御とは、敷地や建物内へ容易に人が入れないようにすること。具体的には次のような方法がある。

・境界への塀・柵の設置
敷地の境界線を明確にすると同時に、塀や柵によって物理的に侵入を阻止する。

・出入りする人の制限
オートロックシステムなどで建物に出入りする人を制限する。

・足場になるような物の除去
窓のまわりに脚立や植木鉢など足場になるようなものは置かない。これらを踏み台にして窓から侵入される可能性がある。

CPマーク。「防犯」を意味するCrime Prevention の頭文字を取ったもの。様々な侵入攻撃に対して5分間以上防御することができるかの試験をクリアした建物部品のみ掲示できるマークCPマーク。「防犯」を意味するCrime Prevention の頭文字を取ったもの。様々な侵入攻撃に対して5分間以上防御することができるかの試験をクリアした建物部品のみ掲示できるマーク

もっとも効果的なのは「地域の目」。心理的な障壁で侵入を防ぐ

●監視性の確保
監視性の確保とは、外から敷地内の見通しをよくすることなどで、建物の周囲が人の目に入りやすい環境をつくり、侵入を防止すること。具体的には次のような方法がある。

・外からの見通しの確保
低い塀や植栽などによって境界線を明確にしつつ、外からの見通しを確保する。

・照明の整備
夜間の人の出入りを感知するセンサー付きライトの設置。

・防犯カメラの設置
防犯カメラは、記録された映像が犯人限定の証拠になるだけでなく、設置そのものが侵入への抑止力となる。

●領域性の確保
領域性の確保とは、住民同士の交流や活動を通じて、地域全体で建物に侵入しにくい雰囲気を形成すること。具体的には次のような方法がある。

・地域で「侵入は許さない」という意志を明示
ポスターや定期的な見回りなどによって、地域全体で侵入を見張っているという意志をアピールする。

・コミュニティ活動の促進
日頃からご近所同士のあいさつや声掛けを積極的に行い、団結した明るい地域づくりを促進する。

・帰属意識の醸成
自分たちの住む街を愛し、見知らぬ人には積極的に声を掛けることなどで、一人ひとりが「地域の目」となって犯罪の起きにくい街をつくっていく。

警視庁が浸入窃盗経験者を対象に行った調査によると、犯行をあきらめた理由のトップは「近所の人に声をかけられたり、ジロジロ見られたりしたから」だった。防犯に「地域の目」は非常に有効だ。「遠くの親戚よりも近くの他人」ということわざもある。ここで再度ご近所とのコミュニケーションを見直してはいかがだろうか。

侵入窃盗にもっとも効果的なのは「地域の目」。地域ならではのポスターやのぼりで防犯への取り組みをアピールしたい侵入窃盗にもっとも効果的なのは「地域の目」。地域ならではのポスターやのぼりで防犯への取り組みをアピールしたい

2015年 11月07日 11時00分