対策が急務となっている賃貸物件の空室増加

現代の日本は人口減の時代に突入し空き家が増加している。2008年の総務省統計局の調査によると、全国の空き家は757万戸あり、治安や景観の悪化、老朽化による倒壊などが問題となっている。
賃貸物件も例外ではない。人口が集中する関東でも20%前後、また首都東京都であっても14.5%が空室になっており、今後も増加傾向が続くと予想されている。
これらの建物は個人の持ち物でありながら、社会的に有用な資産でもある。そのため以前から官民を交えて有効な活用方法が検討されていた。

人口が集中する関東であっても空室率は多くの自治体が20%を超えている(出典:HOME'S不動産投資)人口が集中する関東であっても空室率は多くの自治体が20%を超えている(出典:HOME'S不動産投資)

旅行者が賃貸物件の空室に泊まれる宿泊予約サービスが開始

このような状況を背景に、とまれる株式会社では宿泊予約サービス「TOMARERU ~日常を旅しよう!~」の開始に向けて準備中だ。
https://tomareru.jp/

同サービスは国家戦略特別区域法の旅館業法の適用除外を活用し、サイト上で旅行者と賃貸物件の空室を提供するオーナーのマッチングを行う。
同法の狙いは日本を観光立国にすることだ。政府は2013年現在1036万人の外国人観光客を、2020年に2000万人、2030年には3000万人に増やすという目標を掲げている。特に2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックは外国人観光客を招致するビッグチャンスとなる。

一般的に旅行者はホテルなどの宿泊施設に滞在する。しかし、オリンピック開催の一時期のためだけにホテルを建設していては、その後の経営に行き詰ることは明白。それゆえ開催時は宿泊施設が不足するという問題が生じるはずだ。

宿泊施設には旅館業法が適用され、フロントを設置しなければならないなどの制約がある。そこで政府は、国家戦略特別区域内において旅館業法の適用を除外することにした。特別区域内では、7泊から10泊以上の連泊(自治体によって異なる)、一居室の床面積が25m2以上、キッチン・バス・トイレがある、寝具・調理器具がある、などの一定の条件をクリアすることで賃貸物件の空室を旅行者に提供することができる。もちろん外国人だけでなく、日本人でも利用可能だ。
なお、同サイトを運営するとまれるでは、物件オーナーに対して旅館業法適用除外の条件となる家具、寝具、調理器具などのレンタルといったサポートも行う。

国家戦略特別区域は以下の自治体だ(2014年7月現在)。
・東京都9区(千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、江東区、品川区、大田区、渋谷区)
・千葉県成田市
・神奈川県
・京都府
・大阪府
・兵庫県

「TOMARERU ~日常を旅しよう!~」トップ画面。サイトは公開中だが本格稼働は年内中を予定(資料提供:とまれる)「TOMARERU ~日常を旅しよう!~」トップ画面。サイトは公開中だが本格稼働は年内中を予定(資料提供:とまれる)

長期滞在したい旅行者と空室を埋めたい物件オーナーがWIN-WINの関係になる

同サービスの利用には次のようなメリットがある。

1.旅行者としては満室になりがちなエリアの宿泊施設を確保でき、賃貸物件のオーナーとしては空室を埋めることができる。まさにWIN-WINとなる。

2.稼働率の高いホテルの場合は連泊することができない場合がある。その際は重い荷物を持って何度も移動しなければならない。そのため、たとえホテルを確保できる旅行者であっても、同じ部屋に連泊可能な賃貸物件を利用できるという選択肢が増えるのは魅力。

3.宿泊料金は各賃貸物件のオーナーが決めることになる。しかし、平均的な家賃を日割り計算すると宿泊費はホテルの5分の1から8分の1(1m2当たり)といったところ。この数字から比較的安価な宿泊費が予想できる。

4.賃貸物件ということは、そこで生活すること、つまり住むことが前提だ。そのためキッチンが完備され、部屋もホテルに比べれば広々しているケースが多い。長期滞在には向いている。

もしかしたら普段なかなか泊まれない豪華物件が利用可能に

このほかにも期待したいのは、どのような賃貸物件を選べるかだ。宿泊可能な賃貸物件は、アパート、マンション、一戸建てなど種別を問わない。もしかしたら古都の大豪邸やウォーターフロントの高層マンションの最上階だってあり得る。

同サービスは、前述のように7日以上の連泊が可能であれば、国籍を問わず誰でも利用可能だ。サラリーマンの長期出張や自宅リフォーム時の仮住まいにも便利だろう。
サイトはすでに開設されているものの、実質的なサービスの開始は年内中を予定。どのような物件が出てくるか楽しみだ。

2014年 07月28日 13時26分