取材時に感じる、湾岸エリアへの好き嫌い

湾岸エリアのマンション購入に好き嫌いが分かれるということは、湾岸エリアをどう見ているかによる湾岸エリアのマンション購入に好き嫌いが分かれるということは、湾岸エリアをどう見ているかによる

筆者はほぼ毎日マスコミや不動産関係者から寄せられる取材・ヒアリングの応対をしているが、先日、ふとしたことがきっかけで湾岸エリアでのマンションを購入について取材する立場の人間の好き嫌いが結構はっきりと分かれることに気付いた。
以来、取材者に“逆取材”することにしている。

ふとしたきっかけとは、
①取材者が“オリンピック効果”で東京湾岸エリアのタワーマンションが供給過剰になり、実際にそんなに売れるのかと考えていてインタビューを試みるケース(かなり多い)
②都心に近くて安全性も担保されている最新のマンションが坪240万円程度で購入できる注目エリアだから取材者自身も購入を検討する前提でインタビューに来るケース(次いで多い)
の2つに大別できることに気付いたことによる。

取材に来る人も人間だから、当然のごとく好き嫌いはあるだろうが、例えば都心のマンションの売れ行きや今後の動向、資産価値を重視する不動産の購入法などについて取材を受ける場合に、そういった“好き嫌い”という感情的な発露を窺うことはほぼ皆無である。
それに対して湾岸エリアのタワーマンションの件になると、こんなにたくさん作って大丈夫ですかね?的スタンスを明確にする取材者もいるし、湾岸エリアの将来性は~少なくとも東京オリンピックまでは~明るいですよね?的スタンスで質問を投げかけてくる取材者もいて、かなりの確率でニュートラルな立ち位置での取材ではないことになる。

これは都心に隣接した湾岸エリアを新たな住宅地として見るか、これまで通り埋立地として見るかという視点の違いに関係しているように感じられる。

「理系」vs.「文系」的、立地・物件の見方

立地・物件の「文系」的な見方、「理系」的な見方立地・物件の「文系」的な見方、「理系」的な見方

しかも、この「新たな住宅地」vs.「湾岸の埋立地」というオルタナティブな見方は、詰まるところ「理系」vs.「文系」の見方に収斂しているような感覚があり、目下のところ筆者の重要な関心の対象となっている。

マンション購入とは、立地を選択するプロセスに他ならないので、立地を選択するのに購入予定者の好き嫌いや判断基準が当然のことながら明確に反映される。その判断基準に、理系的および文系的なものの見方が大きく影響していると推測しているからである(もちろん経験則的な知見を勝手に醸成しているだけなので、血液型占いのようなものと考えていただいて結構である)。

言葉を換えれば、理系的な立地・物件の見方とは、合理性を重視・優先する見方である。
具体的には“都心に直線距離で3~4㎞程度とアクセスも良く、その割に一般的な給与所得者でも手が届く価格帯で分譲されており、物件は概ね大規模なタワーマンションで付帯設備や仕様もメリットを生かして十分居住快適性を得られる水準にあるし、パーティルームやゲストの宿泊施設、図書館やラウンジなどのコミュニティスペースも備えていて日常の生活の満足度は相応に高い。地震や台風などの自然災害についても非常用の発電機や災害発生時の防災用品備蓄倉庫などが用意されていて安心感も高いし、何より制震装置や免震装置が設置されているので、安全性にも信頼が置けそうだ。そんな物件を埋立地だからという理由だけで購入対象から外すなんて考えられない”という考え方である(長文ご容赦願いたい)。

対して文系的な立地・物件の見方とは、経済合理性を考慮しつつも伝統的な居住文化に基づく生活圏を重視し、居住エリアを選択する考え方といえば良いだろうか。
つまり“もともと人が生活してきた地域とは、以前から人が生活に適した地域を選択してきた歴史そのものであるから、首都圏で言えば武蔵野台地などの安定した地盤に立地していることが基本条件で、その中から好みや予算から徐々に絞り込んで、街としての将来性や現在の発展状況、生活利便施設の有無や教育水準、地域性やコミュニティなど、生活する上で重要なネットワークがどのように構築されていて、自分や家族がそれにどのように関わりを持てるかを考えたほうが良い買い物ができる可能性が高い。これまで住宅地ではなかった湾岸エリアは居住地域としては対象にしにくいし、タワーマンションも維持・管理を考えると手間も知識も必要だろうが、そこに労力をかけるのであれば従来の居住スタイルのほうが合理的ではないか”という考え方である。

合理的な判断が、将来の満足度を高める

ここまで端的ではなくとも、エリアを選択するにあたっての考え方は、この間にあってどちらかに近いのではないかと思われる。
もちろん、理系だが以前から家族が居住する人気住宅地にマンションを購入したという方もいらっしゃるだろうし、文系だがモデルルームを見に行って気に入ったので、湾岸のタワーマンションを購入したという方も多数いらっしゃるとは思うが、要は経済合理性をどこまで優先して物件を選択したかということに尽きるのではないかと思う。それが「理系」vs.「文系」という言葉に集約されている気がしてならない。

どちらが良いということではなく、物件を選択するにあたって「何を」重視するのかという判断基準、およびその優先順位付け(基準は一つではない筈)を自分の中で定めておくことは、物件選択の要諦となるものだと思っている。予算や間取りだけが物件選択の基準ではない。
“欲しいと思ったから買う”のではなく、物件購入の根拠はどこにあるのか。将来を見通す目=今後の生活をイメージする力を持つことを、選定根拠を掘り下げることで得られれば、購入満足度は自ずと高まるのではないだろうか。

2013年 12月25日 15時34分