新築マンションでも自由に作れる家とは

自ら住む家を、より快適で心地よく暮らせる場所にできるかというのはとても重要な点である。昨今住まいを選ぶにあたり、中古住宅を「リノベーション」「DIY」するという選択肢はずいぶん浸透してきたように思う。
新築でも注文住宅であれば、自分好みのカスタマイズが可能である。しかし、一般的な集合住宅では間取りや部屋の仕様まで細かくこだわることは難しく、物足りなさを感じざるを得ない。
新築マンションを選択しながらも自由な住まいを手に入れることはできないのだろうか。そんな夢を叶えてくれるのが「コーポラティブハウス」。新築マンションでありながら、自分好みの間取りや仕様を多く取り込むことができる。集合住宅にも関わらず「自由」なのが特徴である。

それは一体どのような仕組みであるのか。今回はコーポラティブハウスを提供する株式会社コプラスにご協力いただき、竣工した物件を見学させていただいた。実際の物件を見つつ、コーポラティブハウスについては既にHOME'S PRESSでも何回か取り上げているが、改めて進め方やメリット・デメリットについてまとめてみた。

こんなに違う!?居住者好みに完成した住戸を拝見

自分好みの間取りや仕様をつくることができる自分好みの間取りや仕様をつくることができる

今回取材させていただいたのは、同じ建物内で部屋の向きも同じだが、フロア階数は違うという住戸。
今回見学させて頂いた物件で、部屋に入りいきなり驚いた。なんと玄関の位置がそれぞれの住戸ごとに異なっていた。さすがコーポラティブハウス、と感心する。キッチンの位置や向き、玄関スペースやリビングスペースの間取りを自由に決め、趣味のプロジェクターを設置したり、バスルームや洗面、トイレに窓を設けたりすることも可能だという。入居されている方にお話を伺うと、どの家も個性的でこだわりポイントが多く話が尽きることはなかった。

たくさんあるこだわりのポイントだが、特に女性たちのこだわりが強いのは「収納」と「キッチン」のようで、ここだけは外せないようだ。
お話を伺う中で、注目したのは次の2点である。

①収納へのこだわり
玄関、寝室、洗面、キッチンなど様々な場所に工夫を凝らしている。
例えば、キッチンのカップボードはすべて壁と同色の引き戸で覆い、必要な時に開けて使用する。家具類は新たに購入せずに、作り付けの棚に収納されている。また、生活に必須な布団を収納する場所が欲しいという要望には、ウォークインクローゼットの奥行を確保し、また押入れにあるような中段の板も取り付けて、使い勝手を考慮した収納スペースに。他には洗面所も上から下、横に渡って無駄なく収納スペースを確保し、かさばる生活備品を十分収納できるスペースを確保している。
見せる収納や隠す収納をうまく設計してもらうことで、新たな収納箱など自分で買い足す必要がなくなる。設計時には荷物の量を確認してもらい、収納に反映させたのもポイントのようだ。引越しを前にして多くの物を整理し、実際に必要なものだけを残すという方針を心がけたい。

②将来の家族構成を見据えた間取り
たとえば、「今は子供が小さいから…」「お客様が来たときは…」など、想定できる状況に合わせた間取りを意識したい。間仕切り壁をつける予定の部屋があったり、パーテーションを上から吊って部屋を仕切れるようにしたりと、今だけではなく、近い将来を見据えた間取プランを検討して反映させることもできる。

家を選ぶときに、自分の要望を抑えてしまうのはありがちなことだ。しかし、コーポラティブハウスのように、やりたいことを遠慮なく言えて、相談できて、形にしてもらえるのはとても心強いことである。

コーポラティブハウスの仕組みとは?

コーポラティブハウス完成までの流れコーポラティブハウス完成までの流れ

新築マンションなのに自分好みの間取りや広さ、仕様がカスタマイズできる。コーポラティブハウスではなぜそんなことが可能になるのか。
それは建物が完成するまでの過程が、一般的な分譲マンションとは大きく異なるためである。
大まかな流れは図を参考にしていただくとし、ここではポイントとなる点を追っていこう。

①自由に設計できる理由
まず、コーポラティブハウスに参加したいと思う人たちが集まり、「建設組合」が設立される。「建設組合」は後に「管理組合」となる。コンサルティング会社などのサポートにより、「参加者」が「組合員」となってみんなでマンションを作り上げていくのが特徴だ。
外観のデザインやコンセプトに沿った設計は専門の会社が請け負ってくれるため、より本格的なものが期待できる。
自分たちで管理規約の変更なども可能である。
土地の購入から建築申請なども、通常は分譲マンションのデベロッパーが行うことを建設組合で進めていく。工事途中に現場見学会を設けることもある。

②一般的な新築マンションと比較した価格は?
通常のマンションでは、販売するにあたり「販売促進費」などの中間経費が発生するが、モデルルームの展示やサイト・チラシでの広告など多くがそれにあたる。その費用はおおよそ物件の10~15%と言われおり、とても大きな金額となる。コーポラティブハウスの場合はモデルルームが不要になるなど、販売促進費が大幅に圧縮されている。このため、一般的な新築マンションと比較しても値段は低めに抑えられているようだ。

コーポラティブハウスが不動産ポータルサイトで検索できない理由とは

こんなにも魅力的なコーポラティブハウスだが、目にする機会が少ないのはなぜだろうか?
現在、住まい探しはHOME’Sなどの不動産検索ができるポータルサイトを利用するのが主流となっている。そこに”新築”、”中古”、”マンション”といったキーワードで希望の物件を探し出すのが一般的。しかし、”コーポラティブハウス”と入力しても物件がヒットすることはない。これは不動産広告のルールによるものである。

掲載している新築分譲マンションはすべて建築確認を取得した物件。確認取得前の物件を掲載することはできない。
コーポラティブハウスは住みたいと思う人が集まり、各住戸のプランや仕様を確定させてから「建築確認申請」を行う。そうなると募集時に「建築確認」を取得することはできない。コーポラティブハウスは確認前にも広告はできるが、検索サイトがその仕組みになっていないため、掲載されることはないのである。

では実際、どのように案内されているのだろうか。広告は一部チラシ等でも行われるが、多くはコーポラティブハウスを提供している会社へ会員登録を行い、プロジェクト情報を入手してその機会を待つことになるようだ。

コーポラティブハウスを提供している会社から情報を入手し、機会を待つことになるコーポラティブハウスを提供している会社から情報を入手し、機会を待つことになる

メリットは?デメリットは?

最後にコーポラティブハウスについてのメリット、デメリットについてまとめておこう。

●メリット
1. 自分好みの間取りや仕様をかなえられる(自由設計)
2. 納得のいく取得価格
3. 住まいへの安心感・コミュニティ

なんと言っても自分好みの間取りや仕様を組めるので、自分の生活にあった間取りやものの量に合わせた収納スペース、趣味を存分に生かせる仕様が実現する。価格は組合のいわば共同発注方式のため、販売促進費などの中間経費を削減し、同エリアの新築分譲マンションよりも価格が抑えられる傾向にある。また、先に組合が発足されるため、居住する前から顔あわせができ、誰が住むか知ることができる。工事過程も確認できるので安心感がある。

●デメリット
1. 入居までに時間がかかる、またスケジュールが変動する場合がある
2. 設計等の打ち合わせに時間がかかる
3. 自由設計のため、取得総額が当初の時点で未定
4. 自己資金が必要

プロジェクトが開始され、入居者を集めてからプロジェクトがスタート。その後に設計から始まるため、入居までには1年半程度が必要になる。また自由に設計できる分、設計に時間がかかる点。そして個人のお客様ごとに仕様が異なるゆえに、最初から購入価格が確定できない点。また、スタート時点で自己資金が必要になる点、などデメリットもある。
そこを考慮した上でも、やはりメリットが上回ると感じるユーザーにとっては、とても嬉しい家だろう。

今は「住まい」の選択肢が多様化している。新築か中古か自由設計か…。自分にあった、一番心地よく暮らせる家を楽しみながら選ぶというのも、家探しの醍醐味なのではないだろうか。

取材協力:株式会社コプラス http://www.co-plus.co.jp/

2015年 10月28日 11時06分