光や音の効果でストレスを軽減。オランダ発祥の健康増進法を採用

女性医師のアドバイスを採り入れ、健康に配慮女性医師のアドバイスを採り入れ、健康に配慮

「平常時の免疫力と非常時の回復力を併せ持つ家」をコンセプトとして、株式会社LIXIL研究所が2013年10月に発表した、『レジリエンス住宅CH14』。この住宅では、「平常時の免疫力」を高めるため、健康の維持や病気予防にも力を入れている。
「2009年に発表したコンセプトホーム『CH10』では、遠赤外線やマイナスイオン、調湿素材などを活用。以来、私たちは、住む人の健康に配慮した住宅を提案してきました」と、同社広報宣伝部の千明和彦氏。千明氏によれば、CH14には、4人の女性医師(眼科・皮膚科・小児科・産婦人科)によるアドバイスが随所に反映されているという。

「CH10で初めて採り入れたのが、照明や音のコントロールによる健康増進法です。これは、オランダ発祥のスヌーズレンという手法にヒントを得たもの。重度の知的障害を持った人が、心地よい光や音の刺激に満たされた環境に身を置くと、感情の起伏や凶暴性などが抑えられ、安らぎを感じることがわかっています。今回発表したレジリエンス住宅CH14では、新たにブルーライトの効果に着目。住む人のストレスを軽減し、免疫力を高める家づくりを追求しました」(同社執行役員研究所長、高橋司郎氏)

不眠や眼精疲労の原因となる、ブルーライトを最大85%カット

夜間の照明はブルーライトをカット夜間の照明はブルーライトをカット

同社ではCH14の企画にあたり、健康の基本ともいえる「眠り」に注目。「眠りの質を改善することが健康につながる」という女性医師の提案をもとに、試行錯誤を続けてきた。
「睡眠障害は心身の不調をもたらし、さまざまな病気の原因にもなります。そこで、私たちは、光や音が眠りにもたらす効果に着目。睡眠の妨げとなるブルーライトをコントロールすれば、よい眠りにつなげることができると考えたのです」(高橋氏)

ブルーライトとは、太陽光や液晶画面、蛍光灯、青色LEDなどに含まれる青色光のこと。この光は、生命を活性化させる反面、眼精疲労や睡眠障害の原因にもなるため、寝る前にブルーライトを浴びると不眠につながりやすいといわれる。このため、CH14では、時間帯によって寝室のブルーライトの量を調整。照明計画によって生体リズムを整える工夫を行っている。

「夜は、リラックスして眠りに入れるように、ブルーライトを抑えた電球色のLED照明を使用。眠る1、2時間前から徐々に暗くしていき、自然な眠りに導きます。一方、朝は、ブルーライトを浴びたほうがすっきりと目覚められるので、起床の1時間前から窓のカーテンを少しずつ開け、昼白色の照明を少しずつ明るくしていくわけです」(高橋氏)
他にも、断熱・遮音効果のある内窓インプラスを採用。リラクゼーション効果のあるBGMを室内に流すなど、心地よい眠りに導くための工夫が随所に施されている。

玄関前に手洗いを設置。花粉やウイルスの侵入を水際で食い止める

玄関手前に設置されたクリーンエントランス玄関手前に設置されたクリーンエントランス

さらに、CH14では、独自の「クリーンエントランス」を採用。家の中に花粉やウイルスなどを持ち込まないよう、玄関の手前に手洗いを設けている。また、玄関脇には収納スペースが設けられ、花粉やウイルスが付着したコートを家の中に持ち込まなくてもすむような設計になっている。

「花粉症対策のために大切なことは、家の中に花粉などを入れないこと――クリーンエントランスのアイデアは、そんな女性医師のアドバイスから生まれました。戸外で大量に花粉やウイルスを浴びて帰ってきても、家の中まで持ち込まないようにすれば、安心して暮らすことができる。それがひいては、家族全員の健康を守ることにつながるのです」(高橋氏)。

健康への寄与という点では、調湿システムの存在も見逃せない。
デシカント調湿システムにより、家全体の湿度は1年を通じて50%程度に保たれている。このため、夏場はカビの繁殖を抑え、冬場は乾燥によるウイルスの繁殖や肌荒れを防ぐことができる。また、エアコンへの依存を防ぎ、体への負担を減らすこともできるという。

「冬場には、風呂場と脱衣所の温度差が激しく、ヒートショックを起こす高齢者が後を絶ちません。そこで、CH14では、レジリエンスシステムが家全体の室温を監視。洗面所やトイレなどの温度が、家全体の平均室温よりも5度以上下がると、スマートロボット『リリボ』が、音声で暖房を入れるように呼びかけてくれます。もちろん、設定次第では、必要に応じて自動的に暖房が入るようにすることも可能です」(高橋氏)

真に人間の免疫力を高める家づくりとは。今後も模索は続く

CH14のレジリエンスシステムについて説明する高橋氏CH14のレジリエンスシステムについて説明する高橋氏

CH14の自律システムを導入した住宅は、来春発売の予定。商品化に向けて、着々と準備が進められている。
今や、不眠に悩む人は成人の5分の1、高齢者の3分の1を占めるといわれる。そんななか、最新の人間工学の研究成果を採り入れ、「安眠できる家づくり」を追求した同社の取り組みは評価できる。
一方で、過度にコントロールされた環境が、かえって人間の生来の免疫力を損なう可能性も否定できない。この住宅の発売をきっかけに、住まいと健康の関わりについての研究が、さらに進むことを期待したい。

2013年 11月22日 09時55分