
マンション売却活動を始めるにあたり、事前にハウスクリーニングを行うかどうかは検討事項の1つです。清掃によって室内の印象を向上させることは可能ですが、かかった費用が必ずしも売却価格に反映されるわけではありません。
この記事では、マンション売却時にハウスクリーニングを実施するべきケースと不要なケースを整理し、メリットとデメリットを解説します。
また、費用相場や依頼時の注意点、業者を選ぶときのポイントについても紹介します。
この記事で分かること
- マンション売却時のハウスクリーニングとは?
- マンション売却時にハウスクリーニングは必要?自分でやるべき?
- マンション売却時にハウスクリーニングを行うメリット
- マンション売却時にハウスクリーニングを行うデメリット
- 【項目別】マンション売却時のハウスクリーニング費用相場
- マンション売却時にハウスクリーニングを依頼するときの注意点
- マンション売却時のハウスクリーニング業者を選ぶときのポイント
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もくじ
マンション売却時のハウスクリーニングとは?

マンション売却時に行うことのあるハウスクリーニングとは、専門業者が入居者の生活で蓄積した汚れを掃除するサービスのことです。
通常の掃除とは異なり、キッチンの油汚れや浴室のカビ、エアコン内部のホコリなど、自分では落としきれない汚れまできれいにしてくれます。たとえば、日常的な掃除が表面を整えるレベルだとすれば、ハウスクリーニングは住まいの隅々まで清掃・メンテナンスするイメージです。
購入希望者が内覧に訪れた際、清潔な空間は心理的な安心感を与えるため、売却活動において大きな役割を果たすこともあります。
マンション売却時にハウスクリーニングは必要?自分でやるべき?
マンション売却時のハウスクリーニングは必ずしも必要ではありません。
なぜなら、売却価格に大きく影響する要素は立地や築年数、間取りであり、クリーニングの有無はそれほど直接的な影響を与えないからです。
ただし、購入希望者が内覧する際の第一印象には大きく関わるため、場合によっては実施したほうが有利になることもあります。
ここでは、マンション売却時のハウスクリーニングについて、以下のポイントに分けて解説します。
- ハウスクリーニングが必要なケース
- ハウスクリーニングが不要なケース
- ハウスクリーニングを実施すべきタイミング
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ハウスクリーニングが必要なケース
ハウスクリーニングが必要となるのは、主に以下のようなケースです。
- 部屋の汚れが目立つ場合
- 築浅で設備が比較的新しい場合
- 内覧時に清潔感を強調したい場合
長年住んでいて汚れが残っている物件は、購入希望者に「修繕費がかかりそう」という印象を与えがちです。特にキッチンや浴室などの水回りは、普段の掃除では落としきれないカビや水垢が蓄積していることが多いため、ハウスクリーニングで清潔感を高めることで値引き交渉を避けられる可能性があります。
また、築浅のマンションもハウスクリーニングが効果的です。設備がまだ新しくリフォームの需要が少ないため、そのまま入居できる状態が購入の決め手になりやすく、清掃済みであることが好印象につながります。
ハウスクリーニングは必須ではありませんが、売却を有利に進めたい場合や印象を高めたい場合には有効な選択肢といえるでしょう。ただ、実施する場合には事前に不動産会社に相談し、必要性を確認すると良いでしょう。
ハウスクリーニングが不要なケース
ハウスクリーニングを必ずしも行う必要がないのは、以下のようなケースです。
- 普段からきれいに掃除しており汚れが目立たない場合
- 築古でフルリフォーム前提の場合
- 築30年以上で需要が限定的な場合
室内がきれいに保たれている場合は自分で掃除をするだけでも十分で、わざわざ業者に依頼する必要はありません。また、築古物件では買主がリフォームやリノベーションを前提として購入することが多いため、クリーニングをしても内装はすべて刷新される可能性が高く、費用対効果は低くなるでしょう。
例外として、人気エリアにある物件や耐震基準を満たしている物件であれば、築年数が古くてもクリーニングによって印象を改善できる場合も少なくありません。
築古物件はクリーニングよりも構造や立地が重視されるため、必ずしも必要ではありませんが、条件次第では価値を高める効果が期待できるでしょう。
ハウスクリーニングを実施すべきタイミング
ハウスクリーニングはいつ実施するかで効果が大きく変わります。代表的なタイミングは以下のとおりです。
- 査定前
- 売却活動を開始する直前(内覧前)
- 売却活動が長引いているとき
- 退去直後で家具を撤去したあと
査定前に実施すれば不動産会社に印象の良い物件と評価され、内覧者を集めやすいと見込んでもらえることがあります。ただし、リフォーム前提の古い物件では必ずしも査定価格に反映されるとは限りません。
また、内覧前までにハウスクリーニングを実施しておけば内覧者に清潔感をアピールできるため、購入意欲を高められるでしょう。さらに売却が長引いている場合や、退去直後で荷物がなく清掃しやすい状態も、ハウスクリーニングに適したタイミングといえます。
ハウスクリーニングを実施するタイミングで迷った場合、まずは不動産会社に相談し、最適な実施時期を判断してもらうことをおすすめします。
マンション売却時にハウスクリーニングを行うメリット

ここでは、マンション売却時にハウスクリーニングを行うメリットを紹介します。
- 査定価格が上がる可能性がある
- 早期売却に繋がる可能性がある
- 内覧希望者が増える可能性がある
- 値引き交渉の判断材料にされにくくなる
- マンションが売れ残りを防ぎやすくなる
査定価格が上がる可能性がある
マンション売却ではハウスクリーニングを行って室内を清潔に整えておけば、査定時の印象が良くなり、価格が高めに評価される可能性があります。
不動産会社は立地や築年数などの客観的条件だけでなく、「この物件は内覧者を集めやすいか」という点も考慮します。たとえば、水回りにカビが目立つマンションと、清掃が行き届いて明るい印象のマンションでは、同じ築年数でも評価が変わることは珍しくありません。
査定価格は売却価格や交渉に直結するため、第一印象を高めるハウスクリーニングはコスト以上の効果を発揮する可能性があるでしょう。
早期売却に繋がる可能性がある
ハウスクリーニングを行うことで、周辺の類似物件との差別化を図りやすくなります。
マンション広告を見比べると間取りや築年数など、似た条件の物件が数多く並んでいるのが一般的です。複数の類似物件のなかで購入を検討する際、決め手の1つになるのが室内の清潔感です。
同じ条件なら清潔で手入れが行き届いている物件が選ばれやすいため、ハウスクリーニングを実施することで内覧者に好印象を与えやすくなります。その結果、売却スピードの向上につながる可能性があるでしょう。
反対に、売却まで時間がかかると売れ残り物件という印象を持たれやすくなり、さらに売れにくくなるリスクが高まります。早期売却を目指すなら、第一印象を良くするためのハウスクリーニングは効果的です。
内覧希望者が増える可能性がある
ハウスクリーニングを行っておくと広告写真や内覧時に清潔感を演出できるため、内覧希望者を増やしやすくなります。
マンションを売却する際には、まず広告に掲載される写真で物件の印象が決まります。不動産会社もできる限りきれいに撮影してくれますが、画像を加工したり事実と異なる状態を掲載したりすることはできません。
そのため、室内をハウスクリーニングで清潔に整えておくことが大切です。水回りのカビやクロスの黄ばみがそのまま写ると、内覧希望者にマイナスの印象を与えてしまうでしょう。
プロの手でクリーニングされた物件であれば写真写りも良くなり、「ここに住みたい」と思わせる雰囲気を演出できます。
結果として内覧希望者の数が増え、売却活動をスムーズに進めやすくなるでしょう。
値引き交渉の判断材料にされにくくなる
マンション売却で避けたいのが、内覧時の汚れを理由とした値引き交渉です。
中古物件の売買では、買主が「修繕にお金がかかりそう」と判断し、数十万円単位での値下げを求めてくるケースが少なくありません。たとえ小さな汚れでも、交渉のきっかけになってしまうことがあります。
しかし、あらかじめハウスクリーニングを行っておけば室内の印象が良くなり、買主が値下げを要求する可能性を減らすことができます。特に水回りや床の汚れは内覧で真っ先に目に入る部分のため、重点的に清掃しておくと良いでしょう。
マンションが売れ残りを防ぎやすくなる
マンション売却において注意したいのが、売れ残り物件のイメージです。長期間売れない状態が続くと「人気がないのでは?」「欠陥があるのでは?」と購入希望者に不安を与えてしまい、結果的にますます売れにくくなります。
悪循環を避けるためには、売却活動の初期段階からハウスクリーニングを取り入れることが効果的です。室内が清潔に整っていれば広告写真の印象も良くなり、内覧希望者を増やすことにつながります。
内覧希望者にとっても「第一印象が良かったから決めた」という後押しになりやすく、早期成約へ直結する可能性が高まるでしょう。
マンション売却時にハウスクリーニングを行うデメリット

ここでは、マンション売却時にハウスクリーニングを行うデメリットを紹介します。
- 高額な費用がかかる
- 追加費用がかかる場合がある
- 費用を売却価格に上乗せできるとは限らない
高額な費用がかかる
ハウスクリーニングを専門業者に依頼すると、高額な費用がかかる場合があります。
金額は清掃する場所や広さ、汚れの度合い、依頼する業者などによって変動します。特に換気扇の油汚れや浴室のカビなどは作業の難易度が高く、追加料金が発生するケースもあります。
費用の相場は後述しますが、依頼前には業者に実際の部屋の状態を確認してもらい、作業内容や手間を把握したうえで具体的な料金を提示してもらうことが重要です。
できるだけ費用を抑えるには事前に自分で落とせる汚れを掃除しておいたり、水回りをまとめて依頼できるパックプランを利用したりすると効果的です。また、同じ条件でも業者によって数万円の差が出ることがあるため、複数社から見積もりを取ることをおすすめします。
売却を有利に進める一方でコスト負担は無視できないため、予算を決めたうえで必要な範囲を絞り、賢く活用しましょう。
追加費用がかかる場合がある
ハウスクリーニングは基本料金だけで完結するとは限らず、状況によって追加費用が発生することがあります。業者のホームページに記載された金額は最低価格であることが多く、実際の物件の状態や環境によって料金が変わるためです。
追加費用の具体例としては、以下のようなケースが挙げられます。
- 作業車用の駐車場代
- 家具移動が必要な居住中の清掃
- エアコン洗浄や浴室のカビ取りなどのオプション作業
- 作業時間延長による追加料金 など
想定外の出費を避けるためには、見積もりの段階で基本料金に含まれる作業範囲や追加費用が発生する条件を必ず確認しておくことが大切です。
費用を売却価格に上乗せできるとは限らない
ハウスクリーニングにかけた費用が、そのまま売却価格に反映されるケースは多くありません。なぜなら、不動産の成約価格は築年数、立地条件、市場の需給バランスといった複数の要素で決まるためです。
たとえば、10万円をかけてクリーニングを行ったからといって、必ず10万円以上高く売れるわけではありません。クリーニングはあくまで値下げ交渉を防ぐことや、早期売却につながるといった間接的な効果にとどまることを覚えておきましょう。
【項目別】マンション売却時のハウスクリーニング費用相場

ここでは、以下の項目別にマンション売却時のハウスクリーニング費用相場を紹介します。
- 間取り別のハウスクリーニング費用相場
- 場所別のハウスクリーニング費用相場
- 大手・地元業者のハウスクリーニング費用相場
間取り別のハウスクリーニング費用相場
ハウスクリーニングの料金は、部屋の広さや居住状況によって変わります。
一般的に、空室は家具や荷物がなく作業がしやすいため費用を抑えられますが、居住中の場合は機材の搬入や養生に手間がかかるため、1万〜2万円程度高くなることが多くなります。
以下は、間取りごとの費用相場です。
| 間取り | 広さ | 空室の場合 | 在宅の場合 |
| 1R/1DK | 約30㎡ | 1.5万円~3.3万円 | 2.3万円~ |
| 1LDK/2DK | 約45㎡ | 2.5万円~4.3万円 | 2.8万円~ |
| 2LDK/3DK | 約65㎡ | 3.6円~5.9万円 | 4万円~ |
| 3LDK/4DK | 約80㎡ | 4.5万円~7.9万円 | 5.2万円~ |
| 4LDK/5DK | 約100㎡ | 4.6万円~8.9万円 | 6万円~ |
1Rや1Kなら1〜3万円台、3LDK以上になると4万円を超えるケースが一般的です。特に築年数が古いマンションでは汚れが落ちにくいため、追加料金が発生する場合もあります。
そのため、見積もりを依頼する際は在宅か空室か、掃除範囲はどこまでかを必ず伝え、複数社を比較して適正価格を判断することが重要です。
場所別のハウスクリーニング費用相場
マンションの部屋全体ではなく、特定の場所だけを依頼することも可能です。部分的なハウスクリーニングは、予算を抑えつつ内覧者の印象を改善する方法として有効です。
特に水回りは買主のチェックが厳しいため、優先的に依頼するのがおすすめです。 以下は、主な場所ごとの費用相場です。
| 場所 | 費用相場 |
| キッチン | 9,000円~2万円 |
| 浴室 | 8,500円~1.8万円 |
| トイレ | 5,000円~1万円 |
| 洗面所 | 5,000円~1万円 |
| レンジフード(換気扇) | 7,000円~1.8万円 |
| 玄関・ベランダ | 1万円~ |
| フローリング洗浄 | 8,000円~1.5万円(6畳) |
| エアコン(壁掛け) | 1.2万円~/台 |
| エアコン(お掃除機能付き) | 2万円~/台 |
| エアコン(天井埋め込み型) | 2.9万円~/台 |
| 水回りのパック(3箇所) ※キッチン・お風呂・換気扇 |
1.5万円~4万円 |
| 水回りのパック(5箇所) ※キッチン・お風呂・換気扇・トイレ・洗面所 |
1.8万円~7.5万円 |
複数箇所を依頼すると料金がかさみますが、水回りパックなどのセットプランを利用すると個別依頼よりも総額を抑えることができます。
経済的な余裕がない場合でも、買主が特に重視する水回りや玄関などを優先的にクリーニングするだけで物件全体の印象を大きく改善できるでしょう。
大手・地元業者のハウスクリーニング費用相場
ハウスクリーニングの料金は、依頼する業者の規模によっても変わります。一般的には、大手業者よりも地元業者の方が料金は抑えられる傾向にあります。
| 間取り | 大手業者A | 大手業者B | 地元業者C |
| 1R/1K/1DK(30m²) | 5万2,800円~ | 2万6,400円~ | 3万800円~ |
| 1LDK/2DK(40m²) | 7万8,100円~ | 3万5,200円~ | 5万6,100円~ |
| 2LDK/3DK(70m²) | 11万4,400円~ | 4万8,400円~ | 7万5,900円~ |
| 3LDK/4DK(90m²) | 13万900円~ | 6万1,600円~ | 9万7,900円~ |
以下は業者ごとの水回りのハウスクリーニング費用相場です。
| 場所 | 大手業者A | 大手業者B | 地元業者C |
| 浴室 | 2万2,000円~ | 1万8,700円~ | 1万9,910円〜 |
| トイレ | 1万340円~ | 9,900円~ | 1万340円〜 |
| 洗面所 | 1万340円~ | 9,350円~ | 1万340円〜 |
| キッチン | 2万680円~ | 3万4,100円~ | 1万8,920円〜 |
大手業者は価格が高めな傾向にある一方、スタッフ教育や仕上がりの品質が安定している点が強みです。一方、地元業者は料金を抑えやすく、柔軟に対応してくれるケースが多い反面、サービスの質にばらつきが見られることもあります。
どちらを選ぶにしても料金だけで判断せず、対応範囲や追加費用の有無、口コミ評価を含めて総合的に比較することが重要です。
複数社に見積もりを依頼し、費用とサービスのバランスが取れた業者を選びましょう。
マンション売却時にハウスクリーニングを依頼するときの注意点
ここでは、ハウスクリーニングの依頼時に知っておきたい注意点を解説します。
- 事前に予算を設定しておく
- 追加費用の有無を確認しておく
- なるべく閑散期に依頼する
- なるべく1回でまとめて依頼する
- 自分でできる範囲は掃除しておく
事前に予算を設定しておく
ハウスクリーニングは実施範囲が広がるほど費用がかさむため、あらかじめ予算を設定しておくことが重要です。
中古マンションの場合、新築同様の完璧な状態に仕上げるのは容易ではありません。そのため、効果が出やすい場所に絞って依頼するほうが費用対効果は高くなります。
予算を先に決めておけば、必要な箇所に優先順位をつけて無駄な出費を抑えつつ、売却活動に効果的なクリーニングを行うことができるでしょう。
追加費用の有無を確認しておく
ハウスクリーニングは表示された基本料金だけで完結するとは限らず、条件によっては追加費用が発生します。見積もり時には、どのケースで加算されるのかを必ず確認しておきましょう。
追加料金の代表例としては、延長料金と駐車場代です。延長料金は滅多にありませんが、見積もり時に伝え漏れた汚れの程度や材質の違いによって、作業時間が大幅に延びた場合に発生することがあります。特に、特殊な建材や素材を使用している場合は、事前に業者へ伝えることでトラブルを防げるでしょう。
また、駐車場代は見積もりに含まれないことが多く、マンション敷地内に業者車両を停められない場合は近隣のコインパーキングを利用し、その料金を請求される場合があります。
基本料金だけを見て依頼を決めるのではなく、追加費用の可能性を把握しておくことが予算管理のポイントです。
なるべく閑散期に依頼する
ハウスクリーニングは依頼する時期によって料金や予約の取りやすさが変わるため、可能であれば繁忙期を避けて閑散期に依頼するのがおすすめです。
繁忙期にあたるのは、引越し需要が集中する3月前後、大掃除が行われる12月、さらにエアコンクリーニングの依頼が急増する初夏です。この時期は予約が取りにくいだけでなく、料金が高めに設定されることもあります。
一方、夏や秋など比較的空いている時期であれば希望日に予約を入れやすく、料金交渉がしやすいのもメリットです。売却スケジュールに余裕があるなら、閑散期を狙うことでコストを抑えつつスムーズに準備を進められるでしょう。
なるべく1回でまとめて依頼する
マンション売却時にハウスクリーニング費用を依頼する際、複数箇所の清掃はまとめたほうが費用対効果が高くなります。
なぜなら、業者の出張費や作業準備の手間が1回分で済むため、割引が適用されることが多いからです。
たとえば、水回りだけを個別に依頼すると1箇所ごとに数千円単位の費用がかかりますが、キッチン・浴室・トイレをまとめたパックなら単価を抑えられるケースも少なくありません。
全体のコスト削減と効率化を考えるなら、まとめ依頼を検討すると良いでしょう。
自分でできる範囲は掃除しておく
ハウスクリーニングにはそれなりの費用がかかるため、プロに任せる前に自分で掃除できる箇所はなるべく済ませておくことが大切です。
床の掃き掃除や窓の拭き取り、玄関や廊下といった共用部分などは自分でも対応しやすく、念入りに行うことで管理が行き届いた物件という印象を与えられます。
また、自分で掃除をしてみると、壁紙の剥がれや水回りの劣化など修繕が必要な箇所に気づくきっかけにもなります。売却前に早めに修繕を済ませておけば、買主からのマイナス評価を防げるでしょう。
一方、カビや油汚れが強い浴室・レンジフードなどは専門的な薬剤や機材が必要になるため、無理をせず業者に依頼するのがおすすめです。自分でできるところは自分で対応し、プロの力が必要な部分だけを依頼すれば、費用を抑えながら物件全体を清潔に整えられます。
マンション売却時のハウスクリーニング業者を選ぶときのポイント

ここでは、マンション売却時にハウスクリーニング業者を選ぶときのポイントを解説します。
- 口コミ・評判をチェックする
- パックプランの有無を確認する
- 賠償責任保険の加入有無を確認する
- 複数社に見積もりを依頼する
口コミ・評判をチェックする
業者を選ぶ際には、実際に利用した人の口コミを参考にしてみましょう。
Googleマップやハウスクリーニング専門の口コミサイトには「スタッフの対応が丁寧だった」「仕上がりに満足できなかった」など、実体験に基づいた情報が多く掲載されています。
ただし、なかには信憑性に欠けるものもあるため、良い評価・悪い評価の両方を読み比べることが大切です。気になる業者があれば実際に電話で問合せをして、担当者の対応を確認してみると良いでしょう。
パックプランの有無を確認する
ハウスクリーニングを複数箇所まとめて依頼する場合、パックプランを用意している業者を選ぶと費用を抑えやすくなります。
たとえば、キッチンとレンジフード、浴室とトイレといったセットは、個別に依頼するよりも割安になることが少なくありません。売却準備では水回りや部屋全体の清掃をまとめて行うケースが多いため、パックプランの有無はしっかり確認しておきたいポイントです。
賠償責任保険の加入有無を確認する
ハウスクリーニングの作業中には、予期せぬトラブルが発生する可能性があります。たとえば、以下のようなケースです。
- 作業中に陶器の置物を落として割ってしまう
- 棚を移動する際に壁にぶつけて傷をつけてしまう
- エアコン内部のクリーニング中に故障が起きて使えなくなる
- 床が洗剤で濡れ、依頼者が足を滑らせてケガをする
万が一の事態に備えて、依頼する業者が賠償責任保険に加入しているかどうかを必ず確認しておきましょう。保険加入があれば修理費や補償を受けられますが、未加入の業者に依頼すると自己負担になるおそれがあります。
料金やサービス内容だけでなく、保険の有無も業者選びの大切なポイントです。安心して依頼するために、契約前に確認しておきましょう。
複数社に見積もりを依頼する
ハウスクリーニングの料金は業者によって差があるため、1社だけで判断するのはリスクがあります。最低でも2〜3社に見積もりを依頼し、料金やサービス内容を比較するのが安心です。
複数の見積もりを見比べることで相場から極端に外れていないか、追加料金が発生しやすい内容になっていないかといった点をチェックできます。
最近は、一括見積もりサイトを利用すれば自宅から簡単に複数社へ依頼することも可能です。料金だけでなく、サービスの範囲や担当者の対応も比較しながら選ぶことで、自分にあった業者を見つけやすくなるでしょう。
マンション売却時のハウスクリーニングに関するよくある質問

ここでは、マンション売却時のハウスクリーニングに関するよくある質問を紹介します。
- 売却価格を上げるためにハウスクリーニング以外でできることは?
- ハウスクリーニングとリフォームも同時に行うべき?
- ハウスクリーニングをすべき築年数の目安は?
売却価格を上げるためにハウスクリーニング以外でできることは?
ハウスクリーニング以外で売却価格を高める工夫として代表的なのが、ホームステージングです。ホームステージングは家具やインテリアをコーディネートして生活イメージを演出する手法で、モデルルームのように見せることで購買意欲を高められます。
また、室内の物を減らしてすっきりと見せることも大切です。不用品を整理することで、部屋が広く明るく感じられ、内覧者に好印象を与えやすくなります。
さらに、内覧前にはにおい対策も忘れずに行いましょう。窓を開けて換気をしたり、サーキュレーターを使って空気を循環させたりすると効果的です。
消臭スプレーを使う場合は、香りが強すぎない無臭タイプを選ぶと安心です。
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ハウスクリーニングとリフォームも同時に行うべき?
ハウスクリーニングと同時にリフォームを行う必要はありません。なぜなら、リフォームは費用が高額になりやすく、かけた費用が売却価格に反映されにくいからです。
ただし、買主が入居後に手を加えなくても済むように最低限の修繕だけを行うのは有効です。たとえば、水漏れしている蛇口や剥がれたクロスを直す程度なら、比較的少額で物件価値を保てます。一方、フルリフォームは数百万円単位の出費になるため、必ずしも売主にメリットがあるわけではありません。
おすすめの流れとしては、まずハウスクリーニングで全体を清潔に整えたのち、必要に応じて部分的な修繕を行うことです。
ハウスクリーニングをすべき築年数の目安は?
築5年程度の物件であれば、普段の掃除で落としきれない水回りの汚れや換気扇の油汚れを専門業者に任せると、購入希望者に丁寧に使われてきた印象を与えられます。
築10年以上になると、経年劣化による汚れや黄ばみが目立ちやすいため、特にハウスクリーニングが有効です。浴室のカビやキッチンの油汚れなど、買主が気にするポイントを徹底的に清掃しておくことで売れ残りリスクを下げられるでしょう。
つまり、築年数にかかわらず買主に清潔感のある物件と思わせるためにハウスクリーニングは効果的です。ただし、築20年以上の古い物件ではハウスクリーニングだけでは限界があるため、必要に応じて部分的なリフォームを検討すると良いでしょう。
不動産会社にマンションのハウスクリーニングを依頼できるケースもある
マンション売却では、ハウスクリーニングを行うことで印象を高め、査定価格や成約スピードにプラスに働く可能性があります。ただし、必ずしも費用を価格に上乗せできるとは限らず、依頼範囲やタイミングを見極めることが重要です。
ハウスクリーニング業者を直接探す方法もありますが、不動産会社によっては売却サポートの一環として提携業者に依頼できる場合もあります。
より効率的に売却活動を進めたい人は、複数の不動産会社を比較できるホームズの不動産一括査定の活用をご検討ください。大手から地元密着の会社まで幅広く査定依頼ができるため、自分にあった不動産会社を見つけることができます。