
アパートとマンションは、法律上の明確な定義はありません。ただし、一般的には建物の構造や階数、設備などによって区別されることが多く、それぞれにメリットとデメリットがあります。
この記事では、アパートとマンションの違いを詳しく解説し、それぞれのメリット・デメリットを比較します。
この記事で分かること
- アパートとマンションの主な違い・定義
- アパートを選ぶメリット・デメリット
- マンションを選ぶメリット・デメリット
- アパート・マンションが向いている人の特徴
- 後悔しない物件の選び方
- アパートとマンションの売却を検討するなら一括査定がおすすめ
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もくじ
アパートとマンションの主な違い・定義を比較

アパートとマンションの違いに明確な定義はありません。しかし、実際には以下のような違いで区別されるケースが多くなっています。
| 比較項目 | アパート | マンション |
| 構造 | ・木造 ・軽量鉄骨造 |
・鉄骨造 ・鉄筋コンクリート造(RC造) ・鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) |
| 階数 | ・2階建て | ・3階建て以上 |
アパートは主に木造や軽量鉄骨造で建てられており、2階建ての共同住宅を指すことが一般的です。一方、マンションは、主に鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)などで建てられており、3階建て以上のものを指すケースが多い傾向にあります。
しかし、不動産会社によってはエレベーターの有無で区別しているケースもあるため、名称だけでなく、実際の構造や設備を確認することが重要となります。
アパート・マンション以外の住宅の種類や違い
アパートやマンション以外にも、さまざまな名称の集合住宅があります。住宅の種類や違いをまとめると、以下のようになります。
| 種類 | 構造 | 階数 | 特徴 |
| ハイツ | ・木造 ・軽量鉄骨造 |
2階建て以下 | ・構造はアパートとほぼ同じ ・英語で「高台」や「丘」を意味する ・建物の名称に使われることが多い |
| コーポ | ・木造 ・軽量鉄骨造 |
2階建て以下 | ・構造はアパートとほぼ同じ ・英語で共同住宅を意味する「コーポラティブハウス」から作られた和製英語 ・建物の名称に使われることが多い |
| カーサ | ・木造 ・軽量鉄骨造 |
2階建て以下 | ・構造はアパートとほぼ同じ ・イタリア語で「家」を意味する ・建物の名称に使われることが多い |
| メゾネット | ・建物による | 2階層以上 | ・1つの住戸内に2階層以上ある構造の住宅 ・内階段がある |
| 団地 | ・鉄筋コンクリート造(RC造) ・鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) |
5階建て程度 | ・公営住宅や公社住宅などとして建設された集合住宅のことを指す |
「ハイツ」「コーポ」「カーサ」は、基本的にアパートに区別され、建物の名称としてよく使われています。「メゾネット」は、1つの住戸内に2階以上の階層で構成された物件のことを指し、内階段があるのが特徴です。
「団地」は、公営住宅や公社住宅などとして建設された集合住宅のことを指します。物件選びの際は、名称よりも実際の構造や設備内容を重視することが大切です。
アパートを選ぶメリット・デメリットを比較

ここでは、アパートのメリット・デメリットを順に紹介します。
- アパートのメリット
- アパートのデメリット
アパートのメリット
アパートの主なメリットとして、以下が挙げられます。
- 家賃が比較的安い
- 初期費用を抑えられる
- 管理費(共益費)が比較的安い
- 入居審査が通りやすい
アパートは同じエリア、同じ間取りでもマンションと比べて月々数万円の差が出ることもあり、長期間住むことを考えると大きな節約につながります。
また、アパートはエントランスやエレベーターが設置されていない物件が多く、共用設備もマンションより少ないため、管理費(共益費)が安い傾向にあります。敷金や礼金なども低く設定されていることが多く、初期費用を抑えやすい点も魅力です。
他にも、入居審査が通りやすいメリットがあります。家賃が安いため、収入に対する審査基準が比較的低く、若い世代や転職直後の人でも入居しやすい傾向があります。
アパートのデメリット
アパートの主なデメリットとして、以下が挙げられます。
- 防音性が低い物件が多い
- セキュリティ面で不安がある
- 共用設備が少ない
木造や軽量鉄骨造のアパートは、音が響きやすい性質があるため、隣室や上下階からの音が気になる可能性があります。特に、小さな子どもがいる家庭や静かに暮らしたい人にとっては、注意が必要です。
また、アパートはオートロックや防犯カメラなどの防犯設備が少なく、セキュリティ面に不安が残る物件もあります。女性の一人暮らしなどで気になる場合は、内覧で詳しく確認しましょう。
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マンションを選ぶメリット・デメリットを比較

ここでは、マンションのメリット・デメリットを紹介します。
- マンションのメリット
- マンションのデメリット
マンションのメリット
マンションの主なメリットとして、以下が挙げられます。
- 防音性・耐震性に優れている
- セキュリティが充実している
- 共用設備が充実している
鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造のマンションは、コンクリートが音を遮断してくれるため、防音性に優れています。強度も高く、耐震性も高い傾向にあります。
また、マンションはオートロックや防犯カメラ、管理人の常駐などセキュリティが充実している物件が多い傾向にあります。エレベーターや宅配ボックス、エントランスなどの共用設備が整っているのもマンションの魅力です。
マンションのデメリット
マンションの主なデメリットとして、以下が挙げられます。
- 家賃が高い
- 初期費用が高額になりやすい
- 管理費(共益費)が比較的高い
- 入居審査が厳しい場合がある
マンションは建築コストが高いため、家賃が高い物件が多い傾向にあります。敷金や礼金、仲介手数料は家賃を基準に設定されるケースが多く、初期費用も家賃に比例して高くなりやすい点もデメリットです。
さらに、マンションはエレベーターの維持費用や共用部分の清掃費など、さまざまな維持管理費が必要になるため、管理費や共益費も高い傾向があります。
家賃が高いと入居審査も厳しくなり、状況によっては入居を断られる可能性も高くなるでしょう。
比較で分かった!アパート・マンションが向いている人の特徴

これまでの比較を踏まえて、アパートとマンションそれぞれに向いている人の特徴を以下にまとめました。
- アパートが向いている人の特徴
- マンションが向いている人の特徴
アパートが向いている人の特徴
アパートが向いている人の特徴として、以下が挙げられます。
- 家賃や管理費を抑えて生活費を節約したい人
- 初期費用を最低限に抑えたい人
- 近隣住民との交流を好む人
立地や間取りなどの条件が同じ物件がある場合、アパートのほうが家賃や管理費は安い傾向にあります。そのため、毎月の固定費や初期費用を節約したい人は、アパートが向いています。
入居審査にも通りやすいため、学生や新社会人など、収入や貯金に余裕がない人でも、アパートは入居できる可能性が高いでしょう。また、アパートは総戸数が少ないため、近隣住民との交流や、アットホームな環境を好む人にもおすすめです。
マンションが向いている人の特徴
マンションが向いている人の特徴として、以下が挙げられます。
- 快適性や利便性を重視する人
- セキュリティを重視する人
- 静かな環境で暮らしたい人
マンションは、エレベーターや宅配ボックスなど、共用設備が充実している物件が多いといえます。そのため、快適性や利便性を重視する人にはマンションが向いているでしょう。
また、防犯カメラやオートロックといったセキュリティ面もマンションは充実しています。女性の一人暮らしや小さな子どもがいる家庭なども、比較的安心して暮らせるでしょう。
他にも、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造が多いマンションは、防音性や遮音性が高いため、静かな環境で暮らしたい人にも向いています。在宅勤務が多い人や、騒音被害を懸念する人は、アパートよりもマンションがおすすめです。
アパートとマンションは結局どっちがいい?後悔しない物件の選び方
アパートとマンションどちらが適しているかは、住む人の予算や価値観によって異なります。後悔しない物件選びのポイントは以下のとおりです。
- 予算と希望条件の優先順位を明確にする
- 周辺環境や交通アクセスを確認する
- 実際に内覧して確認する
自分にあった物件を探すには、まずは毎月の家賃や管理費、初期費用で支払える金額の上限を決めましょう。一般的に家賃は、手取り額の3分の1以内が望ましいとされています。
また、物件に求める希望条件の優先順位を明確にすることも重要です。以下のような条件のうち、最低限必要な条件をリストアップし、優先順位が高いものを満たす物件から選ぶと良いでしょう。
- 立地
- 間取り
- 階数築年数
- 設備
- セキュリティの充実度
- 周辺環境
- 交通アクセス
図面や写真だけでは分からない防音性や日当たり、周辺環境などは、実際に内覧して自分の目で確認することが重要です。可能であれば、平日と休日、昼間と夜間など、異なる時間帯に訪れることをおすすめします。
アパートとマンションの売却を検討するなら一括査定がおすすめ
現在住んでいるアパートやマンションの売却を検討している場合、まずはいくらで売却できるのかを把握することが重要です。
売却価格は、不動産会社に査定を依頼することで把握できます。不動産会社の査定は、複数社に依頼することで、客観的な相場を知ることが可能です。
ホームズの不動産一括査定は、一度の依頼で複数の不動産会社に査定を依頼できます。 各社の強みや特徴を細かくチェックでき、自分にあった最適な不動産会社を選びやすいため、後悔するリスクも減らすことができます。
アパートやマンションの売却を検討したい人は、ホームズの不動産一括査定をぜひご利用ください。
アパートとマンションに関するよくある質問

ここでは、アパートとマンションに関するよくある質問を3つ紹介します。
- アパートとマンションで防音性は変わる?
- 一人暮らしならアパートとマンションどっちがいい?
- アパートとマンションを区別する法律はある?
アパートとマンションで防音性は変わる?
アパートとマンションは構造が異なるため、防音性にも大きな違いがあります。
アパートに多い木造や軽量鉄骨造は、音が響きやすい構造となっており、隣室や上下階からの生活音が気になる場合があります。
一方、マンションに多い鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)は、コンクリートが音を遮断しやすいため、防音性が高いといえるでしょう。
ただし、築年数や窓のサッシ、断熱材などによっても防音性は変わるため、実際に内覧で音の響き具合を確認することが重要です。
一人暮らしならアパートとマンションどっちがいい?
一人暮らしの場合、アパートとマンションどちらがいいかは、個人の価値観や予算などによって変わります。
前述したように、家賃や初期費用を抑えたい人はアパート、セキュリティや設備、防音性を重視する人はマンションが向いています。
ただし、物件によっても特徴が変わるため、実際に内覧で細かく確認することが重要です。
アパートとマンションを区別する法律はある?
アパートとマンションを明確に区別する法律はありません。
建築基準法では、アパートとマンションどちらも「共同住宅」として分類されています。ただし、不動産業界ではアパートとマンションを構造や階数などで区別する傾向にあります。
アパートとマンションを区別する法律はないので、実際の物件を確認して判断することが大切です。
アパートとマンションの違いを比較しよう
アパートとマンションは、法律上の明確な定義は存在しません。しかし、一般的には木造や軽量鉄骨造の2階建てはアパート、鉄筋コンクリート造などの3階建て以上の共同住宅はマンションと区別されるケースが多いです。
アパートは家賃や経済的負担を抑えたい人に向いており、快適性や安全性を重視する人にはマンションが向いている傾向があります。
現在お住まいのアパートやマンションから住み替えを検討している場合、または所有している物件の売却を考えている場合は、まず物件の適正価格を把握することが重要です。不動産の売却では、複数の不動産会社に査定を依頼することで、より正確な相場を把握できます。
複数の不動産会社に効率良く査定を依頼したい人は、ホームズの不動産一括査定がおすすめです。
ホームズの不動産一括査定は、全国4,800社以上(2025年9月時点)の提携している不動産会社から、査定を依頼する会社を選べます。不動産会社の強みや査定価格の根拠などが掲載されているため、比較検討しやすいのが特徴です。
記事執筆・監修
矢野 秀一郎(やの しゅういちろう)
不動産会社で2社勤務。1社目では時間貸駐車場の開発営業を中心に携わり、2社目では不動産売買の仲介営業や、一戸建ての分譲工事のプロジェクト、および新築・リフォーム工事の現場監督など、幅広く業務を担当。現在はフリーのライターとして不動産や金融に関する内容を中心にライティング・記事監修を実施。