
実家の処分は多くの人にとって大きな決断であり、適切な準備や手続きを怠ると予期せぬトラブルに発展するおそれがあります。放置することで資産価値の低下や近隣住民とのトラブル、さらには固定資産税の負担が増えるリスクもあります。
この記事では、実家を処分するための事前準備や具体的な手続きの流れ、必要な費用相場について解説します。適切な知識を身につけ、スムーズかつ安心して実家を処分するためのポイントを確認しましょう。
この記事で分かること
- 実家を処分するかどうかの判断基準
- 実家を処分する前の事前準備
- 実家の主な処分方法・流れ
- 実家を処分するときにかかる費用相場
- 実家を処分せずに放置するリスク
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もくじ
実家を処分するかどうかの判断基準

ここでは、実家を処分するかどうかの判断基準を紹介します。
- 家族全員の意向が同じであるか
- 資金計画や時間に余裕があるか
- 実家を売却する場合に適した時期か
家族全員の意向が同じであるか
実家の処分には感情的な側面が伴うため、円滑に進めるためには家族全員の意向を一致させる必要があります。
特に思い出が詰まった家であれば、売却や解体に抵抗を感じるケースも少なくありません。また、相続人が複数いる場合は法的な問題も発生する可能性があります。
例えば、長男が「維持費がかかりすぎるから売却したい」と考えても、他の兄弟が「思い出の場所だから残したい」と主張すれば合意に至りません。このような場合は家族会議を開き、専門家の意見を取り入れながら解決策を模索するのが有効です。
家族全員の合意を事前に取り付けることで処分を進める際のハードルを減らし、スムーズに進めることができます。
資金計画や時間に余裕があるか
実家の処分には、仲介手数料、リフォーム費用または解体費用など、さまざまな費用がかかります。また、遺品整理や書類の準備には多くの時間を要するため、計画的に進めなければなりません。
例えば、築30年の実家を売却する際、売却前に解体して更地にすることで購入検討者の購買意欲を高められる可能性がありますが、数百万円単位の費用が発生します。また、急ぎで売却を進めると、買主が見つからず低価格での売却を余儀なくされるケースもあります。
十分な資金と時間を確保し、無理のない計画を立てることで、より有利な条件で実家の処分を進めることが可能です。
実家を売却する場合に適した時期か
最適なタイミングは家族や経済状況により異なるため、自分たちの事情を十分に理解したうえで決定することが重要です。
実家売却のタイミングで考えられる時期は、主に以下のとおりです。
- 親が健在なときに売却
- 相続した後に売却
その他の判断基準としては、以下も考えられるでしょう。
- 不動産市況により判断
- 金利により判断
- 築年数により判断
- 時期により判断
親が元気なうちに実家の売却を進めれば、意思決定や書類手続きが円滑に進みやすくなります。さらに、売却益が生じた場合は「居住用財産の特例」を利用することで、譲渡所得税を軽減することが可能です。
相続後に実家を売却する場合は相続税評価額が実勢価格よりも低くなるため、節税効果を得やすくなります。また、相続税を納めていれば、相続から3年10ヶ月以内に売却すると、相続税額を譲渡所得から差し引ける『取得費加算の特例』を利用できます。
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実家を処分する前の事前準備

ここでは、実家を処分する前の事前準備を紹介します。
- 仏壇や神棚などをどうするか決めておく
- 処分に必要な書類を用意しておく
- 必要箇所は掃除しておく
- 隣地との境界を明確にしておく
- 建物を解体するかどうかを決めておく
仏壇や神棚などをどうするか決めておく
仏壇や神棚については、適切に供養する方法を決めておくことが大切です。
仏壇を処分する際には、僧侶を招いて「閉眼法要」や「魂抜き」と呼ばれる儀式を行い、仏様の魂を抜いてから処分するのが一般的です。
一方、神棚の場合は、神棚に祀られている「お札」を近隣の神社に返納することが推奨されます。その後、仏壇や神棚自体の処分方法としては、以下のような選択肢があります。
- お焚き上げを依頼する
- 購入した仏壇店で引き取ってもらう
- 自治体の粗大ごみとして出す
仏壇や神棚のサイズや状態によって処分費用が異なる場合があるため、事前に確認が必要です。また、家族や親族と相談して供養や処分の方針を共有しておくことで、全員が納得のいく形で進められるでしょう。
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処分に必要な書類を用意しておく
実家を処分する際は手続きを円滑に進めるためにも、必要書類は揃えておきましょう。特に相続した実家の場合、通常の売却時に必要となるものとは別に追加で書類が求められることもあるため、事前に確認することが大切です。
具体的な必要書類は主に以下のとおりです。
- 本人確認書類
- 印鑑登録証明書・実印
- 不動産売買契約書や領収書
- 登記済証(権利証)または登記識別情報通知書
- 固定資産税納税通知書
- 地積測量図・境界確認書
実家の購入費が分かる書類を探しておくと、譲渡所得税に過剰な税金がかかるのを避けることができます。
売却時に利益が発生すると譲渡所得税を納める必要があり、売却価格から実家の取得費と譲渡費用(売却にかかった費用)を差し引いた額に対して課税されます。
仮に購入費用を証明する書類がなく取得費が算出できない場合、売却価格の5%が概算取得費として適用されるのが一般的です。本来の取得費が売却価格の5%を上回る場合でも差し引ける金額は5%に限られ、課税額が大きくなってしまうこともあります。
税務上のリスクを回避するためにも、早めに必要書類を確認しましょう。
必要箇所は掃除しておく
清掃は物件の印象を良くし、売却を有利に進めるための基本です。清潔感のある状態にしておくことで買主の心証が良くなり、スムーズに売却が進む可能性が高まります。
- 庭の手入れ:草刈りや植木の剪定を行う
- 室内の片付け:不要な家具や物品を処分し、広さをアピール
- 水回りの掃除:キッチンや浴室、トイレ、洗面所を重点的に清掃することで清潔感を演出
最低限の掃除を済ませるだけでも印象が大きく変わるため、時間をかけて取り組む価値があるでしょう。
隣地との境界を明確にしておく
隣地との境界を明確にしておくことは、売却後のトラブルを防ぎ、買主に安心感を与えるために重要です。
土地の境界が曖昧な場合、隣地所有者とのトラブルが発生するおそれがあります。特に古い測量図面を使用している場合、現在の測量精度とは異なるため、敷地面積に差異が生じることは少なくありません。
最新の測量機器を使用して境界を確定する「実測売買」を選択するのが理想的です。
以下のようなステップを踏むことで境界を明確にできます。
| 手順 | 詳細 | |
| 1 | 確定測量図の作成 | 土地家屋調査士に依頼し、隣地所有者との立ち会いのもとで境界点を確定する |
| 2 | 境界標の設置 | 境界を示す目印を正確に設置し、境界を明確化する |
| 3 | 合意書の作成 | 隣地所有者との合意書を作成し、後々の紛争を未然に防ぐ |
建物を解体するかどうかを決めておく
建物が老朽化している場合、更地にすることで買主を見つけやすくなる可能性があります。なぜなら、買主が建物解体の費用や手間を心配する必要がなくなるからです。
しかし、解体には費用や税制上の影響が伴うため、慎重に検討しなければなりません。 具体的には、以下のポイントを考慮して判断することをおすすめします。
- 解体費用を把握する
- 固定資産税への影響を確認する
- 建物を残すメリットを検討する
建物の構造によって費用は異なりますが、木造住宅で1坪あたり3.5万円前後、鉄骨造で4.5万円前後かかります。延床30坪の木造2階建て住宅の場合、おおよそ100万円が必要です。
解体して更地にすると、固定資産税が大幅に増える可能性があります。特に、1月1日時点で更地の場合、課税額が最大6倍になる可能性もあるため、解体の時期については不動産会社に相談しましょう。
比較的新しい建物やリフォーム可能な状態の場合、そのまま売却したほうがコストを抑えつつ、買主が見つかるケースもあります。
不動産会社の意見を聞きながら、家族で建物を解体するかどうかを決めることが重要です。
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実家の主な処分方法・流れ

相続した実家を処分する場合、自分で購入した家を売るよりも時間がかかる傾向にあります。一般的には査定依頼から成約までに約6ヶ月の期間を要しますが、遺産分割に関して争いが生じると、数年かかることも予想されます。
名義変更などの公的な手続きも必要となるため、余裕を持って進めることが重要です。 ここでは、実家の主な処分方法・流れを紹介します。
- STEP1.遺言書の有無を確認する
- STEP2.遺産分割をする
- STEP3.実家の名義を変更する
- STEP4.家財処分・遺品整理を行う
- STEP5.不動産会社に実家の査定を依頼する
- STEP6.依頼する不動産会社と媒介契約を結ぶ
- STEP7.購入希望者に内覧の対応をする
- STEP8.買主と売買契約を結ぶ
- STEP9.決済・引き渡しを行う
STEP1.遺言書の有無を確認する
実家を処分するための最初のステップは、被相続人が遺言書を残しているかどうかを確認することです。遺言書には、遺産分割の方法や実家の処分に関する方針が記されていることがあります。
また、遺言書には「公正証書遺言」「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。保管場所や家庭裁判所による検認は、以下のとおりです。
| 公正証書遺言 | 自筆証書遺言 | 秘密証書遺言 | |
| 保管場所 | 公証役場 | 自宅 | 自宅 |
| 家庭裁判所による検認 | 不要 | 必要 | 必要 |
自宅に保管されている自筆証書遺言や秘密証書遺言は、自分で開封してはいけません。
遺言書を有効にするためには、家庭裁判所での検認が必要です。公正証書遺言が残されているかどうかは、公証役場で確認しましょう。
遺言書がある場合、基本的に被相続人の意向に沿って分けられます。
STEP2.遺産分割をする
遺言書がない場合や、あっても形式が不適切であったり、財産の分配先が明確でなかったりする場合には、相続人同士で遺産分割を行う必要があります。
分割協議は相続人全員の合意を得ることが目的で、全員が集まって話し合う方法や、メールや手紙を通じて意見を交換しながら進める方法などがあります。
遺産分割協議を行わない限り、実家の名義変更や売却は困難です。遺産分割の方法には、以下の3つがあります。
| 分割方法 | 概要 | 適用例 |
| 実物分割 | 遺産を相続人同士で物理的に分ける方法 | 1つの土地を複数の区画に分け、それぞれの区画を相続人に分配する場合 |
| 代償分割 | 特定の相続人が大きな財産(例えば実家)を受取る場合、他の相続人に金銭で補償する方法 | 実家を1人の相続人が受取り、その代わりに金銭で他の相続人を補償する場合 |
| 換価分割 | 遺産を現金化し、相続人で分ける方法 | 実家を売却して得た金額を相続人で平等に分ける場合 |
実家(不動産)以外に大きな遺産がなく、相続人で売却益を分け合いたい場合には、「換価分割」がおすすめです。
なお、複数人で相続が発生した場合、遺産分割協議書を作成する必要があります。
遺産分割協議書は、相続人が遺産の分け方について話し合い、その結果を文書にまとめたものです。自由な形式で作成できますが、誰がどの財産をどのくらい受取るのかを明確に記載し、相続人全員の署名と押印が求められます。
STEP3.実家の名義を変更する
遺産の分割方法が決まったら実家の名義変更を行う必要があり、この手続きを「相続登記」と呼びます。
名義変更を行う際は、以下の必要書類を整えて法務局で登記手続きを行います。手続きが複雑な場合もあるため、司法書士に依頼するのが一般的です。
| 必要書類 | 取得先 |
| 被相続人における出生から死亡までのすべての戸籍謄本、または除籍謄本 | 市区町村の役場 |
| 被相続人の除住民票 | |
| 相続人全員の戸籍謄本 | |
| 相続人全員の住民票 | |
| 相続人全員の印鑑証明書 | |
| 固定資産税評価証明書 | |
| 相続関係説明図 | 自分で作成するか司法書士に依頼する |
| 遺産分割協議書 |
相続登記を行うためには、上記の書類を揃えて実家の所在する地域を管轄する法務局に「所有権移転登記」の申請をする必要があります。
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STEP4.家財処分・遺品整理を行う
実家を処分する際、家財や遺品の整理を行わなければなりません。不用品の処分だけでなく、思い出の品や重要書類を仕分けし、必要なものを大切に保管する作業も含まれます。
家財処分・遺品整理の方法は、主に以下のとおりです。
- 相続人が行う
- 遺品整理業者に依頼する
遺品整理業者を利用すると、仕分けから処分、リサイクルまで一括で対応してくれます。時間や労力を節約できるため、多忙な場合や物品が多い場合におすすめです。
また、実家の片付け中に相続に関係する重要書類や通帳、保険証券、株券などが見つかる場合があるので、紛失しないように別に保管しておくことが大切です。
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STEP5.不動産会社に実家の査定を依頼する
家財処分が完了したら、次のステップは不動産会社への査定依頼です。査定を受けることで、実家の売却相場や市場価値を正確に理解できます。
査定価格は不動産会社ごとに異なります。そのため、1社の査定だけに頼るのではなく、複数の不動産会社(目安として3〜5社)に査定を依頼すると良いでしょう。
また、査定価格だけでなく、その根拠や担当者の対応・提案力なども比較することで、より良いパートナーを見つけることが可能です。
なお、複数の不動産会社へ査定依頼をする際は、LIFULL HOME'Sの不動産一括査定をぜひご利用ください。全国約4,400社(2024年11月時点)の提携不動産会社から査定依頼先を選択できるほか、不動産会社の特色・強みなどもチェックすることが可能です。
STEP6.依頼する不動産会社と媒介契約を結ぶ
実家の査定が終わった後、実際に売却を進めるために「仲介」または「買取」の方法を選び、不動産会社と媒介契約を結びます。
仲介と買取の違いは、主に以下の表のとおりです。
| 比較項目 | 仲介 | 買取 |
| 価格 | 高値売却を狙える | 市場価格の6~8割程度 |
| 売却スピード | 3~6ヶ月 | 迅速(数週間で完了することが一般的) |
| 仲介手数料 | 必要 | 不要 |
| 対象物件 | 良好な状態が望ましい | 状態が悪くても基本的に買取可能 |
また、媒介契約には「専属専任」「専任」「一般」の3種類あり、それぞれ不動産会社が負う義務や売主の制限が異なります。
| 専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 一般媒介契約 | |
| 同時に複数の不動産会社と契約 | × | × | 〇 |
| 買主を自分で見つける | × | 〇 | 〇 |
| 契約の有効期限 | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 | 指定無し |
| レインズへの登録義務 | 5日以内に登録 | 7日以内に登録 | 任意 |
| 活動状況の報告義務 | 1週間に1回以上 | 2週間に1回以上 | 任意 |
STEP7.購入希望者に内覧の対応をする
実家の売却活動が進むなかで、購入希望者が現れた際には内覧対応を行う必要があります。内覧は、購入希望者に物件の魅力を直接伝える貴重な機会です。
スムーズに実家を売却するためにも、以下のポイントを意識して準備しましょう。
| 項目 | 詳細 |
| 事前準備 | 部屋を整理して清掃を行い、できるだけ好印象を与えられるように整える |
| 柔軟な対応 | 内覧希望日時に柔軟に対応し、購入希望者が都合良くよく見学できるよう調整する |
| 物件の魅力をアピール | 「駅近で便利な立地」や「日当たりが良い」といったポイントを強調する |
内覧時は購入希望者へポジティブな印象を与えることが重要です。現場であるからこそ伝わる魅力を最大限に伝えましょう。
STEP8.買主と売買契約を結ぶ
購入希望者が内覧後に物件を気に入り、購入を決定した場合、売主と買主の間で売買契約を締結します。
契約前には、不動産会社の宅地建物取引士による重要事項説明が行われ、建物の構造や権利関係、修繕履歴など、物件に関する詳細な内容が説明されます。説明をしっかりと理解することで、後に発生する可能性のあるトラブルを未然に防ぐことが可能です。
売買契約書には物件の売却価格や引き渡し条件などが記載されており、内容を十分に把握してから合意しなければなりません。
契約書の内容をゆっくり確認したい人は、事前にコピーをもらうと良いでしょう。
STEP9.決済・引き渡しを行う
売買契約の締結後、契約書で定められた日時に従い、最終的な決済と物件の引き渡しが行われます。決済と引き渡しは、売主と買主、不動産会社、司法書士、金融機関の担当者が立ち会い、一連の手続きを進めるのが通常です。
決済当日には、買主から売主に売却代金の残金が支払われます。固定資産税や管理費の清算も同時に行われ、金銭的な取引は完了です。
その後、司法書士が所有権移転登記や抵当権抹消登記の手続きを進め、物件の所有権が正式に買主へと移転されます。
実家を処分するときにかかる費用相場

ここでは、実家を処分するときにかかる費用相場について以下の項目を紹介します。
- 測量費用
- 遺品整理の費用
- 不用品回収の費用
- ホームインスペクションや耐震診断の費用
- リフォーム・ハウスクリーニング費用
- 解体費用(更地にする場合)
- 実家を売却する場合にかかる費用
測量費用
土地の境界が不明確な場合は、確定測量を行ったうえで実家の売却をするのがトラブル防止につながります。
測量費用の相場は30~50万円ですが、隣接する家の数が多い場合や交渉が必要な場合には、100万円以上に達するケースもあります。
また、隣地が国や自治体所有地の場合は50〜80万が相場です。
| 項目 | 測量費用の相場(100㎡) |
| 隣地が民間の所有地 | 30~50万円 |
| 隣地が国や自治体の所有地 | 50~80万円 |
郊外や築年数の古い家は確定していないケースも多く、隣地の状況次第で測量費や時間が大きく変動します。例えば、隣地の所有者が不明な場合や、マンションの場合、交渉や境界線確定に半年から1年以上かかる場合もあります。
測量は必須ではありませんが、実家の売却をスムーズに進めるためには事前に行うのがおすすめです。
遺品整理の費用
遺品整理にかかる費用は、間取りや遺品の量、業者の選択によって大きく異なります。費用相場は以下のとおりです。
| 遺品整理業者の相場 | 20万~60万円 |
遺品整理には、遺品の仕分けや不用品の回収、清掃といった複数の作業が含まれます。
業者への依頼は必須ではありませんが、効率的に作業を進めたい人におすすめです。
不用品回収の費用
不用品回収を業者へ依頼するのは必須ではありませんが、忙しい社会人や高齢の人には便利です。相場は以下のとおりです。
| 不用品回収業者の相場 | 15~60万 |
不用品回収業者に依頼する際には、以下の資格や許可を保有しているか確認しましょう。
- 一般廃棄物収集運搬業許可
- 古物商許可(回収品を買取する場合)
万が一、上記のような資格・許可を取得していない場合、悪質な不用品回収業者の可能性があります。結果的に高額な費用を請求されるリスクなどもあるので、事前にしっかりと確認しておきましょう。
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ホームインスペクションや耐震診断の費用
実家を売却する際はホームインスペクションや耐震診断を行うことで、買主に信頼感を与え、売却をスムーズに進められる可能性があります。
ホームインスペクションは、建物の劣化状況や修繕が必要な箇所を明らかにする診断です。検査内容は、主に雨漏りやシロアリ被害、建物の傾きなどです。
一方、耐震診断は地震に対する安全性を評価します。それぞれの費用相場は以下のとおりです。
| 項目 | 費用相場 |
| ホームインスペクション | 5~10万円 |
| 耐震診断 | 40~50万円 |
ホームインスペクションや耐震診断は必須ではありませんが、買主に安心感を与えられるため、必要に応じて検討すると良いでしょう。
リフォーム・ハウスクリーニング費用
リフォームやハウスクリーニングは家の印象を良くし、売却価格の向上や早期売却につながる可能性を高めてくれます。
費用相場は実施する箇所や広さ、状態、居住の有無などによって異なるため、専門業者への見積もり依頼が欠かせません。
あくまでも目安ですが、それぞれの費用相場は以下のとおりです。
| 項目 | 費用相場 |
| リフォーム(フル) | 1,000~2,500万円 |
| リフォーム(内装+水回り) | 500〜1,000万円 |
| ハウスクリーニング | 5~15万円 |
リフォームやハウスクリーニングは必須ではないため、費用対効果を考慮しながら実施を検討することが重要です。
解体費用(更地にする場合)
古い建物が残っていると、買主がマイホームを建てる際に解体費用を負担する必要があるため敬遠される場合があります。
そこで、あらかじめ更地にしておけば早期売却につながる可能性が高まります。解体費用の相場は建物の構造や地域によって異なりますが、目安は以下のとおりです。
| 項目 | 費用相場 |
| 木造 | 3~5万円/坪 |
| 鉄骨造 | 5~7万円/坪 |
| 鉄筋コンクリート造 | 6~8万円/坪 |
なお、実家の解体を行う際には、以下の点に注意が必要です。
- 住宅用地の特例が適用されなくなる可能性がある
- 相続放棄が認められなくなるリスクがある
- 再建築不可の敷地ではないか確認が必要になる
状況によっては損してしまう場合もあるので、不動産会社と相談しながら進めましょう。
実家を売却する場合にかかる費用
実家を売却する際は、主に仲介手数料や印紙税、抵当権抹消費用、譲渡所得税などがかかります。
| 費用項目 | 計算方法・相場 |
| 仲介手数料 | 売却価格×3%+6万円+消費税 |
| 印紙税 | 売却価格が1,000万円超~5,000万円以下の場合10,000円 |
| 抵当権抹消費用 | 不動産1件につき1,000円 |
| 譲渡所得税 | 譲渡所得=売却価格-取得費-譲渡費用-特別控除 譲渡所得税=譲渡所得×税率 |
上記以外にも、住宅ローン関連の費用や引っ越し費用などがかかる場合もあります。どのような費用が必要になるのか、事前にしっかりと確認・準備しておくことが大切です。
実家を処分せずに放置するリスク

ここでは、実家を処分せずに放置するリスクを紹介します。
- 期間が経つにつれ資産価値が下がっていく
- 老朽化による倒壊の危険性がある
- 近隣住民とのトラブルに発展する
- 火事や空き巣などの被害に遭うおそれがある
- 固定資産税が上がる可能性がある
期間が経つにつれ資産価値が下がっていく
実家を放置すると時間が経つにつれて老朽化が進み、資産価値が低下します。
例えば、換気をしないままだと室内の空気が滞り、湿気やカビが原因で木材などの建材が腐食しがちです。また、掃除をしないままにしておくとホコリやチリがたまり、それをエサにして害虫や小動物が住み着き、糞尿が建物の劣化をさらに進行させるでしょう。
老朽化した物件は居住可能な状態ではなくなるため、購入希望者が見つかりにくくなります。資産価値を守るためにも、定期的な点検や早めの売却を検討することが大切です。
老朽化による倒壊の危険性がある
放置された建物は老朽化が進行し、倒壊や火災のリスクが高まります。
雨漏りやシロアリ被害などが進行すると建物の構造が著しく弱まり、災害時に倒壊しかねません。特に、老朽化した物件は不審者の侵入や放火の対象にもなりやすく、安全性が低下します。
さらに、地震や強風で倒壊した場合、屋根や外壁が隣家に損害を与えたり、歩行者が怪我をしたりするリスクもあります。事故が発生した場合、近隣住民から損害賠償を請求される可能性も少なくありません。
安全性を確保するためにも、建物の解体や売却を早期に検討することが重要です。
近隣住民とのトラブルに発展する
放置された実家が原因で、近隣住民とのトラブルが発生するおそれがあります。
空き家が放置されると雑草やゴミの放置、不審者の侵入などが原因で近隣住民に迷惑をかけることがあります。その結果、苦情が寄せられ、最悪の場合は法的措置を取られることも考えられるでしょう。
定期的な管理が行き届かない空き家は不審者の隠れ場所となり、盗難や破壊行為などの犯罪に利用されることも少なくありません。
近隣住民とのトラブルを未然に防ぐためにも、定期的な管理や早期の売却を検討することが重要です。
火事や空き巣などの被害に遭うおそれがある
実家を放置すると、火災や空き巣といった犯罪被害に巻き込まれるリスクが高まります。空き家は不審者に目をつけられやすく、放火や侵入による窃盗が発生しやすい環境です。また、老朽化した建物は配線トラブルやガス漏れなどが原因で火災を引き起こすおそれもあります。
火災が近隣に延焼した場合は所有者に損害賠償責任が問われる場合があり、特に管理不足が「重過失」と認定されると、法的な責任が発生する可能性があります。自治体が危険な空き家を強制的に解体し、その費用を所有者に請求するケースも少なくありません。
実家を維持管理することが難しい場合は、早期に売却を検討し、リスクを軽減することが重要です。
固定資産税が上がる可能性がある
放置している実家が「特定空き家」に指定されると、固定資産税の支払い金額が上がります。
特定空き家とは、2015年に施行された「空家等対策特別措置法」に基づいた制度で、老朽化や放置により危険な状態となっている家屋や、周囲に迷惑をかけている家のことです。
通常の住宅に比べて税率が高く設定されるため、長期間放置していると無駄な税金が積み重なり、負担が増えていくことになります。
長期的に見ると実家の放置は大きな経済的負担となります。早めに売却することで無駄な税金の支払いを防ぎ、負担を軽減することが可能です。
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実家の処分に関するよくある質問

ここでは、実家の処分に関するよくある質問を紹介します。
- 田舎の実家でも処分(売却)できる?
- 実家の片付けで売れるものは何がある?
田舎の実家でも処分(売却)できる?
田舎の実家は、以下の理由から売れない場合があります。
- 立地が悪い
- 建物の状態が悪い
- 不動産会社が依頼を受けてくれない
交通の便が良い場所や、都市近郊にある場合は比較的スムーズに売却できますが、そうでない場合は以下の方法を検討しましょう。
- 空き家に強い不動産会社に依頼する
- 買取を依頼する
- 空き家バンクに登録する
「空き家バンク」とは、自治体が運営する空き家の流通を促進するためのサービスです。
自治体は不動産の専門知識や経験が乏しい場合があり、トラブルが発生しやすい点に注意が必要です。したがって、買取を断られてしまった場合の最終手段として検討することを推奨します。
なお、以下で実家を売却した人の体験談を読むことができます。
実家の片付けで売れるものは何がある?
実家の片付けで売れるものには、次のようなものがあります。
- 骨董品・美術品
- 宝石・貴金属
- 家具・家電
- ブランド品
- 着物
- 楽器
- 釣具ゴルフ用品 など
整理する際には価値がありそうなものを丁寧に仕分け、専門業者に査定を依頼するのが賢明です。
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実家を処分するならはなるべく早めに進めよう

実家の処分は時間が経つにつれて資産価値が下がったり、老朽化のリスクが高まったりするため、早めに進めることが重要です。
特に空き家のまま放置すると、固定資産税の増加や近隣トラブル、火災リスクなどの問題が発生するおそれがあります。また、売却を検討する際は、家族全員の合意を得て適切な資金計画を立てることが必要です。
売却手段としては、不動産会社による「仲介」と「買取」があり、それぞれにメリットがあります。どちらを選ぶにしても、複数社からの査定を比較することが理想的です。
より早く・高く売りたい場合は、LIFULL HOME'Sの不動産一括査定の活用をご検討ください。全国約4,400社(2024年11月時点)の提携不動産会社から査定依頼先を選択できるほか、不動産会社の特色・強みなどもチェックすることが可能です。