
SNSやWebサイトなどで「4LDKのマンションは売れない」という情報を目にすることがあるでしょう。少子化、核家族化が進む現状において、4LDKのマンションは一般的に求められるニーズよりも部屋数が多く、価格も高くなる傾向にあるため、売れにくいとされています。
ただし、適切な売却ターゲットにアピールし、実績豊富な不動産会社へ依頼することで、より早く・高く売れる可能性が高まります。
この記事では、4LDKのマンションが売れない理由や売却ターゲット、人気の間取りを紹介します。4LDKのマンション売却を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
この記事で分かること
- 4LDKのマンションが売れないといわれる理由
- 4LDKのマンションは本当に売れないのか?
- 4LDKのマンションの主な売却ターゲット
- 4LDKのマンションでアピールできる人気の間取りやポイント
- 4LDKのマンションをより早く・高く売るコツ
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もくじ
4LDKのマンションが売れないといわれる理由

一般的に、「4LDKのマンションが売れない」といわれる背景には、いくつかの理由があります。
代表的なものとして、以下の3つが挙げられます。
- 一戸建てが主な競合になるから
- 一般的に価格が高い傾向にあるから
- 少子化や核家族化が影響しているから
一戸建てが主な競合になるから
4LDKのマンションは一戸建てと競合するため、売れにくい傾向にあります。4LDKという間取りを求める購入検討者の多くはファミリー層であり、「同じ広さ・価格であれば一戸建てに住みたい」と考える場合も多いからです。
一戸建ての魅力は、庭やガレージなどの付帯設備がある点です。特に、子育て世代にとっては、庭遊びやガーデニング、さらにはバーベキューなどのアウトドア活動ができる一戸建ては魅力的に感じられるでしょう。
また、ガレージがあることで車の管理もしやすく、家全体のプライバシーが守られる点も大きな利点です。防犯面や管理の楽さを考えてマンションを選択する場合もありますが、販売価格とのバランスによっては一戸建てが競合となることを想定しなければなりません。
一般的に価格が高い傾向にあるから
4LDKのマンションは、他の間取りに比べて価格が高くなる傾向にあります。これは、一定以上の部屋数と広い面積が求められるため、建築コストが高くなることが原因です。
ファミリー層が物件選びをする場合、あらかじめ予算が決まっているケースが多く、高額な4LDKのマンションはそもそも検索段階で候補から外されてしまっていることもあるでしょう。
東日本不動産流通機構が公表している「年報マーケットウォッチ2022年・年度」によると、中古マンションの間取り別成約件数は、以下のとおりです。
| 1DK・LDK | 2DK・LDK | 3DK・LDK | 4DK・LDK | ||
|---|---|---|---|---|---|
| 東京都 | 成約件数(件) | 4,732 | 5,985 | 6,345 | 629 |
|
成約価格(万円 ) |
4,075 | 6,329 | 6,142 | 5,765 | |
| 専有面積(㎡) | 39.2 | 62.06 | 73.87 | 95.36 | |
※参考:年報マーケットウォッチ2022年・年度|東日本不動産流通機構
上記を見ると、4DK・LDKの成約件数が少なく、成約価格も3DK・LDKより低くなっていることが分かります。売出価格は不明ですが、あまり高額に設定すると売却が困難になる可能性もあるでしょう。
少子化や核家族化が影響しているから
少子化や核家族化といった社会的変化も、4LDKのマンションが売れにくい理由の1つです。
少子化に関して、厚生労働省の「令和4年人口動態統計月報年計(概数)の概況 」によると、日本の出生率(合計特殊出生率)は、1.26%です。
また、核家族化が進むことで親と同居するケースが減り、より小さな住居でも十分に生活できる家庭が増えてきました。これらのケースを考えると、少子化や核家族化の影響により、4LDKのマンションの需要が減少していることが予想できます。
4LDKのマンションは本当に売れないのか?

一般的に売れにくいとされる4LDKのマンションでも、事前に対策を講じることで売れる可能性を高めることができる場合があります。まずは、成約率や間取り別・エリア別の売却価格相場などをチェックし、売出価格の参考にしましょう。
- 4LDKマンションの成約率
- 間取り別における4LDKマンションの売却価格相場
- エリア別における4LDKマンションの売却価格相場
4LDKマンションの成約率
ここでは、東日本不動産流通機構の「年報マーケットウォッチ2022年・年度」をもとに、首都圏における中古マンションの間取り別成約件数と成約率をまとめています。
| 1DK・LDK | 2DK・LDK | 3DK・LDK | 4DK・LDK | ||
|---|---|---|---|---|---|
| 首都圏(2022年) | 成約件数(件) | 6,050 | 9,757 | 15,797 | 2,062 |
| 成約率(%) | 17.1 | 27.6 | 44.6 | 5.8 | |
※参考:年報マーケットウォッチ2022年・年度|東日本不動産流通機構
上記を見ると、4DK・LDKの成約率は、他の間取りに比べて少ないことが分かります。1DK・LDKの成約件数と比較しても、約3分の1程度となっています。
他の間取りと比べて流通量が少ないことから、「売れない」というイメージを持たれている可能性もあるでしょう。
間取り別における4LDKマンションの売却価格相場
ここでは、間取り別における4LDKマンションの売却価格相場をまとめています。
| 1DK・LDK | 2DK・LDK | 3DK・LDK | 4DK・LDK | ||
|---|---|---|---|---|---|
| 東京都 | 成約価格(万円) | 4,075 | 6,329 | 6,142 | 5,765 |
| ㎡単価(万円/㎡) | 103.96 | 101.98 | 83.14 | 60.46 | |
※参考:年報マーケットウォッチ2022年・年度|東日本不動産流通機構
上記を見ると、全間取りのなかで2DK・LDK〜3DK・LDKのマンションの成約価格が高く、4DK・LDKは1DK・LDKの次に高くなっています。
東京都においては3DK・LDKよりも少し割安で売り出したほうが、スムーズに売却しやすいと考えられます。
エリア別における4LDKマンションの売却価格相場
ここでは、エリア別における4LDKマンションの売却価格相場をまとめています。
| 都区部 | 東京都 | 埼玉県 | 千葉県 | 神奈川県 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 成約価格(万円) | 7,159 | 5,765 | 3,284 | 3,156 | 4,152 |
| 成約率(%) | 2.2 | 3.3 | 8 | 12.4 | 7.2 |
※参考:年報マーケットウォッチ2022年・年度|東日本不動産流通機構
上記を見ると、流通量が少ないこともあり、都区部の売却価格相場が最も高くなっています。
また、東京都や都区部に比べると埼玉県や千葉県、神奈川県の成約率は高く、売れやすいことが分かります。
東京都における4LDKのマンションよりも、他エリアのほうが安いことが理由といえるでしょう。加えて、ファミリー層が郊外の物件を選んでいるなどの理由も推測できます。
4LDKのマンションの主な売却ターゲット

ここでは、4LDKのマンションの主な売却ターゲットを紹介します。
- 世帯人数が多い人
- 仕事部屋・趣味部屋が必要な人
- 和室が必要な人
- リモートワークが多い人
- 来客が多い人
世帯人数が多い人
4LDKのマンションは、世帯人数が多い家庭にとって理想的な選択肢と言えます。家族全員が十分なプライバシーを保ちながら、生活できるスペースを確保できます。
具体的には、子どもが2人以上いたり、介護のために親と同居する予定があったりする家庭が当てはまります。子どもの多い家庭ではそれぞれに個室が与えられることで、学習環境や休息スペースを確保しやすくなります。
また、親と同居している場合、寝室を分けたいと考える人がほとんどでしょう。4LDKのマンションを売却する人は、上記のような点をアピールできるように準備しておくことが大切です。
仕事部屋・趣味部屋が必要な人
4LDKのマンションは、仕事部屋や趣味部屋を必要とする人にとって魅力的な選択肢となり得ます。最近ではリモートワークの普及に伴い、専用の仕事部屋を設けたいといったニーズが増えています。
また、趣味を楽しむための専用スペースを持ちたいと考える人も少なくありません。4LDKのマンションは、こうしたニーズに対応できる広さを持っています。
和室が必要な人
最近は減ってきましたが、4LDKのマンションであれば、一室が和室になっている場合があります。和室は日本の伝統的な生活空間であり、来客用の部屋、子どもの遊び場、またはリラクゼーションスペースとして利用しやすい点がメリットです。
特に高齢者がいる家庭では、畳の和室は柔らかく座りやすいため、人気があります。「家に和室がほしい」というニーズに応えられれば、他の間取りと差別化を図れるでしょう。
リモートワークが多い人
4LDKのマンションは、リモートワークが多い人におすすめの間取りです。部屋数の多い物件を求めて、郊外に住み替える人も少なくありません。
リビングや寝室などの生活空間と仕事空間を分けることで、集中力を保ちやすくなり、オンとオフの切り替えもスムーズに行えるでしょう。
さらに、専用の仕事部屋を持つことで、オンライン会議の際にプライバシーが守られ、家族に迷惑をかけずに済むという利点もあります。
来客が多い人
来客が多い人にも、4LDKのマンションはおすすめです。3LDKだと心もとないですが、4LDKであれば、友人や親戚が訪れた際に快適に過ごしてもらえるほか、ホスト側も普段通りの生活を続けやすくなります。
一部屋を来客用にしておけば、子どもが友人を連れてきても、慌てる必要はありません。
4LDKのマンションでアピールできる人気の間取りやポイント

4LDKのマンションは広さと部屋数が多いことから、さまざまなニーズに応えることが可能です。ここでは、一般的な事例として、4LDKのマンションでアピールできる人気の間取りやポイントについて解説します。
- キッチンからリビングが見渡せる
- 収納スペースが充実している
- 立地や周辺環境が充実している
- 共有スペースが充実している
キッチンからリビングが見渡せる
キッチンからリビングが見渡せる間取りは、家事をしながら家族とコミュニケーションが取りやすく、子育て世帯に人気があります。
料理をしながら子どもの様子を見守ることができたり、リビングでくつろぐ家族と会話を楽しんだりすることが可能です。特に、小さな子どもがいる家庭にとって、子どもが遊んでいる姿を見ながら料理や片付けができる点は大きな安心材料となるでしょう。
収納スペースが充実している
収納スペースが充実していることは、4LDKのマンションにとって大きなアピールポイントです。収納スペースが多いと、衣類や家電、子どものおもちゃなど、さまざまな物を効率よく収納することができます。
結果的にリビングや寝室が常に整理整頓され、生活の質が向上します。また、収納スペースが多いと、引越しの際にも荷物の収納に困りにくいでしょう。
立地や周辺環境が充実している
4LDKのマンションに限らず最寄駅から徒歩5分以内の好立地であれば、通勤・通学がしやすく、アピールポイントになります。
また、周辺に商業施設や病院、学校、公園などが揃っていると、日常生活の利便性が高まり、家族全員が満足度の高い生活を送ることが可能です。
マンションを探している人の中には、価格だけでなく、立地や周辺環境を重視している人もいるため、安心して暮らせる点を訴求しましょう。
共有スペースが充実している
4LDKを擁するマンションであれば、共有スペースが充実している可能性があります。具体的な共有スペースは、住人が利用できるフィットネスジムやプール、キッズルーム、パーティールーム、ワークスペースなどです。
共有スペースが充実しているマンションは多くないため、その貴重さも十分なアピールポイントになるでしょう。
反対に、共有スペースがない場合でも、管理費の安い物件であればアピールが可能です。
4LDKのマンションをより早く・高く売るコツ

ここでは、4LDKのマンションをより早く・高く売るコツを紹介します。
- 余裕のあるスケジュールを立てる
- ホームステージングを検討する
- 内覧前にしっかりと掃除・整理整頓しておく
- 複数社に査定依頼する
- 4LDKのマンション売却に強い不動産会社を探す
余裕のあるスケジュールを立てる
4LDKのマンションを早く・高く売るためには、余裕のあるスケジュールを立てることが重要です。マンションの売却には、査定、内覧、契約手続きなど多くのステップがあるため、売却活動を急ぐと、安売りしてしまうリスクがあります。
LIFULL HOME'Sが首都圏の売却経験者に実施したアンケート「売却の際に気をつけるべき点」では、「余裕のあるスケジュールを立てると」と回答したマンション売却経験者が最も多い結果となりました。
マンション売却で気をつける点
| 順位 | 内容 | 割合 |
|---|---|---|
| 1 | 余裕のあるスケジュールを立てる | 35.3% |
| 2 | 不動産会社に任せきりにせず、自分でも情報収集する | 31.6% |
| 3 | 不動産会社の言うことが正しいかどうか判断できるようにする | 31.2% |
※参考:首都圏の売却経験者に聞いた!目的・期間・困りごと・満足度…不動産売却に関するデータをまとめて紹介
※4位以降は省略
後悔しないためにも、時間に余裕を持ってスケジュールを立てましょう。
ホームステージングを検討する
ホームステージングとは、専門のインテリアデザイナーが家具やインテリアなどを配置し、物件をより魅力的に見せる手法です。内覧時に購入希望者が実際に住んでいるイメージを持ちやすくなり、購買意欲が高まります。
また、競合物件と差別化を図ることができ、結果的に高値売却が期待できるでしょう。一部の大手不動産会社では無料でホームステージングを提供しているところもあるため、興味のある人は探してみることをおすすめします。
内覧前にしっかりと掃除・整理整頓しておく
内覧時にマンションの第一印象が決まる傾向にあるため、部屋がきれいで整頓されていることは非常に重要です。汚れた部屋や乱雑な空間は、購入希望者にネガティブな印象を与え、物件の価値を低く見られてしまうことがあります。
特に、浴室や洗面台、キッチン、トイレなどの水回りは汚れが目立ちやすいため、念入りに掃除しておきましょう。頑固な汚れはハウスクリーニングを利用するのも1つの選択肢です。
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複数社に査定依頼する
4LDKのマンションをより早く・高く売るためには、複数の不動産会社に査定依頼をすることが重要です。各社の査定価格を比較することで、より適正な売却価格を把握し、最良の条件で売却できます。
なお、不動産会社によって査定方法や基準は異なるため、同じ物件でも査定価格が異なるケースは少なくありません。
1社だけに査定依頼をすると、その会社の提示する価格が相場に見合っているかどうかなどの判断材料が不足し、結果的に適正価格より低く売却してしまうリスクがあります。
4LDKのマンション売却では、築年数や物件の状態だけでなく、不動産会社の対応力が成功の鍵を握ります。実績豊富で誠実な営業担当者を選ぶことが理想です。
4LDKのマンション売却に強い不動産会社を探す
4LDKのマンションは、広さや間取りの特性から、ファミリー層や特定のニーズを持つ購入希望者に人気があります。このような特性を理解し、適切なマーケティングと販売活動を行える不動産会社を選ぶことが成功の鍵です。
4LDKのマンション売却に強い不動産会社は、購入希望者の心理や市場動向を熟知しているのはもちろん、すでに見込み客を抱えているケースも少なくありません。
なお、LIFULL HOME'Sの「不動産一括査定」は、最大10社の不動産会社に同時に査定依頼が可能です。不動産会社の特色・強みなどもチェックできるため、自分に合った不動産会社を見つけることができます。
4LDKのマンション売却に関するよくある質問

ここでは、4LDKのマンション売却に関するよくある質問を紹介します。
- 4LDKのマンション売却で後悔しがちな失敗事例は?
- マンションは3LDKと4LDKどっちが売れやすい?
- 4LDKのマンションがどうしても売れないときはどうすればいい?
4LDKのマンション売却で後悔しがちな失敗事例は?
4LDKのマンション売却で後悔しがちな失敗事例には、高額すぎる価格設定や不十分な内覧準備などがあります。これらの失敗は売却を遅らせるほか、価格を下げざるを得なくなる原因になりかねません。
複数社への査定依頼を怠り、1社のみに提示された査定価格が市場相場よりも高額であった場合、購入希望者が敬遠し、結果的に売却期間が長引いてしまいます。
また、スケジュール不足で内覧準備が思うようにいかない場合も、物件の価値が低く見られてしまいがちです。
あくまで一例ですが、後悔しないように売却の流れや注意点は調べておきましょう。
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マンションは3LDKと4LDKどっちが売れやすい?
一般的に、3LDKのマンションのほうが売れやすいとされています。前述したように、4LDKは一戸建てが競合物件になってしまうほか、価格が高くなりやすく、核家族の世帯にとっては部屋数が余ることも考えられます。
流通量で比べても3LDKのほうが多く、需要が高いことが分かります。
とはいえ、4LDKの広さや間取りの特性から、特定の需要を持つ購入希望者に人気があるため、アピールポイントを上手く活用しましょう。
4LDKのマンションがどうしても売れないときはどうすればいい?
4LDKのマンションがどうしても売れない場合、価格の見直しや不動産会社の変更、最後の手段として「買取」を検討することが考えられます。
買取は、不動産会社が直接物件を購入する方法で、売却が早く確実に進むメリットがあります。ただし、市場価格よりも低くなりやすいため、高値売却を狙いたい人にはおすすめできません。
緊急の場合や、どうしても売れない場合の最終手段として、検討するといいでしょう。
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4LDKのマンション売却なら一括査定がおすすめ
4LDKのマンションは、ほかの物件に比べると売却が難しくなる傾向にありますが、アピールポイントを上手く活用すれば、売れない事態に陥ることはありません。
スムーズに売却するためには、自分に合った不動産会社に依頼することが重要です。
少しでも早く・高く売却したい人は、不動産査定サイトを活用しながら、複数社に査定を依頼して比較検討することをおすすめします。